おい、バトルしろよ   作:ししゃも丸

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別けるところがなくて、つい約三万文字になっちゃった。

あ、そうだ(唐突)
ポケマスのメイちゃんのサンタコス出た(10連で)。


これでも私、レッドと互角の戦いをしたのよ? 

 

「このナナシマ全島を人質にしたか……!」

 

 先程の放送を見て、グリーンが叫びながら怒りを露わにした。それは彼だけでなく、特にこのナナシマ出身のカンナの怒りは最高潮に達していた。

 そんなグリーン達に関係なく放送は続き、チャクラが5の島、オウカが6の島、サキが7の島に攻撃をしかけると宣言した。

 

「でもどうする。あたし達が行かないと島に被害が出るわ」

「さっきも言ったでしょ。それを待つロケット団じゃないわ。動くならいますぐ……カンナ!」

「はい!」

 

 ナツメが何かに気づき、カンナの名を叫んだ。彼女は何も疑問に思わず、その意図を察したのかすぐに家を飛び出した。

 カンナは暗くなった空を見上げた。数秒ほど辺りを見回し、それを見つけた。

 闇に紛れて飛行する無数の鳥ポケモン。その鳥ポケモンの足には大きな箱を抱えているのが見える。それに気づいた時には、その箱が解放されて、何かが投下された。

 遥か上空ではあるが、カンナはそれを捉えている。形は丸い。それが無数に落ちてくる。

 ビリリダマかマルマインによる空爆? 

 丸くてかつ大量に入手できるポケモンで、破壊工作に向いているポケモンはそれぐらいしかいない。

 しかし関係ない、そう判断しながらパルシェンを出してからある事に気づいた。

 

「違う。あれは……モンスターボール⁉ パルシェン!!」

 

 ──カンナのシンクロ! カンナはパルシェンとシンクロした。

 パルシェンとシンクロし、自身の目でどれを優先的に攻撃をするかを補足しながらパルシェンに伝える。

 

「とげキャノン!」

 

 ──パルシェンのとげキャノン! 

 パルシェンの殻から突き出ている突起が、まるでミサイルのように発射されていく。このパルシェンは以前レッドによって鍛えられたポケモン。回数制限などとうに克服し、本人の気力が続く限り発射される。

 落下してくるモンスターボールの先頭集団にとげキャノンが接触すると、モンスターボールはだいばくはつ並みの爆発を起こし、それに誘爆して次々と連鎖していく。

 これはモンスターボール型の小型爆弾。素材はモンスターボールを使っているため、大量かつ安易に使えてしまう凶悪な兵器である。ロケット団が開発した最も優れた──いや、優秀過ぎる兵器だ。

 爆発が続くが、それでもまだ数は減らない。カンナはパルシェンとシンクロしながら指示を出す最中、上空にいた鳥ポケモンが向きを変えたのを見逃さなかった。

 任務完了。そう言わんばかりに4の島から撤退しとうとする鳥ポケモンの群れ。

 だが、それを見逃す今の彼女ではなかった。

 

「パルシェンッ!!」

 

 吐き出すかのような怒号が響き渡る。

 とげキャノンのいくつかを鳥ポケモンに照準を合わせ──発射。そのまま落下していくモンスターボールをすり抜けて真っ直ぐ向かう。

 その距離10メートル手前で気づいたのか、ポケモン達は回避行動に入った。翼を羽ばたかせてとげキャノンという名のミサイルから逃げようとするが、常にカンナがパルシェンを通して誘導しているため、逃れることは難しい。

 気づけばとげキャノンは遂に目標を捉え、撃墜した。撃墜した鳥ポケモンはそのまま地上へと落下していく。運がよければ死にはしないだろう。

 同時に残りの爆弾の処理を始めようとするが、気づけばもう残りわずか。あとはパルシェンに任せて、シンクロを解いた。

 

「ふぅ」

 

 緊張の糸をほぐす様に息を吐く。

 シンクロ。簡単に言えば、人間とポケモンが一つになるという技。

 ここ数年は鍛錬不足というのもあってか、どこか辛い。たった数メートルの距離を全力疾走したかのように効率が悪く、言ってしまえば力の配分が下手になっていた。

 パルシェンはそうでもなく、負担が大きいのは人間側である自分。肉体的疲労もあるが、どちからといえば脳だ。この痛みは軽い頭痛に近い。

 初めてシンクロをしながら戦った〈仮面の男事件〉よりも酷い。あの時のように氷の壁は張れても、剣や弓といった武器を生成するのは、はたして今の自分にできるだろうか。言いたくはないが、全盛期だった数年前より確実に衰えている。

 これも平和というぬるま湯につかりながら今日まで過ごしたツケだろう。

 対してナツメはマシだ。彼女はジムリーダーだし、相手の力量は兎も角バトルをする。リーフ達もそれぞれチャンピオンでジムリーダーだ。ブルーは……知らん。いま戦えば、シンクロ抜きなら負けてしまうかもしれない。

 もしこの場にレッドがいて、彼がいまの自分を見たらどう思うだろうか。

 失望? それとも──。

 周りが静かになる。どうやらパルシェンがすべての爆弾を処理したようだ。パルシェンをボールに戻すと、家からナツメを先頭にみんなが出てきた。

 

「どうやら本格的になってきたわね」

「はい」

「大丈夫? ちょっと無理したんじゃない?」

「大丈夫です。この状況で休むわけにはいかないもの」

「そう」

 

 何だかんだで彼女は私を心配してくれる。彼女は年下であるがそういうところは可愛いと思うし、仕えるべき主として信じている。

 

「だが状況は最悪だぞ」

 

 グリーンが現実を突きつける。現に他の島の上空がどこか明るい。この4の島のように空爆が行われているか、例の三獣士が破壊を始めたのだろう。

 

「三獣士がいるのは5、6、7の島。ここは多分平気だと思うけど……いまは侵攻を受けている残りの島を優先しましょう」

 

 ナツメは改めて状況を説明しながら言った。

 

「それならば5の島にリーフとブルー。6の島にオレが行こう」

「どうしてあたしまで?」

「そうだよ。それこそ、ブルーには別の島に……」

「たしかにそうだ。だがもしあのポケモンが再び現れた場合、一人より二人の方がいい。それにだ。効果はあるかわからないが、ブルーがいればいくらか錯乱させることは可能かもしれない」

「策とは呼べないけど、ないよりはマシね。いいわね、リーフ」

「え……う、うん」

 

 ブルーの問いにどこから歯切れの悪い問いをするリーフ。まるで、最初から一人で行きたいかのように顔をしている。

 けれど、いまはそんな個人的な我儘を指摘するつもりも余裕もない。

 

「なら7の島には私が行くわ」

「となれば、残りの島は私で一人で抑えるわ」

「奥様⁉」

「1から3の島を一人で⁉ 無茶やでそれは!」

 

 沈黙していたマサキが叫んだ。彼の言う通りだ。いくらエスパー使いとはいえど、そこまでの事ができるわけが……。

 

「いいえ。いまの私ならできるわ。それだけの力はあると自負はしている。それに忘れた? これでも私、レッドと互角の戦いをしたのよ? アレに比べたらよゆーよ、よーゆぅ」

『……』

 

 自分をはじめ、彼女以外の全員が困惑しながら互いを見る。まあ、言っていることは理解できるのだ。理解だけは。彼女の力はここ数年に比べれば、本人が言ったように未来予知の頻度が減った代わりに、力はたしかに増加した。それは認める。

 けれど、彼と互角の戦いをしたと言われても、それを知るのは本人しかいないわけで。それでもこのメンバーで一番臨機応変に対応できるのは、残念ながら彼女しかない。

 

「わかった。それでいこう。まずはシーギャロップ号にいるばあさんと合流する」

 

 それに誰も反対することなく、全員が頷いた。ただ一人、マサキが恐る恐る手を上げてはいたが。

 

「戦力にならないわいはどうしたらいいんや?」

「ふむ。とりあえず、マサキはリーフ達と一緒に行ってもらう。オレやカンナは誰かを守りながら戦うのは得意ではない。それにばあさんに押し付けるのもな。ならば、リーフ達と行動してあのポケモンが出てきた際に観察してもらうか。いまのオレ達にはポケモン図鑑がないからな」

「わかったで。分野は違うけど、可能な限りやらせてもらう」

「リーフ。その時のためにレッドのカメックスを渡しておく。カメックス達はどうやらデオキシスの気配がわかるらしいからな」

「わかった」

「それとカンナ」

「はい?」

 

 さあ行動開始と言わんばかり中、ナツメが名指しで言ってきた。

 

「熱くなるんじゃないわよ」

「わかってます」

「ならいいけどね。それにあんた、かなり腕が鈍ってるから気を付けなさい」

「……それは奥様のメイド使いが荒いからで……」

 

 彼女の身の回りのお世話はもちろん、屋敷の管理はほぼ私が行っている。さらに当然のように家事全般も毎日こなしているのだ。これで鍛錬を怠るなという方がちょっと無理がある。

 それにレッドの彼女なら料理の一つぐらいはできてほしいものだ。彼が旅に出る前は毎日私の料理を食べていた。言い換えれば、彼の舌は私の料理の味になれているわけだ(希望的観測)。

 極論であるが、女としての完成度は自分の方が高い。料理もできない、掃除もしない主よりは大分マシなのだ。

 しかしだ。それをいまここで愚痴っても仕方ないので、そっと胸の奥にしまう。

 

「何か言った?」

「いえ、なにも」

 

 ギロッと睨め付けるようにこちらを見てくる。もうその眼にもだいぶ慣れたと思うあたり、この関係を気に入っているのだろう。

 まあ口には出さないだけで、こうして心の中を読んでいるんだろうとはあえて言わないでおくことにした。

 それにここで余計な体力を消費することはできない。なにせ、人生で一番過酷で長い夜になりそうだから。

 

 

 

 

 

 トレーナータワー。そこは7の島の最突端に建造された建物で、以前は多くの島民たちが腕を鍛えるためにタイムアタックを競ったとされる施設。

 残念ながらいまはロケット団の極秘施設になってしまっている。建物の最上階にある部屋で、サカキはそこからナナシマを見渡していた。

 夜だというのに各島の空は赤く夕暮れのような雲空をしているように明るい。つまり作戦の第三段階後半が始まったということになる。空から無数のモンスターボール型爆弾による空爆は、ナナシマの地形を変えるには容易な威力を持っている。

 地形が変わり、自然が消える。建物は壊されて人々は住む場所を失う。久しぶりに悪を執行しているという実感が湧いてくる。

 島民たちはその憎悪を実行犯である我々ではなく、事の発端になった図鑑所有者達に向けられるだろう。良くも悪くも人間とは、そういうものだ。

 まあそれも作戦の内の一つなのだから、こちらとしては敵の心情などどうでもいいのだが。

 

「しかし……ここまでして現れないとは」

 

 この作戦の根本は我が宿敵をおびき寄せるために練ったものだ。すべては私があいつと戦うための舞台装置でしかない。

 だがどういう訳か、今日までその姿も噂もありとあらゆる情報が入ってこない。このままでは本来の目的を達成することなく、作戦が終わってしまいそうだ。

 

「レッド。お前はどこに──なんだ」

 

 部屋の自動ドアが開くと同時に振り返る。そこには隊長クラスの団員がやってきた。

 

「報告します! 4の島の空爆は失敗! なお4の島にあたっていたポケモンはすべて未帰還! 続いて三獣士と図鑑所有者が交戦を開始しました!」

「予定通りだな。で、他の島の攻撃はどうなっている」

 

 外の光景を見れば聞かずともわかるが、それが彼の仕事だ。それを奪うわけにはいかない。

 

「はッ! 1から3の島の空爆は成功。最優先目標であるポケモンセンターの破壊は確認しております。現時点では4の島以外のポケモンセンターは破壊とのことです。すでに工作部隊が4の島に向けて出撃中です! ですがそれと同時に、1、2、3の島の破壊を行っていた部隊がヤマブキのジムリーダーによって襲撃をされました!」

「ふっ。いっちょ前に正義の味方かい。まあいい。それも想定内だ。一応訊くが、『R』はどうだ」

「現時点はこのナナシマ内にして『R』の存在は確認できておりません。同じく全国の諜報部からの連絡でも同様の返答がきております」

「わかった。下がっていい」

 

 団員と入れ替わるように研究主任のメガネがやってきた。サカキからすれば、この男の評価は組織の中では高い方であった。優秀というのもあるが、個人的に気に入っている部分がたしかにあるのが原因だろうと、自身ですらはっきりしない中適当な理由をつくる。

 それでも彼の忠誠心は相当なもので、研究主任以上の地位を与えているのもあってか、団員の中では一番身近な人間ともいえた。

 

「なんの用だ」

「一応報告に参りました。ふたつの石の研磨はもう間もなく完了します」

「そうか。デオキシスはどうだ」

「ポケモン図鑑の性能がたしかならば、格段に成長しております。たったあれだけの図鑑所有者たちのバトルで、予想を上回る成果を出しています」

 

 ポケモン図鑑。オーキド博士を拉致した際に手に入れた3つのポケモン図鑑は、研究部門によって解析および独自の図鑑を開発した。

 本人にも協力を頼んだが、さすが元チャンピオン。簡単に悪に協力するほど老いてはいないらしい。

 

「だろうな。その血がアレには入っている」

「それは彼ですか? それともマサラの血がですか?」

「一々答えると思うか?」

「失礼。そのデオキシスですが……先程どこかへ向かいました。恐らく──」

「ふっ。よくわからない奴だ、アレは」

「よろしいのですか?」

「構わん。そもそもアレにできるコミュニケーションは……戦うことだけだ。戦うことでしか伝える方法を知らん」

「子は親に似る……というやつですか」

「さてな。まあ……親という意味ではそうだろうよ」

「そうですね。ところで──」

 

 メガネが声のトーンを落として、先程とは違って真面目な声で言う。まるで、ここから本題かのように言いたげだ。

 

「いつまであの女を泳がせておくのですか?」

 

 研究主任という役職の割には、この男は戦闘以外ならすべてこなせして見せる男だ。自分も信用している団員の一人ということもあって、彼は一部を除いて自分と同様の機密情報を知っている。だからこそデオキシスの事を一任していることでもあり、この男が優秀で忠誠心もあり、自分が信用をおいているからしていることだ。

 

「サキか」

「ええ」

 

 ロケット団は去る者は追わず来る者は拒まずな組織だ。だからといってその人間の経歴を調べずに入隊させるほど甘くはない。

 徹底的に洗うのだ。出身地から人間関係、前歴とあらゆる情報を洗い出す。

 だからというわけではないが、ロケット団で構成されいる大半の人間は訳ありの人間が多い。その中で三獣士の一人であるサキ。あの女は自然過ぎた。彼女の情報の真偽はこの際別として、その情報は違和感がないのである。違和感がなさすぎて逆に不自然だった。

 なによりもあの目。あれはそこらへんのチンピラや小悪党がしている目ではない。まさに自分と同じような裏の人間がしている目だ。

 だが、その肝心の目的がわからず今日まで放置している。ロケット団の情報網が欲しいのか、それとも資金源か。理由は依然と不明なまま。

 

「時間はかかりましたが経歴からくまなく洗い出した結果、シンオウ地方からやってきたというところまでは掴んでおります。これもブラフの可能性もありますが、いまのところはこれが彼女が最初に使ったルートだと思われます」

「シンオウか。たしか──」

「はい。我がロケット団程ではありませんが、シンオウにも同業者がいるようです。諜報部の調査ではまだ存在しか掴んでおりません。ですが、我がロケット団ほどの組織力はないという報告です」

 

 だろうなと、サカキは口には出さず判断した。

 ロケット団という組織は一度壊滅したが、その組織力は以前よりも強固になった。先の事件とジョウトの事件での影響で、未だにカントーとジョウトは以前よりも小規模になったものの、全国的に見れば壊滅以前よりも大規模になっている。各地には諜報員がすでに組織から個人に至るとろこに潜入しており、カモフラージュとして拠点という名の店や企業も存在している。

 それだけ我が組織……自分に忠誠を誓う団員の力が有能だという証だろう。

 だというのに、一人の男すらいまだに捕まえられないのだから皮肉なものだった。

 

「どうしますか? 目的は依然として不明ですが、不安材料は排除すべきだと進言します」

「ふむ。あれはあれで優秀だからな。困った」

「サカキ様」

 

 メガネはお戯れをと言わんばかりに困惑した顔をしていた。まあそうなる。

 

「心配するな。デオキシスがいようがいまいが、あの女程度に遅れをとる私ではない」

「では……」

「いまはまだ泳がせておけ」

「わかりました。これで失礼します」

 

 メガネが退出するのを待って、サカキは再び窓の向こう側を眺め、そっと目を閉じた。

 暗闇の中で、まるで映画のように映像が流れる。そこは海だ。暗いが間違いない。映像は移動し、ある場所へと向かっているのがわかる。

 そして目の前に一つの島が見えた。島からは煙があがり、聞こえるはずのない悲鳴のような声も聞こえる。彼はそれだけわかると、閉じていた瞼を開いた。

 

「……5の島だな。そうまでして会いたいか……ま、オレも人の事は言えないな」

 

 ポケットからあるものを取り出す。そこには「SILVER」と縫われたハンカチだった。

 

 

 

 

 

「どうして……どうしてじゃん⁉」

 

 ハガネールの頭の上でチャクラは動揺しながら叫ぶ。

 目の前には図鑑所有者の一人であるリーフと、その後ろに同じく図鑑所有者のブルー。それとおまけにあずかりシステムを作ったマサキと呼ばれている男がいる。

 リーフの前には二体のポケモン。ハピナスとその進化前であるラッキーがいる。その二体によってこちらの攻撃は依然として一撃も入っていない。

 いや、攻撃を与えてはいるがまるでダメージが入っていないかのようにぴんぴんとしている。

 それまでは順調だった。そう、順調だったのだ! ナナシマ全島に放送をしてから、全島に攻撃を開始して、そこまではよかった。空爆による破壊と、手持ちのハガネールによって町を攻撃していく光景はなんとも楽しいかった。ハガネールの頭から見下ろすのこの島の光景は、まるで自分が神になったような気分にすらなれた。

 それが図鑑所有者たちが現れてからはしごを外された気分だ。

 

「忘れたの? 目の前にいる女が誰か」

「な、なに⁉」

「わたしはリーフ、『鉄壁のリーフ』。チャンピオンになって以来、このラッキーを突破した者はいない。ま、姐さん(ハピナス)は毎回5たてしてたからしょうがないけど」

 

 思い出した。たしかリーフの手持ちのハピナスとラッキー。この二体は『桃色の双璧』と呼ばれているのを。

 またの名を『桃色の悪魔達(ピンクデビルズ)』。

 

「本当は手を抜いてあげてたんでしょうに。お優しいこと」

「レッドだったら容赦なく一体で6キルやろうしなあ」

「目の前でごちゃごちゃうるさいんじゃん! だったらこの尻尾で串刺しにするだけですからァ!!」

 

 ハガネールは大きく尻尾を振りながら、その先端をリーフに直接向けた。

 ポケモンはともかく、人間なら一発で即死。チャクラの顔に余裕が出たのか口元が緩む。だがどういう訳かリーフは避けることなく、むしろラッキーが跳躍して間に入った。

 

「な、な……ラッキーのくせに生意気じゃん!! そのまま薙ぎ払えハガネール……ハガネール⁉」

 

 命令してもハガネールはなぜか言うことを聞かない。身を乗り出してハガネールの顔を見れば、とても苦しい表情をしており、この巨体を震わせていた。視線を先程のラッキーの方に向ければ、目の前のラッキーは「かたくなる」状態で、それに止められたハガネールの尻尾の先端にひびが入っていた。

 

「そ、そんなことありえないじゃん⁉ ハガネールは鋼タイプで、その鋼の体にひびが入るなんて……」

「あら。ロケット団のくせに情報がないの? そのラッキーは、あなた達が必死に探しているレッドが育てたラッキーよ」

 

 傘に変身させたメタモンを持ちながら、鼻を鳴らして上から目線で言うようにブルーが言った。実際に見ろしているのはこちらだが、どうにも腹が立つ言い方だ。

 だがいまの自分にそんな余裕はなかった。

 

「あ、あの男の……⁉」

「ラッキ~」

 

 ハガネールの尻尾にひびを入れた張本人は、そのふくよかな腹を張って偉そうにしていた。

 

「だからって……そんなの関係ないですからァ!! いけ、フォレトス!!!」

 

 隣に控えていたフォレトスに命じる。技を叫ばなくてもフォレトスとはどうすべきかわかっている。そう、だいばくはつだ。例え図鑑所有者といえど、この至近距離のだいばくはつではどうもできない。

 

「姐さん!」

 

 リーフが動いた。彼女は走り出すと、ハピナスを土台にして落下しているフォレトスに向けて跳躍した。そのフォレトスはまだ、技に入る一歩前の段階。何をするのかはわからないが、それはただの自殺行為だ。

 ──リーフのみねうち! フォレトスは気絶した! 

 

「……は?」

 

 一撃。たったすれ違うその一瞬に、リーフはフォレトスを左手で叩いた。それだけで気を失ったフォレトスは、そのまま地上へと落下していく。

 な、なんで……そんなバカな。

 放心しつつも、目の前に迫るリーフはこちらに迫る。まだ痛みが引かないハガネールが応戦しようとするが、当然一歩出遅れて彼女の攻撃を許した。

 

「はああああああ!!!」

 

 ──リーフのからてチョップ! こうかはばつぐんだ! ハガネールはたおれた! 

 右手で真っ直ぐハガネールの脳天とも言うべきところ、まさに自分が座っているすぐ前に、その一撃が叩きこまれた。

 

「うわあああ!!!」

 

 意識を失ったハガネールが、自身の体の制御ができなくなり態勢を崩す。その結果チャクラはハガネールの頭から地上へと落下しいく。

 痛い。

 それだけで済むのは、彼もまたポケモントレーナーだからであろうか。彼は背中から落ちたのか、片手で背中を抑えている。

 だが、その痛みを和らげるまもなく、さらなる痛みが襲う。

 

「ぎゃあああ!!」

「はい、いっちょあがり」

「ほんま容赦あらへんな」

 

 痛みに耐えながら顔を後ろに向けると、黒いスカートを着こなす女……図鑑所有者の一人であるブルーによって、体を地面に押さえつけられていた。この痛みは脚で押さえつけられている割には面積が偏っている。よく見れば、足には普通では身に着けていないような鎧のような形をしていて、たぶんかかとがハイヒールのようになっているのだろと察しがついた。

 

「あなた、よくだいばくはつを使う癖があるでしょ?」

「そ、そんなことないですから……」

「そうかな。勘だけど、状況が悪くなるとだいばくはつをして不意を突くか、逃げることばかりしそうな気がするけどね」

「はいはい、チャンピオンらしいお説教はおしまい! さ、答えさない。あなた達の目的は? それとオーキド博士とあたしのパパとママはどこにいるの?」

「ぐっ……そ、そんなの、簡単に吐くわけないですから」

「答えなさい!!」

「ぐあッ!!!」

「ブルー! それはやりすぎ──!」

「ん?」

 

 リーフが何かに気づき、それに釣られてブルーの力が弱まる。同時に彼女は自分が破壊した町の瓦礫に向かって駆け出した。その方向に足が向いているので、そちらに向きたくても押さえつけられている所為で見ることはできないが、「だ、だれか……たすけて……」と助けを求める声が聞こえる。

 

「大丈夫ですか! 安心してください。この島を襲っていたヤツは捕まえ──っ!!」

「なにが大丈夫よ、なにが安心してくださいよ! あんた……テレビで言ってたリーフね。あんたたちがこの島に来なければ、こんな事にはならなかったのに!!」

 

 どうやら助けようとした住民に野次を投げられているようだ。この島を壊したのは自分であるが、その矛先は島を救った彼女達に向けられている。

 まさにこれを愉悦というのだろうか。

 たしかにこれは悪くない。

 

「そ、それは……こっちにも事情が……事情があって……」

「事情? 事情ってなんだよ!」

「そうだそうだ! あんたらがいる限り、ナナシマは酷い目に遭うんだ!」

「何がチャンピオンだよ。町一つ守れないくせに。それでよく鉄壁のリーフだなんて呼ばれているな!」

「それに『レッド』っていうのはお前達の仲間なんだろ? じゃあ、お前らも犯罪者の仲間ってことじゃないか!」

「ちょ、ちょっと待ちぃ! みんなの怒りはわかるで。でも、だからってリーフ達を責めるはおかしいで! それにレッドは、みんなの思っているような男じゃ──」

「うるせぇ! おれは噂で聞いたことあるぞ。レッドが関わると、ろくな事にならないって!」

「ち、違う! レッドは、レッドは──」

 

 住民たちの怒りが込められた罵詈雑言が飛び交う。それを聞いて思わず口が緩んだ。

 

「くくく。いい気味じゃ──んっ⁉」

「あんたらが仕掛けておいてよく言うわね。さ、答えなさい。答えないなら……あんたにもう用はないわ」

 

 抑えていつけていた右足をどけたので、体を動かしてブルーを見た。そこには左足を高く振り上げて、まさに自分に振り下ろそうとしている。スカートとのスリットが左側のために、彼女の若々しいおみ足がもろに見えるが、背後に見える月と相まって、まるで首を落とされるギロチンのようだと恐怖し、それどころではなかった。

 

「わ、わかった! 言う、言いますから! あ、あのポケモンの名はデオキシス! ロケット団の目的は図鑑所有者とデオキシスを戦わせるのが目的!!」

「……デオキシス……だからと言って、なんでこのナナシマで? なんでオーキド博士やあたしの両親を誘拐するの……答えなさいッ!」

「し、知らない。そこまでのことはぼくも知らないですから!!」

 

 ウソだ。といっても、そこまで差はない。この作戦の目的は大きく分けて二つ。

 一つは本作戦の主目的が現在行方不明である『R』こと、マサラタウンのレッドをおびき出すことにある。そのために彼の幼馴染である図鑑所有者たちを利用、さらにはナナシマを犠牲にすれば最悪出てくること。

 二つ目はデオキシスの経験値を稼ぐことにある。そのために図鑑所有者たちをおびき寄せて、デオキシスとバトルさせたのだ。

 こいつの両親の件に関しては、本当に偶然であった。

 

「……まあいいわ。とりあえず、あのポケモンの名前がわかっただけでもよしとしましょうか」

「ほ……」

「だけど、あんたはこのままにしておくわけには──」

「──おやおや。どうやらもっと面倒なことになってますね」

 

 首を横に傾けて、ブルーの背後にいるリーフとマサキが対峙している住民達との言い争いが、先程よりも白熱しているようだった。

 

「ええか! リーフ達はあのポケモン学の権威であるオーキド博士の孫であり、博士に認められたトレーナーで、さらにポケモン図鑑を託された特別なトレーナーなんや!」

「じゃあその図鑑を見せてみろよ」

「そうだよ」

「いまは……ないの」

「ほら見ろ! やっぱり疫病神だ!」

「なんやてぇ!」

 

 まさに一触即発の状態だった。追い詰められているリーフは苦い顔をしながら俯いていた。いい気味だ、そんなことを思っていると、彼女と目の前のリーフのボールが勝手に開いた。

 黒いリザードンにフシギバナ、カメックス。情報が間違いなければ、この三体のポケモンはマサラタウンのレッドの手持ちのはずだ。

 彼らは外に出るなり、空を睨みながら雄叫びあげている。雰囲気はすでに臨戦態勢であった。

 

「リザードン達が出たっちゅうことは──」

「……来る」

「お前らは一体なにを言っているんですか……え」

 

 彼らの視線の先。そこには、空から降り立つデオキシスの姿があった。

 これは聞いていない。

 デオキシスはトレーナータワーで、ふたつの石の研磨を待つために待機していたはずだ。それがなぜ……まあいい。これはチャンスだ。

 

 

 

 

「さあ答えてもらおうか。おじいちゃん達はどこにいる」

「ゲヘゲヘ……そう簡単に吐くわけないんだな」

 

 6の島の海岸でグリーンはオウカを追い詰めており、彼に刀を向けていた。戦いはすでにオウカの仕込みが入ったこの場所であり、彼は自身のツボツボを司令塔にこの場所に生息する同族達を使ってグリーンに襲い掛かった。

 だが所詮は野生ポケモン。ツボツボは確かに防御力の高いポケモンであるが、グリーンの前ではさして脅威ではない。彼と幼い頃から共に育ったハッサムは共に高い領域へと踏み込んでいる。

 もしレッドがいまの二人を評価するならば、シンクロに最も近くて遠い場所にいるというだろう。二人の絆はたしかにシンクロができる領域ではあるが、肝心のグリーン自身がそこに踏み込めないでいるのだ。

 言い換えればそれが当たり前で、それ以上のモノは存在するわけないと、レッドの戦いを見てきた彼はそれを非現実的だと思い込んでしまっているのだ。

 それでもグリーンとハッサムは並のトレーナーではたどり着けない高みにいる。三獣士と名乗るだけあってオウカの実力は大したものであるあるが、二人の前では強敵とはならなかったようである。

 

「そうか……なら、これでもか?」

「いてててて!!」

 

 グリーンは刀を容赦なくオウカの太ももに突き刺した。刺したと言っても刃は潰れて、実際に刺さっているわけではないが、やろうとすれば刺すことだってできる。そんな刺さらない程度の加減をしながら、グリーンは再度オウカに問う。

 

「言え。お前に選択肢はない」

「と、トレーナータワー。トレーナータワーにいるんだな!」

「無事だろうな」

「い、一応は無事なんだな。協力を拒んだから、多少手荒な歓迎をしたけど……」

「そうか。それだけで聞ければ十分だ」

 

 ──グリーンのみねうち! オウカは気絶した。

 刃ではなく鞘でオウカの頭部を叩き、彼が気絶したのを確認すると、グリーンは鼻を鳴らして他の島の方角へと目を向けた。

 

「さて。こっちは片付いたが……なんだ、あの光は」

 

 方角的に5の島。リーフ達がいる島に、一瞬大きな閃光が起きたのを確かに見た。

 

「嫌な予感がするな」

 

 グリーンはリザードンを出すと、彼の背に乗ってまずは海上で待機しているシーギャロップ号に合流すべく向かった。

 

 

 

 

 

 

 7の島某所。そこではすでにカンナとサキによる戦闘が行われていた。

 カンナはヤドキング、ルージュラを繰り出し、対してサキはペルシアンとスターミーだけで元四天王であるカンナを翻弄していた。

 ロケット団三獣士と名乗るだけの実力を彼女はたしかに持ち合わせており、ならばこそカンナは自身の力を最大限に発揮するのが得策だった。

 だが故郷であるナナシマを、ここまで火の海にしたロケット団に対する憎悪は簡単には消えない。4の島でナツメに釘を刺されたものの、すでに彼女は怒りだけで戦っていた。

 カンナの氷使いとしての力はトップクラスである。だがそれも、『仮面の男』としてゴールド達を最後まで苦しめたヤナギには一歩、二歩劣る。

 それでもヤナギにはない力を彼女は持っていた。

 氷の人形。人間、ポケモンと対象の人形を作り、そこに印を書くだけで対象を凍らせることができる。かつて四天王事件の際に、これであのレッドを封じ込めたのだ。

 なのにそれをしないのは、自身の手で引導を渡すために冷静な判断力を失っていたためだった。

 

「貴様らロケット団は、このカンナが絶対に倒す!」

「ふっ」

 

 ヤドキングとルージュラは共にシンクロを可能としているポケモンであるが、いまはシンクロをしていない。少し前まであれば2、3体までなら同時シンクロは可能だったものの、ブランクのせいで一体が限度。

 実際やれないことはないが、目の前のサキ相手では脳の負担が大きすぎる。こうして移動しながら戦いを続けていては、集中力も長くは持たない。

 例えシンクロをしなくても、長年共にいたポケモン達だ。口に出さなくとも意志は伝わる。

 襲い掛かるペルシアンをヤドキングが吹き飛ばし、迫るスターミーに対してルージュラがれいとうビームで動きを封じ込める。

 言ってしまえば、先程から同じ戦闘パターンを繰り返しているだけど、ようやく気づいた。

 おかしい。

 なんでこいつはここまで余裕でいられる。なぜ追加のポケモンを出さない。仲間である他の三獣士の二人とは違い、全くその意図が読めない。

 

「恨むなら、あの男を恨むんだな」

「なに!」

「あの男が初めからいれば、こんなまどろっこしい作戦など最初から立てずに済んだのだからな」

「──ッ!」

 

 思わず舌打ちしてしまう。

 あの男──それはレッドのことを言っているのだろう。だから全国に手配書をばらまき、ナナシマが被害に遭っているのだ。

 故にそれに気づいた自分に舌打ちした。それを思った瞬間、少し彼に怒りが向いてしまったから。

 レッド、あなたがいればこんな事にはならなかった。あなたが傍にいてくれたら、私の故郷がこんな目に遭うこともなかった。

 そんな思いが私の心を締め付ける。

 

「図星だなあ」

「黙れぇ!」

「おっと」

 

 ルージュラの攻撃を後ろに跳ぶことで軽々と回避される。

 

「さすが元四天王。いやはや、情報より中々やるのでだいぶ時間を割いてしまったよ」

「その余裕がどこまで続くかしら」

「フム。たしかにいずれは私がお前に敗北する確率のが高くなるだろうな。私はこう見えて、バトルはあまり得意ではないのでね」

「減らず口を……!」

「だからこそ。ロケット団らしく卑怯な手口を使わせてもらった」

「そんな脅しには──」

 

 パチン──と、サキが指を鳴らした直後。このナナシマ全体を巨大な大地震が襲う。幼少の頃、何度か地震を経験したことがあるが、これはその時とは比べ物にならないほど異常だ。

 

「フフフ。ここに来る前にちょっとしたしかけをしておいた」

「しかけ……?」

「そう。この7の島にあるアスカナの鍵を」

「アスカナの鍵……まさか、開けたというの⁉ じゃあまさか、7つの石室が……!」

 

 アスカナの鍵。それは7の島になる『しっぽうけいこく』にある遺跡のことである。7の島の島沖には7つの石室がある。

 イレスの石室、ナザンの石室、ユゴの石室、アレボカの石室、コトーの石室、アヌザの石室、オリフの石室。

 これら7つの石室を一纏めでアスカナ遺跡と呼ばれている。

 多くの考古学者たちがこの地に訪れ調査と研究を行ってきたが、その謎は解明されないままだった。

 それをまさかロケット団が解くとは、なんとも皮肉なことだろうか。

 

「そうだ。誰ひとり開けたことがない7つの石室の封印を我々が……解いた」

「それが一体なんだと──!!!」

 

 その時だ。

 地震が収まると、同時に無数の気配を感じ取った。その方へと目を向ければ、こちらに向かって一面の黒が迫ってきている。

 夜だというのに、薄っすらと見える。あれはまるで……川だ。黒い川が意志を持って自分達を島ごと飲み込もうと押し寄せてくる。

 それがアンノーンだということに気づいたのは、傍に控えていたヤドキングとルージュラが黒い川に体を拘束されて、倒された瞬間だった。

 どうやってこれだけのアンノーンを支配しているのかは不明だが、間違いなく目の前のサキが指示を出していると言うことは間違いないと、トレーナーとしての勘が告げていた。

 同時に体はすでに別の行動を取っていた。パルシェンを出し、シンクロをしながら辺り一帯にいるアンノーンに向けてとげキャノンを放つ。

 もしこれがレッドによって鍛えられていなかったら、たった数回技を放って終わっていたかもしれない。だけどいまなら別だ。パルシェンと自分の精神力が続く限り、とげキャノンという名のミサイルは発射される。

 幸いだったのは標的がアンノーンだったことだ。

 アンノーンはお世辞にも強いポケモンではない。技も「めざめるパワー」しか覚えない。それにアンノーンは単体ではなく、群れをなしているポケモンだ。だからこそ狙いをつけやすく、一発で倒すことが出来る。

 撃ち落とされたアンノーンが次々と落下していく。その間も常に気が休む日もなく、アンノーン達に集中する。

 ズキ──脳が割れるような激痛が襲い始める。

 それも当然だ。これだけの相手を常に全力で相手をしている。瞼を閉じることなく、「そこ──上──2時の方角──」と絶えずパルシェンに指示を出しているからだ。

 時間にして2分弱。当人は知らないが、この短時間で迫るすべてのアンノーンを撃墜した。

 

「ハァハァ……!!!」

 

 苦しい。呼吸をしながら立っているのがやっと。

 カンナの姿はこの島に来たときの原型を留めていない。サキとの戦いでボロボロになったメイド服。スカートは所々破れ、穴も空いている。髪をまとめていた髪留めが戦いの中で壊れて、美しい長髪が垂れている。

 肩で息をしながらも、彼女はサキから視線を外さない。

 

「素晴らしい……流石は元四天王。想像以上の戦いだ」

「……っ」

 

 パチパチと拍手を送るサキに言葉を返す気力もない。少しでも息を整えて次の戦闘に備える。こちらのパルシェンはまだいける。問題は自分だけだ。

 対して先のペルシアンは地面の上で倒れている。それにスターミーもそのすぐ傍で……傍にいない? 

 

「だが──これでチェックメイトだ」

「!!!」

 

 サキの視線の先。それは自分の前に崩れていた瓦礫の表面に赤い宝石が薄っすらと現れる。

 それはスターミーの「ほごしょく」の能力だった。姿を現したスターミーの赤い核が光を収束していた。

 私は咄嗟に右腕を差し出して、久しく作ってなかった「氷の壁」を展開した。

 ──スターミーのはかいこうせん! 

 

「ぐぅ──!!」

 

 パルシェンとのシンクロの補佐で、なんとか壁を生成することはできた。

 だが、小さい。手のひらを中心に自分の身長の半分ぐらい壁しか作り出せない。

 これも鍛錬を怠っていた罰だ。

 例えこれだけでもマシだと思っていても、残念がながら思っていた以上に強度はない。つまり……スターミーのはかいこうせんに耐えられるほどの強度を持っていない。

 ばり──と一つヒビが入る。それに続いてどんどんヒビが広がり──割れた。

 

「──!!!」

 

 スターミーが放ったはかいこうせんはそのまま壁を粉砕すると、カンナもろともパルシェンを巻き込み吹き飛ばした。

 

「貴様の敗因はたった一つ。怒りに捕らわれずに、お得意の『人形』を使って私を倒すべきだったことだ」

 

 吹き飛ばされながら薄れゆく意識の中で、彼女の声が透き通るように耳に入る。

 ああ、そうだとも。お前の言うようにそうすればこんな目に遭わずにすんだ。そうしなかったのは私の意地だ。トレーナーとしてのプライドがそうさせた。

 つまり……慢心していたのだ、私は。

 例え力が鈍っていても、シンクロという絶対的な力があれば、貴様らなんぞ楽に倒せると。

 

「ほんと、ここでお前を排除できたのは僥倖だったよ。元四天王……カンナ」

「……る……ゅ……ら……」

 

 シンクロできているかのすらわからず、ただサキの傍で倒れているルージュラに指示を出す。

 すでにカンナはそれを見ることはできないが、ルージュラはその命令を確かに受け取り、口から白い息を吐くとサキの左足首にまとわりついた。

 

「これで邪魔者が一人減った。さて、行くか。そろそろ石の研磨が終わる時間だ」

「──」

 

 最後よ方になれば彼女の声などすでに届いていたなかった。消えつつある意識の中で思っていたのは故郷であるナナシマのことでも、ナツメ達の安否でもなかった。

 ──ごめんなさい……レッド。

 思い焦がれる少年の期待を裏切った自責の念に駆られていた。

 

 

 

 

 

 リザードン達がボールに出るほんの少し前から、もしかたらそのデオキシスというポケモンがきているのではないか、そんな予感はしていた。

 体の中で流れる血が沸き立つ感覚。先のシーギャロップ号で起きた同じ現象が、自分の身に起きていたからだ。

 デオキシスはほぼこの真上からやってきた。あの時とは違い、はっきりと姿形を捉えることができる。

 

「第三の……姿……?」

 

 ブルーが言った。彼女の言うように姿は見えるが、その体はどこかおかしい。例えるなら透明だけど、それでも体の形ははっきりとしている。

 地上に近づくにつれてデオキシスかどうかはわらからないが、彼は砂埃を巻き上げると視界を奪った。

 それに思わず腕で顔を覆う。腕を引いて次に視界に入れた時には、シーギャロップ号でみた姿になっていた。頭部や触手に膝の部分が鋭く尖っている。

 同時に背後で悲鳴が聞こえる。「逃げろ──!!」、「ほら見ろ! やっぱり疫病神じゃないか!」先程の住民達が叫びながらこの場を離れていく。

 胸に突き刺さるが、巻き込まれないためには正しい選択だ。それを責めることはできない。

 

「あれこそデオキシス・アタックフォルムじゃ~ん!」

「な──お前、いつのまに!」

 

 マサキの声で気づいた。どうやら先程の砂埃に乗じて、チャクラがブルーの拘束から向けだしたらしい。それを見てブルーが彼を睨みながら舌打ちをした。

 

「さあデオキシス! 図鑑所有者たちを倒してください!!」

「……」

 

 沈黙。

 デオキシスはチャクラの言うことを聞かず、ただ不動のままリーフに視線を向ける。

 

「どうやらロケット団の配下といっても、あんたの言うことは聞かないみたいね」

「ちょ、ちょっと言ってみただけですから!」

 

 いまのでまた一つ判明した。デオキシスは少なくともロケット団の配下であっても、三獣士の配下ではではないということが。

 となれば、彼に命令できるのは限られてくる。

 

「けど、わいらの予想が当たったで」

「ええ。このままあたしとリーフで──」

「ごめん、ブルー。わたし一人でやる」

 

 肩にかけていたショルダーバッグを置いて、デオキシスと向き合うように前に出る。

 

「なにを言っているんやリーフ⁉ ここはブルーと共闘してあいつと戦った方がええに決まってる!」

「わかってる。けど、それでも一人でやらなきゃいけないの」

「リーフ……だからあなた、グリーンの提案を渋ったのね。最初から一人で戦うつもりで……」

 

 ブルーの言葉にリーフは振り向かず無言で頷いた。

 すると外に出ていたハピナスとラッキーが前に出る。彼女達も一緒に戦う覚悟はしている。ならばこそ、全員で戦いに挑まなければいけない。

 そう思って腰にあるボールに手を延ばそうすると、一体のポケモン……レッドのカビゴンがこちらを向いて出てきた。

 

「ゴンゴン!!」

 

 両手を広げて顔を横に振っている。

 行くな。彼はそう言っているのがわかると、続けてレッドのリザードン達を指で指しながら、自分達に任せろ、そう言っているようだった。

 それに呼応するかのようにリザードン達が前に出て、わたしを止めようとする。

 

「ありがとう。でもね、今回はリザードン達は手を出さないで」

「ゴン⁉」

「上手く言えないけど……わたしがデオキシスと戦わなきゃいけない気がするの。なによりも、わたしがやらなきゃ……レッドじゃない……わたしが、みんなを守らなきゃいけないの」

「ご、ゴン……」

「リザリザ」

 

 カビゴンがリザードンに助けを求めると、彼は首を横に振ってカビゴン、フシギバナ、カメックス共に後ろに下がった……いや、下がってくれた。

 

「ブルーも、何があっても手を出さないで」

「……約束はしないわ」

「それでもいいよ」

 

 ハピナス、ラッキーに続いてわたしのフシギバナ、ギャラドス、プテラ、カイリューを出す。キュウコンは現在お姉ちゃんのところにいる。レッドのラッキーが手持ちに入ったために、ボックスに預けるのも忍びないと思って、コンテストにもでるお姉ちゃんに預けてある。

 他にも多くのポケモンがいる中、スタメン候補でもあったイーブイのブイブイ。あの子はレッドが何かしたようで、案の定数年前に進化した。

 それもブースター、サンダース、シャワーズ、ここ数年の間に発見されたエーフィとブラッキーとも違う新しい進化。

 名をニンフィア。レッドの手紙にはそう書いてあった。

 驚いたのはそれだけではなく、何やら新種のタイプ「フェアリー」というタイプだという。続けて彼は、「多分現時点ではまだ誰も持っていないだろうから、数年の間は表舞台に出さない方がいいゾ」そう手紙には書かれていた。

 なので彼女もお姉ちゃんのところに一時的に預かってもらっている。

 

「すぅ──はぁ──ー」

 

 気持ちを落ち着かせるために大きく深呼吸をする。

 顔を上げてデオキシスを見れば、彼は不動のままその場に立っており、わたしを見ている。

 

「さあやりましょうか」

「──」

 

 デオキシスが現れるたびに起こるこの体の異変。それを知るためにも、デオキシスと戦わなければならないのだ。

 

 

 

 

 

「プテちゃんちょうおんぱ! カイさんぼうふう!」

 

 ──プテラのちょうおんぱ! 

 ──カイリュウーのぼうふう! 

「ちょうおんぱ」の波動と吹き荒れる暴風が一つになってデオキシスに迫る。地面を抉り、それで巻き起こった破片をさらに粉々にしながら突き進む。

 リーフの狙いはデオキシスを混乱にさせること。威力の弱い「ちょうおんぱ」にその倍の威力がある「ぼうふう」を組み合わせ、さらに「ぼうふう」の力で一気に彼我の距離を詰める。例え渦の中心に捉えなくとも、多少なりとも効果はあるはずだ。

 さらに今の天候は夜。照らしているのは月の光と、燃えている町の光のみ。日中よりは命中率が高いはず、そうリーフは睨んだ。

 

「──」

「!」

 

 突撃。

 対してデオキシスが取った行動は、リーフが望んでいてた渦の中心への突撃であった。

 普通のポケモンならこの時点で混乱。さらには暴風に巻き込まれてその身を奪われるはず。だというのに、デオキシスは止まらない。そう止まらないのだ。

 ただひたすらにに吹き荒れる暴風の中心の中を飛んでいく。

 

「なんやあいつ! なんで混乱せえへんのや!」

「しんぴのまもり…………?」

「くくくっ」

 

 驚く二人に対して、チャクラは口を抑えながら笑っている。

 対してリーフにそんな余裕はない。

 目の前のデオキシスは暴風を通り抜け、先頭にいたプテラを捉えた。

 

「プテちゃんとっしん!」

 

 デオキシスは速い。いまから回避行動を取っても後ろを取られる。そう判断したリーフは攻勢に移った。

 真っ直ぐデオキシスに向かって突撃するプテラに対して、彼もまたプテラに向かって飛行する。

 プテラの特性は「いしあたま」だ。一部の技の反動を受けないという特性であるが、言い換えれば同じ個体に比べてその頭部は頑丈ということでもある。同じ技でも、特性によって僅かながらダメージの威力に差が出る。

 そしてプテラはそのままデオキシスを……粉砕した。

 

「なんやて!」

「──! リーフ気を付けて!」

 

 まるで雲を裂くようにデオキシスはその形を崩した。

 それがデオキシスの作り出した「みがわり」と気づくのは、ブルーが叫んだのと同時だった。

 消えかけている暴風の奥から、本体のデオキシスが飛び出した。

 すでにプテラは攻撃の体勢を解いており、周りと違ってまだ状況把握が遅れているのか、デオキシスの存在に気づくのに一歩遅れた。

 

「プテちゃん避けて! カイさん! ギャラちゃん!」

「!」

 

 翼を奪われた鳥は飛ぶことはできない。鋭い槍のように束ねた触手を使ってプテラの翼を貫いた。プテラはその痛みに声をあげながら墜落。

 同時に一歩遅れてしまったカイリューが「れいとうビーム」、ギャラドスが「ハイドロポンプ」をデオキシスに向けて放つ。

 すると、デオキシスの姿か変わった。

 先程とはまるで正反対。太く逞しい。腕もまるで柔らかい板のように滑らかだ。

 その盾……右手によって簡単に防がれた。

 

「堅いっ」

「なんて防御力なの……」

「あれこそ、デオキシス・ディフェンスフォルムじゃ~~ん」

「さっきから一体なんやねん……ん? それはまさか……」

 

 マサキがチャクラの手に持つ黒く四角い機械に気づいた。

 それは姿は変わっても、たしかにポケモン図鑑だった。

 

「あたし達のポケモン図鑑!」

「正解じゃ~~ん。あなた達の図鑑を参考にしてロケット団専用に開発したんです。さすがはオーキド博士のハイテクマシン。中々の性能じゃ~~~ん」

 

 ロケット団の策略によって奪われた3つのポケモン図鑑を解析、さらにロケット団の技術部が独自に開発したものである。

 所有しているのはチャクラとオウカの二人。チャクラは黒い図鑑を使って、先程からデオキシスのデータを取っていた。

 一方。リーフはデオキシスが姿形を変えるその能力を『フォルムチェンジ』だと見抜いていた。

 理由はある。

 それは幼馴染のレッドだ。彼が雷を纏ったり、炎の翼を出している姿を見ていたので気づいた。

 だからと言って状況は変わらない。少なくともあと一つ……あの透明な姿があるはずだと、リーフは警戒しながらカイリューとギャラドスに指示を出しながらある事に気づく。

 

(あの宝石みたいのがわたしの考えているものなら……)

 

 デオキシスの胸にある丸い石。人間で例えるならば恐らく心臓部のはずで、姿形は変わってもそれだけは変化をしていない。

 ならばこそ、そこが唯一の弱点になるはずだとリーフは睨み……前に出た。

 フシギバナがはっぱカッターで牽制しつつ、ギャラドスが前衛を務めながら相手をする。カイリューの背に乗って、リーフはデオキシスへと迫る。

 

「リーフは一体何をする気なんや」

「わからない。でも、信じるしかないわ」

 

 ディフェンスフォルムのままデオキシスは対応する。

 ギャラドスの特性は「いかく」である。ゲームではなく現実世界でのここでは常に「いかく」が発動している。

 しかし表情の読めないデオキシスに対して、確実に効果があるのかは確かめようがない。それでもギャラドスは特殊技ではなく、物理技に切り替えた。

 ──ギャラドスのアクアテール! 

 大きく体を振りながら、巨大な尾をデオキシスに向けて放つ。

 変身。

 一瞬にしてデオキシスはディフェンスフォルムからアタックフォルムへと変身し、4つの触手でギャラドスの尾を受け止めた。

 ──デオキシスのばかぢから! 

 デオキシスはそのままギャラドスを簡単に振り回しながら、地面へと何度も叩きつける。

 

「カイさん!」

 

 同時に上空からカイリューが急降下。デオキシスの場所からではリーフの姿は確認できない。

 ──カイリュウのドラゴンダイブ! 

 ──デオキシスのしんねんのずつき! 

 落下してくるカイリューに対し、デオキシスは地上からカイリューに向けて急上昇して迎え撃つ……そして激突。

 両者の頭部が衝突し、勝ったのはデオキシスだった。

 意識を失ったカイリューはそのまま地上へと落下。カイリューを見下すデオキシスは、ふと何かに気づいたように上を見上げた。

 

「やああああ!!!」

 

 そこにはリーフがいた。

 彼女はデオキシスに向けて落下していた。先程カイリューが技に入る直前に、高く跳躍していたのだ。

 このまま彼女の攻撃をデオキシスが躱すことなど容易い。

 だが、地上から無数のツルがデオキシスの体を拘束することに成功した。

 

「……」

 

 デオキシスはいたって冷静だった。むしろ冷静すぎて恐ろしいぐらいには。

 ただデオキシスは、抵抗することなくリーフの一撃を受けた。

 ──リーフのリーフブレード! 

 

「──⁉」

 

 閃光。

 リーフの手刀がデオキシスのコアに接触した瞬間、一瞬だけ光が奔った。

 

(な、なに……いまの……)

 

 アレは記憶だ。それも間違いなく自分のだと、リーフは断言した。それもバラバラに置かれた写真を手に取るように、頭に流れてきた映像は不規則だった。

 

「……」

 

 静寂も束の間。

 デオキシスは再び変身して透明な体になる。4つの触手をそれぞれ一つにすると、人間のような手ができる。両手でツルを引きちぎると、落下し始めていたリーフを蹴り飛ばした。

 

「ハピハピ!」

「……あ、ありがとう姐さん」

 

 地上に叩き付けられる直前にハピナスがリーフを受け止めた。

 

「ラキ──!!」

「ら、ラッキーだめ!」

 

 リーフの叫びは届かず、ラッキーはデオキシスへと吶喊した。彼女はただ無策で突撃したわけではない。

 ラッキーの防御力と耐久力は実を言えばハピナスより上である。理由は簡単で、レッドが彼女を鍛えたからである。

 さらにラッキーは走りながらすでにその身を「かたくなる」で硬化させている。迎え撃つであろうデオキシスを自滅させてやろうという魂胆だった。

 そんなラッキーの思惑は叶い、デオキシスはその透明なままラッキーに向けてその拳を向けた。

 しかしそれは予想外の技であった。

 ──デオキシスのギガトンパンチ! 

 鈍い音がラッキーを殴った際に大きく鳴り響く。

 

「ら、ラキー⁉」

 

 ラッキーは困惑した。ありえない、なんで、どうして、それらの表情がラッキーの顔に現れていた。

 それはラッキーだけではなく、この場にいるチャクラを除いた全員が口を開けて驚いていた。

 

「あ、ありえない」

「だってあれはレッドの技のはずやで!」

「な、なんで……どうして……!」

「……ギガトンパンチ? なんですかこの技は?」

 

 それを知らない唯一の人間であるチャクラが、図鑑が収集したデータを見ながら首を傾げた。「ギガトンパンチ」、それはレッドが「メガトンパンチ」を昇華させたものであり、この世でその技を使用できるのは彼だけである。

 だが、驚くべきはそこではなかった。デオキシスがその技を選んだこと、それはつまりラッキーの対処法を知っているからである。

 レッドのラッキーの対処法……それは格闘技によるゴリ押しである。それも超強力な技で。

 それを知っているであろうデオキシスは続いて拳を繰り出す。回数にして10回以上はラッキーの腹部を殴打して。

 ──デオキシスのギガトンキック! 

 トドメの「ギガトンキック」でラッキーを戦闘不能にした。

 

「ギガトンキックまで⁉」

 

 ブルーが叫ぶ。その二つの技を見てリーフ達にある仮説が浮上する。

 あのデオキシスを育てたのはレッドではないのか? 絶対にありえない仮説であるが、そうでなければ先程までの技の説明がつかない。

 しかし、ならばどうやってこのデオキシスをロケット団が捕まえたのか。なぜレッドはデオキシスを手放したのか。憶測がさらなる疑念を生み出す。

 混乱しているリーフ達の前で、デオキシスは振り向きながらその姿を再び第三の姿へと変え、まるで……何かを打ち出すような体制を取り出した。

 同時に何かに気づいたフシギバナとハピナスがリーフの前に出て身構えた。

 気づけばデオキシスのコア周辺に巨大なエネルギーが収束していた。

 

「おお! これは出るじゃん! デオキシスの最強の必殺技『サイコブースト』が!」

「リーフ逃げるんや!」

「だめ、間に合わない!」

 

 閃光──爆発。

 巨大な光が天に上り、大きな爆音を鳴らしながら周囲の光を奪った。発射されたサイコブーストは一瞬にして射線上にいたフシギバナとハピナスに着弾した。

 二体が壁になっていたとしても、彼らもろともリーフを飲み込んでしまったのは確実。それを見ていたマサキは膝をつき、ブルーは彼女の名を叫びながら駆け出した。

 そんな彼女達の近くで戦闘を観察していたチャクラは、その手に持っていた黒い図鑑を閉じて、満足げに言った。

 

「記録終了。予想以上の成果じゃ……ん?」

 

 その時、チャクラが持っていた図鑑から音が鳴った。首を傾げながら図鑑を開けば、そこにはあるポケモンのデータが表示されていた。

 

「どこなのリーフ! 返事をしてリー……え……あれは……」

 

 チャクラが図鑑を見るのと、ブルーが爆心地でそれに気づいたのはほぼ同時だった。

 この戦いに今まで来なかった夜風が、巻き起こっていた砂塵を連れて通り過ぎていく。だんだんと晴れる光景にある異変が起きていた。

 ブルー達から見て、そこには倒れているリーフの前にフシギバナとハピナスが立っていた。彼女達を覆うようなドーム状のバリアが展開していて、地面も攻撃の余波がそれに沿ったように形を変えていた。

 

「……ミュウ……?」

 

 ブルーが小さく呟いた。その肌の色は以前見たことのなる本物のミュウと瓜二つ。けれど違うのはその大きさだった。ミュウの倍以上はあり、どちらかといえば人に近い形をしている。

 

「なんで……お前がここいるんですか……!」

「なんや?」

「ロケット団はあれを知っている?」

 

 チャクラがかつてない程同様しながら、そのポケモンを指でさしながら叫んだ。

 

「ミュウツー!!」

 

 かつてロケット団が生み出した最強のポケモンミュウツー。

 数年前、カツラの下を去ったポケモンがどういう訳かリーフを守るように、デオキシスと対峙していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「太陽の戦士サンレッドRX」

 第35話 「旅人」

 

 わたしは俗にいう旅人であった。わたしにルールはない。いや、あるのは決して悪事をしてはいけないということ。水がなくなったからと言って人様の水筒を奪ってはいけない。腹が減ったからと言って、民家に生えているきのみを無断で食べてはいけない。

 わたしは紳士だ。そういう時はちゃんと一言了承を得るのがわたしのルールだ。む、これでは二つだ。いや、まあ……どうでもいい。

 つまりわたしは、自由気ままで風が吹くまま色んな地方を旅する風来坊……と、かっこよく書いてみたが、こんな恥ずかしい文章を誰かに読まれたら、きっと自ら海へ飛び込むことだろう。

 昨日は人がいたので日課である日記が書けなかったから、ちょっと今日は豪勢にしたのだ。

 書けなかったのは昨日、偶然にも同業……? まあ、同じ旅人にあったのだ。

 とある道を歩いていて、ちょっと休憩でもするか、そう思って近くにいい岩場があったので、そこへいくとすでに先客がいたのだ。

 わたしはたずねた。

 

「おや、先客がいたのかい。よかったら相席してもいいか?」

「……かまわんさ」

 

 と、くたびれたような乾いた声で、大柄な男は言った。

 わたしは長く旅をしているので、何となくその人柄がわかる。彼の服装はやけに年季が入っている。自分の服よりもボロボロだし、けれどどこか旅慣れしているような貫禄を感じたのだ。

 なのでわたしは、きっと面白い話を知っているに違いない! そう思った。

 旅をしていると、多くの人に出会う。そんな人から旅の話を聞くのが、わたしの旅の醍醐味なのだ。

 

「なあ、あんた。なにか面白い話でもないかい」

 

 馴れ馴れしいかもしれないが、これがわたしの強みだ。これで落ちなかった人はいない。残念ながら美女には見向きもされないが。

 

「おもしろい話、か……」

 

 お、これは好感触。まずそう思っていると、彼は唸りながら話のネタを探しているようだった。

 

「きみは……神をみたことあるか」

「かみ? それって……神さまかい?」

 

 これには驚いた。まさか神さまを見たことあるかい、なんて聞かれるとは。

 

「ああ」

「いやあないね。長いこと旅をしているけど、神さまにはあったことはない」

「わたしはあるんだ。とおい……とおい昔に」

 

 男はとても懐かしく、けれど、とても悲しそうに言った。

 わたしはたずねた。

 

「どんな神さまだったんだい?」

「彼は……人の姿をしていたよ。赤い顔、真っ赤なマフラー。それに左手には不思議なものを身につけていたんだ」

「なんていうか……まるで人間じゃないか」

「そうさ。彼は神であり人だったんだ」

 

 わたしは混乱した。神でありながら人とはいったい? 

 難しい話だけど、かつてないほどおもしろい話にわたしはワクワクしていたのは、絶対に間違いない。

 

「でよ。あんたはその神さまに何かお願いでもしたのかい?」

 

 訊くと、彼は初めてこちらに向いた。初めて目が合い、ちょっとびっくりした。彼はよくわかったなと言いたげな目をして、そっと目を閉じてまた正面に振り向いた。

 

「した。けど、神はこう言った……『叶えてもいい。だが同時にお前の大切なもの……つまり対価をもらう』と」

「それで?」

「喉から手が出るほどの願いがあった。けれど同時にその対価は、わたしが求めるものそのものだった」

「おれは学がないからよくわからんけど、兎に角すげー究極の選択だったってことか?」

「そのようなものだ」

「じゃあ結局どうしたんだ?」

「どうもしない。これが答えだよ」

 

 これとは彼自身の姿を指しているのだろうか。確かに願いを叶えてもらった割には、その姿はあまりにも不自然だ。むしろ旅人なんてやっているわけがないと、わたしは思った。

 しかし何とも羨ましい話だろうか。

 わたしだったらきっと、対価なんていい! 好きなだけ持ってっていいから願いを叶えてくれ! そう言うに違いない。

 

「つまりだ。あんたは結局、なんも願わなかったってことだよな」

「そうなる」

「後悔してないのかい、いまは」

「してない、と言えばうそになる。けどいまは……」

 

 旅人はそれ以上を語らなかった。

 いや、その前に彼は、また旅に戻ってしまったのだ。

 わたしは思う。きっと彼は、まだ未練があるのだろうと。でなければ旅を続けているはずがないのだ。それはわたしもそうだからだ。

 旅人というのは共通して何かを求めているもの。彼もまた、旅の中で答えをきっと探し求めているに違いない。

 だからわたしは唯一の理解者としてこの言葉を送りたい。

 

「あなたの旅にいつか終わりが訪れますように」

 

 今日はここまでにしよう。

 わたしの旅も、まだまだこれからなのだから。

 

「とある旅人の日記」より抜粋

 

 

 

 

 

 カロス地方某所。

 

 わたしには時間、というものを気にしたことがない。いや、昔はごく当たり前のような口ぶりで、今日は何日だ、いまは何時だろうか、そのような事を言っていた。

 だが永遠の身となった日から、時間という概念から解放されたわたしにとって、そのようなものは不要となった。

 しかし、そんなわたしでもある周期で一度だけそう口ずさむ日がある。それはこのカロスにとって重要な日でもあった。

 

「今日で千年か……」

 

 とある場所の崖の上で、わたしは下を見下ろせば二体のポケモンが争っている。

 その光景はこの世とかけ離れたものだ。両者が激突しているのは草も生えない枯れた大地だ。だというのに片方の周りには草木が芽生えは始めている。

 対してもう片方のポケモンが少しでも何かをすれば、草木は枯れていく。

 枯れた大地に命を与えているのが聖獣ゼルネアス。

 あらゆる命を奪っているのが魔鳥イベルタル。

 この二体がカロスに存在する伝説のポケモン。彼らはその膨大な生命エネルギーを千年周期で溜め、その日を迎えるとこうしてエネルギーをすべて使いきるまで戦い続けるのだ。

 わたしは思う。

 とても美しくきれいで、なんて儚い光景なのだと。生命が生まれ、死んでいく。これほど残酷な光景はない。

 

「……ジガルデか」

 

 別の気配を感じ取りそこに目を向ければ、自分と同じように崖の上から彼らを見下ろす、カロスに伝わる三体目の伝説のポケモンジガルデがいた。

 ジガルデは生態系を監視しているという言い伝えがある。ならば、生態系を壊しているゼルネアスとイベルタルを脅威と感じても不思議ではない。

 だがわたしも、またジガルデも大きな心配はしていない。

 なぜなら、この戦いをきっと止めにくる存在がいるからだ。

 ──その時不思議なことが起きた。

 光。

 一瞬の光がこの場に広がった。わたしは眩しくて顔を腕で覆いながら、たぶん、笑っていたと思う。

 ああ、やっぱりきた──と。

 

 

 

 

 

「こら──!! お前らまた争いやがって!!!」

 

 ──サンレッドのげんこつ! ゼルネアスとイベルタルはいまにも泣きそうだ! 

 サンレッドは争うゼルネアスとイベルタルにげんこつというおしおきを与えながら叫んだ。腕を組み、マスクで表情は見えないものの、本当に怒っているという雰囲気を感じさせた。

 ここに来たのは本当に偶然……ではなく、言葉にすると難しいのだが、彼らが争うと分かるようになっている。

 だからこそ、こうして現れたのだ。

 

『……そうはいっても、わたしが彼を止めないと、世界が死で覆われて……』

「言い訳するんじゃあない!」

 

 ──サンレッドのげんこつ! 

 

『い……いたい……』

『ざまあwww』

「お前もだよ!」

『いてえよぉ──!!』

 

 イベルタルにも再びげんこつを食らわせる。両者の頭に大きなこぶが、まるで漫画のような感じで出来ている。

 

「お前もお前じゃい! その力をもっと別の、世のために使えって言ってんの」

『そんなこと言われたって……オレ、死をまき散らすことしかできないし……』

「だから、その力のコントロールをしろって俺は言ったぞ!」

『力を使い果たしたら、次に目覚めるまで寝てるんですがそれは……』

「だーかーらー! 寝ている時に出来るだろうが。これだから最近の若いやつは」

『えぇ……』

『そうだーそうだー』

「お前もお前で、もっとうまいことやれ!」

『そうは言ったって、ねえ?』

『なあ?』

「二人で力合わせて、巨大隕石をぶち壊すとかさあ……こう、色々あるだろ」

 

 試しに一つ例えを出して見ると、二人は顔を見合わせてくすりっと笑い始めた。

 

『隕石なんてそうそう落ちてきませんって』

『そうそう。まだ神さまが何かするほうのが確率高いですって』

「ほーん。そういうことを言うなら、こっちにも考えがある」

 

 左手を構えて、イメージする。前回と同じようにゼルネアスとイベルタルの問題となっている生命エネルギーを奪い取り、それを自身のエネルギーと変える。

 こうすることで二人は争うことを止め、再び1000年後まで眠りにつくことができる。

 

『すごい。からだが軽い!』

『これでもう争わなくてもいいんだ!』

「なにを浮かれているんだ?」

『『ひょ?』』

「次に目覚めるまでに力の制御ができずに、また争っていたら──」

『『いたら?』』

「特別企画、ブートキャンプinカロス地方時獄篇だからな」

『『──』』

 

 それを聞いてゼルネアスが白目を剥いたまま硬直し、イベルタルもショックのあまり地上に落ちた。

 

「じゃあがんばれよ」

 

 放心している二人をこの大陸で人目につかない場所へと転送する。

 まったく、伝説のポケモンというやつはなんでこう……問題児ばかりなんだ。そう考えると、カントーやジョウトのポケモンは比較的平和な部類だったのだと改めて再認識できた。

 疲れたのでため息をついてから、背後の崖の上にいたであろうジガルデを見て、嫌味混じりに叫ぶ。

 

「お前も見てねえでなんとかしろ!」

『だが断る。このジガルデの使命は監視することである! じゃ、問題は解決したので帰りま~す』

 

 蛇に似たような動きをしながら彼はその場を去っていた。ジガルデのあの軽い態度に思わず左手に力がこもるが、そこはなんとか抑える。

 今度は深いため息をついて、もう一人の傍観者の下へテレポートした。

 彼の目の前にテレポートしたのだが、意外にも驚いてはいなかった。

 

「また会ったな。えーとたしか……」

「AZだ」

「そうそう。えーぜっと、うん、AZだったな。しかし、偶然にしては出来過ぎだな。また会うとは」

「彼らの傍にいれば、あなたにまた会えるような気がしたので」

「変わってるな、あんた」

 

 AZ。彼と出会ったのは、年代でいえばかなり昔になる。

 このカロス地方に初めて降り立ったのもその時で、当時はかなり困惑したものだ。〈ときのはざま〉から出れば、すでに辺りは多くのポケモンの亡骸だらけで、これには思わず自分も力を行使しようとしたのだが、残念ながらすでに手遅れだった。

 もう魂はそこにはなくて蘇らせることはできても、それは魂のない抜け殻状態になってしまうのだ。

 そんな悲しい場所で、AZと出会った。

 彼は教えてくれた。

 戦争があり、自分が愛したポケモンも戦争に使われ、そして命を落とした。彼は悲しみのあまり「命をあたえる機械」を造り、愛するポケモンを蘇らせた。

 そこで話は終わらず、AZの悲しみは終わらずに怒りに変わってしまい、その機械を〈最終兵器〉へと変え──あのような悲劇を生み出したと。

 そして同じく、愛するポケモンもどこかへ去ってしまったらしい。自分が蘇る際に必要となった同族の命を使ったことを、〈最終兵器〉を見て気づいてしまったからだという。

 

「で。願いを叶えてほしいっていうなら、もうダメだからな。二度目はない」

 

 サンレッドはハッキリと告げた。

 当時、悲しみにくれるAZは、俺の存在がこの世とは思えない逸脱したモノだと感じとったのだろう。だから彼は願ったのだ。

 

『やり直したい……そうすれば、戦争も……彼女も、多くのモノが死なずにすんだ』

 

 だから言った。

 

『叶えてやってもいい。だが同時にお前の大切なもの……つまり対価をもらう』

 

 いまのサンレッドならば、人間ひとりを過去に送ることも可能だし、非常によく似た異なる世界へと送ることもできる。

 だがそこには、AZの愛したポケモンはいない。それが対価だ。

 AZは悩んだ。悩んで──悩んで悩んで、悩みぬいて──答えを出せなかった。

 いや、俺はそれが答えだと思った。

 彼にも分かっているはずだ、自分が彼女を蘇らせたことで、「彼女の死」も自分が奪ったことに。そして次は、「彼女の存在」を奪うことになると。

 そしてAZは旅に出た。旅の中で愛するポケモンに出会えるかもしれない、そんな希望を胸に秘めて。

 

「いまはもう、あなたに願いを頼むつもりはありません」

「愛するポケモンに会いたい、それでもいいんだぞ」

 

 問うと彼は首を横に振った。

 

「彼女はきっとわたしに会いたいと、いや……会う権利すらわたしにはない。いまのわたしはまだ悲しみに捕らわれている。過去に捕らわれたまま、今日を生きている。だからまだ、ダメなんです」

「そうか」

 

 サンレッドは個人的に彼を救いたかった。

 それは以前、イッシュで出会った双子の王と同じものを感じたからだ。せめて彼の悲しみを少しでも癒せたらと思っていた。

 どうすればいいか。これは難しい問題だった。けれど答えは簡単で、それは彼に希望をみせることだと気づいたが、問題はそれをどうやって見せるかだ。

 彼はアルセウスと同じようにこの世界と自分を含めた人間という愚かな存在を憎んでいる。

 だからこそ難しい──そう悩んでいると、少し関係ないのだが、その〈最終兵器〉のことで少し思い出したことがあった。

 

「なあ。あんたがつくった〈最終兵器〉、あれってまだあるのか?」

「……はい。いまは地中深くに制御する施設と共にあります。そしてこれが……そのカギです」

 

 言いながら首にかけているペンダントを見せた。よく見れば確かにそれはカギの形をしていた。

 AZは続けて言った。

 

「神よ。いずれはあれの存在を知って利用する人間が現れる。あれはわたしの罪そのものだ。けれど、いまのわたしにはあれを壊す手段がないのです。いや、壊そうと思えば壊せた。そうしないのは、わたしの弱さが招いているのだと思います」

「ふむ……AZ。あんたは、アレがなくなれば、過去を振り切れるか?」

「……わかりません」

「そうか。たしかに、あんたの言うようにその存在を知って利用する者が現れるだろう。けどな? 同時にそれを止めようとする人間もまた、絶対に存在するんだ」

「そうでしょうか」

「ああ、きっといる。断言してもいい。しかしだ。あんたが言うようにアレは危険だ。だから、俺が少し手を加えておく」

「え?」

 

 ぱちん──と、サンレッドは左手で指を鳴らした。彼にだけはわかる。すでにこの地に眠る〈最終兵器〉を少し破壊して、別のものに創造して作り替えた。

 

「もしだ。仮に〈最終兵器〉を起動させた親玉がいたとして、そいつの野望を壊してやりたくはないか?」

「おっしゃる言葉の意味が、わたしにはわかりません」

「つまりだ。俺は、お前に笑ってほしいんだ」

「わらう?」

「ああ。この世界でこの事を知っているのは俺とお前だけ。その悪の親玉はきっとお前の存在も知るだろう。捕まって〈最終兵器〉のことを問われるだろう。そして〈最終兵器〉が起動してしまうかもしれない。申し訳ないがそれを止めようとする者達も騙すことになるが……お前だけが、事の顛末を知っているんだ」

「つまり……?」

「いいかAZ。〈最終兵器〉は絶対に同じ悲劇を繰り返すことはない。お前の造ったアレは、二度と兵器にはならない。きっとその時、お前は人生で最高におもしろいものが見れるだろうさ」

「そのために、わたしを?」

「ああ。お前を笑わせるためだけにそうした。お前には過去ではなく、未来を見て欲しいから。そしたらきっと、もう一度会えるかもしれないぜ?」

「……わたしに、そんな道化を演じられるだろうか」

 

 彼の反応は意外と好感触のようで、それがとても自分の事のように嬉しく思えた。

 

「自然体でいればいい。どうせ、いつになるかわからないんだ。この事もその時まで忘れてるさ」

「そうでしょうか」

「例えそういう体になっても、人間なのは変わらないさ。さてと。俺はもういくよ」

「今度はどこへいくのですか?」

 

 AZは変わらず疲れているような表情をしたまま言うが、彼はどこかそれを聞くのを楽しんでいるような気がした。

 そもそもだ。どこへいくと言われても、自分にだってわからないのだ。あっちへ行ったり、こっちへ行ったりと未だに元の時代に帰れる気配がない。

 

「まあ、少なくともいまよりは未来かな」

 

 結局のところ、とりあえずそう答えるしかできないのだ。

 

「未来、ですか」

「そ、未来。いずれまた会おうAZ」

 

 そう言ってサンレッドは息を吐くように、簡単に空間を裂いて〈ときのはざま〉の中を歩いていくのであった。

 

 

 




ポケモン世界は千年周期でなにかあるとか……呪いかな?

今年中に更新できるのはあと1回か2回だと思いますが、ナナシマ編終わる気配がまだないんですよね!その内の1回は設定集の予定。
あと4話は絶対にある(白目)。

それにしても……主人公が本編に名前しか出ないとか笑っちゃうんですよね。
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