新・世界樹じゃない迷宮 作:激遅新世界樹1ストーリークリア兄貴
君は鑑定をする
シャルネルとの契りを交わし、装備を預けた君はオラリオの街を歩いている。オラリオを生きる人々の喧騒やすれ違う
相変わらず文字を読むことができない君だが、わからないものでも見て、感じることはできる。あの街とは人の量も大きさも全てが違うこのオラリオは、やはり違う世界なのだと実感をさせてくれた。
かの角鹿との戦いのせいか前の拠点を思い出す君の視界に、ふと見知った顔が映った。
アマゾネスの少女だ。名前は、ティオナ、だっただろうか。他にも似たような見た目をしているアマゾネスの少女、
「あれ、もしかしてハイランダー?
偶然だねー!こんなところで何してるの?あ、あたし達はねアイズに似合う服ないかなって探しにきたんだ〜。あっ、アイズのことわかる?剣姫って言われてるんだけどーー」
「ちょっとティオナ、いきなり話しかけられて困惑してるじゃない。というか、この人は誰なのよ?」
「あっ、ごめんごめん。この子はハイランダーって言って、この前の
「あぁ、この前話してた人ね。災難だったみたいだけど、生きてるだけ儲け物だわ。
自己紹介するわね、私はティオネ。この子の双子の姉よ。それでさっき言ったアイズって子が今アクセサリーを見てる子ね。その隣にいるのはエルフのレフィーヤ、ちょっと男性不信な所があるけど根はいい子なのよ」
まさか声をかけられるとは思わず狼狽していた君だが、自己紹介をしてくれた間に冷静さを取り戻し、自分のことを話す。今日はオフでのんびりしようと思っていた所なのだ。
「ねねっ!せっかくなら一緒にお店見て回らない?実は聞きたいことがあってね、前は言わなかったけど君ってなんだか不思議な感じがするんだよね。なんて言うかこう、強そうなのにあんまり強くなさそうなのはなんでなのーーって、いったーい!」
「アンタ何失礼なこと言ってるのよ!」
「だってそんな感じするんだもん。すごく戦い慣れてる感じがするのに強そうな雰囲気がしなくってぇ!!
もう!二回も叩くことないじゃん!!」
「バカティオナ!人には事情ってもんがあるでしょう。そう言ったところにズカズカと踏み込むのはダメに決まってるでしょ!
ごめんなさいね、うちの妹がいきなりバカなこと言って」
君は核心をつかれる言葉を言われ、話しかけられた時以上に驚いた。謝るティオネの後ろで、も〜、またバカって言った!と騒ぐティオナを尻目に気にしていない事を伝える。少し吃ってしまったが相手は気がついてないようで、安心した君だった。少々騒ぎすぎたのか注目を集めてしまった君は、二人に断りを入れるとそそくさと人混みの中に紛れ、群衆の流れに身を任せたまま家を目指すのだった。
「ほら、失礼なこと言うから帰っちゃったじゃない。また今度会ったら謝りなさいよ」
「む〜、ほんとにそう思ったからどうしてなのか聞きたかったのに…強さを隠してる理由を」
「あのね、人には秘密や言えない事情があるってさっきも言ったでしょ!しかも一回会っただけの人、ましてや他のファミリアの人にそんなこと聞くのは不味いってわかるでしょ!」
「この前助けたお礼に聞けないかなぁ、って思ったけどダメかなぁ」
「ダメに決まってるじゃない。バカなこと言ってないで次の店に行くわよ」
「あっ、またバカって言った!今日だけで三回も言うのひどくない!?
少しは妹に優しくしたってーーー」
大衆に紛れ、何とか
君が秘密の入り口の目の前にたどり着いたと同時に、扉の向こうから二人の驚愕の声が響いてきた。君は何事かと、急いで二人のもとへと走り出した。秘密の入り口を開け生活スペースに入るとそこには、半裸で嬉々とした表情をして立っているベルと、ベルの近くで尻餅をつき少し痛そうにお尻をさすっているかみさまがいた。君はこの状況に困惑しながらも二人に何があったのかを聞き出すことにした。
なんとベルが魔法、というものを覚えたそうだ。何でも魔法は君の世界の術式やメディックの使う回復の技術と似たようなもので、
君は魔法の説明を受けるとそう納得することにした。しかし問題はその次の事情で、何でもベルが読んだ本は
しかもこれが酒場の落し物を店員さんが何の本か知らずに、落とし主が取りに来ないのでベルさんにあげちゃいます!と言ってもらったものらしい。つまり本来の持ち主がいるということだ。魔道書は一回きりしか使えない。ベルが使った魔道書はもうすでにただの紙束としての価値しかないのである。それをもし落とした本人が知ったらと考えると、とベルとかみさまは怯えているのだ。
君は落とした人物が悪いのでは?と思いながらもそれは口にせず、ベルをダンジョンに誘おうとした。新しく覚えた魔法を使ってどこまで潜れるか挑戦しようじゃないかと、君はベルに伝えようとしたが、今の君は謹慎中の身。故に誘うことはせず、戦々恐々としているベルを憐れみながら、あるものを手にすると秘密の部屋からは出て教会内のベンチでとある作業に着手するのだった。
グリモアの合成・鑑定
君にとっては慣れ親しんだものであり、だが己の手で行ったことは一度もない作業だ。先日の戦いで新たにグリモアを獲得した君は、グリモアの合成に挑戦することにしたのだ。
まだ鑑定していないグリモアの中身を確認する。二度目の作業で、過去にハウスキーパーを任せていたメイドの作業を見様見真似で思い出しながら、しかし前よりは慣れた手つきで手順を進めていく。集中して行うこと、二時間ほど。前回のものと違う感触に戸惑いながら何とか成功することができた。
先程まだ傾いていた太陽の光は真っ直ぐ伸びており、PM00になっていることに気がついた。ようやく鑑定を終えた君は、グリモアの内容に何とも言えない表情をしていた。
-敵技のグリモア-3
困惑のステップ 2
かちあげ 1
以上だった。
うーん、と唸った後、
「ゴミ」
そう言わざるを得なかった。
君にとってグリモアとは、一喜一憂するものだ。中身が悪かれどスロット数が多ければそれだけで使い道があるし、スロット数が少なくても強力スキルが組み込まれていればそれを他のグリモアへと合成させ移すことができるのだから。
しかし、生成される内容、タイミング、種類全てランダム。故に楽しみにしながら鑑定結果を聞くのだが、死闘の果てに生まれたのが、スロット数が少なく、内容も悪く、レベルも低いこのグリモアともなると…流石の君でも落ち込んでしまうのであった。普段なら廃棄するところだが、異世界でグリモアというものがない場所でそこらへんに捨てるのもは憚れるため、仕方なくポーチの肥やしとなるのであった。
君は落胆を隠せなかった