鎮守府出入り業者の俺   作:土管侍

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お仕事は次回に持ち越して、今回は加賀さん以外の空母と初絡みになります。


広樹、暗躍ス?

 間宮で諸々の作業を終え、後始末を済ませた俺は執務室へと引き返した。暁型姉妹の姿は既になく、間宮さんもお店に戻ったのでここには居ない。

 

「お待たせしました。それで相談とは」

 

「ソファに座って待っていて。今、関係者を呼びます」

 

 加賀さんに言われるままソファに座る。何処かへ内線を掛けているようだ。数分した後、3人の艦娘が執務室を訪れ、俺の前へと座った。

 

「航空母艦、赤城です。お噂はかねがね伺っております」

 

「航空母艦、飛龍よ。期待してるからね」

 

「同じく航空母艦、蒼龍。よろしくね」

 

 あ、やばい。良家のお嬢様的な雰囲気の黒髪美人は俺の心に刺さるんですよ。これに加え今風の女子大生的なこっちの2人も暗い青春を過ごした俺には眩しすぎる。

 

「平素よりお世話になっております、後藤田と申します」

 

 人数分のお茶を持った加賀さんが赤城さんの横に座った。こうして見ると凄まじいビジュアルだ。美人が2人に可愛い系が2人。花園そのものと言っていいかも知れない。

 

「相談は他でもなく、仕事の話です。実はあなたがこの鎮守府に出入りするようになる前から、私たち空母が寝起きしている寮で少々深刻な事態が起きていました。あなたのこれまでの仕事ぶりと人柄が信頼に値するかを長らく見させて貰っていたけれど、どうやら問題無さそうとの結論に至ったので正式に依頼をしたいと思います」

 

 やだ何それ怖い。だから俺に対して常に抜き身の日本刀のような視線を浴びせていたのか。

 

「内容はネズミ退治です。期限は設けません。そちらのスケジュールを優先して構わないわ」

 

 おっとこれはまた手強いのが出て来たな。この業界じゃGと並んで一二を争う依頼案件の持ち主だ。簡単にいかないのは目に見えている。

 

「長い戦いになると思いますが、それでも宜しいですか」

 

「既に私たちはそれを繰り返して来ました。ですが、そろそろ素人の手には追えないレベルになりつつあります。あなたはこれで長期的に安定した依頼をこなせるし、私たちは私生活が安全になる。お互いに利益がある事じゃないかしら」

 

 なーんか零細の弱みを握られたみたいでちょっと納得いかないが、逆を言えばこれはウチだけじゃなく町全体の利益になり得る事だと思った。何かしらの提案で町に経済効果を得られるかも知れない。

 

「委細は承知しました。それでこっちも1つ提案と言うか相談なんですが……」

 

「なに?」

 

「あー……ここの仕事は確かにいい金額で取り引きさせて貰っていますけれど、ウチだけが利益を得るのは申し訳ないんで、例えばここの皆が休日とかに町へ出掛けてお金を使って貰えたりなんかすると、有難いなぁと」

 

 自慢じゃないが、町には一応でもアーケード街や中規模のデパートがある。卸売り市場や美味い店だってままあるし、ちょっと歩けば自然も多い。大人になってから移り住むと少々物足りないと感じるだろうが、ここで生まれ育った人間には十分過ぎる環境だった。

 

「一個人にしては差し出がましいお願いだと思いますし、保安上の都合なんかもあるでしょうが、ご検討頂けないでしょうか」

 

 うーん、営業マンになった覚えはないんだが、彼らの仕事はこんな感じなんだろうか。ウチは基本的に依頼や相談があれば駆け付けるタイプの業種なので、こっちから売り込みにいく事はないからよく分からんけど……

 

「……そのお年で素晴らしい考えをお持ちですね。いや、感服致しました」

 

 急に提督さんが喋り出した。いえ違うんですよ。これで店の改装なんかすると、商店街の連中に「どっから儲けた」とか言われるんで、町の金回りが全体的に良くなれば隠れ蓑になるんじゃないかってそんなゲスい事を思ってましたなんて言える訳ないデスヨネー

 

「他でもない後藤田さんのお願いです。近い内に少人数ずつで町の方へ行かせて頂きましょう」

 

 すると、赤城さんの目の色が変わった。それを見た加賀さんは呆れ顔になる。

 

「赤城さん、お店に迷惑をかけないよう自重して下さいね」

 

「え、あ、は、はい、もちろん」

 

 しどろもどろになる赤城さんがとてもカワイイです。しかし、なぜ急にそんな仕草になったのだろう。

 

「あのぉ、不躾ですが、黒川食堂さんを利用された事はありますか?」

 

「ああ、トンカツの美味い店ですよ。揚げ物全般はクオリティが高いですね」

 

「み、三好屋さんは」

 

「金目の煮付けが最高ですね。刺身も美味いです」

 

「松田製麺さんは」

 

「本場香川で修業した親父さんが作る讃岐うどんは絶品ですよ」

 

「赤城さん、その辺にして」

 

「あ、はい」

 

 シュンとなった赤城さんもカワイイです。もしかして、かなりの食通なのでは…

 

「ごめんなさい、この人は美味しいものに目がないのよ。前々から外のお店に行きたがってたの。色々あって実現出来なかったから舞い上がっちゃったみたいね」

 

「す、すみません」

 

「ねぇねぇ、オススメの居酒屋とかない?」

 

「大盛りサービスのお店ある?」

 

 空気を読まずに飛龍と蒼龍が口走った。加賀さんの目付きが険しくなる。やばい、このままでは俺もとばっちりを食らいそうだ。

 

「あー、じゃあ軽くリストアップしたのを後で渡しますんで、取りあえず現場を見させて貰えますかね」

 

「そうね。じゃあ行きましょう」

 

 取りあえず難を逃れた。現場を見たら一旦店に戻って装備を整える傍ら、地域情報誌を持ち出して来る事にしようと思う。




本作の赤城さんはそこまで大食いではない設定としておりますのでご了承下さい。
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