Ωルビーαサファイアの漫画を買いました。
読んだ感想。
ヒガナが可愛くておっぱいが大きいなと思いました。
あと、隕石云々に関してはサカキが半分くらい悪いんじゃねぇかなって思いました、まる
「つまりどういうこと?」
一部のプロットが大変なことになりました。でも、このタイミングで読めたのは幸いしました。
何が言いたいのかと言うと、レッドくんが世界に人の心の光を見せると思います(多分)
マサラタウン・オーキド研究所。
ここの主であるオーキドはジョウト地方のポケモンの研究のために不在であった。今はヨシノシティに郊外にある第2研究所でポケモンの研究をしながら、コガネシティにあるラジオ等に出向きラジオ出演している日々を送っている。
オーキドが不在のこの研究所は現在、孫のナナミが代理所長として治まっていた。本業は医療であるが、科学者としても日々学んできている彼女なら誰も文句は言わなかった。
そんな彼女はいま、診察室にて弟分であるレッドの検診をしていた。
「ここはどう?」
「ちゃんと感じる」
「手足の感覚がなくなる頻度は?」
「それも大分よくなったよ」
ナナミは自分の手足を揉みながら聞いてくる。時折パソコンを見ながら今まで記録してきたデータと照らし合わせていた。
「ふふっ……じゃあ、ここは?」
「なんで足首から太ももに手が動くの……?」
「だってぇ……全身をくまなく調べないと、ね?」
なぞるようにナナミの柔らかい指が少しずつ上に上っていく。足首から太もも、そしてズボンのファスナーに手をかけ始める。
「ナナミぃ……!」
「ん? ああ、ナツメさんいたんですね? まだ診察中ですから出て行ってください」
「こうなるから一緒にいるんだ!」
「あら怖い。レッドくん、あんな人より私と二人だけの診察をしましょうねー」
「あはは。それならナツメで間に合ってるから平気だよ」
「悲しいわ。すっかりレッドくんったらナツメさんにベッタリで……」
「やっぱりレッドは私がナンバー1よね!」
「うんうん」
この一年鍛えていたのは身体だけではない。このような修羅場だって軽く流せるトークスキルを身に着けたのだ。
レッドは巻くっていたズボンの裾を戻していると、ナナミが診察の結果を教えてくれた。
「かれこれ一年経つけど、ようやくってところかしら。あともう少しあの秘湯に通っていれば問題ないと思うわ」
「やったぜ」
「けど!」
喜ぶのもつかの間。ナナミは声を荒くしていった。
「いいレッドくん? 自分で思っているよりも、レッドくんの体はかなり酷いの」
「酷い?」
「別にそうは見えないけど……」
「見た目はね。レッドくんはまだ14歳。本来ならまだようやく体が出来てくる年頃なの。それがここ数年で戦いばかり。確かに身長だって伸びてるし、戦うたびに力も付いてきてる」
「さらに一度は死んだからね……」
「いやな……事件だったね……」
「でもそれがいけなかったのね」
ナツメとの渾身のギャグを披露したが華麗にスルーされた。
「急激に力を身に着けたことによって体が追いついてないのよ。レッドくんが思ってる以上に、体はかなり限界。自分でも感じてないかしら? 今までは平気でできたことが、いつもより上手くいかないとか……」
「そう言われると、前より全力戦闘の時間が短くなった……かな? まだ完治してないからだと思ってたんだけど」
「きっと体がというよりも、脳が無意識にリミッターを掛けているのよ。それを超えたらレッドくん、今度こそあなたはもう二度と戦えなくなるわ」
「それは……困る」
「ならこれからはなるべく戦わないようにしなきゃ。それに力も控えてね? ちなみにその全力戦闘はどれくらいまで維持できるの?」
ナナミに言われて腕を組んで修行での光景を思い出す。全力戦闘と言っても、ほぼエネルギーを常に出し続けているだけで、実際に戦闘しながらだとどうなるかはわからない。
三年前のナツメとの戦いではサンダーが欠けたあとも一人で戦い、一年前は四天王との戦いで「バスターコレダー」という自爆技で生命エネルギーまで使用してガス欠になるまで戦った。
そう考えると、戦いの中で少しずつ体に疲れが溜まっているのかもしれない。
となれば体が悲鳴をあげるのも無理はなく、未だに完治しないのはそれも原因だろう。
レッドは改めて最近の修行と今までの戦いを比べ、もし戦いながらの全力戦闘の時間を計算する。
たぶんこれぐらいだろうか。
「3分……かな。うん、それを超えたら一気にガス欠になると思う。生命エネルギーを使えばまだいけるかもしれないけど」
生命エネルギーと軽々しくレッドはいうが、それは言い換えれば寿命と同じである。特に一年前の戦いでバスターコレダーにかなり割いたので、レッドの寿命はかなり削られているのだ。
しかし肝心なことがある。レッドは一度死んだ。そう死んだのである。
すでに肉体や脳のリミッターなどとうに外れている。なのにも関わらず脳がリミッターを掛けているのは、レッドが無意識に抱く死にたくないという想いがそうさせているにすぎない。
だがナナミの言う通り体に負担が掛かっているのもまた事実。リミッターが外れていようとも、これまで蓄積した疲労はナナミが想像している以上にレッドの体を蝕んでいた。
ただその本人はまったく気づいていないのであるが。
「本当は戦わないのが一番なんだけど、レッドくんじゃ無理そうだし。お願いだから3分を超える戦いをしてはダメよ?」
「全力で努力します」
「まあ平気でしょ。そんなに毎回死ぬような目に遭うわけじゃあるまいし」
「おっそうだな」
そのあと軽い話をして診療室を出ながらレッドは改めて考える。
3分、か。
3分とは意外と不思議な言葉というか数字なような気がする。カップヌードルができる時間だし、ウルトラマンが戦える時間でもある。しかしそう考えると、3分間でなんとかなりそうな気がするのは一体なぜだろうか。
研究所を出ると、外で待っていたイエローと二匹のピカチュウがいた。一匹はレッドのピカであり、もう片方はイエローがトキワの森で助けてそのまま手持ちになったメスのチュチュ。そしてオスとメス。何も起こらないはずはなく。レッドから見ても仲が良く、その内タマゴでも生みそうな雰囲気であった。
「あ、レッドさーん!」
「おお。よしよし」
イエローがこちらに気づくとそのまま胸に抱き着いてくる。そのまま帽子越し頭を撫でるのは最近の癖であった。なんていうか、つい可愛がってしまうのだ。
ただそれにナツメはあまりよく思ってないようであった。
「なんでレッドはイエローにそんなに甘いわけ?」
「だって……その、かわいいじゃん?」
「私の方がかわいいもん!」
「えへへ。レッドさんの筋肉……」
「まあ筋肉フェチなのはちょっとスルーしてるけど」
「この子の将来が不安よ、私は……」
「で、ピカよ。チュチュとはどうなんだ?」
「ピカァ~」
足元にいるピカチュウにたずねると、照れくさそうに頭を掻いていた。
「ははーん。もうそういう関係ですか」
「ピカも手が早いわね~」
「そういう関係ってなんですか?」
「イエローにもその内わかるよ」
「こういう年相応なところはかわいいのよねー」
二人して頭を撫でていると、イエローもピカチュウのように頬を紅く染めている。抵抗しない辺り撫でられるのが気に入ってるのかもしれない。
「さて。じゃあセキエイにあるポケモン協会に行くか」
「そうね。時間的にも丁度いいし」
「あの……レッドさん。ボクも行っていいんですか? あまりボクは関係ないと思うんですけど……」
「へーきへーき。イエローもちゃんと関係あるから。それにイエローにも話しておくつもりだったし」
「何をですか?」
「それは向こうに着いてからのお楽しみよ。ま、かなり驚くでしょうけどね」
「?」
きょとんとしているイエローとレッドの手を掴んだナツメが一瞬にしてマサラタウンからセキエイ高原へとテレポートした。
マサラタウンから少し時間経って、イエローは部屋の隅に用意された椅子に座って部屋を見渡していた。
ポケモン協会にある会議室の一つにチャンピオンであるレッドをはじめ、カントーのジムリーダーが集合している。ただカツラとマチスの二人は出席してはおらず、その中で一人イエローが知らない女性のジムリーダーがいた。さらに隣にはグリーンと戦闘服ではなくいつものスカートを履いているリーフも。
部屋の奥には協会の理事長と数名の幹部がいた。イエローからすれば全員が初対面である。
ただ彼を見て思うのは、やけに挙動不審というかソワソワしているなと思った。
現在の議題は一年前の四天王事件についてだった。
ああ、だからボクも連れてきたのか。
幹部の一人が一枚の紙を持って報告を始めた。
「えーあれから一年経ちましたが、依然元四天王であるワタル、キクコ、シバ、カンナの消息は掴めておりません。協会としても新たに四天王の席を埋めるために現在候補者をリサーチ中です」
「くちゃくちゃ」
話している最中に雑音が入る。
レッドが机に足を置きながらガムをワザと音を出して噛んでいるからだ。
イエローは驚く声を出すまいと必死に口を押さえながら隣にいる二人を見た。グリーンは目を瞑って気にしておらず、リーフは天井を見て惚けている。他のジムリーダーに関しても同様で、表情から読み取ると「まあ仕方ないし」みたいな反応をしていた。
そんな状況でも報告は続いていく。かれこれ似たような話が続くと、何故か矛先はナツメに向けられた。
「ところでナツメ君。最近君の自宅というか、ヤマブキにおいてカンナらしき人間を連れていると報告があるんだが」
恐る恐る理事長が言うと、ナツメはすぐに返答した。
「アレはうちのメイドだ。カンナではない。ねーレッド?」
「そうそう」
「で、ですが。どう見ても資料にあるカンナの顔と一致していると……」
幹部の一人が食い下がらずさらに追及すると、レッドが動いた。
「はあ!? 仮にカンナだったら俺がもう始末してるから! あいつに殺されて復讐しないわけないでしょうが!?」
「し、しかし……」
「それに誰だっけ? 四天王はチャンピオンを守る盾でしたっけ? むしろ矛だったんですが? それで一度死んだんですが?」
「そ、それは、こちらとしても正式に謝罪を──」
「ぷぷっ……」
「エリカ、ちょっと我慢してよ……くくっ」
どこに今の会話の中で笑いのツボがあるのか知らないが、エリカとカスミは必死に笑うのを堪えていた。
アレだろうか。一度死んだの辺り?
死んだら生き返るわけないのに、とイエローは思っていると会話はさらに白熱していた。
「これはもう協会の落ち度だろ? トレーナーの身元調査も満足に行き届いてないんだから、いやぁ参った参った。あ、でも四天王に関してはもういいから。はい終わり! ……じゃあ次の議題」
幹部が理事長に指示を仰ぐと、彼は不服そうにうなづいて許可した。
「で、では。次に空白となっているトキワジムのジムリーダーについてです。以前まで空白だったセキチクジムはアンズさんが新たに就任しましたので、あとはトキワジムのみです。協会といたしましてもいつまでも不在にするわけにもいかず、町の治安も関わってきていますので早急に解決したいと思っています。そこでジムリーダーの皆様から、優秀なトレーナーを推薦いただければ──」
「はい。ここでチャンピオン権限を行使します」
「……認める」
手を上げて発現する辺りまだ常識があるのだろうか。ただそれでも理事長は不満そうであった。
「そこのグリーンがやりますていうか決定。はい次の議題」
「ちょ、ちょっと待ちたまえ! ジムリーダーにはちゃんと試験を受けてもらわねば!」
「そうだレッド。オレはまだやるとは言ってないぜ」
「いーじゃん。お前が適任だしよ。あ、実力は問題ないだろ? リーグ三位だし」
「だが……こちらとしてもちゃんとした手順が……」
「グリーンやれよー暇だろ? それに他のやつらもグリーンの実力は知ってるし、こいつ以上の適任はいないぞ?」
レッドがそういうとジムリーダー全員がうなずいて、グリーンについて一言推薦の言葉を送る。
「はぁ……いいだろう。そっちが試験を受けろと言うなら受ける。これでいいか?」
「やったぜ」
「わ、分かった。ジムリーダー達からの推薦もあるし、本人も試験を受けるというならこちらもよしとしよう。で、次の議題……と言いますか。我々協会側の話はこれで終わりなのですが、今回チャンピオンがどうしてもこの場で伝えたいことがあると言うのですが……」
幹部のその言葉に他のジムリーダー達からも視線がレッドに注がれる。それはグリーンも同じで、ただリーフは気づけば会議が退屈で寝ていた。
「あ、それなんだけど俺チャンピオンを辞めるから。はい、よろしくぅ!」
「何を勝手なことを言うんだ君は⁉」
堪忍袋の緒が切れたのか、身を乗り出して理事長が声を上げた。それは理事長だけではなく、他のジムリーダー達も驚いていた。
もしかして話しておきたいことってこれ?
イエローはグリーンに聞こうと思ったがそれどころではないらしい。あのバカ、と呟きながら頭を抱えている。
「いいかね!? チャンピオンというのはその地方を代表するトレーナーであり、トレーナー達にとって憧れの存在! 公式の場で負けるならともかく、そう簡単にチャンピオンを辞められると思っているのか! それに四天王がいないいま、カントーとジョウトのトップである君がいなくなればどうなるかぐらいわかるだろう⁉」
「その四天王を見抜けなかったくせに……」
「ぐぅ。それはそうだが……しかし! 今年は第10回ポケモンリーグなんだぞ! それについてはどうするつもりなんだね⁉」
「別に何もせずに辞めるとは言ってねぇよ。ちゃんと後釜は連れてきたし」
「後釜? そもそもリーグがこれからなんだが……まあそれはいい。で、誰だねそれは?」
「そこのリーフ」
「……ふぇ? よんだぁ?」
気づけば会議室にいた全員の視線がリーフに注がれていた。
あまりにも退屈な会議に耐え切れずつい寝ていると、ふと自分の名前が呼ばれたような気がして起きたら、何故か会議室から新たに新設されたリーグ会場のチャンピオンの間と呼ばれるとこに自分は立っていた。
周りには先程まで会議室にいた全員がおり、こうなった原因であるレッドは王様みたいな椅子に座って見下ろしながら言ってきた。
「フフフ。よく来たなチャレンジャーよ。俺がチャンピオンのレッド。これがどういう意味かわかるか? つまりこの世界で一番強いのがこの俺と言うことだ!」
「何やってんのよレッド。それと演技下手くそ」
すごい演技臭い台詞にリーフは冷たい視線を送りながら言う。
「空気読めよ!? ……こほん! こいリーフ! 俺ははたくだけで倒れるぞ!」
「えい」
まるで悪役のような台詞をはいているレッドに歩きながら近づくと、そのまま彼の顔にはたくをお見舞いした。
──リーフのはたく!
──レッドに大ダメージ! レッドは倒れた!
「は?」
思わず声に出してしまった。本当にそのまま倒れるとは思わなかったのだ。さらに不思議なことにレッドの体が真っ白になっている。
すると、頭の中に妙な声が届いた。
──レッドは目の前のが真っ白になった……レッドはリーフにおこずかい114514円を渡した。
──おめでとう! リーフは新たにチャンピオンになった! これより殿堂入りを行います……
「え、ちょ⁉」
気づけば体が部屋の奥に勝手に歩きはじめ、よく分からない機械にボールを置くとその殿堂入りとやらが始まった。
そこでようやく体の自由が解放されると、後ろからレッドと理事長がやってきた。
「ほれ。これで新チャンピオン誕生したろ?」
「ぐぬぬ。だ、だがちゃんとポケモンバトルをしてないぞ……」
「したじゃん。俺とリーフが。はいこれでチャンピオンの問題は片付いたということで。俺は元チャンピオンならぬ元キングよ……」
「ちょ、ちょっとレッド! ちゃんと説明してよ!」
「まだ分からないの? そんなんじゃ甘いよ……つまりお前がこのカントーとジョウト地方の新チャンピオンってことだよ」
「そもそもなんでレッドがチャンピオンを辞めるのよ⁉」
「色々あって」
「色々あって、ってなによぉ~! わたしまだ誰にも縛られず自由にいたいのにー!」
「大丈夫だって安心しろよ~。お前なら大抵のヤツには負けないから。じゃ、そういうことで」
そう言うとレッドはせっせと部屋から出ていく。
殿堂入りを済ませると、外に待っていた理事長がいた。さらに二人の女性職員に腕を捕まえられた。
「あ、あのこれは一体……」
「なに。今後の対策として、しっかりとチャンピオンとしての責務を教えておこうと思ってね」
「ちなみにレッドは……?」
「彼は自由気ままだったよ! チャンピオンの仕事なんて一回もしてない! いや、一年前の事件は解決したがね?」
「じゃ、じゃあ隣にいるお姉さんたちは?」
「協会の医療スタッフだ。彼は一度も健康診断を受けなくてね。これでもうちはそういうのに煩いんだ」
「大丈夫ですわ。ちょっと身長体重にスリーサイズを測るだけです」
「そうです。あとちょーと健康状態に異常がないか血液検査をするだけですわ」
「わ、わたし、注射が苦手だな……あはは……!」
──リーフはにげだした! 残念! お姉さんたちから逃げられない!
「レッドのバカ────!!」
しかしその声はもう彼に届くことはなく、リーフは出荷される家畜のように連れていかれるのであった。
「いやぁ良いことをしたあとの空気はうまいなぁー」
「あれ、いいことなんですか……?」
「いいんじゃない? あのままだとリーフ本当にニートだったのよ?」
「それは今のレッドさんも同じなんじゃ……?」
「イエロー、俺はそんな風に育てた覚えはないぞ!」
「別にレッドは私が養うからいいの。ねー?」
「いや、さすがにヒモはちょっと……」
否定している割には今着ているTシャツには、「起きて! 食べて! 寝る!」なんていう言葉がプリントアウトされているので説得力はないとイエローは思った。
そんなニート予備軍であるレッドに真っ当なことをたずねる。
「けどレッドさんはこれからどうするんですか?」
「またシロガネ山に行って治療してるよ。それにそろそろ準備も終わるし」
「準備?」
「そういやイエローに言うの忘れたわ。俺、近い内にまた旅に出るから」
「え──!!」
「一応グリーンとブルーにも言ってあるがな」
「なんでリーフさんには教えないんですか?」
「言ったら彼女、チャンピオンなんて絶対にやらないでしょ?」
ナツメがさも当然のように言う。
「だ、だからチャンピオン辞めたんですか?」
「まあそれは建前というか、目的はあるんだけどね。現状リーフなら任せられるって判断したからなんだけど」
「そ、そんな……」
もうレッドさんの筋肉を拝めない触れない。そう思うとすごく気持ちが沈むのがはっきりとわかる。しかも聞けばいつ戻ってくるかも分からないと言う。
落ち込んでいるイエローを気遣ってか、ナツメが後押しするように言った。
「イエロー。あなたも自分がしたいことをすればいいの。一年前に会ったあのポケモンのことを調べてるんでしょ?」
「え、ああはい。最近ジョウトから戻ってきたおじさんにも言われました。いまジョウトは大変なんだって」
伯父でもあり釣りの先生でもあるヒデノリに、イエローはあのポケモンのことを調べてもらっていた。ちょうど今朝ジョウトから帰ってきて、今の向こうの状況を教えてくれたのだ。一年前と同様、かなり危険な雰囲気だと言う。
彼から一緒にジョウトへ来てくれと頼まれるが、まだその答えを出せないでいた。イエロー自身気にはなるが、それ以上にレッドのことが気になって動けないでいた。
「だったらレッドを理由にしてちゃダメよ。あなたの本当にしたいことをしなさい。その力をあなたは持っているはずでしょ?」
「ナツメさん……」
初めてナツメさんがボクに真剣な顔をして言ってくれるのがとても嬉しかった。
そう、ボク自身レッドさんを理由にしていつも行動をしていた。けど今度は自分から動かなくてはいけない。困っている人が、ポケモンがいるなら助けてあげたい。
なら、答えは決まっている。
「ボク、ジョウトへいきます」
「そう。なら私も応援するわ。ね、レッド?」
「え⁉ あ、うん……うん……」
ナツメと違ってレッドはどこか渋い表情をしている。なぜかチラチラとイエローの帽子を見ながらソワソワしている。
「もう! 折角イエローが自分で決めたのに、あなたが動揺してどうするの⁉ そこは背中を叩いて応援するところでしょ!」
「え、なんでナツメってばそんなお母さんみたいなこと言うの……? いや、かわいい子には旅をさせろっていうけど……ちらちら……」
「お母さんなんて、ちょっと気が早いわよもう! ……でも、悪くない響きよね……」
「なんか話が脱線してません?」
「最近のナツメ、なんかそういうワードが出るとすぐ惚気るんだよ……で、本当に行くの?」
「はい!」
「……わかった。だけどなイエロー! 絶対に面倒事には関わるなよ⁉ いいか絶対だぞ⁉」
肩を掴んで必死に訴えてくるレッドに若干引きながらうなずく。
「よし。なら……ピカ!」
「ピ?」
チュチュと話していたピカを呼ぶと、レッドはピカチュウのボールをイエローに渡してきた。
「お前がイエローとチュチュを守るんだぞ!」
「ピ、ピカ?」
「そうだよお前が守るの⁉ わかったらへんじぃ!」
「ピカチュー!」
「よし! ピカが居れば大抵の敵はなんとなるな……」
「敵って。そんな四天王みたいな悪い人がたくさんいるわけじゃ……」
「ほんと、お前は優しいよなぁ……よしよし」
「えへへ……」
頭を撫でられて年早々に喜ぶイエローだが、すぐにその至福の時間は終わってしまった。
「じゃあここでお別れだな。ナツメ、イエローをトキワに送ってやってくれ。俺はリザードンでシロガネ山に行くから」
「わかったわ。じゃあ行きましょうか」
「はい!」
ナツメと手を繋いで空いた手で手を振るとレッドもそれを返す。そして景色が変わり、いつものトキワシティへと帰ってきた。
そのあとナツメとも別れ、伯父のヒデノリと共にジョウトへとイエローは旅立つ。
しかしまさかこれが、ある意味で今のレッドと交わす最後の会話だとは思いもしなかったと、後のイエローは語る。
運営からのお知らせ
急遽レッドの性能を下方修正(弱体化)いたしました。
要約
刹那!トランザムは使うなよ⁉
了解!トランザム!!