おい、バトルしろよ   作:ししゃも丸

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本日は以前アンケートにあったタイトル通りの内容となっております。


マスター! 新しいお薬ですよ!! えいっ!!!

 

 

 

 

 

 

 ルビーとサファイアの80日間冒険競争55日目

 

 ルネシティ・目覚めのほこら。

 ヒワマキシティから移動したレッドはここルネシティの目覚めのほこらで座禅を組んでいる。

 本来なら関係者以外立ち入り禁止ではあるがレッドにそんなルールは関係ない。彼は人目を盗んで入り込み、今日まで戦いの時を待っていた。

 今回レッドは自身で思っている以上にストレスを感じていた。

 第一に、二年という余裕ある時間を使ってこのホウエン地方に起こる事件を止めるために旅立ったというのに、まさか逆に二年もの時間をロスしてしまったことである。元々二年もかけて行う予定ではなく、ある程度の状況が把握できれば一度カントーに戻っていたのだ。それからまた治療に専念するなり、グリーン達を率いてホウエン地方へと再度出向くつもりだった。

 それが二年も時間が経っていたのだから、怒っても仕方がないではないかとレッドは苛立つ。付け加えればすでにルビーが旅に出た時点ですでに物語は開始、さらにはマグマ団とアクア団はとうに活動をしているということでもあったのだから怒りたくもなる。

 幸いだったのは、ジョウトで起きた事件は無事解決したことであろうか。細かいことまでは分からないが、無事に解決したのだと信じたい。

 

 第二に、グラードンとカイオーガである。レッドは当初サンダー達やルギア、スイクン達のように会話が通じる相手だと思っていたのだ。伝説のポケモンは我が強いと思ってはいたものの、こうして分かり合えると身を持って体験しているため、きっとあの二体も話を聞いてくれるだろうと思っていたのだ。

 が、結果はこれだ。

 あいつらは戦うことしか頭になかった。彼らからすれば、マグマ団とアクア団は自分達を目覚めさせてくれる絶好の存在なのだ。

 つまり、戦うための大義名分(建前)が自らやってきくれたわけだ。

 第一の理由もあって、この時点で内心ストレスが溜まっていたレッドは……爆発した。

 

「じゃあお前らが互いに戦うっていうなら、俺が混ざってもいいわけだよなぁ!?」

 

 と、無理やりな理由を自分で作って周りにぶっ飛ばすと宣言したわけである。

 

 第三に、ヒガナから聞いたレックウザの一連の事件についてである。

 以前からポケモン協会が何か絡んでいると睨んでいたため、協会への不信感はあったがそれを聞いてさらに怒りゲージが溜まった。

 むしろ、協会を潰してやろうと思ったぐらいだ。それに協力していたデボンコーポレーションも同罪である。

 だがヒガナにも今回の事件の責任はある。予言を回避するためにレックウザを目覚めさせるために、マグマ団とアクア団を裏から手引きしていたのだから。

 ただそれを最後に知ったためか、レッドはむしろその行動を許してしまうぐらいだった。

 なにせ、グラードンとカイオーガをぶっ飛ばせないからである。

 

 第四に、ただ単にムカついたからぶっ飛ばす。

 

 瞑想しながらその怒りと苛立ちを改めて落ち着かせる。

 それでもレッドには諦めていた……いや、諦めざるを得ないことがあった。

 それは自分がどう足掻いても本来起こるであろう歴史を回避できないことであった。

 特に今回はそれが顕著であり、マグマ団とアクア団が起こす事件は覆せないことである。

 カントーでのロケット団のことや、四天王事件、ジョウトでの事件。後者の二つは完全に自分の知らない事件であるためにどうしようもなかったのであるが、今回はまた別である。

 本来なら自分が両軍団を潰せばそれで済んだし、あるいは送り火山で宝珠を守っていれば防げたかもしれない。その際ヒガナが何かしてくる可能性もあるが、所詮は可能性にしかすぎない。

 それらの事を踏まえれば、自分があの島に遭難して二年の時間が経っていたことも納得はできなくもない(レッドは偶然だということを知らない)。

 昔のことを思い出していると、あの時ウバメの祠で見せられた光景が思い出された。いま思えば、アレはルビーとサファイアだったのかもしれない。

 きっと自分が何かをしなくても、この戦いを止めるだろう。

 なにせ、そういう風にできているのだから。

 だが──関係ない。

 グラードンとカイオーガ、あの二体をぶっ飛ばさないと気が済まないのだ。

 

『マスター。巨大な力が二つ、近づいてくるのを感じます』

「分かってる」

 

 サーナイトの言葉で閉じていた瞼を開ける。こちらのビリビリセンサーでもその力を感じ取っている。何故このルネシティなのかは分からないが、恐らくここに溜まっている自然エネルギーが目当てなのだろう。それを求めてグラードンとカイオーガはここに向かっている。

 レッドは立ち上がると、カントーの方角を向いて頭を下げた。

 

「ナナミさん。約束、破ります」

 

 戦ってはいけない、力を使ってはいけないと念を押されたが結局はこうなってしまった。旅立つ際に責任は取ってくれと言われたような気もするが……今は忘れよう。

 着ていたシャツを脱いで綺麗に畳む。正面には「天を見よ! 見えるはずだあの死兆星が!!」とかかれた白髪のおじさんがプリントされたシャツをバックにしまい、代わりに黒のシャツを着こみ帽子とサンダルもバックにしまい、左手にあるガントレットも今回は外して中に入れる。

 バッグをサーナイトの肩にかけて、レッドはゆっくりと立ち上がる。

 

「ま、折角返してもらったんだしな」

 

 最後にルビーから渡されたターバンを首にマフラーのような感じに巻いてみる。色は赤ではなく黒なのは仕方ないと納得しながらも肩をすくめる。

 これがレッドの戦装束。

 リーフのような派手な衣装でもない。対してシバや武闘家のような道着でも出ない。ただのシャツにジーパンに裸足。これが彼のスタイル。

 

「さて。段取りは話した通りだ。頼むぞサーナイト」

『お任せくださいマスター』

「スピアーとソーナノ。特にソーナノには負担がかかるかもしれないが頼むぞ。ヤバくなったらすぐに逃げるんだ」

「──!」

「ソーナノ!」

「そしてイーブイ、ラプラス、ミロカロス。援護は任せる。ブイには悪いが今回は補助なしで進化してもらうけど、頼むよ」

「任せてよ!」

「ラプラスさんにお任せ!」

「あとミロカロス。お前は鍛えたばかりで実戦経験がないが……無理はしないようにな」

「先生と共に鍛えたこのビューティフルボディに傷はつきません!」

「ふっ、頼もしいぜ。それにしても……本当に似てるな、これ」

 

 レッドは背にしていた壁に手を置く。それは一枚の壁画であった。

 そこに描かれているのは地にグラードン、海にカイオーガ、天にレックウザそして中央には……彼らと同じくらいの大きさで描かれた太陽神がいた。

 

「見事に同じだよなこのマスクと。なんでこんなにデカいんだ? 下にいるちっちゃいのは当時の人間だろうし……」

『でもこれ、マスターがお作りになったんですよね?』

「作ったっていうか、デザインは俺だよ? 別に何かを参考にしたわけでもないんだけど」

「でもさ。この太陽神の左手、マスターのガントレットにそっくりだよね。石が6個だけど」

 

 イーブイが肩に乗って言う。確かに左手の甲に石が6個あり、それらが輝いているように描かれている。

 

「本当にヒガナの言う通りだったとはなぁ。しかし、このグラードンとカイオーガの模様ってゲンシカイキ──」

 

 突然の地震がほこらを襲う。だが地震にしては妙な揺れ方をしていた。まるで、このルネシティに無理やり山を削って入ってきたような感覚。

 つまり、あの二体が辿りついたのだ。

 その衝撃によって目の前の壁画にひびが入り一部が崩れ、真上の天井が崩れ落ちてきて慌てて後ろに下がる。

 ここはもう危険だ。決意を新たにポケモン達に視線を送れば、全員が力強くうなずいた。

 

「レッド軍団の出撃だ」

 

 

 

 

 

 ルネシティ中央にグラードンとカイオーガは邂逅した。

 グラードンはルネシティを囲む山をそのまま突き破り、カイオーガは海中からその姿を現した。

 

「ぐらぐらぅるぅぅぅぅぁぁあああッ!!!(今日こそ決着をつけてやるぜぇ!!!)」

「ぎゅらりゅるぅぅぅぅううあああッ!!!(調子こいてんじゃねぇぞこのトカゲ野郎!!!)」

 

 一触即発とはまさにこのこと。

 このルネシティに溜まりに溜まった自然エネルギーが両者に注ぎ込まれ、さらにその力を増していく。

 これはポケモンの戦いではない。まさに怪獣対怪獣、自然対自然と言える争いがいま再び現代に蘇ろうとしていた。

 しかしその自然エネルギーの一部が二体にではなく、グラードンとカイオーガの間に位置していた目覚めのほこらへと流れていく。

 その不自然な流れに両者も気づいたのか、一瞬だけその動きを止めた。だがそんなの関係ないと言わんばかりに再び激突しようとしたその時──

 

『待ていっ!』

「ぐら!?(な、この声!?)』

「ぎゅら!?(ま、まさか!?)』

『行く手に危機が待ち受けようと、心の守るものあるならば、たとえ己の命尽きるとも、体を張って守り通す……人、それを……「男」という!』

「「誰だお前は⁉」」

「俺はレッド、マサラタウンのレッド……とりあえずムカついたからお前らをぶっ飛ばす! さぁ喧嘩だ喧嘩!! 喧嘩をやろうぜ!!!」

 

 静寂。

 一触即発とはなんだったのか。グラードンとカイオーガは互いの顔を見合わせると、

 

「「……なんだあいつじゃないのか。ほっ」」

 

 何故かほっと安堵していた。

 だがそれを見逃すレッドではなかった。

 

「行くぞおらぁ!!」

 

 ──レッドのフォルムチェンジ! レッドはトリニティフォームになった!! 

 ──レッドのブリザードナックル! 

 エネルギーを解放し黄金色の闘気を纏いながら飛翔。そのまま一気にグラードンの顔へとその拳を叩きつけた。

 

「ぐほっ!?」

「ぎゅっるっるっ! ざまあないぜグラードンさんよ! その隙にオレが──」

「てめぇもだこのクジラモドキ!!」

 

 ──レッドのサンダーブレイク! 

 右手に集められた雷が指先からカイオーガに向けて放たれた。

 

「ぐぇえええ!!」

 

 ブリザードナックル。その名の通り手に氷を纏って殴る技である。れいとうパンチとは違ってほぼ氷という物理を最初に食らう技である。

 サンダーブレイク。これはほぼかみなりと同じであるが違うのは雷に指向性を持たせたもので、現に集めたエネルギーを指先から放出している。

 顔面を殴られたグラードンはそのままルネの民家に倒れ、カイオーガはその体を少し焦がしていた。

 

「ハァハァハァッ……!」

 

 対してレッドの息はかなり荒い。一度のフォルムチェンジに空を飛ぶためのエネルギー、たった二回の属性攻撃だけでかなりの疲労が彼を襲っていた。

 この場に溢れる自然エネルギーがレッドにも流れ込むことで、エネルギー問題はほぼ解決していると言ってもよかった。ただ問題はその肉体にある。

 飛行を解除して地上に降りるレッド。少しでも体を休めようとするが、それがいけなかった。

 

「調子乗ってんな人間!!」

「ぐぅううう!!!」

 

 ──グラードンのふみつけ!! 

 突如、レッドに巨大な足が迫る。彼はそれを両手で受け止める。その下はグラードンの日照りとその力によって海はなく陸地になっている。

 押しぶされぬよう力を解放し、その反動でレッドを中心に小さなクレーターができた。

 

「ぬぅううう、う──!?」

「ん、抵抗が弱まった? ……おら!!」

「がぁっ────!!」

 

 さらに力を強めてレッドを押しつぶそうとするグラードン。レッドは突然苦しみだし、膝をついてしまう。そのため踏ん張る力がなく、グラードンの足がだんだんと押しつぶそうとしてくる。

 レッドが突然苦しみだした原因、それは未だに治らぬ後遺症が原因であった。

 彼はカンナに氷漬けにされその治療を受けて早一年以上シロガネ山の秘湯に通い続けた。ナナミの診断結果からもほぼ完治していると言われた。数字で例えるなら90%は完治していたと言える。残りの10%は日常生活で一日に一回あるか、一週間に数回発作が起きるか起きないレベルである。特に普通の人間ならば特に問題はない。

 だが彼はレッドだ。

 戦えば戦う程その治療は意味をなさず、力を使えば使う程体を蝕んでいく。

 カンナが悪いと言えば一言で終わるだろう。それでも未だに完治しない原因は彼にあったのだ。修行と称して力を使い、それが微量だろうと完治を遅らせていたのだ。

 仮にまったく修行など力を行使してなければとっくに治っている。ナナミはレッドの年とその若さを指摘したがその通りで、若さゆえに回復力もあるはずで、しかし肝心の本人が常に体をイジメていた所為で治るものも治らず、むしろ逆に負荷を与え続けていたのである。

 

「お、チャーンス! グラードン共々死ねよやぁ!!」

「あ、テメェ!?」

 

 ──カイオーガのハイドロポンプ! 

 海の化身とも言われるカイオーガが放つハイドロポンプ。それは威力もその大きさも桁違いであった。

 グラードン共々葬ろうとする攻撃は、グラドーンの手前に突如現れた氷の壁によって阻まれた。

 ──ラプラスの氷の盾! 

 

「は?」

 

カイオーガが驚いた。丸い目をもっと丸くして驚いた。自分の攻撃がまさか小さな同胞が生み出した薄い盾に止められるとは、数千年と生きて初めてのことだったからだ。

 

「今よブイ! ミロカロス!」

「おうさ!」

「ビューティービーム!」

 

 ──イーブイはサンダースに進化した! 

 ──サンダースのかみなり! 

 ──ミロカロスのれいとうビーム! 

 サンダースが放ったかみなりとミロカロスのれいとうビームがカイオーガを襲うがその威力レッドには及ばない。それでも足止めにはなる。

 仲間達が一瞬の隙を作ってくれたのをレッドも感じ取り、ただ力いっぱいに叫んだ。

 

「ザーーーナ゛イ゛ト゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」

『マスター! 新しいお薬ですよ!! えいっ!!!」

 

 ──サーナイトはレッドにかいふくのくすりを使った! 

 ──レッドの体力が全回復した!! 

 

「元気ぃ百倍ぃいいいい!!!」

 

 膝をついていた足が再び地面を踏みしめ、叫びと共にレッドを覆う闘気がさらに膨れ上がる。そのままグラドーンの足を押し返し、重さ950kgもあるグラードンを持ち上げながらそのまま宙に浮いてカイオーガに投げ飛ばした。

 

「こっちくんな!!」

「ぐへぇ!!」

 

 カイオーガの叫びもむなしく、950kgもあるグラードンがのしかかる。実際のグラドーンは3.5メートルよりもあるので実際の重さは不明である。

 

『マスター残り98個です!』

「上等ッ!!」

 

 サーナイトに答えながらレッドは再び吶喊する。

 これがレッドがカントーを旅立つ際に考えていた裏技であった。

 戦いの最中エネルギーが体力が底をつき、さらには後遺症が発生した時の対処法。それが「かいふくのくすり」である。HPが全回復し、すべての状態異常が回復するポケットモンスターにおいて最強の回復アイテム。

 それを使うことで後遺症という状態異常を無理やり誤魔化し、尚且つ体力を回復するという禁断の手段。

 なぜポケモンのアイテムがレッドに使えるか。

 否、逆なのだ。

 主にポケモンに使われるだけで、人間に使えないわけではないのである。すり傷といった小さい怪我などにはよくキズぐすりは使われるし、間違ってどくを浴びてしまった時にはどくけしは有効なのである。

 だからと言っていいキズぐすり以上のアイテムは人間には毒。だがレッドには問題はない。並みの人間ではないからだ。

 しかしこの方法は一つのリスクも背負っていた。

 

「オラオラオラオラァ!!」

「うぇ……目が……」

 

 グラドーンの尻尾を掴んでジャイアントスイングを仕掛ける。何回転もした後にグラードンをルネの民家へと投げ飛ばし、その影響でルネの民家は跡形もなく崩れた。

 

「お前もいつまでも海の中にいるんじゃねぇよ!!」

「うるせぇ死ね!!」

 

 ──カイオーガのこわいかお! レッドのすばやさが下がった! 

 ──カイオーガのれいとうビーム! 

 ──しかしレッドにはこうかがないようだ……

 

「インチキ効果も大概にしろや!!」

「喧嘩にインチキもクソもあるかよおおおおお!!!」

 

 カイオーガのれいとうビームを無効化しながらレッドは迫る。

 ──レッドのライジングキック! 

 ──カイオーガのすてみタックル! 

 

「なっ⁉」

「舐めるなよ、人間!」

 

 効果相性では断然レッドが有利。しかし彼はカイオーガのすてみタックルに押し負けた。それは単に質量の差であろう。170から180cmの身長と70から80kg程の体重であるレッドに対し、カイオーガの重さはグラードンには劣るが352kg。

 ダメージは確かにカイオーガにも入ってはいても質量の差は覆せない。押し負けたレッドはそのまま吹き飛ばされ、その先に体勢を立て直していたグラードンがミットを構えるようにその手を構えていた。

 

「オーライオーライ……キャッチ! アンド死ね」

「ッ──―」

 

 レッドを受け止めたグラードンはそのまま軽く跳んで背後にある町中に彼を叩きこんだ。

 直後、空からマツブサとアオギリに連れられたルビーとサファイアが。さらにアブソルに乗ってやってきたジャーナリストのマリとダイがこの地にやってきた。

 

 

 

 

 

 

「一体どういうことなの!?」

「いま、人がグラードンに投げ飛ばされましたよね⁉」

 

 マリとダイが叫ぶ。一緒にいるアブソルただ眺めているだけだ。彼は災いを知らせるだけの存在で、何かをするわけではない。目の前で繰り広げられているのはポケモンとポケモンの戦い。いわば自然界における生存競争のようなものだからだ。

 同時に マツブサとアオギリから解放されたルビーとサファイアが再度宝珠を奪還しようと試みる。

 

「ちゃも!」

「ZUZU!」

「邪魔を!」

「するな!」

 

 宝珠を介して二人をエネルギーのバリアが包み込み、二体の攻撃を弾く。同時にグラードンによって叩き潰されたレッドが瓦礫を押しのけて叫んだ。

 

「邪魔をするんじゃねぇぞルビー! サファイア! これは……俺の喧嘩だ!!」

『レッドさん⁉』

「誰よ!?」

「アレで生きてるの⁉」

『マスター! 新しいお薬です!!』

 

 ──サーナイトはレッドにかいふくのくすりを使った! 

 ──レッドは体力が全回復した! 

 ──残り97個

 

「波ァーーーー!!」

 

 ──レッドのはかいこうせん! 

 その光線はグラードンとカイオーガではなく、その頭上にいるマツブサとアオギリに向けて放たれた。だがそれは二人を包むバリアによって防がれてしまう。この溢れ出る自然エネルギーと二体から流れるエネルギーで作られたバリアにヒビを入れるあたり、その威力はすでにポケモンが放つそれを超えていた。

 特大のはかいこうせんを放った直後、レッドは膝をついて再びサーナイトを呼ぶ。

 

「ちっ……サーナイトッ!」

『はい!』

 

 ──サーナイトはレッドにかいふくのくすりを使った! 

 ──レッドは体力が全回復した! 

 ──残り96個

 回復したレッドは二体に向けて立ち向かう。

 そんな異常な光景に放心していたマリとダイのもとにエアカーに乗ったミクリが駆けつけた。

 

「そうか。彼はレッド、マサラタウンのレッドか!」

「知っているんですかミクリさん⁉」

「カントーでは有名な男だ。現カントー地方チャンピオンリーグの先代チャンピオンであり、ルビー達と同じ図鑑を託されたトレーナーだ」

「あ、オレ知ってます。でもマサラタウンのレッドは、二年前に忽然と姿を消したって」

「そうだ。しかし彼がこうして戦っているということは、彼がサンレッドになるのか? だが何故、彼がホウエンに伝わる古の神を知って──」

『あなた達、死にたくないのであればすぐにここを立ち去りなさい!』

 

 ミクリ達のもとにレッドをサポートをしていたサーナイトが警告にきた。

 

『この場所はわたし達の仲間が結界を張っていて被害は留められていますが、中にいる人間まで守る余裕はありません』

「仲間……?」

『上をご覧なさい』

「上?」

 

 彼らは上を見上げた。レッド達が戦いを繰り広げているルネシティの上空を飛んでいる一匹のスピアーと、その背に乗る小さなポケモンソーナノがいた。

 

「ソ~~~~~~~ナノ!!!」

 

 ──ソーナノの結界! 

 音響スタッフがいたらここで「ジャキーン」みたいな音が流れたことだろう。フロント・ラットスプレッドをしながら叫ぶソーナノ。

 ルネシティ一帯を彼が作り出した結界がグラードンとカイオーガそしてレッドの戦いの余波をここだけに抑えているのだ。

 そのソーナノを乗せているスピアーもただ飛んでいるわけではない。荒れ狂う空の中ソーナノを落とさないように滞空し、飛んでくる破片を粉砕し続けているのだ。

 

『分かったら早く避難を。むしろマスターの邪魔です』

「邪魔って……」

「邪魔と言われようと、私はジムリーダーだ。君や彼には悪いと思うが、ルビーと共にこの戦いを止めて見せる!」

 

 ミクリはエアカーのアクセルを踏み、下にいるルビーの下へと向かう。同時に空か駆けつけたチルタリスに乗ったナギも応援に現れる。

 それを見たサーナイトはさらに顔色を悪くし、毒舌を吐きながらレッドの下へと飛んだ。

 

『マスターの邪魔ばかり! これだからただの人間は困るんです!』

「あ、ちょっと!」

「ど、どうしますマリさん……」

「どうするも何も……」

 

 二人は再び目の前の光景を直視した。グラードンとカイオーガそしてレッドの三つ巴による攻防が繰り広げられている。片方に気を取られれば、相手のいない一体がその隙をついて攻撃をしかけるのを何回も繰り返していた。

 

「ぶっつぶれろぉぉぉぉぉ!!」

「ぐらぐらぅるぅぅぅ!(オレが最強だ!)」

「ぎゅらりゅるぅぅぅ!(いい加減お前ら死ね!)」

 

 ──レッドのはかいこうせん! 

 ──グラードンのソーラービーム! 

 ──カイオーガのハイドロポンプ! 

 3つの光線が放たれると三人の中央で激突し、そのエネルギーの衝撃波が容赦なく地面や木々を粉砕していく。マリとダイはアブソルによって守られている中、ルビーとサファイアはミクリとナギの四人でこの戦いを止める方法を見つけていた。

 それはサファイアが偶然持っていた隕石グラン・メテオのかけらである。これには自然エネルギーを打ち消す力を持っており、これを使ってマツブサとアオギリの体内にある二つの宝珠の力を消し飛ばす作戦を実行することになった。

 だがそれに、サファイアが目の前で戦い続けているレッドのことをたずねた。

 

「でも、あそこで戦ってるレッドさんはどうするっと⁉」

「むしろグラードンとカイオーガが彼に目が向いている今がチャンスだ」

「サファイア、気持ちはわかるけどいまは師匠の言う通りだ。いまはこの戦いを止めるのを優先しなきゃ」

「でも……」

「サファイア。辛い決断だがやるしかない」

「ナギさん……はい」

「よし、いくぞ!」

 

 ミクリとナギがルビーとサファイアのZUZUとちゃもが放った攻撃をマジックコートで反射角を調整し、二つの宝珠があると思われる二人の額に照射。見事グラードンとカイオーガから二人を引き離し、宝珠の摘出に成功。

 直後、突然行き場を失った宝珠のエネルギーが暴発。ルネシティを中心に巨大な閃光が周囲一帯を包み込んだ。

 これによりルビー達の行動は結果としては成功した。

 だが──

 

「波ァ------------ーっ!!!」

「ぐらぐらぅるぅぅぅぅぁぁあああッ!!!」

「ぎゅらりゅるぅぅぅぅううあああッ!!!」

 

 閃光に包まれながらも三人の攻撃は止まることはなかった。

 

 

 

 

 




ついに……正体現したね……

俺は悪くねぇ!(それでも当初のプロット通りであった)
サーナイト、ソーナノ、ミロカロスの初陣がこれとかく、勲章ものですよ……
あとミロカロスは♀だけどなんか知らん内にマッスルになった
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