新・世界樹じゃない迷宮   作:激遅新世界樹1ストーリークリア兄貴

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そろそろ、ようやく一巻部分が終わりそうです


君は探し人を見つける

 

君は目を覚ました。見慣れた石造りの天井に少しだけ埃っぽい空気、君の拠点(ホーム)は君の目覚めを歓迎した。まだ血が足りないらしく頭痛とふらつきが取れない中、ジャガ丸君を焚き火で温め、井戸水を汲み取り食事を用意する。だが君は無性に肉が食いたい。昨日の怪物祭(モンスターフィリア)ではほとんどお金を使わなかったのでサイドポーチには4000ヴァリスほど入った財布がある。

それで何か食べにいくのもいい、しかし君は自分の得物を見る。そこには無茶な使い方と力の入れ方で、穂先がもうボロくなっている新品だったはずの槍があった。君はこれのメンテナンスを早速頼みにいくのもいいだろう。

 

腹が減っては戦はできぬ、誰の言葉かは全く知らないが良いことを言う。アレの鑑定をしていたら昼になっていたので、この前ベルが案内してくれた豊穣の女主人へと行くことにした。この時間にやっていれば良いのだが…

しかし、ベルとかみさまはどこにいるのだろうか。昼になっても帰って来ないが2人して昨日の自分のように襲われた?いや、ベルならきっと大丈夫だ。だとすると、誘拐?いやそれも違うだろう。こんな貧乏な組織にわざわざ金を毟ろうとする輩はいないか。なら、どこかの宿に泊まっているか?うーん、わからん。とりあえず街の中を聞き込みしながら探すか。聞き込みで思い出したが、あの探偵は元気にしているだろうか。また、厄介ごとに首を突っ込んでなければ良いが。

 

そう思いながら君はメインストリートを移動する。いつもの衣装に背中に括り付けられた槍、穂先にはいつも通り布を付け、そして君の腕には見たこともないブレスレットが付けられている。ブレスレットには何かをはめ込むための部分がある。本来ならそこには宝石の類をつけるのだろうが、君のブレスレットには光沢の無い紫色の石がはめ込まれていた。

 

グリモア

 

君の世界でそう呼ばれる不思議な力を持つ石だ。それは所持者にグリモアが持つ力を与える、スキルの付与、強化、能力の底上げ、様々な効能を所持者に与える不思議な石。君はこの石に仲間の力を感じ取ったのだ。今君は仲間だった医師(メディック)の力が込められているグリモアを付けている。ここまで来れたのも、それの力のおかげなのだ。

 

回復のグリモア[11]

リジェネレート5

リフレッシュ5

簡易蘇生1

 

このグリモアに含まれている力、リジェネレート。対象を癒し続ける魔法。これのおかげで君はそれなりに動く体力を回復できた。君は仲間の医師に感謝の念を送りつつ、ベルたちを探しながら豊穣の女主人を目指すのだった。

 

普段より時間を浪したが、君は豊穣の女主人にたどり着くことができた。残念ながら君は、道中ベルたちを見つけることはできなかった。しかし、どうやらまだ開店していないようで、中では清掃をしている従業員(ウェイトレス)たちが談笑をしている。あっ、店主に怒られた。

そんな、中の様子を見ていた君に後ろから声がかけられる。

 

「ハイランダーさん、でしたか。ここで何をしているのです?」

 

後ろを振り返ると先日出会った、リューが食材の入ったバケットを腕に下げていた。君は腹が減ったから、そしてベルと神様を探しながらここに来たことを伝える。すると、リューは一度店内の方へ目をやると、君についてくるように指示をする。君は開店前の店内へ入ると、奥の方へ連れていかれ階段を上る。二階には従業員たちの自室や、空き部屋があるようでその中の一つに、リューはノックをしてから入る。君はそれに続いて部屋の中に入る。するとそこには、ベルがベッドの上で安らかに眠っており、かみさまはベルに寄り添うように、椅子に座りながらベッドに身体を預けて眠っていた。なるほど、2人がいないわけだと君は納得した。

君はどうしてベルとかみさまが居るのか事情を訪ねる。なんでも、怪物祭でモンスターたちが檻から脱走し、そのうちの一体をベルは倒したらしい。そして、モンスターたちが脱走したことを聞きつけたリューが、シルを探しに来たところ、かみさまがベルをどうにかこうにか運ぼうとしているところを偶然見つけたらしい。

1人で自分よりも格上へ挑み、見事打ち勝ったベル。君はベルの頭を撫でると、よく頑張ったなと言って部屋から出て行く。下では仕事しろと、店主の雷が落ちているようだ。君は店主たちにベルとかみさまを助けてくれてありがとう、と伝える。

 

「別にただ助けてやったわけじゃないさ、起きたらたんまりうちの店の料理を食っていつてもらうからねぇ!

別に気にしなくていいさ、あんたもまた来な。大食漢はいつでも歓迎するよ!」

 

店主はそういうと快活に笑っていた。君は、夜にまた来ることを伝えると店を出て行き、君はバベルを目指して歩き始めるのだった。

 

 

 

バベルに辿り着くと、君はエレベーターで彼女が居る階まで昇り、一週間も経たないうちに彼女との再会を果たした。

 

「あれ?一週間もたってないけどもう来たの?まだ新しい子は作ってないからまだ待っててほしいんだけど」

 

君は、シャルネルがもう新しいモノを買いに来たと勘違いしているらしいので、槍の布を外してシャルネルにメンテナンスを頼んだ。

 

「えっ、嘘。もうメンテナンスするの?そんなに柔な作りをしてないはずだけ…ど…

 

ああぁぁぁ!?

 

なんでもうこんなにボロボロになってるの?穂先は少し刃こぼれしてるし、柄の部分にヒビが入ってる…いったいどんな無茶したのさ!?」

 

君は、ちょっと強敵が現れたから全力で戦って倒すことはできたが、その全力の結果槍に無理をさせてしまったことを伝える。シャルネルはもっと大事に扱ってよね!と文句を言いながらポカポカと叩かれる。レベル2の彼女のパンチは思いの外、君の体に響いたようで骨の痛みを我慢するのだった。しかしながらシャルネルは君からのメンテナンスの依頼を受け入れた。2日後に取りにくるように言われると、君はシャルネルに謝りながら代金を支払って、店から立ち去ろうとする。しかし君はシャルネルに呼び止められた。

 

「ねえ!君の名前、この前聞けなかったからさ、教えてほしいんだ。その、これからお世話になってもらう予定だから聞いておきたくて」

 

君はシャルネルに、ハイランダーだ、そう一言だけ伝えると軽く会釈をしてから、シャルネルの店を後にした。

 

 

 

「へぇ、ハイランダーって言うんだ…

 

早速ボロボロにしてくるなんて思ってなかったけど、乱暴に扱ったわけじゃなくて本当に一回だけ無理させたみたい。その一回でこの子がここまでボロボロになるなんていったい何させたんだか…さて、しっかり直してあげないとね。今度はハイランダーが全力を出してもいいようにしてあげなきゃ」

 

鍛治士は槌を振るう。魂の炎を炉にくべて、己が想いを武器へと吹き込む。

 

鉄はゆっくりとその形を変え、創造主の思いのままに形を成す。

 

幼子は涙を撒き散らし、甲高い産声をあげてその()を持って生まれ変わる。

 

その目に一切の陰りは無く、その手に一振りの狂いもなく、真剣のように鋭い眼差しを己が作品()へと向けるのだった。

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