「さて、幹比古には悪いが早速作戦会議を始めようか」
達也の部屋に集まった俺と幹比古、部屋の主の達也と何故かいるレオとエリカの五人で作戦会議が始まった
「まず、前提として……蒼司」
「ん?」
「お前は、その怪我でどれ程までなら動ける?」
「三校と戦うのを考えると、全試合フルでは動けんな。ディフェンスならなんとかってところだろう」
「なら蒼司にはこれを渡しておく。レオで試運転もすんでいる」
そういいながら渡されたのは剣。といっても刀身は短く間に切れ目も入っている
「硬化魔法で伸ばしてぶったぎ……ぶっ叩くってことか。ルールの穴をつくやらしい武器だな。それでこそ達也だが」
「褒められている気がしないな……。蒼司にはディフェンスを頼むから幹比古には遊撃を頼む」
達也は幹比古に役割と作戦に必要な要素が実行可能なのかを聞いていた。内容は正直ちんぷんかんぷんで全くわからん
「それと、蒼司。三校の羽衣について聞きたいんだが……」
「ああ。知る限りでよければ話すぞ。向こうもそれは割りきっているだろうしな」
「では、いくつか聞いていく。まず彼の得意魔法はないか?」
「得意な魔法……ねぇ」
そう聞かれると困る。界斗に関しては、得意といえる魔法が少ないからだ
「敢えて言うならば幻惑系統……だな」
「幻惑?」
「あいつの場合、父親の血筋?もあって魔法に関してはトップクラスだ。ゆえに得意というのがない。平均が周りの得意や容易のレベルと同じだからな」
「それは十師族にも並ぶ程か?」
「ああ。断言しよう」
十師族と同等と断言した途端、達也を除く三人の顔がみるみる負の方へと変わっていくのがわかった。なのでさらに追い討ちをかけることにした
「さらにあいつには面倒な魔法があってな」
「面倒な魔法?」
「固有魔法『鏡幻換実』こいつの面倒なところは、ダメージを与える際、界斗本体が認識できる状況でなければあいつがダメージを食らわないということだ」
「ダメージを食らわない!?おいおいどういうことだよそりゃ」
ダメージを与えられないという事実にどうするんだよと驚きながらも聞いてくるレオだが、うるさい。時間帯でも迷惑になるので、静かに反応しろと言った上で続ける
「うーん、これは達也に聞いた方がいいな。達也はシュレーディンガーの猫を知っているか?」
「一応軽くは知っているが、詳しくは知らない。確か量子力学の話だったか?」
「その通りだ。まぁ、わざわざシュレーディンガーの猫を用いなくても説明はできるが……まぁ、分かりやすく超ざっくりの簡単説明をしようか。幹比古、例としてレオがボールを投げる際、速度等がわかっていればどれほど飛ぶかどの向きに飛ぶか予想はつくよな?」
訳のわからない話の応酬の中、急に呼ばれたので驚く幹比古だが、質問には、わかると答えてくれた。まぁ、当たり前だ。中学で習う内容だからな
「物理学ではこれで説明できるんだが、量子論では説明できないんだ。結果……というか確率は観測しないとわからないし、逆に言えば観測した結果イコールその確率とも言える。そんな風なことを行うのが界斗の固有魔法だ」
まぁ、この説明で理解しろとは言わないが、レオたちは全くわかっていないようだ
「簡単に言えば、直接、攻撃が触れていることを確認できない場合、あいつはダメージを受けていない結果に無理やり持ち込めるってことだ。しかも、一対一での状況でもかなり強いが、今回みたいに観客、不特定多数の第三者が居ると尚更面倒だ」
「結果を見るから、自分が音等で当たったと判断できても観客は無事な姿で出てくれば当たってないと思うからか?」
「全くもってその通り。矛盾点がどこかにあるかも知れんがざっくりの適当説明だから勘弁してくれな」
十師族の御曹司だけでなく、他の強敵の出現に出場する幹比古の顔は暗くなる一方だ
「だからあいつとは俺がやる。傷が深いからどこまでやれるかはわからんがな」
そのあと、明日のこともあり、達也が幹比古のもつ古式魔法の調整を行い、明日の戦いに備えて解散した
更新遅れ申し訳ありませんでしたーー!!!
今回の魔法の説明のため、シュレーディンガーの猫について調べたり、他の思考実験などでいいのがないかなど仕事の合間合間に探しているうち、1ヶ月たってしまっていました。申し訳ありません
それと、今回ヒロアカの映画を妹が見たいといい、連れていき共に見たところ、耳郎響香ちゃんヒロインの小説を書きたくなり同時にその設定も軽く練ってました。
今後はこの作品とヒロアカ作品の同時投稿という形になると思います。といってもヒロアカは一巻から読み直しの勉強から入ることになりますがね
ではまた次のお話にて