新・世界樹じゃない迷宮   作:激遅新世界樹1ストーリークリア兄貴

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君と秘密の特訓

 

では、ベルの正式なパーティ結成を祝して

 

「「「「かんぱ〜い!」」」」

 

早速だが、2人に贈り物だ。

包装された小さな箱を取り出すと、君は2人の前に置く。中を開ける様に促すと、ベルはワクワクした様子で、リリは少し緊張した様子で箱を開けた。

 

「パーティの証、みたいなものだ。かなり小さめのブローチだが、ベルには白の、リリにはなんとなく思い浮かんだ灰色の、鐘の形をしたブローチを作ってもらった。特に特殊な効果も何もない、がパーティの結束を強めるアイテムとして使ってくれると嬉しい」

 

「わぁ…!素敵なブローチです、ハイランダーさん!ありがとうございます!」

「その、ありがとうございます…出会ったばかりのリリにも、こんな素敵なものをいただいて。それもベル様とお揃い(・・・)のアクセサリーなんて、とても嬉しいです!」

 

かみさまは泣いた。かみさまは睨んだ。

 

「ベルがパーティを大きくするたび、その人にも贈る予定だ」

 

かみさまは喜んだ。かみさまは君の肩を笑顔で叩いた。

リリは、少し不満そうだった。

 

 

 

さて、パーティ結成記念パーティーは盛況の後に終わりを告げた。しかし、君の財布も同時に終わりを告げた。

防具の修理、武器の整備、日々の食費、今日の宴会代、消費アイテムの補充…etc。諸々が積み重なって、君は金欠となっていた。で、あらば?

 

久しぶりに泊まり込みでダンジョンに潜るぞ。

 

君は、かみさまとベルに2、3日戻らないことを伝えて迷宮(ダンジョン)の中に消えて行った。

 

 

 

君がダンジョンぐらしっ!を終えて地上に戻ると、ベルの様子が少し変わっていた。小動物や大人しめの印象を与える少年の顔から、少しだけ垢抜けた印象が見受けられる。そのことについて尋ねると、ベルは頬を掻いて、ハイランダーさんにはバレちゃいますよね、と隠し事を話してくれた。

かみさまやリリには秘密にして欲しいと前置きされ、内容を話す。なんでも、あのアイズと修行をしてるらしい。きっかけはこの前のB10Fで、リリにナイフを盗まれた時の戦闘時に落としたプロテクターを、アイズがベルに届けてくれた事が発端のようだ。レベル5のアイズに一撃入れられそうになったが惜しくも届かなかったそうだ。明日もあるそうなので、よければ自分にも来て欲しいと言われ、この前の約束の件もあって君はついて行くことにした。

 

因みに、成果換金の際にエイナからまた叱られた。

 

 

 

 

 

「ベル、頼む」

「お願い」

 

僕はこの時、初めてハイランダーさんとアイズさんの本気(実力の差)を見たのかもしれない。

僕の時とは明らかに雰囲気の違うアイズさんの眼。ハイランダーさんはまるで決死の覚悟をしたかの様な面持ちで、あまりのプレッシャーに呑まれそうになる。手が、震えるんだ。あの時(ミノタウロスとの出会い)よりも重く、濃厚なナニかの気配。僕はこの戦いを一瞬たりとも見逃してはならないと直感した。

 

それは、

 

「い、いきます…」

 

綺麗で、力強くて、

 

「始め!」

 

とても格好良かった(憧れは遠かった)

 

 

 

翌日の早朝、ベルに連れられて君はオラリオの外壁を登っている。壁の内部に階段があり、胸壁へ出るようになっているのだ。登り切った先、待っていたのは地平線から顔を出す朝日と、まだ日の光が届いていないオラリオの街並み、そして朝日によって煌めく黄金色の髪を風にたなびかせ君たちを待つ少女の姿だった。

 

「ベル…とハイランダー?」

「はい、ハイランダーさんに修行の成果を見てもらおうと思って…ハイランダーさんもアイズさんとの約束があるからちょうどいい、って」

 

悪いな、2人きりでの修行だっ…

 

「はははハイランダーさん!?し、しーっ!」

 

慌てたベルに首を傾げるアイズ。頑張れベル。道は長く険しいぞ(ヘタれるなベル)

 

 

 

君はベルとアイズの修行の風景を見ていた。

なるほど。踏み込みが前より大胆かつ的確になってきている。蹴りの鋭さや、ステップの速さなど足技に磨きがかかっている様だ。手加減はされているのだろう、それでもアイズの動きは目に見えて強者のそれとわかる。それでもと食らいつくベルの目には、次の一手を見出すためにこれでもかとアイズの一挙手一投足を見ていた。一瞬、ベルの一撃がアイズを捉えかけた。しかし、無常にもその一撃は受け止められ反撃の一撃によってベルは宙を舞い、強かな音を立てて着地した。

 

「今のは惜しかったね」

「ぐっ、うぅぅ…はい、ありがとうございますっ…!」

 

痛みにうめきながらもベルはアイズからのお褒めの言葉に反応する。君もベルの健闘を讃えるが、疑問に思ったことをベルに質問をする。

魔法は使わないのか?

ベルには先日の一件で使えるようになった魔法がある。ベルの魔法の内容は詳しく聞いてなかったので、まだわからないが概要だけは聞いていた君は、ベルからの返事を待った。

 

「あ、えっと…魔法に頼りすぎるのは良くないかなって。使える回数は限られてますし、いざと言うときに頼りになるのは自分の身体ですから。それに、魔法を使わなくても強い人を知っていますので」

 

確かに、使える回数の限られているものはいざという時に取っておきたいものだろう。君はどちらかと言うと、容赦なく使わないといけない環境ゆえに取っておくと言う考えはあまり馴染まないが。

 

さて、

 

「ベル少し休憩だ」

「はい、アイズさんもいいですか?」

「いや、約束をここで果たす」

「っ!」

「え?」

 

アイズとの約束を果たすちょうど良い機会に恵まれた。逃す手はない。向こうも乗り気のようだし、人と戦うのは久方ぶりだ。

 

「ベル、よく見てろよ?

全てを出し切って相手を倒す。

魔法も技も血も肉も骨も、全てを使う戦い方を見せてやる。

 

全力でいくぞ」

 

「うん、それでいいーー

 

見せて、あなたの本当の実力を」

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