新・世界樹じゃない迷宮 作:激遅新世界樹1ストーリークリア兄貴
今回は軽い思い出話
B11F〜霧に包まれた殺意の弾丸〜に君たちは到達した。景色は前回層とさほど変化がなく、霧に満たされ草は水滴をこぼす。新緑の影もなく大きな岩が散漫に落ちているばかり。ただ、君はオークやインプの群れを屠る中、とある既視感を覚えた。それは目の前に現れたモンスターにあった。丸みを帯びた背中に短い手足と尻尾、四足歩行で歩き二足で立ち無足で転がる。それの名前はハードアーマード。君はこのモンスターに名前と見た目が類似しているモンスターを思い出すだろう。君とパーティを組んでいた騎士は、そのモンスターの攻撃力がさほどでもないという情報を
ハードアーマードはこちらを視認するとすぐに体を丸め込み、こちらへとまっすぐ転がってくる。名前と見た目通りならそれなりの硬さの持ち主だろう。無理に槍で攻撃するといらない傷を槍につけてしまうかもしれない。ならばーー速度を増しながら転がってくる弾丸をギリギリで横にステップで回避しーー横っ腹を蹴り上げる!蹴りこんだ足はブーツ越しに柔らかい肉の感触を感じ取り、そのまま蹴り上げた。ハードアーマードは唐突な横からの蹴り上げをまともに食らい、空中へと体が投げ出される。力の矛先をずらされたことでバランスを崩して横転し、丸まった姿勢が解除される。その隙だらけの土手っ腹に容赦なく槍で風穴をあける。魔石を貫いたらしく灰へと姿を変えて、霧散した。ドロップ品の皮だけを残して。
「まさかハードアーマードを蹴り上げてから槍で刺すなんて、予想外…
アルケスのことを考えて、硬い皮膚を持つハードアーマードに直接突き刺そうとしなかったことは嬉しいんだけど、正直ダンジョンの壁に突き刺さったことがある時点でもう今更な気がしちゃうんだけどなぁ…」
独り言をぼやきながらハードアーマードの素材を回収するシャルネル。君はその独り言を普通に耳で捉えたのでシャルネルに、すまない、と謝る。シャルネルはぼやきが聞かれているとは思わなかったらしく、少し上の空を見て、ダイジョーブダイジョーブ気にしなくていいから、と君をなだめるような言葉を言うだけだった。君はエイナの授業でダンジョンの壁がバカみたいに硬く、人力で破壊するのはかなり厳しいと教わっている。その壁に
B12F〜
君はまた一つ下の階層へと足を踏み入れる。またもや代わり映えのしない景色に君は感じるものはなく、地図を片手に探索へと乗り出す。採取や伐採、発掘のポイントはダンジョンの中にはない。そのことに対してシャルネルに尋ねてみるとシャルネル曰く、上層、君が探索をしている場所には上質な素材になる物がなく、あるとしたら18階層以降の中層や下層などのもっと深い位置に利用価値があるものがある、とのことだった。君はそのことを聞くと少し残念そうにため息をついてから感謝を伝える。そして転がりながら近づいて来ていたハードアーマードを、団子のように串刺しにして灰へと還す。少し欠けた魔石がポトリと地面に落ちると君はそれを拾ってから、また地図を取り出した。
そして探索を続けていると、君は2度目の既視感に襲われることとなる。それはシルバーバックと呼ばれる大型種のモンスター。2.5m〜3mほどの大きさに白い体毛、太い手足はまさに筋肉と言う名の丸太である。君が知っているのは体毛に黒と白のストライプ入っている魔物だ。その魔物には君がルーキーの頃、前衛の隙を突かれて殴られたパーティメンバーの医師が、一撃で気絶させられてしまったという苦い思い出がある。それに類似したモンスターということはもしかしたら強力なパワーを、秘めているかもしれない。君は警戒を怠ることなくアルケスを手に立ち向かった!
シルバーバックは拳を振り上げて殴りかかってくる。下がって回避すると空気の揺れるブオォンという音を肌で感じ取る。並の力ではないことがわかるとともに、追撃のストレートを突き出してくる。それを上半身を反らすことで回避し、そのまま地面に手をついて勢いで足を振り上げて突き出された腕を蹴り上げつつバク転にて距離を取る。腕を蹴られたシルバーバックはこちらを睨みつけると、走り出してタックルの構えを取る。今度は回避ではなくあえて迎撃の姿勢へと構える。息を吐くことで身体を弛緩させ、息を吸い込むことで身体に
瞬間、互いが交差して放たれた
しかし、その表情は明るいものではなく、不満気なことを隠さないでいたのだった。
あぁ、
2日ごとに一話更新で今週いっぱいまで、今話含め四話分更新します