おい、バトルしろよ   作:ししゃも丸

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今でもだけど、本当はバトルをデュエルと言いたい。
それと以前リーフの手持ちのアドバイスをもとに何とか決めました。みんなありがとナス!
おかげでとんでもないのが一体います(私はよく理解していない模様)。





しばらく金欠だからトレーナー狩りしなくちゃ(使命感)

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは偶然だった。

 タマムシに用があったリーフはゲームセンターに向けて歩いていた。目的は単純、スロットをするためだ。

 今日もむしり取ってやろっと。

 恐ろしいことにリーフにはギャンブルの才能があったらしい。スリー7を揃えるなんて簡単で、コインをがっぽがっぽ稼いでいた。

 そんな浮かれた気分で店に入ろうとしたその時、店から黒ずくめの集団が何処かへ走り去っていくのを目撃する。

 

 

「あれは──ロケット団! まさか、こんなところにあいつらの基地があるなんて。こうしちゃいられないわ!」

 

 

 そのあとどうなったかは簡単であろう。ロケット団の地下研究室に単身で乗り込み、残っていたトレーナー全員とバトルしたのだ。おかげでレベルがあがり、フシギソウはフシギバナに進化することができた。

 大方施設にいるトレーナーを倒したと一息つこうとしたリーフ。その瞬間別の所で大きな爆発が起きたのだ。何がなんだかわからないがとにかく爆発が起きた場所へ向かった。そこには無残に飛び散るガラスの破片と壊れた機器類。

 

 

「あれ、これって」

 

 

 偶然生き残っていたモニターに映し出された映像にレッドが映っていたのを見つけだすリーフ。

 

 

「なーんだ。レッドったらもうタマムシまで来てたんだ。えへへ、や……た?」

 

 

 しかし、映像に映っていたのはレッドだけではなかった。もう一人、知らない女がレッドといるのに気がづいた。

 

 

「誰よあの女! レッドのばかぁ!」

 

 

 叫びながら来た道を戻るリーフ。

 同時に彼女がいなくなると、映像は途絶え煙の中から影が薄っすらと浮かび上がり、煙に乗ってどこかへと消えてしまった。

 

 

 

 

 

 外に出ると待っていたのはジムリーダーであるエリカを筆頭にこの街の自警団。彼女は突然現れた自分にとても驚き声をかけてきた。

 

 

「あ、あなたはリーフではありませんか! どうしてここに?」

「え? ロケット団を見つけたんでぼこぼこにしてきたんですけど……」

「あなたもお強いトレーナーだと思ってはいましたがこれ程とは。ところで、レッドと一緒では──」

「そうだ、レッドだ! ごめんなさいエリカさん、わたし急いでるんで! コンコン、全速力でダッシュよ!」

 

 

 キュウコンの背に乗りその場をあとにするリーフ。

 だいたい走って15分経ってからだろうか、目的の場所につくとレッドがあの女とキスをしているのを目撃してしまい、思わず叫んでしまった。

 

 

「あ、アンタたち! な、なにやってんのよぉおおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いい流れで終わりかと思った矢先、突然のリーフの登場によりここはカントーで一番の混沌と化してしまった。彼女を知らないブルーはレッドに近寄りながら聞いてきた。

 

 

「あの子誰?」

「幼馴染のリーフ」

「レッド、その女誰?」

「こいつはブルー。見ての通りの……詐欺師?」

 

 

 問われて一度ブルーの方へ見て答える。詐欺師と言われ反論するブルーにリーフが二人の間に入って引き離す。

 

 

「で、あんた。レッドとどういう関係なわけ⁉」

「関係って言われても……! あたしたちはビジネスパートナーよ。ね、レッド」

「いや、被害者と加害者の関係だろ」

「そういうところよ、レッド」

「なんでそんなに仲がいいのよ!」

「そうか?」

「そうかしら?」

 

 

 どう見ても互いに言い争っていると思うし、意見すらバラバラだ。これで仲がいいというリーフはどうかしているのではないだろうか。

 彼女は続けてブルーに対してがみがみと怒鳴り散らしている。レッドはそもそもなんでここにいるのかとたずねた。

 

 

「ゲームセンターの地下にロケット団の基地があって、そこのモニターに二人がいたからよ」

「……え、なに。お前があれやったの?」

「当たり前じゃない! わたしにかかればロケット団なんてらくしょーよ」

「な、なら、ボスはいたか⁉」

 

 

 リーフの肩に掴みかかって体を揺らしながら言う。

 

 

「い、いなかったわよ! そもそもいきなり施設が爆発してそれどころじゃなかったし」

「爆発?」

 

 

 もしかして、ミュウツーが逃げたのか。

 それを聞いて安堵する。となればきっと、向かうのはハナダの洞窟だ。仮にロケット団がハナダの洞窟を見つけても、おいそれとは先へと進むことはできない。なにせ、あそこで強くなったのはレッドのポケモンだけとは限らないのだ。

 抱えていた問題の一つが片付き、未だに言い争っている二人へと目を向ける。

 似ている。うり二つってわけじゃないけど。

 声は違うから見分けは簡単につくが、所々似ているなと思わせる部分がある。レッドは試しに聞いてみた。

 

 

「なあ、二人って生き別れの姉妹だったりしない?」

「そんなわけないじゃない」

「そのぐらいわかるでしょ! このバカレッド!」

「やっぱり似てるって」

「とにかく! あたしはレッドとそういう関係じゃないから、また会いましょう!」

 

 

 ブルーはプリンを出すとそのまま膨らんだプリンに捕まって空へと飛んでいく。それを見たレッドはリーフに問いかける。

 

 

「はぇープリンって空飛べたんすね。で、お前は追いかけないわけ」

「……持ってない」

「は?」

「持ってないの! 空を飛べるポケモン!」

「……ピジョンとか、いらっしゃらないんですか?」

「グリーンなら持ってる……わたし持ってない」

「うっそだろお前」

 

 

 ひこうポケモン、特に初代なら最低でもポッポかオニスズメぐらいは捕まえているものだ。ポッポを捕まえてピジョットにしたのは懐かしい思い出だとレッドを思い返す。それなのにリーフは一匹もひこうポケモンを持ってないと言う。

 

 

「ちなみに、いまの手持ち何持ってるんだ?」

「えーとフシギバナ、キュウコン、ギャラドスでしょ」

「ギャラドス?」

「うん。最近みずポケモンでカスミさんに相談したら譲ってくれたの」

 

 

 ギャラドスと聞いてもしやと思ったが、案の定以前捕まえたカスミのギャラドスだった。レッドは続けてとリーフ言った。

 

 

「あと最近サファリゾーンで捕まえたラッキー」

 

 

 さらっととんでもない名前が聞こえた。でも幻聴だと思って聞き流した。

 

 

「最後に、タマムシシティに来た時に見つけたイーブイ」

「──イーブイ?」

「うん。イーブイ。街を歩いていたら偶然見つけたの。ほら、可愛いでしょ!」

「う、うん。かわいいね……」

 

 

 どうりで探しても見つからなかったわけだ。まさか二匹目がいたとは思わなかった。しかしよく考えれば、イーブイが一匹とは限らないと気づく。そもそもイーブイの生息地はカントーにおいては不明なのだ。それだけリーフの運がいいということだろう。

 

 

「ところで。レッドの手持ちは? わたしだけ教えるのは不公平なんだけど」

 

 

 痛い所を突かれる。いや、普通に話してもいいと思うのだが、如何せんレベルの関係と御三家を持っているため中々言いづらい。さらにおまけにサンダーを持っているのでもっと言いづらい。

 だから正直に嘘をつくことにしたレッド。

 

 

「ピカチュウとスピアー」

「あとは?」

「それだけ」

「ほんとぉ?」

「いえす」

「……」

「……あとカビゴン捕まえました」

「にひひ。わたしのかちぃ! もっと捕まえなきゃだめだよ、レッドくーん。おじいちゃんからポケモン図鑑を渡されてるんだから」

「あ、忘れてたわ。けど、全国図鑑すら入ってない図鑑に価値なんてないし……」

「?」

 

 

 言っていることが理解できていないリーフは首をかしげる。時代なのか、それともネットワークがまったく発展していないのか。いまだにこの初代ポケモン図鑑は151匹分のデータしか入っていないポンコツ図鑑なのだ。

 

 

「話は戻るが、ひこうポケモンは持っておけよ。便利なんだからさ」

「えー。だってかわいい子いないし」

「じゃあなんか見つけたら俺がプレゼントするよ」

「ほんと⁉ レッドがわたしにプレゼントをくれるの⁉」

「お、おう」

 

 

 目をキラキラと輝かせ、まるで犬のように飛びつくリーフに少し驚いて一歩下がる。レッドとしても、いくらギャラドスでなみのりができると言ってもそらをとぶと比べれば、どちらが便利かは一目瞭然。さて、どんなポケモンがいいかと考えていると、リーフが何かを思い出したのかまたこわいかおをしてレッドに問い詰める。

 

 

「ところで。なんでエリカさんがレッドのことを知ってるの?」

「へ?」

「だってエリカさん。レッドのことも聞いてきただもん。それで、二人はどういう関係なの?」

 

 

 声は静かだがところどころを強調して言う。

 

 

「ひ、一晩ご飯を頂いただけだって……」

「なんでただのトレーナーとジムリーダーが一緒にご飯を食べるのよ」

「……それは、その、お礼だって」

「ふーん。お礼、ね」

「そう、お礼!」

「……」

「……!」

 

 

 レッドは脱兎のごとくにげだした! リーフのついげき! レッドはがんばってにげている……うまくにげられたようだ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タマムシシティとセキチクシティを繋ぐサイクリングロード。そこに逃げ込むことに成功したレッドはのんびりと自転車を走らせながらリーフのしつこさを思い出していた。

 手持ちのリザードンを筆頭にした御三家とサンダーも見られるわけもいかず、とにかく自分の足で全速力で走るレッドに対して、リーフはキュウコンに乗って追いかけてきた。人間がポケモンの脚力に敵うわけない、それはもう昔の話だ。人は走れる、ポケモンより速く。

 そしてタマムシシティにまでたどり着いた時には、すでにリーフを振り切っていてそのままサイクリングロードへと足を延ばした。

 

 

「さすがにゲームと違って速度の制限はないよな」

 

 

 タマムシシティから下る時は速く、セキチクシティから上ると重力でもかかっているのか物凄く遅く走るという理不尽使用。しかし現実ではそんな制限はない。

 のんびりセキチクシティへ向かいながら景色を楽しむ。すると対向車線に3人組のぼうそうぞくが走っているのが目に入った。

 いいなぁ、バイク。

 生前は自動二輪免許だけは学生自体時代に取ったはいいが、資金面でバイクを買うことはできずたまにレンタルで乗ることしかができなかったのを思い出した。

 彼らのバイクを物欲しそうに眺めていると、突然速度を上げてこちらに跳んできた。

 

 

「ヒャッハー!」

「ここはオレ達の縄張りだぁ!」

「自転車ごときが走るところじゃねぇぜ!」

 

 

 鴨が葱を背負って来たとはまさにこのこと。不敵な笑みを浮かべながらレッドは立ち止まり、暴走族三人に言った。

 

「おい」

「あぁん?」

「バトルしろよ」

「バトルだぁ!?」

「そうだ。それに3対1でいいぜ。その代わりに俺が勝ったらそのバイクを貰うぞ」

「こいつぁどえらいハリキリボーイがやってきたぜ」

「こっちが勝ったらお前は何を差し出すんだ?」

「おこずかい(MAX)を全部だ」

「いいぜぇ、バトルだぁ!」

『『『『ライディングバトル・アクセラレーション!』』』』

 

 

 ぼうそうぞくはアクセルを回し、レッドはペダルをこぎながらボールを投げ、

 

 

「スピアーミサイルばりでトレーナーにダイレクトアタック!」

『『『な、なにぃいいい⁉』』』

 

 

 スピアーから放たれたミサイルばりが容赦なく三人へと直撃した。するとどこから現れた謎のおじさんが現れて。

 

 

「1ターンに3人を。ワンターンスリィーキルゥ……」

 

 

 それだけ言っておじさんはセキチクシティ方面に向かっていった。

 レッドは気にせず、自転車を降りて倒れている暴走族に歩み寄り、ニッコリと笑った。

 

 

「て、てめぇ。きたねぇぞ……」

「馬鹿め。暴走族相手にまともにバトルすると思ったか。そして約束だ。バイクを貰っていくぞ」

「そ、それだけは! それだけは勘弁してくれ! ママに頼んで買ってもらった新車なんだ! まだローンも残ってるんだよぉ!」

「だったらいい機会だ。真面目に働いてローンを返すんだな。ほれ、代わりに自転車はくれてやる」

 

 

 どんなに頑張っても二人しか乗れない自転車を置いて、バイクに跨りアクセルスロットルを回してエンジンを吹かす。

 ドッドッドとエンジンの鼓動が伝わる感覚はバイク乗りにしか分からないだろう。ギアをファーストに入れてクラッチペダルを離しながらアクセルを回す。加速……セカンド……と、だんだんとギアをあげて、サイクリングロードを逆走する。

 向かう先はタマムシデパート。そこへレッドはバイクを走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クチバの横にある11番道路。ここはシオンタウンへと続く道であり、年に一度はサイクリングレースが行われる場所でもある。もちろん自転車だけではなく、バイク乗りも走っているのだが今日は見慣れない赤いバイクが走っていた。

 

 

「最高の仕上がりだFR号! これならオゾン層だって行けるぜ!」

 

 

 普通のバイクとは違う形をしたレッド専用バイク、名を『FR(ファイアレッド)号』。何でも揃っているタマムシデパートにてパーツやらペイントなどを大量に買い込み、ちょうど暇していたマサキを捕まえて完成させたこのマシンは、舗装された道はもちろん山や砂漠などなんのその。さらに海も渡れるホバー機能付きだ。ただ残念なことに、そこで資金はなくなり空を飛ぶジェット機能は付けられなかったので、次回へ持ち越しとなってしまった。

 

 

「しばらく金欠だからトレーナー狩りしなくちゃ(使命感)」

 

 

 そう呟きながら向かっているのはディグダの穴である。なんでそこに行くことになったのか、これは特に理由はなかった。前回クチバに来た際に寄るのを忘れたから行きたくなったというのが理由になるといえばなるのだろうか。

 ディグダの穴はそこからニビシティの下にある2番道路まで繋がっていることになる。地図にしてもかなり長い距離だ。聞いた話では稀に化石が掘れるらしく、それ目当てで穴に潜る人間が多いと聞いた。

 入り口までつくとレッドはマシンから降りてボールに戻す。これがこのマシン最大の機能であり、天才マサキの発明の一つ。主に資金が溶けた理由は、この機能を再現するために大量の部品を買い込んだことにある。

 一応飽きた時のためにあなぬけのヒモは用意していたが、これがどんな原理で洞窟を抜けられるのかさっぱり。いざ洞窟に入ろうとした時、後ろから声をかけられた。振り向くと体格がよく、人柄がよさそうなおじさんがいた。

 

 

「きみ、もしかしてポケモントレーナーかい?」

「そうだけど、おじさんは?」

「ああ。私はちょっとした化石マニアでね。このディグダの穴で採掘をしているんだが、生憎私はポケモンを持っていなくてね。できれば一緒に同行させてほしいんだ。もちろんお礼はするよ」

「マジっすか⁉ 任せてくださいよ、出口まで五体満足でお送りいたします!」

 

 

 お礼をすると言われて現金なレッドは即了承した。それに隠す気もなく目が「金 金」になっているぐらいだ。そんな彼を気にすることなく笑って流す化石マニアの男。

 

 

「ははは。頼もしいね」

「あ、俺の名前はレッドって言います。おじさんは?」

「これは失礼した。私は──サカキ。しがない化石マニアさ」

 

 

 なんとか平静を装いながら答える、それがレッドの限界だった。

 なにせ──

 

「──いい名前ですね!」

 

 

 ラスボスが向こうから会いに来たのだから。

 

 

 

 

 

 




バトルで勝っておこずかいを貰うなら、バイクを貰ってもいい。バトルとはそういうものだ(違う)

リーフはなんかcvがくぎゅうにするとピッタリとあう。そういう世代だからか。
あと、遊戯王は5dsが一番好き


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