おい、バトルしろよ   作:ししゃも丸

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最近何故か対魔忍RPGやってる自分がいる。


別に俺が困るわけじゃないし……まあいっか

 

 

 クロガネシティ郊外。

 クロガネジムでの敗戦後、レッド達は街の郊外になる場所に移動していた。負けたことがショックなのか、シロナは膝を抱えている。そんな彼女の前でレッドは容赦ない言葉を浴びせていた。

 

「はい。いまから反省会を行いまーす。負けた原因はなんでしょうか? はい、トゲピー1匹で挑んだことです」

「……だっていけると思ったんだもん」

「まあ、うん。レベルは予想以上に高くて俺もビックリだったわ」

 

 ジム戦で初めて見せたシロナの手持ちことトゲピーのレベルは10台かと思いきや、なんと20台もあって彼を驚かせた。なんで分かるかと言えばレッドだからである。

 最初のジムであるクロガネジムは、カントーのニビジムと同じくいわタイプ専門のジム。水タイプや草タイプでいけばそこまで苦戦はしないのであるが、勇敢にもシロナはトゲピー一匹で挑んだのである。

 

「てっきりフカマルかと思ってた」

 

 シロナと言えばガブリアスと言われるぐらい有名であるため、彼としても最初の手持ちはフカマルだと思い込んでいた。それがまさかのトゲピーである。

 ちなみにシロナがトゲキッスを出すようになったのはプラチナからであるが、レッドはそんなことを知らない。その割には何故かトゲキッスを持っているイメージが強い。

 さらに補足すればプラチナにおけるトゲキッスの特性は「はりきり」にとなっており、公式直々のバランス調整が入っていているのではないかと言われるほどであった。

 一応レッドが調べた限りでは、特性は「てんのめぐみ」なのは間違いなかった。

 

「フカマル? なにそれ?」

「あ、知らんのか。それは一先ず置いておいて。なんで負けたか分かるかシロナ?」

「……ゆびをふるのゴリ押し」

「可能性があるものに賭けるのは悪くはないぞ? だからってゴリ押しはいかんだろ」

「うわーん! サーナイトぉレッドがイジメるよー」

『はいはい。でも、マスターよくゴリ押ししてますよね。力で』

 

 泣きつくシロナをサーナイトは優しく彼女の頭を撫でながら言った。

 

「だって殴った方が早いんだもん」

「結局レッドもわたしと同じじゃん!」

「俺はいいんだよ。でも、お前はこれからジム制覇してポケモンリーグ出るんだろ?」

「うん。目指せ美少女でしかも考古学者なチャンピオン!」

「あ、うん。そうだね」

 

 実際そうなるとは言え流石に素直にうなずけないでいるレッド。

 

「こほん。ナナカマド博士から言われた通り俺はお前を鍛えてもいい。シロナ、お前は強くなりたいか?」

「なりたい!」

「なんで?」

「んーわかんない! あ、でもチャンピオンになったらレッドを養ってあげられるかな?」

「……」

『マスター、何か言ってくださいよ』

 

 別にまともな答えなんてなくてもよかったのだが、まさかそれ以上に斜め上の答えが来てしまい何も言えないでいた。

 そこで肝心なことを思い出した。話に出したポケモンリーグの事である。

 現代ではルールが改定されてゲームのようになったが、それまでは3年に1度開催されていたはずである。ルールが変わっていないならこの時代もそのルールになっているはず。

 

「ところでシロナ。ポケモンリーグはいつ開催されるんだ?」

「えーとね。いまが1月でしょ……」

「1月なのか」

 

 確かホウエンにいた時は9月だった気がする。だからと言って遡った時代の先が同じ月日だとは限らないと気づく。それにいくらここが北海道がモチーフのシンオウ地方だと言っても、夏でも気温はあがるしそこまで寒い訳ではない。いまが1月ならこの寒さも納得できる。

 

「今年は確か……12月だっけ」

「約1年か。それだけの時間があれば十分か」

「レッドもポケモンリーグ優勝したんだっけ。未来でだけど」

「ああ」

 

 旅の中でそういう話をしたので聞いてくるのも当然だった。トーナメント方式で試合の旅に6体の内一体を選んで試合を勝ち進んで優勝したのも話してある。

 

「じゃあわたしも一体で勝ち進んで優勝する!」

「それはまたどうして?」

「だってそうすればレッドとお揃いでしょ。それにレッドも11歳で優勝できたんだから、わたしだって優勝できるに決まってるもの」

「自信だけは立派ですこと。ま、お前なら出来るだろうな。さらに俺の特訓をこなせればチャンピオンどころか無敗よ」

「やったろうじゃない! レッドにできてわたしができないわけないもん!」

『シロナのこの自信はわたしから見てもすごいですね』

 

 サーナイトの言う通りシロナの自信は一体どこから来るのか不思議だった。確かに彼女はこのシンオウ地方、自分がいた現代までチャンピオンだったのは知っている。だとしても、このやる気は想像以上だ。こちらとしては願ったり叶ったりではあるが。

 そこで気づいた。

 自分がこうしてシロナを鍛えたから、未来のシロナは未だに無敗のチャンピオンなのではないだろうかと。よくあるSF小説やアニメである展開と似たような出来事に直面していることにレッドは気づいた。

 だが……。

 

「別に俺が困るわけじゃないし……まあいっか」

「なにか言った?」

「何でもないよ。とりあえずシロナ。俺の手を握ってみろ」

「ん? はい」

 

 いつものように右手を握るシロナ。

 

「じゃあ力を入れて。思いっきりな」

「ふーん!!」

 

 自分より細くか弱い年相応に力を入れてくる。レッドは唸りながら彼女の握力を測定していた。シロナは限界が来たのか荒い息を整えてたずねてきた。

 

「ど、どう?」

「うーん。糞雑魚ナメクジ」

「そこはかわいいねって言って」

「それはそれで予想外過ぎるわ。とりあえず基礎体力から鍛えるか。えーとあれは……あ、あった」

 

 レッドはそこに転がっていたイシツブテを片手で掴むと、それをシロナに渡した。彼女はそれを両手で持つのがやっとで顔を真っ赤にしている。

 

「い、いきなりなによぉ!」

「題して『イシツブテ何体持てるかな?』のスタート。取り合えず……そうだな。片手で両方持てるようになれ。なに時間はたっぷりある。その間に俺はトゲピーを鍛えておくから。あ、サボり対策で皆に見張らしておくから」

 

 そう言うとレッドは手持ちのポケモン全員を出すと、一体どこにしまっていたのか応援扇子やらラッパを用いてシロナを応援しはじめた。ソーナノが扇子、イーブイが声担当、ラプラスがラッパ担当、ミロカロスはただ自慢のビューティフルボディを見せびらかし、スピアーは器用に旗を振っている。

 

「お嬢がんばー!」

「プップー!」

「ソーナノ!」

「お嬢様も頑張ってわたしのような美しい体を手に入れるのです!」

「──!」

「き、気が散って集中できない……!」

 

 彼らはシロナのことを親しみを込めてお嬢と呼ぶようになっており、特にミロカロスが珍しいのかよくその体に触れていた。

 そんな面白おかしな光景に苦笑しながら、レッドはトゲピーとサーナイトを連れて少し離れた場所で特訓を開始するのであった。

 

 

 

 

 数日後。

 サーナイトのサイコキネシスによって削られた巨大な岩の前で、それを睨みながらトゲピーがその小さな指を振った。

 ──トゲピーのゆびをふる! 

 ──トゲピーのはかいこうせん! 

 その小さな手から放たれた光線が目の前にいった巨大な岩を粉々に砕いた。

 

「チョゲプリィ!」

 

 会心の出来に叫ぶトゲピーはこちらへテクテクと歩み寄って自分を見上げる。そんなトゲピーを褒めながら頭を撫でるレッド。

 

「よしよし。偉いぞトゲピー」

『やればできるものですね。ゆびをふるで出したい技を出すなんて芸当』

「実物を何度も見せて頭に叩きこんで、こう気合で念じればいけるもんなんだな」

『一生分のはかいこうせん撃った気がします』

「ごめんな? こんな体じゃなければ俺がやるんだけど」

『いえいえ! マスターの体をこれ以上傷つけるわけにはいきませんから!』

「ありがとうサーナイト。頭を撫でてやろう。よしよし」

『ぬへへ』

「レッド──!!」

 

 サーナイトの頭を撫でてると、背後から手を上げた両腕に大量のイシツブテを抱えながら走ってきた。数はざっと50は超えているだろうか。

 

「見て見てー! なんかここまでいけたよー!」

「おーすごいすごい。やっぱお前才能あるな!」

「わたしも頭撫でてー」

「よしよし」

「えへへ」

「そうそう。トゲピーの特訓も終わったぞ」

「え、本当⁉」

 

 すると持っていたイシツブテの塊を明後日の方向に放り投げトゲピーを抱きしめるシロナ。そんなイシツブテ達の行方に誰も気にせず二人を微笑ましく眺めている。

 

「トゲピー、実際にやってみて!」

「チョゲプリィ!」

 

 彼女の腕から飛び降りると、壁に向かって指を振った。

 ──トゲピーのゆびをふる! 

 ──トゲピーのれいとうビーム! 

 放たれた冷凍光線が壁一帯を凍らせてしまった。

 

「あれ?」

「とりあえず2回に1回は、はかいこうせんを出せるようにはなった」

「じゃあ残りの1回はランダム?」

「うん。ランダムで攻撃技」

「攻撃技……?」

『はい。ランダムでかえんほうしゃ、れいとうビーム、でんじほう、きあいだま、ムーンフォース等々。こうビーム系や必殺技のようなモノがランダムで』

「……」

『……』

「……」

 

 思わず無言になる三人。てっきりレッドとサーナイトはやりすぎたかなみたいな顔をしているが、シロナはむしろ喜びの声をあげた。

 

「すごいねトゲピー!」

「チョゲプリィ!」

 

 トゲピーを抱きしめると、そのトゲピーの体が光に包まれた。

 そう、進化の光である。

 小さく腕に収まっていたトゲピーが進化してトゲチックとなり、シロナの小さな体でようやく抱えらる大きさになる。

 

「あ、トゲチックになった」

「わーい!」

「やったねシロナ!」

『進化したら喋れるようになりましたね。テレパシーを使わなくてもシロナには聞こえているようです』

「やっぱトレーナーなら当たり前だって」

 

 レッドの常識と他の人間の常識はまったく別物だということを彼はいつになったら理解できるのだろうか。

 

「えへへ。これならジム戦もらくしょーね」

「楽勝だが油断は禁物だ。とりあえずシロナの特訓は一旦中止して、今度は座学にするか」

「レッドの癖に勉強教えられるの?」

「お前は俺がバカだと言いたいのかな?」

「無理しなくていいんだよレッド。誰だって見栄を張りたくなることだってあるから」

「ぐぬぬ」

『マスター、どうどう』

 

 振り上げようとしている拳を自分で押さえながら我慢する。ここで怒れば年上の威厳がないと気づくと、無駄に余裕な笑みを見せながら笑って見せるレッド。

 しかしそんな威厳などシロナに対してはもうないのである。

 

「シロナさんよぉ。ポケモンのタイプがいくつあるか知ってるかなぁ?」

 

 ワザとらしく上から目線でレッドは言う。ついでに態度も悪い。

 

「うーんとね……15種類!」

「ぶー! 正解は18種類でーす!」

「えー! うっそだぁー!?」

「ほんとほんと。ちなみにトゲピー……じゃなかった。トゲチックはなんだと思う?」

「ノーマルじゃないの? あと翼があるからひこうとか?」

「実はな、ノーマルじゃないんだよ」

「……レッド。冗談でもウソはいけないよ?」

「ウソじゃないんだよなぁ」

 

 鼻を天狗のようにしているレッドであるがそれは彼の前世によるズルによるもので、胸を張って威張ることではない。

 しかしだからと言ってその情報を邪険にはできない。むしろこの時代なら現代以上に有利に立ち回れるからだ。

 恐らくこの時代なら特にドラゴンが一番強いイメージであろう。次にそれを倒せるこおりタイプだろうか。そんな最強のドラゴンポケモン達をトゲチックのような可愛らしいポケモンが一方的に蹂躙できると聞けば、誰もが耳を疑いたくもなるに違いない。

 

「で、フェアリーの他にあくとはがねがあって……」

「ふむふむ」

 

 木の棒で地面に相性グラフを書いて覚えている限りの情報を引き出すレッド。それをシロナはノートにメモしていく。

 

「あ、そうだ。このことナナカマド博士にも言うなよ? 情報的に大分先のやつだから」

「つまりわたしとレッド、二人だけの秘密ってことね!」

「そうそう。あとトゲチックはもう一個進化があって……」

 

 こうして日没まで未来の知識と自分が持つ情報をシロナに叩きこんで英才教育を施すレッドであった。

 

 

 

 

 翌日。

 クロガネジムで再戦を挑むシロナ。

 バトルフィールドの外でシロナ応援団による声援の中、相手のジムリーダーは再戦してきたチャレンジャーに高揚していた。

 

「ほう! 今度は進化してきたか! ならばこちらはズガイドス!」

「この前イシツブテだったじゃん!」

「ジムリーダーのポケモンは常にチャレンジャーの力量によって変わるのだ!」

「ず、ずるい……ま、関係ないもん。トゲチックゆびをふる!」

「進化してきたと思えばまたそんな博打みたいな戦法で──」

 

 ──トゲチックのゆびをふる! 

 ──トゲチックのハイドロポンプ! こうかはばつぐんだ! ズガイドスはたおれた! 

 トゲチックから放たれたそれは一直線にズガイドスへと向かうと、そのまま受け止めきれなかったズガイドスはフィールドの外へと弾き飛ばされジムの壁に激突した。

 

 

「よし!」

「……う、運がよかっただけだ! つ、次で最後、いけトリデプス!」

「見たことないポケモン……!」

 

 四つ足歩行で、顔はまるで鋼の壁をしたポケモントリデプスがトゲチックの前に立ちはだかる。その威圧に思わず後ずさるトゲチック。シロナも始めてみるポケモンに動揺が隠せないでいると、その背後でレッドが彼女の名を叫ぶ。思わず振り向けば、ハンドサインを送っている。

 なるほど、いわとタイプはがねタイプの複合なのね。

 流石に公式の場で口を出せないのでレッドは予めサインを決めており、もしもの時はそれで助言をすることになっていた。

 つまり何が言いたいかと言えば、ずる賢い上に超過保護なのである。

 

「よそ見をしている暇があると思うな! トリデプス、いばるだ!」

 

 ──トリデプスのいばる! トゲチックはこんらんした! 

 いばるによって混乱したトゲチックは頭をゆらゆらと回し始める。が、シロナに動揺はない。

 混乱していたトゲチックが突然地面に頭をぶつけると、その目に正気を取り戻したのである。

 なにせ、鍛えたのはあのレッドである。混乱も気合と根性で治すという脳筋思考になるのは当然のことだった。

 あのリザードンもそれで混乱を解いたのだ。なんら不思議ではない。

 

「え、なにそれは……」

 

 さあ、これから反撃開始。と言わんばかりのジムリーダーが呆気にとられ放心している中、そんな隙を逃さずシロナは指示を出す。

 

「トゲチック、もう一度ゆびをふる!」

「チッチ!」

 

 ──トゲチックのゆびをふる! 

 ──トゲチックのきあいだま! こうかはばつぐんだ! 

 トゲピーからトゲチックに進化したことでゆびをふるの精度が上がったのか、はかいこうせんではなく相性のいいきあいだまが放たれた。 

 だがトリデプスは倒れない。それでもトリデプスは瀕死に近く、今にも倒れそうだ。

 

「確か特性のがんじょうね。レッドが言ってた通りの現象になった。トゲチック、トドメのすてみタックル!」

 

 ──トゲチックのすてみタックル! トリデプスはたおれた! 

 トドメの一撃を食らいトリデプスは倒れた。

 

「わーい! やったねトゲチック!」

「いぇーい!」

『やったぜお嬢!』

 

 ハイタッチするシロナとトゲチックの後ろでシロナ応援団が歓声をあげていた。

 いまの戦いにどこか納得がいかないジムリーダーであるが負けは負け。自分の敗北を認め、彼女にコールバッジを渡した。

 

「コールバッジゲットね!」

「ところで。後ろの青年はいいのかい? バトルを希望するなら相手するけど」

「あ、いいです。これでも元キングなので」

「は、はあ?」

 

 自慢なのかブイサインをするレッド。そんな彼の言葉を理解できないジムリーダーはただ首を傾げることしかできなかった。

 

「さあて。次はミオシティよ!」

「おー」

『イェーイ!!』

 

 こうしてシロナの無敗伝説はここから始まったのである。主に隣にいる過保護な男が原因で。

 

 

 

 




次がミオシティなのはゲームと違って障害がないからです。
あと気分。

最近ポケモンサントラいいなあって探し始めたけど、なんでHGSSとダイパのサントラあんなに高いの………?
前者は安くて6000円だからまだ手は出せるけど、後者に関してはまったくネットや店に出てこないゾ。
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