新・世界樹じゃない迷宮   作:激遅新世界樹1ストーリークリア兄貴

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幕間 とある神の邂逅

 

 

ある日、アマゾネスが鉄を打ちたいと言った

 

私は、それを受け入れた

 

 

 

 

 

あの子、シャルネルはとても良い才能を持っていた。アマゾネスとは思えない優しさと、鉄と槌に対する集中力、そして自分の作った作品を愛する子だった。それと、よく私の部屋に顔を出しては何を打ったか、これを作る時にこんな苦労があったなどと嬉しそうに話しにくるのだ。助言はしなかったが、ただ純粋に鉄と向き合う彼女と話す時間は楽しいものだった。ーーただ作品作りに集中しすぎて、自分の名前を作ったモノに刻印し忘れていることには何度も注意をしたが、その度に苦笑して誤魔化すところには呆れていたが。

 

彼女がファミリアに入ってから2年と半年。レベルが上がった彼女は遂に鍛治のアビリティを手に入れ、鍛治士としての実力をメキメキと伸ばしていった。最初は直剣やナイフだけだったが、いつの間にか盾や鎧の防具に、弓やハンマーなどのさまざま種類の武具に手も出していった。彼女の装備はバベルの新人が作った装備を販売するテナントに置かれたが、多くの人が手に取っていった。

 

そして、先日。遂に彼女専用のテナントをバベルに確保した。それを呼び出して伝えると、とても喜んでいたことを今でも覚えている。私もアマゾネス初の鍛治士がアビリティを手に入れられたことに喜んだし、それ以上に彼女の成長を自分のことの様に喜んだ。

 

 

 

しかし、開店から一月経ったある日

 

彼女の店の不穏な噂を耳にした

 

 

 

ーー曰く、アマゾネスが打った武具だからすぐに壊れるんじゃないか、他の男鍛治士と寝てそいつから譲ってもらったものを店に置いているーー

 

激怒のあまりに仕事机を叩き壊しそうになった。そんなわけがない、彼女の店に置かれたものは彼女自身が努力を重ねて作り上げたものなのだ。それをふざけた憶測で汚すなど断じて許されることではない。今すぐにでもそんな噂を根絶してやりたいと思った。

 

だが、私は個神である前にファミリアの長だった。一人の鍛治士に贔屓することはできない。たとえそれがたった一人だけのアマゾネス鍛治士だとしても。

 

悪い噂を私の権力で打ち消してもそれが引き金になって新たな噂が上がってしまう。だから私には見守ることしかできなかった。

 

開店してすぐは、今日も店に人が来てくれたと嬉しそうに話に来る彼女だったが、噂が出回って以降顔を見せにくることは無かった。

 

ーー後になって知ったことだが、彼女に先を越されて嫉妬した鍛治士の何人かが、私の部屋に来るのを止めていたそうだ。その鍛治士たちはファミリアから脱退させることにした。鍛治士のプライドを捨てた子に眷属を名乗られることを私が拒絶したーー

 

 

 

私は無力だった。

たった一人の眷属すら下らない噂から守ってあげることができない。

何が神だと自虐した。

 

しかし、数ヶ月経ったある日、彼女の店で武具を購入した人が現れたという。

次の日、勢いよく開け離れた執務室のドアからシャルネルが矢の様に飛び込んできた。

 

「ヘファイストス様!ヘファイストス様!

アタシのっ!アタシの子を買ってくれた人が!

初めてアタシの店(・・・・・)で買ってくれる人に会えたんだ!」

 

私は名も知らないその人間に感謝した。私の眷属を救ってくれた。

 

誰なのか聞いてみたかった。奇しくも噂に踊らされることなく、シャルネルの元にたどり着いた子の名を。

最初は分からなかった。名前を聞く前に去ってしまったからだ。その後同行者を連れに戻ってきたがすぐさま踵を返していったそうだ。

 

しかし、怪物祭(モンスターフィリア)を終えて数日。もう一度、その子がシャルネルの店に来たという。何でも一族秘伝の技を使わざるを得なくなり、その反動で槍をボロボロにしてしまったという。あまりに武器使いが荒い人だとシャルネルは怒ろうとしたが、点検をしてその考えが覆ったのだ。なんでもその槍はたった一度の大技に耐えきれず、その様になったらしい。修理のために預かった槍を見ると、確かに頻繁に使われている印象は無かった。

シャルネルは今度は名前を教えてもらったらしく、ウキウキと槍を打ち直しに工房へと帰って行った。

 

ハイランダー

 

聞いたことのない名前だ。

だが、もし会うことができたのなら頭を下げて感謝しないといけないね。

 

 

 

まさかあの子(神友)が連れて来て、

すぐに会うことができるなんで思ってもいなかったんだけど。

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