新・世界樹じゃない迷宮 作:激遅新世界樹1ストーリークリア兄貴
需要は…
君はベルと共にB5F〜命を付け狙う怪しい影〜(命名ハイランダー)に到達する。
これまで通り変わらないままの景色。しかし君にとって5の倍数の層は節目のようなものだ。ここを抜ければ次の階層へと進むことができるという思いが君の中で燃え始める。君はベルにその話をしてもいいし、しなくてもいい。
「ハイランダーさんのところではそうだったんですね。ここのダンジョンでは上層と呼ばれる場所が今僕たちのいる場所なんですけど、上層は12階までありまして、まだ上層の半分にも至ってないんですよ。それにここと次の層には新しいモンスターも出てくるので気を引き締めないと死んじゃう冒険者もいるんです、ってエイナさんが教えてくれました!」
君はベルの話を聞いて出鼻をくじかれてしまった。
しかし、新しいモンスターが出るという情報は有り難かった。君はベルに新しいモンスターについて尋ねた。ベル曰くそのモンスターは影をモンスターにしたというあやふやなものだった。その影は幽霊のように脚がなく、腕と胴体、頭の部位で構成されており、腕を刃物のように扱い攻撃してくるそうだ。君はその情報を記憶すると現れたフロッグシューターが舌を伸ばして攻撃して来たので、舌を掴み取り鮮やかな手つきで口の中に槍を突っ込み、穿ち貫いた。
5Fを練り歩きながら地図を埋めていると、まだ感じたことのない気配を感じた。ベルの言っていた新種のモンスターの可能性が高いだろう。ベルもだんだんと勘が冴えわたってきたのか、警告せずとも接近を感知して戦闘姿勢に構えていた。感じる、具体的にいうとオレンジから鮮やかな赤色に警鐘が塗り替えられていく。
接敵する!
そう感じたときに目の前にあるおぼろげな明かりは、通路の先の闇を照らしきれずにいる光景しか視界にはなかった。つまり、
後ろ
考えるよりも先に、近くにいたベルを抱えて前に向かって飛び転がる。切られた感触が背中に伝わる。転がり終えてすぐに切られた方向に振り向くと、影がそこに居た。ベルが言って居た通りの特徴だった。それはまさしく影であったのだ。
ウォーシャドウ、それがこのモンスターの名前だ。まさに名前通り戦う影なのだ!
君は背後を取られ奇襲を受けたが無事に生きていた。
さあ、得物を手にこの恐ろしい影に戦いを挑むのだ!
影と自分の間に今までつけていた皮のプロテクターが転がっている。切られたのは固定するための紐だけだったようで、それ以外に被害はなかった。君はこの影に少なからず脅威を感じた。鋭い刃物形をした腕、ぱっと見でなんとなくわかる身軽さ、そしてこのダンジョンの暗さにカモフラージュできる影としての特徴。
ベルに呼びかけ、他のモンスターに奇襲を受けないように周囲を警戒してもらう。奴とは一対一でやりあってみたいと、闘争本能が、血が暴れ出す。
君は影に向かってシッと槍を突き出す。影はのらりと避けると反撃に右腕を振るう。君はすぐさま槍を引き戻すと槍の柄で流すようにして右腕を弾く。木製の柄は滑るように刃を通し表面を薄くスライスされる、が君はそこから槍をなぎ払い影に牽制をする。影は今度もくらりと槍を回避して君から距離を置いた。君はもしできるならやつの腕を封じてしまいたいと思う。そう思いながら槍の穂先との間隔を狭くするように槍を持ち、影にロングスラストを放つ。影は下がるようにして避ける、しかし君はそこからさらに踏み込んだ。重心を片足に置き、ロングスラストを放った勢いを利用する。突きの向きを僅かに斜めにしてフックを放つようにして放ったことにより、そのままの勢いで槍を持ち直しながら1回転、足捌きで影が避けれないほどの距離を保ち君はシングルスラストを影へ放った。影は胸の中心を穿たれると、灰となって弾けた。
危なかった、正直あれが成功するとは思ってなかった。結構危ない綱渡りになったが勝つことができたのは良かった。しかし、あれの不意打ちを避けれなかったらもしかしたら致命傷を受けていたかもしれない。やはり不意打ちは心臓に悪い。しかもここではFOEのようにモンスターたちが乱入してくることも多々ある。ベルの方にもフロッグシューターが現れていたようだ。
だが、あの影との戦いは良かった。体の奥がまだ興奮の熱を伴っている。口角も上がっている。奴との戦いは感覚を取り戻し慣らしていくのにちょうどいいかもしれない。
君は戦いの中で確かな実感を得た。それは君が失っていた感覚の一部を呼び戻すものだった。君はベルに露払いの礼を言うと、今度はベルがウォーシャドウと戦ってみてはどうかと提案した。ベルはあんな風に倒すなんて無理です!なんて言う。君は自分のように倒す必要はない、ベルにはベルのやり方があってベルの武器で倒す方法がある、と言った。ベル曰く一応ここまでは来たことがあるらしい。その時はがむしゃらに戦っていたそうだが、今それと同じ動きができるかわからないということらしい。君はベルに敵を観察する方法を教えることを思いつく。ウォーシャドウの腕を振るう速度、距離の詰め方、避けるときにどこまで距離を置くか、それを次の戦いで観察して、観察眼を養ってみるといい。こうかな、そんなおぼろげな感覚だけでもいいから掴めるようにしたらどうだろうか。そう君はベルにアドバイスをする。ここまで地図を描くときにベルにはダンジョンの様子を細かく観察してもらっていた。ベルにならできる。君はそう確信していた。
ベルは君の言葉を信じて戦う。距離をとっては詰める、攻撃されれば避けてリーチと速さを感覚で掴み取る。相手に攻撃をすればどう反応するかを慎重に見極める。まさにスポンジだ。君の言った言葉を信じて戦うベルは技術を感覚で掴み取り我が物にしていく。その速さはまさにスポンジだ。大事なことなので二回言うがそれほどまでにベルのセンスは光るものがあった。
ベルは強くなれる。数回の戦闘でここまでモノにできるのは彼の才能なのかもしれない。君はそう確信すると戦いを終えたベルを褒めながら5Fの探索に戻るのだった。
これ君はダンジョンに留まってもいいし留まらなくてもいい、を予約投稿してからすぐ書いたんですけど、戦闘描写としてはどうなんだろうか、ささっと描けたけどその分適当そうだし、わかりづらくないか心配