新・世界樹じゃない迷宮   作:激遅新世界樹1ストーリークリア兄貴

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一章を書いてから約1ヶ月、もともとプロットもない作者のノリと自分の中で流行ってる言葉とかで作られてるこの作品で、二章をどうしようかと悩んだ結果。

ノリで作った方が早いということになりましたので投稿再開します。

しかし前のように2日に1話みたいな定期的な投稿ペースではなく日数も話数も不定な感じで進めていきます。勝手ながら申し訳ないですが、どうぞよろしくお願いします。


君はアリと対峙する

 

君はシャルネルと共にB7F〜死を女王に捧げる者〜まで歩を進めていた。新しくなった君の武器は以前よりも鋭さを増し、ここに至るまでの敵を容易く貫いていた。それどころか一気にレベルが上がった分、力の調整がうまくいかず槍がすっぽ抜けて壁に突き刺さりシャルネルの頬を引きつらせていた。シャルネルも君の後ろで見ているだけではなく、引き絞られた弦から放たれる矢で浅はかなゴブリンを3枚同時に貫き、腰にくくりつけられているナイフは近寄るウォーシャドウを一閃した。ベルよりも鋭く早い動きはベルとは格段に違う。動きは本職のそれとはまた違う動きだが十分に通用するものだ。

 

「ふふーん、どう?私だって一応冒険者として戦えるんだからね。普段は槌を振ってるばっかりだけど」

 

シャルネルは君に胸を張って自慢げに言う。君はバックパックに魔石やドロップ品を回収しつつ、素直に感想を告げていく。

レベルによる差は大きい。あのサムライとカースメーカーの少女を思い出して少し身震いがする。あの時は苦戦したものだ。斬撃は一撃が鋭く、呪いは手足を蝕む。迷宮のモンスターよりも人間の方がとても強敵だ。

君は対人戦の恐ろしさをふと思い出してここの世界の人間とは戦いたくないなと思うのだった。

 

 

 

アリだ

 

君の目の前にはアリがいる。それも数体ではなく数十体ほど。ギチギチとハサミを鳴らし、赤く光る瞳は君たちを見据えている。薄暗い中で何十と光る赤い光は壮観だが、敵意がなければの話だ。君たちが武器を構えると同時にアリたちは襲いかかってくる。

アリは大きいのだが小さいと言う矛盾がある。全長は大きいのだが全高は小さい。体全体が低い位置にいるため槍で刺すのが少し厳しい。飛びかかってくるアリは簡単に貫けるのだが、一撃のミスはできない。数が多いので隙を見せるのは愚の骨頂だろう。後退しながらシャルネルの矢で数を削ってもらっているからなんとかなるが面倒だ。隙をつければ一掃できるがそうできないように詰め寄ってくる。近寄られすぎると逆に槍で刺せない。こういう時にナイフがあると便利なのだが…無い物ねだりはしても無駄だ。ならばやることは決まっている。シャルネルに一度大きく下がることを告げ、背を向けて一気に加速する。アリたちも加速してくるがそれより早く距離を離し、強引に隙を作る。振り返ってアリたちへ体を向けると、大きく息を吐いて構えを取る。あの時は勢いがあったから放てたが流石にあの状況ではできなかった。しかし今ならできる。

 

シングルスラスト

 

アリたちはまるで無警戒のまま君へと近づくと、次の瞬間には前方にいたアリが胴体に穴を開けて灰になっていた。君は灰を振り払うようにして突っ込んでいき、またもシングルスラストを放つ。それだけでアリたちは一掃され、欠けている魔石と素材だけが通路に転がっていた。シャルネルは君に近づいていくと、驚いた声音で話しかけてくる。

 

「すっご〜い!どうやってあれだけのキラーアントを倒したの?まるで魔法みたいに一気に倒しちゃったけど」

 

君は一族から教えてもらった技術、としか答えなかった。

 

「それでもあれだけの数のキラーアントを一度に倒しきっちゃうなんてすごいね。あいつらは倒し切らないと匂いで仲間を呼ぶから初心者殺しなんて呼ばれてるんだよ?」

 

そういえば、エイナの授業の中にその情報もあった。アリと聞いただけであの時の思い出が蘇ってほとんど聞き損ねてしまったが。

 

「あっそれと、槍の方見せて。その技でどんな感じに負担かかってるか見てみるから」

 

君を驚いた表情で見つめていたシャルネルは一転して、職人の顔つきになると槍を手に穂先や柄に異常はないかを確認する。その間に君はアリのドロップ品を回収することにした。

 

 

それから君は何度かアリや他のモンスターと遭遇しては槍で穿ち、時々倒しきれずに増援を呼ばれて少しピンチになったり、他の冒険者たちがアリに対処しきれなくなっていたところを助けに行ったりと、新品の槍(アルケス)を思う存分振り回していた。前回の槍をボロボロにした(くだん)の技は一度も放つ機会がないまま、B7Fの地図を書き上げてそのまま後にするのだった。

 


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