ポケモンリーグ会場で仮面の男が、ガンテツからセレビィを捕まえることができるボールの設計図を手に入れ、さらにカスミ、マチス、カツラが率いる三犬達を率いてウバメの森へと向かう最中ゴールドと戦っている頃。
ウバメの森の入り口にブルーはいた。
「ここね。アイツが……ヤナギがやってくる場所。そうウバメの森」
その手に持つレッドから渡された手紙を見る。そこにはレッドが知っている、今まで自分に教えなかったことが書かれていた。
あの仮面の男の正体がチョウジジムのジムリーダーヤナギであること。自分を攫ったポケモンはジョウトに伝わる伝説のポケモンホウオウであること。
最初これを読んでいて怒りしか湧いてこなかった。なぜ、なぜ今になって教えるのだと。だけど彼はそれを見越してこう書いていた。
『なぜ教えてくれないんだとお前は思っているな。けどそうしなければお前はずっと前に一人で、ヤツに戦いを挑んだことだろう。それにあの時の俺はカントーで起こる異変……四天王に備えていてそれどころではなかったんだ。本当は俺が手を出してもよかった。しかし先の件と、とある理由でそれはできなかった。そしてなりよりもブルー、お前自身がアイツと決着を付けたいだろうと思っていたからだ。許しを請うつもりない。だけどお前のことが大事だからそう決断した。そしてブルー。ヤナギの目的は──』
すべてはときわたりポケモンセレビィを捕まえるため。
そしてそれはこのウバメの森の中心にある祠。ブルーはそこへポケモンのブルーを出して祠を目指す。
だがそこで何者かの気配を感じ取ると、森の何処からか声が聞こえた。
「祠を探しているのかい? だったら無駄だよォ。この森は迷路みたいなものだからねぇ」
「そこね! ブルーこわいかお!」
──ブルーのこわいかお!
こわいかおによって素早さを下げらたことにより茂みからブラッキーが姿を現すと、そのトレーナーも出てきた。
カリンとイツキと名乗る二人。この男と女の組み合わせ。直接面識はないが、自分とシルバーと同じあいつに育てられたマスクオブチルドレンの一組だとすぐに分かった。
「わかる、わかるよマサラタウンのブルー。この匂い、これは確かにアタイたちと同じ匂いだ」
「アハハ! 君はここに来ると思っていたよ。あの人もそう予想していたしね!」
「……そこまでアイツに気にかけられていたなんて光栄ね」
「アンタにはわからないだろうねブルー。あの方にとって、お前は唯一のイレギュラーだった。まさか自分の手駒に裏切られた上、二枚の羽まで盗まれたとあってはね」
「ホント、あの人は怒っていたんだよ! その所為で今日まで時間がかかってしまったからね。もうあの人には時間がないからね、アハハ!」
「それは寿命の事かしら? それともセレビィ?」
「そこまで知っていたんだ! だから君だけはここを通すわけにはいかないんだよ!」
──ブラッキーのだましうち!
──ブルーのかみつく!
突然の攻撃に対処する。
「さあ大人しく羽を渡しな!」
「おほほ。それは残念。いまのあたしはあの羽を持っていないわ!」
そう。この時のために一番安全な所。イエローの麦わら帽子に羽を偽装して持たしていた。だがどういう訳か、それを聞いても特に動揺はしていなかった。
「あ、そっか。君はしらないんだね! アハハ、これはいいや!」
「どういうことよ……」
「なに。持っているならそれに越したことはないってことさ! すでにあの方は再びホウオウ、そしてルギアを従えている!」
「そんな!」
「さらに君が持っていたであろう羽の所在にはだいたいの目星を付けていたんだよ。なにせ、隠していても羽自体に力が宿っているからね」
「……まさかイエローがこのジョウトに⁉」
「さあね。だけどそんなことより君にはもっと恐怖を味わってもらうよ! ネイティオ!」
「と、とり……!」
鳥ポケモンでもあるネイティオを見て腰が抜けてその場に膝をつくブルーに、カリンが近づいて妬ましそうに彼女に言う。
「ブルー、アンタは大したやつだよ。長年かけて脱走計画を練り、さらには二枚の羽を持ち出して脱走。あの人の目に狂いはなかった。けどね? 途中で逃げだしたアンタより、それからずっと訓練を受けてきたアタシ達の方が上なんだよ!」
「だから、なんだっていうのよ……!」
「まだわからないなら、その力を見せてやるよ。さあ、アレを見な!」
「あ…………ああ!」
「ふふふ。あの方から借りてるのさ! いまはアタシ達の言うことだって聞く!」
強引に顔を上へ向けられる。そこには一体の巨大な鳥ポケモン。自分を攫ったホウオウがそこにいた。あの日から今日まで、あのポケモンを探し求めていた。自分を攫ったポケモンを。それがいま、目の前にいる。
だがおかしい。何故こんなに過去の記憶が鮮明に蘇るのか? 何かによって無理やり記憶を掘り返されているような気もする。
「アレレ~? ねえカリン。思ってた反応と違うよ? 折角ネイティオの力で恐怖をもっと植え付けているのに」
「そうだねぇ……アレならもっと効果があるんじゃないかい?」
「ああ。アレね!」
「……あれ?」
「そう、君の大切なシルバー坊やだよ!」
「ふ、ふふ。シルバーはあたしが安全な場所にテレポートさせたわ。ここにいるわけが……」
「それがいるんだよ!」
「ジャンジャジャーン感動のごたいめーん!」
ネイティオの念力なのか、草木が割れると木に十字架のように拘束されていたシルバーがそこにいた。予想外のことで思わずシルバーに駆け寄る。意外にも邪魔はされなかった。
「シルバー、あなたどうして……」
「姉さん……オレだって、強くなってるんだ」
そう言ってシルバーはポケットから一枚のメモを取り出す。それは以前から自分で集めていた情報をメモしたものだった。
「まさかあの時、テレポートの瞬間にニューラのどろぼう使って⁉」
「きっと用意周到の姉さんなら持ってると、思ったよ……」
「それでここに? なんで、なんでそんなことをするのよ⁉ 今年に入って連絡を寄越さないと思ったら、ワタルの配下になんかついてるし……」
「一緒に、戦いたかった……今度は……オレがブルー姉さんを守る……! だって、オレ達は姉弟だから……」
「シルバー⁉」
シルバーは気を失ったのかその場に倒れる。ブルーは優しくシルバーをその場に寝かせて立ち上がる。
姉弟。そう、あたし達はあの日から一緒だった。どんな時も、辛い時も。だから自分より幼いこの子を守ろうと必死になった。そうすれば自分も頑張れる、絶対にここから抜け出すんだと。互いに助け合い支え合って生きてきた。
シルバーは自分にとってかけがえのない存在。それを……それを!
「感動の再会は済んだかい?」
「なんだい? 怒ってるの? よくもシルバーをって⁉ なら今度は君の番だ! 直接その目でホウオウを拝むといいよ!」
空から急降下してこちらに迫ってくる。そう、あの時もそうだった。攫われたあの日、それに気づいたあたしは逃げた。走って、走って、叫ぶことすらままならなかった。気づけばホウオウの足に掴まれて、空高く飛び上がりあそこへと連れかれた。
永遠に忘れることがない記憶。治るはずがないと思っていたトラウマ。
でも、それを恐れる自分じゃない。
「ショオ──ッ!!」
「──シッ!」
──ブルーの後ろまわしげり!
『なっ⁉』
「グエ──⁉」
すれ違う直前、ブルーは身体を旋回させると、その左足をホウオウの頭部に叩き付けた。その反動でホウオウは飛び上がるどころか、そのまま木々に突っ込み墜落する。だがすぐに起き上がり頭を振りながら再び上空へ飛ぶ。
「あんた達よくもやってくれたわね……あたしがこの世で絶対に許さないのは、シルバーを……弟を傷つけるヤツよ!」
「か、カリン。い、いまブルーのやつ何をしたんだよ⁉」
「し、知るかい! だがこの程度でマスクドチルドレンはう、うろたえない!」
「あーあ。折角演技までしてやったのに、まさかシルバーを出されるとは思わなかったわ……それにあたしに技まで出させるなんて。下着が見えるから嫌なのよ、これ」
愚痴を吐き片手でスカートを直しながら、ブルーは腰から3つのボールを手に取る。
「え、演技だって⁉」
「そ。中々の名演だったでしょ? そして──」
「ヤバいよカリン! あいつ何かする気だ!」
「ほ、ホウオウ! もう一度だ!」
「トラウマなんて、恐怖なんてとっくに乗り越えた! そしてあたしにはいつも、最高の男が見守ってくれているのよ!」
ボールを空へと投げる。
そこへ現れたのは──
「バカな⁉」
「カントーの三鳥⁉」
フリーザー、ファイヤー、サンダー。カントーに伝わる伝説ポケモンがそこにいた。ブルーはサンダーの背中に飛び乗ると、下にいるカリンとイツキに叫ぶ。
「忘れたなら教えてあげるわ。あたしはもうマスクドチルドレンのブルーじゃない……あたしは、マサラタウンのブルーよ!」
レッドが旅立つ少し前。
カントーの山岳地帯のとある場所にあたしはレッドに呼び出された。
本当はそんな余裕などなかった。もうすぐあの男との戦いが始まるからだ。気づけばジョウトで事件が起き始める少し前からシルバーとの連絡がつかなくなったのもある。
得た情報によれば、スオウ島で行方不明になっていたワタルの配下になっているらしい。さらには近々開催されるポケモンリーグで行われるジムリーダー対抗戦。そこで仮面の男の正体を突き止めるという情報も入った。
その下準備もあって忙しいというのに、こんな辺境な地にいま来ている。
レッドから直接旅立つことは聞かされていた。彼のことも気にはなるが、それよりもこちらの方が重要だった。
だけど、レッドが絶対に必要になるからと言うのでここにやって来たというわけだ。
そのレッドはすでに来ており、最近見慣れたクソダサTシャツを着て待っていたようだった。今日は「やきとりとビール」とその絵があるシャツだった。
とりあえずそれには触れず挨拶だけはした。
「早いわねレッド。で、要件はなに? あなたが旅に出るのは聞いてるけど、あたしは忙しいの」
「いま起きてるジョウトの件だろ?」
「分かってるなら話が早いわ。いまこの事件も大詰めを迎えているの。だからこんな所で無駄な時間を過ごす訳にはいかないの!」
思わず声を上げてしまった。そんなつもりはなかったのに、つい感情的になってしまった。けれどレッドは嫌な顔などせず何も言わなかった。それはきっとこちらの事情を知っているからだと思った。
「分かってる。けどこれはお前にとっていや、お前らにとって大事な事なんだ」
「大事って……なによそれ」
「ん……あ、もう来た」
「来た? どこよ」
「上」
「うえ?」
レッドが空を指さすので顔を上げると、そこにはフリーザー、ファイヤー、サンダーがこちらに降りてきていた。思わず声をあげてレッドの背中に隠れてしまう。
「ど、どどうしてその三体がここにいるのよ⁉ あ、あたしだってこの一年、そいつらを捕まえようとしていたのに⁉」
あの鳥ポケモンと仮面の男と戦うには力が必要だと思った私はカントーの伝説のポケモンである彼らを探していたのだ。だが些細な情報を頼り探し回っていたのだが一向に見つかることはなかった。
「ん? ああ、サンダー達の力でアレに対抗しようとしてたのか。それだったらすまなかった。サンダー達には俺が絶対に見つからない場所を教えていたから」
「はあーーーー⁉」
「で、話を戻すけど。サンダー達にはお前の力になるように頼んでおいた」
そう言ってレッドは持っていたボール三個に伝説のポケモンを戻した。そう、捕まえるのではなく戻した。それをたずねて聞くと、思わず殴りたくなった。
「これ? 元々こいつらが入ってたボール。シルフの戦いのあとボールから出しただけだったんだよ。誰かに捕まらないようにって。じゃあはい」
簡単に伝説のポケモンが入ったボールを渡してそれを受け取る。何故か納得がいかなかった。
「それで? まさかこれだけのために呼んだわけじゃないんでしょ?」
「ああ。それは決戦のための切り札だ。サンダー達なら勝てなくとも負けることはないだろう。そして、ここからが本題だ。来る決戦のために今から……」
もったいぶるその言葉に思わず唾を飲み込む。
「お前の鳥恐怖症を治す。あと、もしもの時に備えて護身術を教える」
「……本当なの?」
「ああ」
レッドは自信があるのか即答した。彼を信じていないわけではないが、これでも自分なりに克服する特訓をしてきたつもりだ。だけどまだ完全に治ったわけではないのだが。
「ナツメを何とか説得して一日だけ自由を貰った。正確には明日の昼までだが。その間にお前のトラウマ治す」
「けど、どうやって……?」
「こうやる」
器用に指笛を吹いて少し経つと、何やらどこからか鳥がはばたく音が聞こえてくる。そしてだんだんとそれは空覆い、殺風景だった周囲一帯に大量の鳥ポケモンが集まってきた。
「きゃぁあああああああ! れ、れれレッドぉ⁉」
「よいっしょっと」
どこから出したのか、ポッポの着ぐるみを被るレッド。これは着ぐるみで、かなりデフォルメされたものなので怖くはなかった。
『じゃあ頑張るッポ!』
「じゃあって何よ! じゃあって!」
『うるさいッポねぇ。とっと戦うなり逃げるなり抱き着くなりするッポ』
「……えい」
ポケモンではなく着ぐるみのレッドに抱き着く。
『俺じゃねぇよ……ポ』
「だって怖いし……」
『いいかブルー。これを乗り越えなきゃ絶対にあの仮面の男には勝てないぞ』
「けど……思い浮かぶのよ。あの時、攫われた時の光景が……!」
『……甘ったれるなッポ!』
「何よ! そこは優しく抱きしめながら励ますところでしょ⁉」
『変な期待をするなッポ! とにかく前に進むことを考えるッポ。そして、あの鳥ポケモンをぶっ飛ばしてやる気持ちで挑むッポ! 恐怖を怒りで乗り越えるッポ! というわけで、お前らやるッポ!』
レッドの言葉で一斉に襲い掛かってくる鳥ポケモン達が目の前に迫ってきた。
そして結果から言えば、わたしはトラウマを克服した。レッドが言うように逃げたり、ポケモン出したりしていたらいつの間にか克服していた。これがいわゆるショック療法というやつなのだろうか。
ただそれは夜中までかかって、レッドからすればスケジュール通りなのか普通にここで野宿した。二人しかいない場所で、カビゴンのお腹の上で一緒に寝た。
まあ役得だった。色々と。
翌朝。レッドはもしもの時ための護身術を教えると最初に言ったことを実行した。
「でよ。ブルーはどういうのがいい?」
「どういうのって、それこそあたしが聞きたいわよ」
「拳系? それとも足技?」
「もしかして護身術ってそれ?」
「だって……俺がまともに教えられるのはそれぐらいだし……リーフには、はたくを教えたけど」
「むっ」
リーフの名前が出て少し嫉妬する。ならばあの子と一緒のモノは嫌だ。ならば選択肢は一つ。
「じゃあ足技」
「そう? なら……こう」
──レッドのギガトンキック!
振り上げた右足が大地を削った。
まさかこれを自分にもやれと言うのだろうか。
「まあここまで出来るようになれとは言わないぞ」
「当たり前でしょうが。えーと……こう?」
軽く右足を蹴り上げてみる。だいだいボールを蹴る感じぐらいに。
だがレッドはもっと蹴り上げろと言う。そうは言ってもこっちはスカートで、これ以上足を上げたら下着が見えてしまうのだ。
それはちょっと困る。今日は特に。
「やる気あんのかごらぁ!?」
しかしそんな乙女の事情などレッドには分かるはずもなかった。
「ああもう! わかったわよ!」
ヤケになって再度右足を蹴り上げた。
「……赤か。積極的だな」
「死ね」
──ブルーのメガトンキック!
羞恥心が一瞬にして殺意に切り替わる。先程のお遊び程度の蹴りが瞬く間に人を殺す技へと昇華する。
にぶい衝撃。
右足が確実にレッドの頭を狙っていた。だがその手前で彼の右手に軽々と受け止められていた。それでようやく我に戻った。
どこかへ消えていた恥じらいが戻ってくるとすぐに足を下ろしてスカートを抑える。ブルーは頬を赤く染め、レッドを睨んだ。
「そうそう。今の感じな」
だが目の前の男は何も感じてなかった。自分と同じように赤くなるとか、そっぽを向くとか。そう言う期待をしていたのだが。
小さなため息をついてがっくしと肩を落としたその視線の先。ちょうどレッドの下半身のちょっとした異変を見て思わずこちらがさらに赤くなってそっぽを向いた。
「やっぱマサラの血が流れてるだけあって飲み込みが早い。じゃあ他にも技を──」
その後。レッドが言う時間まで特訓は続き、最後に彼はフシギバナが入ったボールとその時になったら読めと一通の手紙を渡された。
そしてポケモンリーグ開催日にその手紙を読み、あたしは怒りながらもレッドに感謝しつつ行動に移したのだった。
戦いは地上から空中戦へと移行していた。
サンダー達を操るブルーとそれを迎え撃つためにカリンとイツキはホウホウとルギアをそれぞれ駆る。戦いの最中、地中からサイドンに乗ったグリーンとリーフに合流しさらには意識を取り戻していたシルバーがルギアの背の上でイツキと交戦していた。
グリーンがフリーザー、リーフがファイヤーに乗りながら戦いをしている中ブルーが二人にたずねる。
「ねえイエローがどこにいるか知ってる⁉」
「え!? イエローがジョウトに来てるの⁉」
「そもそも何故あいつのことを聞く!」
「セレビィのことに関係してるからよ!」
グリーンとリーフは運命のスプーンに従ってこのウバメの森を目指している最中、行方不明だったシバとキョウの手を借りてここまできた。その際にこの一連の騒動の原因でもあるセレビィというときわたりポケモンを捕まえようとしているのだと教えてもらっていた。
「そのセレビィを捕まえるのに二枚の羽がいるの。で、あたしは昔にそれをあいつから盗んでイエローに預けてあるのよ!」
「なんでそんな大事なものを自分で持ってないのよぉ⁉」
「仕方ないじゃない! イエローが一番安全だったんだから!」
「まあそうなるな……リーフ後ろだ!」
「──! ファイヤー!」
ファイヤーの後ろを取ったルギアが攻撃を仕掛ける。ファイヤーはそれをバレルロールしながら避け、それを援護しようとサンダーとフリーザーが攻撃を仕掛けるがルギアもそれを簡単に避ける。伝説のポケモンとはいえ、トレーナーの指示無しで同じ伝説のポケモン三体相手に互角以上に渡り合っている。
下から仕掛けようと一気に降下し急上昇するサンダー。それに振り落とされないようしがみつくブルーは、ある一つの変化に気づいた。
空が先程よりも暗くなってる──!
気づけば太陽は沈みかけ、薄っすらと月が見え始めてきた。これはかなり最悪の展開だった。それを二人にも伝えるべくブルーは叫んだ。
「二人ともマズいわ!」
「どうした?」
「何がマズいの?」
「あたしが調べた限りだとセレビィが祠から出てくるのは月の満ち欠けに関係しているの!」
「となると、このままでは!」
「え? どういうこと!?」
「分からないかリーフ! このままこいつらに足止めをされていれば、あいつらの思うつぼなんだ! なんとしてもあの祠に行かなければ!」
「ああもう! 次から次へと問題が山積みなんだから! ファイヤーちゃんと拾ってよ!」
「ファ!?」
答えを聞く前にリーフはファイヤーから飛び降りると、気づけばシルバーとイツキがいないまま一人で戦っているルギアの目前にリーフは迫っていた。
「せい!」
──リーフのリーフブレード!
リーフブレードと言っても草タイプではないただ剣のように手刀を振っただけだ。かなりの一撃なのかルギアも態勢を崩すもそれは一瞬。すぐにその仕返しと言わんばかりにリーフに狙いを定める。依然落下しているリーフはさらにその右手を振るう。
──リーフのエアスラッシュ!
風の斬撃がルギアに迫る。ルギアはその場に止まると大きく翼を羽ばたかせ目の前に迫るエアスラッシュを弾き飛ばす。
効果はない。だが動きは止めた。
ちょうどルギアの真上にいるブルーもまたルギアに向かって飛び降りる。
「しょうがないわね! 今日は出血大サービスよ!!」
──ブルーのメガトンキック!
回避できないその一撃を食らったルギアは地上に叩き落される。一方依然落下し続けるリーフとブルーを急行しながらファイヤーが回収する。
地上に落ちたルギアを見れば、こちらに合わせて攻撃をしてきた。サンダーは身体を傾けて避ける。
「ついにブルーもレッドのヤツみたいな戦い方をするようになったか……」
今はいないライバルを思い出してため息をつくグリーン。
「あれでもダメなの」
「ていうかブルーいつのまにそんな技を……」
「レッドにちょっとね!」
「あたしが姉弟子なんだからね! ……けどキリがないわ」
「ええ……状況は最悪よ」
後に
運営からのお知らせ
ブルーの情報を更新しました
かなり駆け足ですが次で第4章は最後です。
あと次回に第5章のタイトルのアンケートをします。第5勝だけは何故か案がいっぱい出たので。
初めてアンケート機能を使うので変になったらすみません。
気になった第5章タイトルをお選びください
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1.FINAL WARS
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2.キング・オブ・モンスターズ
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3.怒りのホウエン地方
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4.決戦ルネシティ!23日間の死闘
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5.古代ポケモン激突!レッドがやらねば誰がやる!!