平成の転生者(仮)   作:初任者

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第2章第5話

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第2章

第5話

ー新たなチカラー

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ーーー【インテリジェントデバイス:ハーメルン】。

ーーーそれが第二の特典であり。

ーーー時期が来たら届けると言われてた物である。

 

 

「ネオ・セプテントリオン‼︎」

 

 

俺はふわりと浮き上がる。

ん?浮き上がる?

 

 

「what⁉︎ 何故⁉︎」

『マスター』

「ん?」

 

 

俺の持っている大きなラッパから、機械っぽい声がする。

 

 

『魔法を使用し、現在飛行中です。申し遅れました。わたくし、インテリジェントデバイスのハーメルンと申します』

「なるほど、流石というわけか」

 

 

たしかに、自分で飛ぶ方向や高さを変えられるようだ。

 

 

「なら行くか。我が戦友」

『YESマスター』

 

 

俺は圧倒的な速度で、新たなセプテントリオンの元へ向かう。

 

 

「ん?」

 

 

少し先に、白い服の少女と羽を生やした少女がいた。

 

 

「(守備兵か?にしては若いな。俺が言えることじゃないけど)」

 

 

俺はトップスピードで、少女達を通り過ぎる。

 

 

「何や⁉︎」

「え?あれは⁉︎」

 

 

少女達は俺の通過に驚いたようだ。

 

 

「下がってな‼︎ セプテントリオンは俺の専門だ‼︎」

『カートリッジロード』

 

 

ラッパから弾丸の空薬莢が排出される。

 

 

「我が道を撃ち抜く‼︎」

 

 

ラッパが巨大に変化していく。

 

 

『モード【マーチ】』

「撃ち抜け‼︎ ≪ノイズシフォン≫」

 

 

音の砲撃が、ネオ・セプテントリオンを貫く。

 

 

ーーーぐぁああああああ‼︎ 貴様貴様貴様貴様ぁあああ‼︎ ただの駒の分際でぇえええ‼︎

「まだ一発じゃ終わらないぜ‼︎ チャンスだよ‼︎ 全員集合‼︎」

 

 

メタトロンを含めた悪魔達が、一斉にネオ・セプテントリオンに魔法を放つ。さらに俺の砲撃も何回か放つ。

 

 

ーーーぐぁああああああ‼︎

 

 

ネオ・セプテントリオンが悲鳴をあげる。

 

 

「ん?」

 

 

背後からゆっくりと、少女達が近付いてくる。

 

 

「いや〜申し訳ない。操られてご迷惑をおかけしました」

 

 

俺は少女達に頭を下げる。

 

 

「あ、え、あ」

 

 

羽を生やした少女が、なにやら慌てた様子である。

 

 

「えっと、あの………にーに」

「………え?」

 

 

俺の呼吸が止まる。

 

 

「ま、まさか、は、はやて?」

 

 

俺はプルプルと、羽の少女を指差す。

 

 

「そ、そうやで? 私は八神 はやて………にーにの妹や‼︎」

「ぇええええ⁉︎」

 

 

え?うちのはやては幼女。え?成長した?ぇええええ?

 

 

「えっと、どういうこと?」

「つまり、この世界はにーにが生きてた時代から十何年も経った世界なんや」

 

 

うちの妹が、何故か関西弁で説明してくる。

 

 

「ネオ・セプテントリオンの野郎‼︎ 俺の妹まで巻き込みやがって‼︎ 野郎ぶっ殺‼︎」

『カートリッジロード、カートリッジロード、カートリッジロード』

「あ、にーに待っ」

 

 

俺ははやての声すら聞かずに、ラッパを構える。ラッパからは空薬莢が三発も射出される。

 

 

「この音は、道を切り開く」

『モード【フルオーケストラ】』

 

 

背中からラッパが生えてくる。そして、その全てがネオ・セプテントリオンに向けられる。

 

 

「響き渡れ、破滅の歌を君に」

「『≪フルオーケストラ・ディエス イレ≫』」

 

 

音の砲撃の嵐が、ネオ・セプテントリオンを撃ち抜いていく。

 

 

ーーーおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ‼︎

ーーーたかが死者の分際で‼︎ 神により作られし、新たなセプテントリオンを倒そうなどとぉおおおおお‼︎

 

 

「なら、俺はこう言おうか?………たかがセプテントリオンが、俺の前に立つな。 ああ、それと古いセプテントリオンの方が強かったぞ? 俺が死ななければならなかったくらいに」

ーーー八神、総司ぃいいいいいい‼︎

 

 

セプテントリオンが、最後に砲撃をしてくるが、俺は軽く避ける。

 

 

「死ね、安らかに≪ノイズシフォン≫」

 

 

俺の持つラッパから、強力な一撃が放たれる。

 

 

ーーー化け物め。

 

 

その一撃が、セプテントリオンの核を貫く。

 

 

「死後ぐらいは安らかに眠れ」

 

 

俺はゆっくりと地上に降りる。それと同時にネオ・セプテントリオンも消滅しながら落ちてゆく。

 

 

「にーに‼︎」

 

 

はやて(少女バージョン)が胸の中に飛び込んでくる。

 

 

「はやて、元気だったか?」

「うん」

「美人になったな」

「や、やめてぇや、にーに」

 

 

俺達は地上に降り立つ。

 

 

「はやてちゃん‼︎」

 

 

白い服の少女が、はやてに駆け寄る。

 

 

「えっと、はやてのお友達かな?」

 

 

俺は笑顔で問いかける。

 

 

「え?あ、はい………あれ?死者です、よね?」

「ん?ああ、ネオ・セプテントリオンの術がうまくかかってなかったみたいで、うまく解除できたんだよ」

 

 

俺は再びはやてに視線を向ける。

 

 

「はやて、時間があまりないようだから、手短に伝えるが………俺は死んだ。だけど絶望の末に死んだわけじゃない。未来への道を切り開いて、信頼できる人に全てを託した」

 

 

俺の足から消滅していく。どうやら天に帰る時が来たようだ。

 

 

「はやて、お前は、お前達は必ず生きろ。生き残るんだ。俺の、俺達の、生き残れなかった人間達の分まで」

「ああ、その通りだ」

 

 

瓦礫の奥から、ロナウドが現れる。

 

 

「死んだ俺達の分まで生きてくれ。それが俺達の、死んだ人間達からの最後の言葉だ」

 

 

体の消滅が進む。

 

 

「へっ、ガキンチョも言うじゃないの」「流石局長が曲者と呼んだ子供だな」「あら?天使君でしょ?」「いや、天使どころか俺ら死んでるんですけども」

 

 

暴徒やJP's隊員達も合流する。

 

 

「はやて、俺がいなくて寂しいかもしれないが、俺はいつでもお前のそばで、お前を見守ってるぞ」

 

 

胸から下が消えている。

 

 

「にーに‼︎ 待って‼︎ 私‼︎ 私‼︎」

「はやて、俺はもう死んでいるんだよ?本来ならもう会えてないんだーーーこれで、さようならだよ」

 

 

俺はポケットからとある袋を取り出す。

 

 

「少し遅れたが………いや、だいぶ遅れたが、誕生日おめでとう」

 

 

はやての手に袋を乗せる。中身はロケットで、家族の写真が入ってる。

 

 

「に、にーに」

「いい女になったなぁ、はやて」

 

 

俺はゆっくりと、はやての頭を撫でる。

 

 

「あ、だからって変な男に引っかかるなよ?それと男ができたら必ず墓石に報告をだなーーー」

 

 

ついに肩も消えて、残りは首から上だけとなった。

 

 

「に、にーに、一杯、一杯伝えたいことがあったんや」

「すまない、そこまでは時間がなさそうだから、墓石の前で聞くとするよ」

「にーに、私ーーー」

 

 

最後の言葉は、聞こえなかった。

 

 

*********

○東京○

○とある商店街○

 

 

びくりと体が震える。

 

 

「………帰ってきたのか?」

 

 

俺は周りを見渡す。東京の、嫌になるほどの人混みが広がっていた。

 

 

「世界が、帰回した?」

 

 

それは俺の勝利の証であった。

元の世界への帰回。俺は最後の賭けに勝ったようだ。

 

 

「しかし、はやてがあんな美少女になるとはなぁ。まあ、母さん美人だし、父さんもイケメンさんだからなぁ」

 

 

はぁとため息を吐き出しつつ、俺は歩き始める。

 

 

「あ」

 

 

俺はポケットを弄る………ない。やはりない。はやてへのプレゼントがない‼︎

 

 

「やべぇ‼︎ 代わりの物を買わないと………‼︎」

 

 

金はJP'sに協力した時に「紙くずに成り果てたけれども」と渡された分があるし、なんとかはやてのプレゼントを………‼︎

 

 

ーーーがしっ。

「失礼します。八神 総司君ですね?」

「はい?」

 

 

振り返ると、黄色いJP'sの制服を着たJP's隊員がいた。

 

 

「我々はJP'sです。峰津院局長がお呼びです。我々と共にご同行を」

「え、えぇ………いや、妹の誕生日プレゼントを先に」

「我々でご用意させていただきますので、無論費用はこちら持ちです」

 

 

俺は連れ去られた。誘拐犯も真っ青な、鮮やかな手口であった。

 

 

*********

○JP's東京支部○

 

 

「ん?来たか」

 

 

峰津院 大和が俺を出迎える。

 

 

「何かご用ですか?」

「いや、何。お前はかなりの実力を持っているからな。我がJP'sに入ってもらおうと思っている」

「小学生なんですが」

「非常時の予備役で構わん。安いが給料も出す。月20万でどうだ?緊急時の呼び出し以外は好きにして構わんし、ボーナスも出そう。実力が伴えばある程度の地位は保障しよう」

「やらせていただきます」

 

 

金に目が眩んだ小学生が、そこにいた。

 

 

「よろしい」

 

 

こうして、小学生にして、国家公務員(非常勤)となった。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

○語りside○

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

ネオ・セプテントリオンが死者を率いて起こした【ネオ・セプテリオン事件】から数ヶ月が過ぎた。

 

各地に残った爪痕も、ネオ・セプテントリオンの残骸から発見された希少鉱石(体の形成に使われていた)を売った金で、補助金が出てたため、急ピッチで復旧が進んでいた。

 

人々は、事件から復活しようとしていた。

 

 

「主」

 

 

ーーーそしてここにも1人。

 

 

「うん、行こうか。シグナム」

 

 

はやては笑顔を浮かべて、シグナムと共に歩み始める。

 

その手の中には、死んだ兄からのバースデープレゼントであるロケットがあった。

 

 

「(にーに、私生きていくで。にーにの分も、おとんとおかんの分も。絶対に幸せになったる)」

 

 

それは決意。明日を生きるための決意であった。

 

 

「(それが、私の、にーにとおとんとおかんにできる、最初で最後の恩返しやで)」

 

 

昨日を振り返らないわけではない。しかし明日を見失わないために前を見る。それが、はやてにできることであった。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

○語りsideEND○

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

俺は新幹線の中にいた。無論ただの新幹線ではなく、JP's専用の地下鉄である。

 

 

「さて、はやてにプレゼントを買えたが………喜んでくれるかな?」

 

 

俺は膝の上に乗せたそれを撫でる。これは峰津院が、部下からプレゼントの話を聞いて用意してくれた、最高級品らしい。

 

 

「だけど、中身なんだろうな?まあ、峰津院ほどの政界で生きてきた人間なら、こういうので間違えないとは思うが………」

 

 

俺はホクホク顔で帰宅した。

 

ーーーこの時の俺は知らなかった。

ーーーまさか、中身が"最高級品は最高級品でも"まさか、"たこ焼き機"だったとは。

 

 

「峰津院 大和ぉおおおおおおお‼︎」

 

 

俺の怒りは天に轟いた(多分)。

 

なお、帰った日の夜は、たこ焼きパーティーでした。美味しかったです。

 

 

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エンド

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第2章完結です‼︎
いやー中々難しかったです。
第3章もお楽しみに‼︎

新章に悩んでいます。よければ参考までに意見をお聞かせください。

  • 知識がなくとも、とらは
  • 異世界へ、GATE
  • 魔法足りてないよ、りりなの
  • もっと魔境へ、??ルート
  • いやいやもっと別の、その他

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