新・世界樹じゃない迷宮   作:激遅新世界樹1ストーリークリア兄貴

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(英雄)は語る

 

「負けだ」

 

血溜まりの主人から声が出る。明らかに重症のはずの出血量、しかしケロッとした様子で体を起こすと、自身の惨状を理解してないのか血まみれのままでアイズに近づく。久々の全力の対人戦、いい経験になった、と。

 

ベルが慌てた様子で君を心配する。君は自分の背中が妙にじっとりとしていることに気がつくと、後頭部をさする。手にべっとりとついていたのは血液だった。君にとってはいつもの通りである。あの時(FOEとの決戦)あの時(コロちゃんとの死闘)あの時(毒で死にそう)あの時(最近の戦い)も、思い出せばキリがないくらい君は全力の戦いを制した時、血まみれのボロボロな姿が正装と言っても過言でないほどこの姿に慣れていた。今回はボロボロではないが、全力をこの世界で他者に見せたことはない君はそれを知る人がいないことに合点がいかず、いつも通りの振る舞いをする。

ベルは、死ぬんじゃ無いか、早くポーションをと焦っている。アイズの方は、驚愕の面が貼り付いていたがキミと目が合うと申し訳なさそうに逸らした。

 

 

 

キミは二人にわかりやすく説明をした。

自分の技術のこと、それによるリスク、死にはしないこと。

あと、ポーションはありがたくいただいた。後で2倍にして返す予定だ。

 

納得はいかないようだし、ベルは今も涙目のままキミを心配そうに見つめている。全力を出す度にこうなってしまうが出血程度で死にはしない。毒の方がもっと恐ろしいと、見当違いなことを言いながらキミはアイズに話しかける。

 

「強さの理由は解かったか?」

 

しかし、俯き口を開かぬ様子を見る限り、解らない、いや言葉にするのが憚られているのかもしれない。

キミは確かに強い。冒険者(英雄)である。

だが、それは自身の命を代償に得た力では無い。もともと備わっていた力を行使しているだけである。

 

しかし、それを代償ありきの力と見るには、状況が肯定をしてしまっている。烈火のような連撃と、破壊力や多彩さを持った一撃。まさに命を削る戦い方。

これが本人の経験と技術の賜物だと気がつくには、足りないものが多すぎた。

 

「どうしてそこまでして、力を求めたの?」

「冒険者だから」

 

質問への返答に質問が返るも、キミの返事は槍のように一点を貫く一言だけ。すれ違う常識と思惑は、二人の冒険者(・・・)を凍りつかせた。

 

 

 

ダンジョン(世界樹)に潜り、強敵(魔物全般)を倒し、階層主(フロアボス)と戦う。そして、制覇(マッピング)する。それが冒険者(・・・)だろ?」

 

 

 

同じ(・・)じゃないのか?」

 

「いや、違うんだったな」

 

「俺はこの世界じゃ異端なんだ」

 

自問自答の言葉には、諦めを含ませた納得とこの後のことへの決意を込める。

 

かみさま、すまないーー

 

異端者の話す事実を受け入れてもらえるかはわからない。しかし、話さないと何故か思い詰めている二人の納得は得られないだろう。そのままだとベルにも戦ったアイズにも悪いからな。誤魔化すのは無しだ。省いたことも全部、言葉にしよう。

 

「ベル、実はお前には秘密にしてたことがある。強さと、今見せた力の秘密。アイズも聞いてくれ、前に語らなかった諸々を全部教えよう。これで、今までの借りを全部チャラにさせてもらうが、いいか?」

 

 

「話をしよう。(英雄)の話を」

 

 

異世界の人間 世界樹の迷宮

 

自身の生い立ち 共に戦った仲間

 

戦い方 スキル

 

 

 

そして君にとっての冒険者(・・・)

世界を救った冒険の日々について

 

 

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