おい、バトルしろよ   作:ししゃも丸

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いまのもくひょうは、がんばって原作3巻まで止まらないことです


お前頭だけは良さそうだもんな

 

 

 

 

 

 

 

「……リーフ?」

「リーフって誰よ。私にはちゃーんとした名前があるの、ブルーっていうね! 失礼しちゃうわもう」

 

 

 目の前のカモは人を見た途端誰かの名前を言ってきた。たぶんきっと女に違いないと私の女としての勘がささやく。きっと別れた彼女でも思い出したのだろう。なんて女々しい男なのだろうか。しかしこれはチャンスだとブルーは笑みを浮かべる。

 

 

「お詫びに私の商品買っていってよ。プラスパワーにディフェンダー、マックスアップだってあるわよ!」

「……ぶるー……ブルー……え、マジで? 本当にあのブルー?」

「ちょっと、アンタ大丈夫?」

 

 

 ブルーの名前をぶつぶつと言っていてどこか様子がおかしい。目を見開きジッと彼女を見つめる。ついそれにドキッと胸を躍らせるブルー。

 それも仕方がない。私はそこら辺の女たちと違ってナイスバディだから、男にとっては刺激が強すぎるのだろう。それは彼女にとって喜ばしいことだ。女であれば尚更。

 

 

「あ、ああ。大丈夫、ダイジョーブ。で、何の話だっけ」

「だから、私の商品を買ってほしいのよ」

「どれどれ……え、全部いらない」

 

 

 ずらりと地面に並べた商品を一通り見てすぐに彼からお断りの返事を宣告された。

 ま、まさかこいつ、これが全部偽物だって気づいて……。

 見た目は同じだが効果は何にもないただのおもちゃ同然の代物だ。使わなければ効果がわからないので、何も知らないトレーナーには大変効果がある。そのため同じ人間には売れないというのが欠点ではあった。

 たまにこういった道具に詳しい人間を捕まえてしまったこともあるブルーは、顔には出さず冷静に対処する。

 

 

「えーどうして? 使えばあなたのポケモンが強くなるのよ!」

「いや、だって必要ないし……」

 

 

 こいつは手ごわい。多分金は持っているのは間違いないが、おそらくこれらの効果を本当に知らないのだ。だから買わないのだろうと睨んだブルーは奥の手を使う。

 

 

「じゃ、じゃあこのきあいのタスキはどう? ポケモンに持たせればどんな攻撃でも一度は耐えるわよ」

「あ、それもうこっちでもあるのか。でも、俺のポケモンは耐えろって言えば耐えるし。ていうか結構硬いから平気だと思う」

 

 

 くっ、こいつ頭がイシツブテでできるのかまったく隙が無い。ならば、本当に奥の手を使わなければいないらしい。

 ブルーは手持ちのバッグから小さな袋にあったあめ玉を出した。

 

 

「これならどう⁉ ふしぎなアメよ! ポケモンに食べたらレベルが1あがるという貴重なアイテム!」

 

 

 もちろん偽物だ。フレンドリィショップの倉庫で偶然見つけたダンボールの中に入っていたこれは、ふしぎなアメによく似たパチモノ。本物だったら当然自分のポケモンに使っている。しかし予想が外れ、これはかなり在庫が残ってしまった。なにせ確かめろと言われて一個でも食べればバレてしまう。先に本物を渡すという方法もあるが、本物はとても高価で数もすくない。

 ブルーからしても在庫処理という名目でなんとか捌きたい一心だった。

 

 

「え、マジで⁉ ふしぎなアメあんの⁉」

 

 

 ──食いついた! 

 ブルーはつい抑えきれずニヤリと笑みを浮かべてしまう。

 

 

「ええ。それも10個もね!」

「じゅ、10個も⁉ よし買った!」

「毎度ありがとうございまーす」

「えーと、財布……財布はっと……」

「!」

 

 

 彼が財布を探すためにジャケットをめくると、そこにはあるモノが目に入った。

 

 

「はいじゃあこれな」

「ありがとう! 子供だからって言ってまともに相手してくれなかったのよ!」

「あ、そ、そうなんだ」

 

 

 感謝しながら彼に抱き着くブルー。そしていつもの仕草で彼の懐に手を伸ばし、それを手に入れると同時に離れる。

 もう用は済んだ。

 

 

「それじゃあまた何処かで会いましょう!」

 

 

 

 ま、二度と会うことはないけどね。

 ブルーは目的地であるタマムシへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 残されたレッドは彼女が見えなくなるまでその背中を見送り、もう平気だと思った当たりで抑えていた感情を爆発させた。

 

 

「えぇえええ⁉ ブルーってあのブルーだよな⁉ 青版の主人公の!」

 

 

 赤版がレッド、緑版がグリーン……あれ、リーフだっけ? それでピカチュウ版がイエローだったはず。今まで気づかなった自分もアレであるが、まさかブルーの存在を忘れていたとは。しかもそれが女ときた。

 レッドは落ち着けと言い聞かせ何度も深呼吸したあと、冷静に彼女を思い出す。

 

 

「顔立ちはやっぱリーフ似だったな……。あとやっぱ胸が大きかったわ。いやー今どきの若い子の成長ってすごい。リーフにも分けてほしいよ」

 

 

 本人がいないことをいいことにレッドは普段言えないことを言う。彼はピカチュウをボールから出すと早速ブルーから買ったふしぎなアメをあげてみた。喜んだ顔を浮かべながらピカチュウはアメを口の中で転がす。

 

 

「いや、舐めるんじゃなくて飲み込めよ。ん、いやそれも変か……」

「ぴかぁ?」

「で、ピカよ。1レベル上がった感じはするか?」

 

 

 フルフルと顔を振るピカチュウを見てレッドは地面に膝をついて叫んだ。

 

 

「ちくしょぉ────! 偽物をつかまされた! くそっ、おっぱいがデカいからって調子に乗りやがって!」

「いや、ただ単にマスターが馬鹿なのでは? いらないなら、おいらが食べるっす」

「ピカピカ」

 

 

 勝手にボールから出たカビゴンが器用に紙袋をはがして残りのアメを口に放り込もうとする。そうはさせるかとレッドが一個だけ口に入る前にそれを自分の口へと放り込んだ。

 

 

「俺の金で買ったんだから、一個ぐらい俺が食べなきゃ意味ないだろうが。あ、意外と美味いなこれ」

 

 

 ピロリン♪ レッドはレベルが1あがって27レベルになった! 

 

 

「はて。昔どこかで散々聞きなれた音が聞こえたような……。ま、いっか」

 

 

 どうやら偽物の中に偶然本物が紛れていたことに、レッドは最後まで気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでイーブイいねぇんだよ。いや、実際にいたら困ると言えば困るんだけど……」

 

 

 タマムシに着いたレッドはすぐさまイーブイが置いてあるビルの屋上へと向かった。そこには確かにゲームと同じようは部屋があって、扉には鍵かかっておらず開けてみて中に入る。内装はゲームを現実すればこんな感じというモノであったが、テーブルの上にイーブイはなかったのだ。

 レッドはとりあえず深くは考えず気持ちを切り替える。

 

 

「それにしても、ゲームと違ってさすがにロケット団はうろついていないな」

 

 

 タマムシのゲームセンターにあるロケット団のアジトを攻略しなければ、タマムシを歩いていたロケット団は消えなかったのをレッドは思い出す。ではグリーンかリーフがやってしまったのかといえば違う。街の雰囲気が少しピリピリしているのを確かに感じる。

 ロケット団か、それともジム戦か。レッドは少し悩み先に後者を片付けることにした。ジム戦なんてリザードンを使えばすぐに終わる、ならばそのあとでロケット団を片付ければいいと判断した。

 だが人生とは思い通りにいかないもの。

 タマムシジムを訪れたレッドにかけられた言葉は意外なものだった。

 

 

「はぁ⁉ なんで俺とバトルできないんだよ!」

 

 

 相手はここのスタッフらしき女性だろうか。ジム戦を申し出ると丁寧に断られたのだ。

 

 

「ですから、今エリカお嬢様はある仕事で手が離せない、だからジム戦はできないと申しております」

「ジムリーダーなんて立って待ってるだけの簡単の仕事だろうが!」

「何も知らないトレーナー風情が。口を慎みなさい!」

「トレーナーがジム戦を申し込んでいるのにそれを追い返すとか頭にきますよ! いいから、エリカを呼んでこいや! こっちは予定がいっぱいあるんですぅ!」

「よくもエリカ様を呼び捨てにしたわね! いいわ。アンタなんて私が──」

「何を騒いでいるのですか?」

「──エリカ様⁉」

 

 

 突然奥から現れた着物を纏ったまさに大和撫子のような女性──ジムリーダーのエリカが二人に割って入った。使用人は彼女の存在に気づくとすぐに膝をついて事の経緯を話す。

 

 

「そうですか。ですが申し訳ありません。いまはある問題で手が離せないのです。後日またジム戦ということでお願いできないでしょうか?」

「いや、バトルなんてパパっとやれば終わるからさ」

「貴様、無礼な口は慎めと──」

 

 

 使用人の言葉をエリカは手を前に出して止めさせた。穏やかな目から一瞬にしてトレーナーとしての目つきに変わるとレッドを挑発するような言い草で言う。

 

 

「そこまで大口を叩く割には、あまり強そうには見ませんわね」

「ファッ⁉ これでもバッジ2個あるんですけど! 本当ならもう3個だけど……あれ?」

「あらあら。もしかして何か幻でも見ていたのですか? それとも演技からしら? うふふ」

「あ、あの女……!」

 

 

 レッドは今になってブルーにバッジが盗まれたことに気づいた。いくら自分やポケモンたちが強くても、これで信用しろというのは無理な話だ。状況は悪くなる一方。ただのトレーナーから嘘つきにランクダウンしてしまっている。

 打開策を考えているレッドに何故かエリカはそれを助けるように言ってきた。

 

 

「そんなに私とバトルがしたいですか?」

「ああ、したいね」

「なら、条件を一つ出しましょう」

「いいぜ乗った。で、その条件は」

「──実は私のポケモン……イーブイがいなくなってしまったのです。あの子を見つけて連れてきてくれたらバトルをしてあげますよ、マサラタウンのレッド」

 

 

 不気味な笑みを浮かべながら提案するその姿は、どう見てもいい所で育ったお嬢様だとは思えなかった。

 レッドは人生において、生まれて初めて体験する感覚を味わいジムを後にした。

 

 

 

 

 

 彼、レッドが去ったあとエリカは自分の私室へと戻ろうと振り返る。それを使用人が彼女に先程のことを問う。

 

 

「エリカ様なぜです。なぜ、イーブイの情報をあんな少年に渡すのですか⁉」

「口を慎みなさい。どこにスパイが紛れているかわかりません。ほら、そこに」

「え?」

「ラフレシア!」

 

 

 彼女の指示でラフレシアははっぱカッターを繰り出す。しかしそこは何もない空間……だったか、はっぱが何かを捉えるとそれは現れた。

 

 

「スリープ!」

「やはりポケモンも使ってきますか。イーブイは確かに私達がロケット団を抑えるために必要な存在です。ですが、我々の存在自体がこの街では目立ちます」

「だからあの少年を使うと?」 

「ええ。彼のことはタケシやカスミから聞いています。バッジがなかったのはともかく、彼の実力は本物でしょう。それに噂にあるロケット団を倒しているトレーナーが彼ならば……」

 

 

 エリカはそれ以上口にすることなく再び歩き出す。ただ胸の中で初めて会ったばかりの少年にすべてを託して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わってタマムシにある広場のベンチにレッドは座っていた。膝に肘を乗せ、考える人のように先程の会話のことを思い出していた。

 私のポケモン、エリカは確かにそう言った。なるほど、ならばあのビルにイーブイがいなかったのもうなずける。

 

 

「けっ。お嬢様のくせに平然と嘘をつきますですこと」

 

 

 あれはどう聞いても嘘だ。断言できるのはゲームの知識を知っているから他ならないが、普通に考えれば草ポケモン専門のエリカがイーブイなんて持ってるわけないのだ。

 いや、いつか持つのか。

 イーブイの進化系の一つ。リーフィアなら納得はできた。しかしここカントーで進化するというのは知らないし、おそらくリーフィアの存在自体がまだないはず。それに進化条件もたしか……何処かの森でレベルアップだったろうか。

 

 

「俺、実機プレイしてなかったからなぁ。そんなことよりもイーブイを捕まえないと」

 

 

 推測だがイーブイは間違いなくここタマムシにいることは間違いなかった。理由はエリカがこの街にいること。じゃなければジムになどいないだろう。

 

 

「しかし一体どうやって探すか。氣で探るにしてもこう街中色々と混じちゃって……」

「あれレッド、レッドやないか!」

「……誰?」

「誰やない! マサキやマサキ! ハナダで会ったやろ⁉」

「あぁマサキか。もう二度と会わないと思ってたわ」

 

 

 マサキ。ポケモン世界においてポケモンあずかりシステムを作った天才。意外と重要人物な割には悪の組織などからはマークされない不思議な存在。

 ハッキリ言えば、彼を捕らえてボックスのシステムを書き換えればどんなポケモンも手に入れ放題だろうなぁとレッドはマサキと再会して思った。

 物は試しで話してみるか。

 レッドは簡単にマサキに説明すると、彼はポンと胸を叩いた。

 

 

「なんやそんことで悩んでたんか! それならわいが何とかしたる!」

 

 

 するとマサキは背負っていたバッグから妙な機械を取り出した。それは小さめなレーダーみたいなものに、それを繋いでいるディプレイ端末のようなものだ。

 

 

「何それ」

「これはな、ポケモンの電波を感じ取ってそのポケモンがどんなタイプなのかがわかる優れものや!」

「まあお前頭だけは良さそうだもんな」

「天才やからな! だからこうしてたまにタマムシ大学の講義をしてるんやで」

「へー。あ、さっそく映った。電気? サンダースなんていないぞ」

「いや、これはお前から感じ取ってるで。ピカチュウでも出してるんか?」

「あー悪い、今抑える」

「抑える? お、消えた」

 

 

 どうやら機械はレッドから発せられている微弱な電気を捉えているようだ。つまりこれは正常に働いているという証拠になる。

 

 

「けどさ、目撃証言を聞いたけど変なんだ」

「変?」

「何でも火を噴いたり電気を発したり水を出すんだと」

「なんや。イーブイのバーゲンセールかいな」

「実際定期的に新しい進化先ができるしな」

「ははは。レッドも面白いこと言うなぁ。イーブイの進化は3種類やろ? お、噂をすれば反応がある。こっちや!」

「……最終的に8種類もあるんだよなぁ」

 

 

 マサキが走り出したあとレッドは死んだような目で呟きながら彼の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 マサキの探知機のおかげでイーブイを見つけたレッド。しかし、そのイーブイは普通のイーブイではなかった。イーブイは本来進化の石と特別な条件下に進化するポケモンで、進化してしまえば二度とイーブイに戻ることはないはずなのだが。

 

 

「レッドなんやあのイーブイ⁉ サンダースかと思えばシャワーズになったり、そしたらイーブイに戻ったらブースター。あんなの聞いたことがないで!」

「それは俺もだよ……ピカ!」

「チュゥ!」

 

 

 出来るだけ傷つけまいとピカチュウのでんきショックでダメージを減らそうとしたのだが、でんき技を使えばサンダースになるし、他の技を使おうとすればシャワーズになって溶けて避ける。こちらが手をこまねているとブースターになりかえんほうしゃを撃ってくる。

 どうする。こんな街中でわざわざ力を使う訳には……。

 今まで野生のポケモン相手に力を振るってきたレッドではあるが、こんな人目に付く場所で力を使う気は毛頭なかった。使うのは野生ポケモンか悪党のみと決めている。

 

 

「ピカよけろ!」

「ピッ!」

 

 

 ブースターの再びかえんほうしゃが地面を焼く。再びピカチュウにでんきショックを命じる。ブースターはもう一度サンダースになろうとするその瞬間、ある動きを捉えた。

 耳が動いた──

 もしかしたら、あれが変身するための予備動作なのか。腰にあるスピアーのボールに手を伸ばし、レッドはピカチュウに指示を出す。

 

 

「ピカ!」

「!」

 

 

 具体的な命令がなくともピカチュウはレッドが何を言いたいのかわかっている。ピカチュウはイーブイに向けてでんこうせっかを仕掛ける。それに気づいたサンダースは今度はシャワーズになろうとするために動きを止める一瞬、その瞬間をレッドは待っていた。

 

 

「スピアーこうそくいどうからのみねうち!」

「!!」

 

 

 でんこうせっかで迫るピカチュウはそのままサンダースを通り過ぎ、同時にシャワーズになるとすでに目の前にはスピアーがシャワーズを捉えていた。

 スピアーのみねうち。イーブイは気を失った! 

 イーブイが倒れるとすぐさま二人は駆け寄る。

 するとマサキが何かに気づいたのか、イーブイの耳を見せながら言った。

 

 

「見てみレッド。これはどうやら自然に進化をしたわけじゃないらしいで。……レッド? 聞いとるんか?」

「ああ。聞いてるぜマサキ」

 

 

 レッドは優しくイーブイを抱きかかえて立ち上がる。

 

 

「ピカチュウに次いでポケモンの看板を背負ったイーブイさんをこんな目に遭わせるとかよぉ……キレちまったよ、久しぶりに」

 

 

 怒りに震えるレッドは腕の中のイーブイに刺激を与えないよう静かに、そして早くタマムシジムへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――レッドのメガトンキック。タマムシジムの扉はぶっ壊れた! 

 ドォン。盛大なチャイムを鳴らしながら入るレッドとマサキ。マサキに関してはおろおろと震えながらレッドの後に続く。

 ジムの中央は巨大なバトルフィールド。その中心にエリカは待っていたと言わんばかりにレッドを迎えていた。

 

 

「まあ。もうイーブイを捕まえてきてくれたのですね! どうやら実力は本当のようですね。バトルなんて必要ありません。どうかバッジを受け取ってください」

 

 

 ニコニコと笑みを浮かべながらバッジを差し出すエリカ。しかしレッドは受け取る気配はない。ただ言葉だけを投げつけた。

 

 

「てめぇ、ロケット団だったのか」

「なんやて⁉」

「ふふふ。仮に、私がロケット団だとしたらレッド、あなたはどうするおつもりですか」

 

 

 言うとエリカは手持ちのポケモンを出した。ラフレシア、ナッシー、ウツドン、ウツボット彼女のフルメンバーだ。

 

 

「──最初は」

「?」

「最初は同じくさタイプのフシギバナで全タテしてやろうかと思った」

「すごい舐めプやな」

「だが、タイトルにもなるイーブイさんをこんな目にした貴様らを許すわけがねぇ……!」

 

 

 バチバチとレッドの周囲に電気が走る。マサキは驚いてレッドから離れ、周りにいるエリカの使用人……私兵たちも動揺している中、エリカだけはレッドから目を離さない。

 レッドの意志に呼応するようにボールから自分の意志で、漆黒の肌を持ち、蒼炎を身に纏ったリザードンが現れる。

 

「リザァアアアア!!」

「明日の朝日は拝めねぇぞ!」

 

 

 リザードンの咆哮だけでもエリカのポケモン達は一歩を後ろに下がってしまう。ほのおポケモンにくさタイプが勝つのは至難の業。だがそれ以上に彼らは感じてしまっている。レッドから発せられている圧に押されているのだ。

 

 

「……どうした、かかってこい」

「いいえ。降参ですわ」

「──は?」

 

 

 エリカはポケモンをボールに戻すとその場に膝をついて首を垂れた。驚きの展開に気が抜けたのか、ぷしゅーと音を立てながらレッドは元に戻った。

 

 

「まずはあなたを騙して利用したことをお許しください。ああしたのは我々が動くにはロケット団にバレてしまうのと、あなたの実力を知るためだったのです」

「じゃあアンタらはロケット団ではないっていうんか?」

 

 

 横からマサキが口を出す。

 

 

「むしろその逆。我々はロケット団から街を、そしてポケモンを守るために活動しているのです」

「しかしなぜイーブイが」

 

 

 レッドが尋ねるとエリカは近づきそっとイーブイを撫でながら言う。

 

 

「まずはこの子をボールに入れて回復をしてあげましょう」

「あ、ああ。頼む」

「レッド。あなたには伝えなければならないことがたくさんあります。どうか私の部屋に来てください。そこで詳しく話をいたしましょう」

「わかった」

「あのワイは……あ、はい。お邪魔ですよね」

 

 

 レッドの威圧! ではなく、エリカの笑顔がマサキに何かを訴えた。

 そしてレッドは回復したイーブイを抱きかかえながらエリカの後に続いて彼女の部屋と向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回からシリアスでございます
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