おい、バトルしろよ   作:ししゃも丸

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第一章分の書き溜め完了


やべ。ファン〇ンガッツがあったからつい熱くなってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたぞ、追え!」

「B班は何をしている、周りこめ!」

 

 

 グレン島、そのま火山の麓にある森の中を一匹のギャロップが駆け抜ける。それを追いかけるのはロケット団。ギャロップは時速240キロ。森の中とは言え、そう簡単には追いつけない。

 グレン島は私の故郷。つまりはホームグランド、目を瞑ってもこのギャロップなら走れる。

 しかしそれも時間の問題だろうと、カツラは諦めかけていた。カントー本土ならともかく、ここはグレン島。それほど大きい島でないし、いずれは包囲網を敷かれてしまうだろう。

 

 

(私にはまだやらねばならないことがある!)

 

 

 元ロケット団で数多くの実験を繰り返してきた。それを悪だというのはわかる。それでも、科学者として生み出してしまった責任をまだ果たせてはいない。

 だからここで捕まえるわけにはいかないのだ。

 

 

「──! よけろ、ギャロップ!」

 

 

 カツラの指示でよけるギャロップの横を謎の火の物体が通り過ぎた。だがそれはすぐに向きを変え再び迫る。本来向かうはずだったルートから反れてしまい、まるで誘導されているかのようだった。

 なんとか元のルートに戻りたくても、火の塊がそれを邪魔する。やがて、森を抜けて島の端に誘導されてしまう。

 そこにはすでに先回りしていたロケット団がおり、先程まで追い回されていた火の塊──伝説のポケモンファイヤーが姿を現した。

 

 

「な、ファイヤーだと⁉」

「ふふっ。組織を抜けたお前は知らなかったようだが、こいつはセキエイ高原で捕まえたのよ。ほのお使いのお前なら、こいつに殺されるなら本望だろうぜ」

「くっ。だが、ここで負けるわけには」

 

 

 伝説のポケモンファイヤーに対して抵抗するカツラ。研究者とはいえジムリーダーであるカツラは、同じほのおポケモン相手にうまく立ち回る。それでもファイヤーの圧倒的な力に抑えられ始める。

 

 

「ふふっ。さすがジムリーダー伊達じゃないな。だが……おい」

「ああ。いけ、フリーザー!」

「な、フリーザーまで⁉」

 

 

 ふたごじまから合流した別のリーダーがフリーザーを繰り出す。相性では不利といえど、その力はそんなことなど関係ないのか言わんばかりに猛威を振るう。

 二匹の伝説ポケモンに気づくカツラ。本人だけではなくギャロップ、ウィンディと彼のポケモンたちもかなりのダメージを負い始めた。

 しかし突然攻撃を止めてファイヤーとフリーザーを下がらせるロケット団のリーダーは、最後の情けをかけてきた。

 

 

「カツラよ。いまこの場で再びロケット団への忠誠を誓えば助けてやってもいいぞ」

「断る! 私は……私はもう二度と悪魔の手先にはならない! それに死にたくても死に切れん。あいつを……私が生み出したミュウツーを捕らえるまでは!」

「それについては安心するがいい。ミュウツーも我々が捕獲し、サカキ様の道具として利用してやるさ!」

「そうはさせん!」

「ならば、ここで焼かれて死ね!」

 

 

 ファイヤーが攻撃の体制に入ると、カツラのポケモンたちが主人を守るようために壁になるが、フリーザーがそれを邪魔をし、その瞬間最大級のかえんほうしゃが放たれる。

 

 

「ここまで──⁉」

 

 

 その時だ。突如空か飛来した謎のポケモンがファイヤーのかえんほうしゃを封殺し、爆発。辺りが煙で覆われると、今度は突風が巻き起こり煙を払う。

 カツラはゆっくりと目を開け、目の前にいるポケモンを見た。

 

 

「あれは……カメックス、フシギバナ、それにリザードン! それも色違いに加え所々形状が違う。まさか、生きている内にこれほど特異な個体に出会えるとは」

 

 

 自分が置かれている状況を忘れ、つい科学者としての血が騒いでしまう。さらに謎のポケモンの鳴き声が響き渡り上を向く。それはサンダー、カントーの三鳥と呼ばれる伝説のポケモンがこのグレン島に揃った。

 サンダーはゆっくりと地上に降りると、背中に乗せていた主を下した。

 その少年にカツラは見覚えがあった。裏切る前に何度も会議で話題になっていた少年。

 名を──

 

 

「マサラタウンのレッド」

 

 

 自分が裏切るきっかけとなった少年が目の前に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブチ、ブチっと血管が切れるような音がするのがよくわかる。これ程ムカついたのは久しぶりだと実感できるし、逆に言えばまさか自分ですらこうなると思っていなかったとレッドは目の前を状況を見て思う。

 思わず足元に転がっていたイシツブテを蹴り飛ばしてしまう。

 目の前には先程逃げられたフリーザー。その隣にはセキエイ高原の洞窟にいるはずのファイヤー。これは、よくない。とてもよくない。本当によくないことだと思う。

 いや、その考えは自己中心的なのはわかる。でも、それでもと言いたい。カントーはやはり思い入れのある地方。その伝説のポケモンを捕まえたいというこの欲求、どうかわかってほしい。

 

 

「ギャーオ」とサンダーがお前らバカじゃね、と煽っている。

「ギャーオ」とフリーザーがうるせぇ、こちとら外に出たら捕まったんだいと言う。

「ギャーオ」とファイヤーが寝てたら捕まっちゃった、てへぺろとしている。

 

 

 人が怒りの矛先をどこに向けるか悩んでいる際に、この鳥どもは会話している。

 そんな中ロケット団のリーダーがレッドのことなど気にもせずに言った。

 

 

「お前もしつこいな。ならば、そのサンダーも頂く!」

「──お前はちょっと黙れ」

 

 

 ──レッドのにらみつける。 リーダー2は気絶した。

 いきなりあわを吹きながら気絶したリーダー2を見て慌てふためくロケット団。

 

 

「いいぜ、こいよ。こっちもマジで出し惜しみはしねぇぞ……リザードン、フシギバナ、カメックス。アレを使うぞ」

「リザァ!」

「バナァ!」

「ガメェ!」

 

 

 レッドの合図と共にその場に力強く踏ん張る三匹。まるで特大な何かを撃とうとしている体制のように見える。

 

 

「三位一体──」

「くそっ! リーダー2がやられた! 撤収だ撤収! 覚えてろ、マサラタウンのレッド! これで終わったと思うなよ!」

「……」

 

 

 お決まりの逃げ口上を吐きながらロケット団はフリーザー、ファイヤーをボールに戻し、彼らはグレン島を去っていく。

 発射体制に入っていたリザードン達ですらポカーンとした顔になり、ただ立ち尽くす。

 

 

「解せぬ」

 

 

 レッドの何とも言えぬ声ですら、吹いた風によってかき消されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わりグレン島にあるカツラの秘密研究所にレッドは案内されていた。カツラは先程の戦いで負傷していたので、レッドが担いで近くにあった椅子に下すと礼を言ってきた。

 

 

「ありがとう、助かった」

「偶然だから気にすんなよ」

「そうか」

 

 

 なんとも言えない空気が二人の周りに漂っていた。レッドはそんな事ないのだが、とりあずカツラが何か喋るのを待っていて。そのカツラはどうしたらいいのかと変に悩ませていた。

 結局それが5分ほど続き、口を開いたのはカツラであった。

 

 

「何も聞かないのか?」

「聞くって、元ロケット団でミュウツーを作ったことか?」

「知っているのか。いや、当然と言えば当然か。君はあのタマムシの研究所にいたしな」

「なんだ、知ってたのか。別に俺はアンタを責めるとかそういう事はしないぜ? 俺は教育に厳しいって噂(ポケモンによる)だからな。簡単に許しはしないさ」

「ははは、そうか。たしかに、君の言う通りかもな」

「それにフジ博士からはだいたい聞いてるしね」

「博士に会ったのか!? 彼はいまどこに⁉」

「それは言えないよ。ただ、元気にしてるだろうとだけは言っておく」

「そうか……そうだな」

 

 

 様子からしてかなりの落ち込みようだった。二人は友人いや、親友なのだろう。だからこそ会いたい、けれど今更どんな面をして会えばいいんだと悩んでいるのだろうか。

 

 

「彼の残した資料を基にミュウツーを完成させ、そして覚醒したミュウツーは逃げた。私は、人が犯してはならない領域に踏み込んだ」

「まあ、そうだね」

 

 

 カツラの言葉に適当に相槌を打つ。

 そうなってしまうのも、レッドとカツラではこの世界での価値観が違い過ぎるからである。最初からミュウツーが作られて生まれたポケモンだと知っているからだ。だからこそ、いずれは自分がミュウツーを救う予定なのである。あるいは、当事者と部外者との相違になるのだろうか。

 カツラは一言一言に後悔の想いを込めながら、右手の白衣の袖をめくって見せた。それは耐性がない者がみたら距離を置きたくなるものだ、皮膚が一つの生命のようにうねうねと何かに反応している。

 レッドは動じず、冷静にたずねた。

 

 

「それは?」

「これは、ミュウツーの細胞だ」

「細胞?」

「ああ」

 

 

 袖を元に戻しながらうなづくカツラ。

 

 

「私はね、レッド。ミュウツーを完成さるための10%に人間の細胞、つまり私の細胞を移植したんだ。その際に紛れこんだミュウツー細胞が私の腕にこうして取りついているんだ」

「……つまり?」

「察したと思うが、これがミュウツーを見つける唯一の手がかり。やつの近くになればなるほど、こいつが共鳴するんだ」

「……」

「自分勝手な話だった。すまない」

 

 

 謝るカツラにレッドは何も言えなかった。

 むしろ伝えるかどうか悩んでいる。ミュウツーはハナダの洞窟にいると。

 最初は教える気など毛頭なかったが、こうしてカツラの話を聞き、責任を果たそうとしている姿をみて考えが変わり始めている。

 とりあえずそれは一旦置いて、レッドはあたりの設備を見渡した。どれも専門的なものばかりで理解できそうにない。

 そしてグレン島にはある施設があることを思い出す。そう、化石ポケモンを復元してくれる施設。もしかたらここにそれがあるかもしれない、レッドはカツラに聞いた。

 

 

「ああ、あるよ。珍しいな、化石を持っているなんて」

「これなんだけどさ」

 

 

 レッドはサカキから貰った化石を渡す。するとカツラは目を丸くいや、サングラスで分からないが驚いていた。

 

 

「これはひみつのこはく! レッド、どこでこれを?」

「え、それひみつのこはくだったん!?」

「なんだ。知っていて持っていたのではないのかね」

「いや、実物がどんなものか知らなかったから……」

「言われてみればそうかもしれないな。では、早速復元しよう」

 

 

 カツラはひみつのこはくを復元装置にセットして電源を入れた。時間がかかると言うので少し待つことに。ふと、レッドは実験台になったイーブイのことを思い出し尋ねた。

 

 

「イーブイ? ああ、君があの子を救ったのか。言う権利はないが、ありがとう。それと、そのイーブイで思い出したよ」

「イーブイにまだ何かあるのか」

「いや、直接イーブイにあるというわけではない。正確にはイーブイはある計画のための実験で、イーブイの自由進化は副産物に過ぎないんだ」

「副産物?」

 

 

 カツラは頷いて続けた。

 

 

「ロケット団が望んだのはブースター、サンダース、シャワーズ三体の同時発現……三タイプを含んだ新しいイーブイなのだ。しかしそれは叶わず、代わりに自由に進化できるという能力を手に入れた。ただし無理な実験だっために体への負担が大きかった」

「じゃあイーブイのデータで一体何をしようとしているんだ?」

「そこまでは聞かされていなかった。知っているのは、あるモノを使ってあるポケモンに使用することだと。そのポケモンとは」

「カントーの三鳥」

「恐らくな。だからフリーザーとファイヤーの捕獲に力を入れているわけだ」

「……」

 

 

 カツラの話でだんだんとロケット団の目的が見えてきた。しかしこれは大きな分岐点になる。ゲームではただシルフカンパニーを占拠し、そこからカントーを制圧するのが目的だったはず。となると、この先で待ち構えているのは未知の存在だ。

 

 

(こりゃあいよいよ決戦が近いな)

 

 

 かつてないほど危険な戦いが待ち受けていることを想像すると思ず口が緩んでしまう。戦い、闘争を心のどこかで望んでいる自分がいる。

 それにナツメのこともあるか──

 ヤマブキシティのジムリーダーでロケット団の幹部であるナツメ。そんな彼女に惚れている自分がいる。なら、やることは簡単だ。

 勝ち取ればいい。自分の手で。

 生前だってそうだ。欲しいものは働いて、給料を貰って買っていた。

 ここではポケモンバトルで勝てばいい。実にシンプルでスマートな答えだ。

 

 

「どうやら復元が終わったようだ」

 

 

 復元装置が止まり、カツラの声で我に返った。

 

 

 

「すごいプテラか。また珍しいポケモンを手に入れたな、レッド」

「プテラか、そらをとべるしリーフに丁度いいか」

「リーフ? ああ、そういえば彼女もロケット団相手に戦っていた女の子だったな」

「ええ。しかしこれからシルフで決戦ってなるとレベルが少し足りないな……」

 

 

 見た感じレベル5ではなさそうだが、それでは少し心もとない。レッドはカツラに開けている土地はないか聞いた。

 

 

「あるにはあるが、どうするんだ」

「まあ見てなって」

 

 

 ──レッドのブートキャンプ。 プテラは頑張っている! 頑張っている……がんばって……。

 一時間後。

 ──おめでとう! プテラはレベル43になった! 

 言葉で説明するならなんだろうかとカツラは考える。いや、簡単だ。ただ、レッドがプテラと戦っているだけであると。

 

 

「やべ。ファン〇ンガッツがあったからつい熱くなってしまった。まぁ……フシギバナならこんぐらいになってるか」

「レッド、きみは一体……」

「ポケモントレーナーに決まってるじゃん」

「……いや、普通のトレーナーというのは、いやよそう。私の推測で世界を混乱させたくない」

「?」

 

 

 レッドはプテラをボールに戻し、代わりに愛車のFR号を出して跨りエンジンをかける。目指すはとりあえずマサラタウンだ。

 カツラに別れを告げる前にレッドは伝えるべきか迷ったミュウツーのことを話した。

 

 

「ミュウツーを探すならカントー北部を探すといい」

「どうしてわかるんだい」

「トレーナーの勘さ」

「……わかった。それとこれを持っていけ」

 

 

 渡してきたのはクリムゾンバッジだった。レッドは礼を言いながら受け取った。

 

 

「レッド気を付けろ。ロケット団は手ごわいぞ」

「身をもって知ってるよ。それじゃあ、またどこで会おうぜ」

 

 

 FR号は駆ける。マサラを目指して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレン島を出て一時間もかからぬ内にマサラタウン南部へと入ったレッドは、まず実家へと向かうことにした。予想ではあるがナナミが掃除をしてくれていると思うので、そんなに汚くはなっていないはずだ。

 しかし実際に目にしたのは、まるで空き巣に出も入られた状態になった我が家であった。

 

 

「おいおい。穏やかじゃねえぞ」

 

 

 慌ててFR号に乗り込みマサラタウンの中心へと向かう。しかしどういう訳か、人ひとりいない。まだ明るい時間だというのに子供すら出歩いていない。

 そしてたどり着いたのは無残にも破壊されているオーキド研究所だった。

 

 

「お前も来たか、レッド」

「その声はグリーン!」

 

 

 空かリザードンに乗ったグリーンが下りてやってきた。

 

 

「久しぶりだな」

「ああ。本当は描写されてないだけで、各地で会っていたけどな」

「ふっ。メタいこと言うもんじゃないぜ、レッド」

『『……』』

「で、どうしてここに」

「ヤマブキがきな臭くてな。入ろうと思っても、街全体がバリアで入れないんだ。それでおじいちゃんに知恵を貸してもらおうと思ったらこの有様だ」

「そうか」

 

 

 グリーンが崩壊した研究所を歩きまわるとあるものを見つけてレッドを指名した。それはオーキドのパソコンで、どういう訳かこれだけは無事で電源も生きている。

 

 

「どうやら、こいつが原因らしいな」

「イーブイ!」

 

 

 預けているはずのイーブイがボックスにいない。先程のグレン島でのカツラとの会話を思い出す。まさか、イーブイを連れ戻すためにこれだけのことを? 研究所を襲撃し、住民まで連れ去って。

 

 

「お前やリーフが正義の味方を演じた結果がこれだ」

「グリーン、お前……怒ってるのか?」

「怒ってるってレベルじゃあない。いいか、レッド。マサラとは白。つまりマサラタウンは世界で一番きれいな場所なんだ。それがこの有様になれば、オレだって冷静じゃいられない……」

「グリーン」

「オレは取り戻す。おじいちゃんに姉さん、それに町のみんなを。お前はどうするレッド」

 

 

 そう言い残し、グリーンは再びリザードンに乗ってヤマブキシティへと飛ぶ。残されたレッドは空にいるグリーンに向けて答える。

 

 

「そんなの決まってるぜ、グリーン。今日がロケット団の最後の日になるんだからな」

「ほう。威勢がいいな、相変わらず」

「──!」

 

 

 背後から声が聞こえ咄嗟に振り返しスピアーを出す。

 

 

「ナツメ……!」

「ふふっ。久しぶりだな、レッド。返してもらった後で悪いが、イーブイは頂いたよ。ここの住民もな」

「の、ようだな」

「安心しろ。危害は加えていないさ。なにせ、お前を釣る餌だからな」

「そんなことをしなくてもこっちから出向いてやるのに、盛大な歓迎に涙が出るよ」

「その眼……まったく動じていないな。まあいいさ」

「ナツメ、一つ聞かせろ」

「なんだ」

「どうしてお前はロケット団に入った」

「……」

 

 

 レッドは出会った時から聞きたかったことをたずねた。マチスは元軍人であの性格、よくジムリーダーに収まっているほどだ。キョウは忍びであり、善か悪と問われれば悪だろう。それにカツラは科学者で、目的のためなら手段を問わないからだ。

 だが、ナツメはわからない。きっかけとなる要因がレッドには思い当たらなかった。

 レッドの問いに、ナツメは目を閉じて静かに答えた。

 

 

「私には力があった。そして周りは恐れた、親でさえ。あとは分かるだろう、レッド。私はな、入らざるを得なかった人間なんだよ。お前だって理解しているはずだ。お前のその力は人々にとっては異端すぎるんだよ」

「異端、ね。俺もよくいじめられたよ。それでも、そうはならなかった」

「なぜ、と聞いても?」

「いつも待ち望んでいたんだ、この世界を旅したいって。だからそのために毎日鍛錬を積んでいた。まーなんていうか、ようはこの世界が好きなんだよ」

「私は……嫌いだよ。こんな力を持って生まれた世界なんて」

「そうかい? 俺は好きだぜ」

 

 

 笑顔で心からの本心を伝える。ナツメは目を大きく開き、すぐ閉じるとクスリと笑いこちらに歩いていや、浮きながら近づいてくる。

 

 

「レッド。お前はまだ、私のことが好きか?」

「もちろん大好きだ」

「なら、私を倒しにこい。待ってるぞ──」

「ナツメ!」

 

 

 思わず彼女に手を伸ばすがすり抜けてしまう。

 ──フフフ。さいみんじゅつとサイコキネシスの組み合わせだ。楽しんでもらえたかな? 

 最後に頭の中で声が届く。

 ぎゅっと拳を握り締め、レッドは苦笑した。

 

 

「いいぜ、待ってろよナツメ!」

 

 

 ──そして舞台は決戦の地ヤマブキシティへと移る

 

 

 

 

 

 

 

 

「もちろん大好きだぜ、か。フフフ、何故なんだろうなレッド。お前とはたった数回の出会いと短い会話だけだと言うのに、こうも心を狂わせるのは」

 

 

 シルフカンパニーのある一室にてナツメは一人でレッドとの会話を思い出す。

 彼は自分が好きだと言う。

 何故なんだろうと考えた。初めて会ったあのタマムシの夜以前に会ったことはない。なのにあいつは私を知っている。表向きはジムリーダーであるのでありえない話ではない。

 しかしどこか腑に落ちない。

 

 

「あるいは忘却に消えた予知夢の中で、すでに会っていたのかもな」

 

 

 だが、まあいい。

 未来は視た。ロケット団の制服ではなく、きれいな服を着て、笑いながら誰かと一緒にいる自分。

 それをお前が叶えるというのかレッド。

 ならば私はさしずめ、囚われのヒロインというところか。まあ、そんな柄ではないが。

 ふと目の前にある台においてある装置を見た。丸い形をし、時計の数字のようにある形で堀ったくぼみがある。

 これが今回の要。私がレッドと戦うための舞台装置。

 

 

「さぁ早く来いレッド。私はここにいるぞ」

 

 

 両手を広げるナツメ。それはまるで、私を抱きしめてみろ──そう言っているようだと、隣で控えていたユンゲラーは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








原作を知ってる方は問題ないと思いますが三幹部戦は結構省略します。
さすがにレッドだけで限界です……

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