「おはよう、蒼司。昨日はあのあと大丈夫だった?」
「なんとかな。目につかないところで木に登ってやり過ごした。今日帰るときが心配だけど。あのあと雫たちは大丈夫だったのか?」
「うん、バイアスロン部と狩猟部の数人がサイオン酔い?で倒れてバタバタしちゃったけど」
昨日の騒動のことを雫と話していた蒼司は、いつも通りの日常を過ごす。最後の授業が体育のため、着替えに更衣室へと向かい着替え終えたあと、指示されたグラウンドに向かうと先に一人で軽くストレッチを行う。と、着替え終えた雫たちが蒼司の元に集まった
「蒼司、男子は何やるの?女子は担当の先生が出張でいないらしいから、男子の見学だって」
「男子はレッグボールだぞ。1-Bと対戦するってさ。負ける気はさらさらないが」
「蒼司、そこまで言うなら負けたら私たち三人にケーキ奢りね」
「司波さんまで入ってんの!?逆に勝ったらどうするんだよ」
「……女の子に奢らせるの?」
「うぐっ………ケーキを奢らせていただきます」
「うん、よろしい」
「枳殻くん、いいんですか?」
「そうですよ。別に雫の言う通りにしなくても」
「言ってしまったものは仕方がないから気にするな」
高嶺の花である司波深雪とお近づきになりたい生徒は多く、ただ一人男子で仲良く話している蒼司には、他クラスのB組からも敵意を向けられる。そんな中、授業でひときわ存在感を出していたのは悲しくも蒼司だった。蒼司がボールを持つと、仇をとるかの如き猛攻が来るが、ひらりとかわして得点を決め、森崎の一件もあり味方からパスが出されないが、取られたボールを奪い返したりと、結果4得点、6アシストの大活躍を見せた
「はい、蒼司。預かってたタオル」
「ありがとう、雫」
「凄いよ蒼司くん!大活躍だったよ」
「枳殻くん、何かやってたんですか?」
「父さんがサッカー関連が好きで得意だったから、小さい頃から教えてもらってたんだよ。」
試合終了後、蒼司は雫、ほのか、深雪の三人のもとに戻り、雫に預けていたタオルを受けとり汗を拭う。男子からの嫉妬の視線は相変わらず蒼司の背中を刺しているがもう気にしていない。気にすればただただしんどいだけなのだ
「ほのかー!雫ー!」
「あ、エイミィ!」
「……誰?」
「あ、蒼司は知らないよね。この子は……」
「私は明智英美。日英のクォーターで正式にはアメリア=英美=明智=ゴールディ。二人みたいにエイミィって呼んでね」
「俺は枳殻蒼司だ。名字が昔から呼びづらいと言われてるから蒼司で構わない」
「よろしく、蒼司!」
「………雫?ほのかがあしたのジョーの最終回みたいに真っ白になってるけど何があったんだ?」
「深雪に名前で呼ばれて、名前で呼んでいい許可をもらったらこうなった」
「あー、そういうこと。」
「ほら、ほのか。私たちも行こう」
「司波さんが深雪で私のことは、ほのかって。ほのかって」
「はいはい。ぶつからないよう気を付けてー。あと、蒼司も深雪のこと、名前でいいってさ」
「…………深雪は俺の状況がわかって言ってるのかな。」
「早速、名前で呼んでる蒼司も蒼司だと思うけど?」
ほのかのショート具合に苦笑しながら二人の後ろをついていく蒼司。だったが、三人とも一時停止しなければならない事態に直面し、そろりと窓から校門前の様子を伺う
「うっわ。校門前の勧誘、逃がさないってオーラがすっげぇ……」
「あの中をどうやって帰るかだよね……」
「いや、二人より俺の方がしんどいんだからな?まだ入ってないんだから」
「あれっ?三人とも今帰り?」
「あっ、エイミィ」
「どうしたの?」
「見ればわかる。アレ」
三人でどうするか談義していると、ほのかの後ろからエイミィが声をかけるが、気づいていなかったほのかはビクッと体を震わせ、エイミィに気づいた雫が窓から見える光景をエイミィにも説明する
「?………ああ、なるほど。確かに苦労しそうだね。三人とも、隠密系の術式は持ってないの?」
「隠密系?何それ」
「簡単に言えば、意識を逸らしたり姿を隠す魔法だな。俺は得意じゃないなぁ。あいつの方が上だし-…」
「……あいつ?」
「今年、第三高校に入学した幼なじみ。それはともかく、二人はどうなんだ?」
「私は使えないけどほのかは得意。でも魔法を使うのはルール違反」
「いつもなら守らなきゃだけど、今は魔法が飛び交ってるじゃん。大丈夫大丈夫」
玄関をでると、待ち構える上級生の後ろをほのかの魔法で隠れながら歩く四人。ほのかの魔法で蒼司たちの前方に鏡を作り、見ている人物からしたら裏で作業をしている風に見えるため、気づかれることはなかった
「これだけで、結構気づかれないもんなんだね」
「映ってるのが背中と植木だから…」
「反対から見ると植木の奥で作業してるように見えるわけね」
「ばっちりだよ、ほのか」
「あたっ………ほのか、どうしたの?……風紀委員?」
「あ、深雪のお兄さんだ」
四人の視線の先には、取っ組み合いをしている二人を止めようとする達也の姿が
「あっ!
取っ組み合いを仲裁する達也の後ろから魔法による攻撃が行われたが、それを達也は回避。その攻撃した者を追いかけようとするも、取っ組み合いをしていた二人に邪魔されて追いかけることはできずにいた
「うわっ、アレをかわすんだ」
「あれはわざとだな」
「うん、今のは偶然じゃない。どうみてもわざとだった」
「私にもそうみえた」
「……あ、彼、二科生なんだ。でもキリッとしててなんかイイ感じ。知り合い?」
「新入生総代の司波さんのお兄さんだよ」
「あの究極美少女の!?かっこいいのも納得だわ。2年生?3年生?」
「私たちと同じだよ」
「あれで同学年?ただ者じゃないね。……だったらやっかみかもよ」
「えっ、何が?」
「あのー、話が盛り上がってるところ悪いんだけど………ほのかさん。魔法解けてる。ほら、アレ」
「「「えっ?」」」
盛り上がる三人の後ろを蒼司が指指すので、三人が後ろを向くと、ほのかの魔法が解けたため、姿に気づき勧誘のために襲いかかってくる上級生の姿が
「「「ぎゃあああああああ」」」
「ま、まにあってますーーー!!」
(俺はまだ決まって無いけどね………)