第3章第1話
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第3章
ーBlack Lagoonー
第1話
ー出張は突然にー
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突然だが、上司から「明日から海外研修行ってこい。なに?何も聞いてないだと?はぁ、まあしかたない。明日からだからな(マジキチスマイル)」と言われたらどうしたらいいと思う?
ーーー笑えばいいと思うよ(白目)
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○【ロアナプラ】○
○港○
聞くところによると、この街は『世界中の悪という悪が集まった場所』らしい。
複数のマフィアやカルテルによって共同支配されており、警察すらも買収されているため、政府の介入もない。
つまり、世界の吹き溜まりといったところだろう。
「こんなところに1ヶ月もいなきゃいかんとはな」
船の中で中学2年生になった俺は、1人呟く。
『[坊主着いたぜ]』
『マスター、到着したとのことです』
俺の腕輪である待機状態のハーメルンが、見事にそして簡潔に英語を翻訳してくれる。 なお、ここに来るまでの翻訳は、全てハーメルンが行なっている。
死者として操られている時に、特典が解放されて手に入れたのだが、高性能でとても役に立つやつだ………未だに、システムとかよくわからんが
「サンキュー」
俺は荷物を持って船から降りる。
「【ソウ】さんですね?」
降りると同時にアジア系の男が日本語で語りかけてくる。なお、彼が確認した名前は俺の研修中に使用する偽名である。総司の司をとってソウ(総)である。
「ええ。貴方が?」
「はい、案内役です。【ジェフリー】とでもお呼びください」
「よろしくお願いします、ジェフリーさん」
「ええ、こちらこそ」
俺はジェフリーに案内され、車に乗り込む。
「で、ここではどのような生活をなされる気で?」
「1ヶ月五体満足で生き残ってくれですと。それと少し任務がある程度ですが、まあこの程度は子供のお買い物程度ですよ」
俺がため息を吐き出すと同時に、車が出る。
「(はぁ、どうしてこんなことに)」
世界の帰回から2年と少し。特にこれといったことはなく、平和に過ごしてたんだが、まさかの海外研修であった。
「(そういえば、昔助けた………そうだ、チャンさんは元気かな?まあ記憶なんてないだろうけれども)」
世界の帰回前の記憶は、俺含めた原作メンバーしか持ってなかった。つまり、昔助けた三合会のチャンさんも記憶がないだろう。
「あまり騒ぎは起こさないほうがいいですよ?最近は事件があって、みんなピリピリしてますから」
「事件?」
「ええ、ですからできるだけ外に出ないほうがいいかと」
すると、いきなり車が止まる。
「ちょっと待ってくださいね」
ジェフリーが窓から頭を出し、スーツ姿の白人の男2人と話している。
「ハーメルン」ぼそり
『どうやら、事件というのは、大きいマフィアの構成員が殺された殺人事件のようですね』
「(ふーん、まあ関係なさそうだな)」
白人の男が、窓から俺を睨みつける。
『[後ろの男が今日入国した男か?目的は?]』
『[さあ?詳しくは聞いてないんですがね。日本から来たらしいですよ]』
『マスター、どうやら疑われているようです』
「(ちっ、面倒な)」
『[ちっ、ヤポンスキーのガキか。目的を聞け]』
「あー、ソウさんはなぜこの場所に来たかと聞いてますね」
俺は数秒考える。
「(ちっ、下手なこと言えないな)知り合いを訪ねてきましたとお伝えください」
ジェフリーが翻訳して伝える。
『[こんな場所にか?]』
「こんな危険なところにか?と言ってます」
「ええ、実は本人には秘密で来てるんです」
再びジェフリーが通訳する。
『[成る程、サプライズか‼︎ 悪くないな‼︎]』
白人がにっこりと笑う。
『サプライズか。悪くないな‼︎ と、好意印象のようです』
『[グッドラック‼︎]』
白人が笑顔で送り出してくれる。
「………俺がいうのも何だが、あれでいいのか?」
「あれはこの街の支配するマフィアの組織【ホテル・モスクワ】の構成員ですが、末端の末端ですから」
車はガタゴトと走り続ける。
「(マフィアか。まあ、害があれば焼き尽くすだけだ)」
あ、悪魔の餌でもいいかもしれない。食うか知らんけれども。
「(それにしても、嫌な街だ。悪人には心地いいくらいなんだろうがな)」
路上で普通に麻薬の売買が行われ、警官が制服のまま犯罪行為を行なう。
「世も末ってか?」
「何かおっしゃいましたか?」
「いえ、ただ単に景色を見てただけですよ」
しばらく車が走っていると、ふっとジェフリーが何かを取り出す。
「事前に依頼をいただいていた、【自動拳銃:ワルサーPPS】です。勿論軽量になるよう多少改造を加えています」
「どうも」
拳銃を受け取る。軽いと言っていたが、ずっしりと手に重さが乗る。
「(これが命を奪うためのものか。まあ、流石にこんなところでスキルは使えないから、基本的にはこれ頼りか)」
『マスター、私がおります』
「(お前も魔法だからな。下手に使えないから、今回は緊急事態でもない限り待機および翻訳だ)」
『YES、マスター』
俺が≪念話≫でハーメルンと話しているうちに、さらに車は進む。
「げっ」
「どうかしましたか?」
変な声を上げたジェフリーに、俺は声をかける。
「さっきのホテル・モスクワの大幹部ですね」
ジェフリーの視線の先を見ると、赤いスーツを着た女が立っていた。周囲には明らかにカタギではない人間達が立っていた。
「………すみません、呼び止められましたので止めます」
「いえ、この街の支配者の一角相手なら、仕方ありません」
車が止まる。
『[【案内屋:ジェフリー】か。ちょうど聞きたいことがある。構わないか?]』
『[ば、【バラライカ】さん、今日はお客さんがいますし、先程も話せる事は部下の方に全て………]』
『[ん?客?]』
女が車の中を覗き込む。
『[子供じゃない]』
『[はい、なんでも知り合いに会いに来たとかで………]』
『[知り合いを訪ねてこのロアナプラに?………ははははは‼︎ 同志軍曹、これは傑作だぞ‼︎ ひ弱なお子様が、お友達会いたさにこの悪徳の街に来ただと? ははははは‼︎]』
女が大爆笑する。
『[坊や、今この街は危険よ。早く母親のところにお帰りなさいな]』
そして、何やら優しく語りかけてくる。
「バラライカさんが、早く帰りなさいと言ってます」
「1ヶ月は帰れないんですよね………まあ、気を付けますよ」
俺はそう答える。
『[そう………]』
女はため息を吐き出す。そして、ポケットから名刺を取り出す。
『[何かあれば電話しなさいな]』
「何かあれば連絡しろと」
「ああ、ありがとうございます」
俺は名刺を受け取る。
『[で、ジェフリー、最近変なよそ者を見なかった?]』
『[いえ、最近案内したのは、今日入国したこの子だけですが………]』
『[そう、何かあったら連絡を頂戴]』
『[は、はい]』
女達が離れていく。
「………ホテルに急ぎましょうか」
「ええ、そうしましょう」
急いでホテルに向かった。
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○語りside○
☆☆☆☆☆☆☆☆
「………あれはマズイな軍曹」
道端で立ち止まったバラライカは、隣に立つ【ボリス】に呟く。
「はっ、大尉」
「あれは戦う者の目だ………それも、絶望的な戦いをしてきた人間の目だ」
「あの少年が、でありますか?」
「ああ、あれはアフガンでも見たことがある。あれは戦士の目だ」
バラライカは総司を警戒することにした。最悪でも滞在中は。
そして、それを眺める人間が1人。
「あれは………」
「どうかされましたか?大哥」
スーツ姿にサングラスをした男が、走り去る車を見つめる。
「ふっ、はは。これは、豪勢な"ディナー"を用意しないといけないな」
男ーーー張(チャン)はくすくすと笑いながら、歩みを進めた。
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○語りsideEND○
☆☆☆☆☆☆☆☆
おいっす、やっとホテルについてジェフリーと離れた総司だ。
「っにしても、意外と良いホテルを用意してくれたんだな」
俺はふかふかのベッドに転がる。
「っと、その前に研修内容をいくつか済ませるか」
今簡単にこなせるものだと………。
「"夜間のロアナプラを自由に散策する"か。明らかにやばそうだが、それを目的としてるんだろうなぁ」
やっぱり帰ったら、峰津院を縛り上げてサンドバッグにしよう。うん、そうしよう。
「んじゃ、行きますかねーっと」
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エンド
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新章に悩んでいます。よければ参考までに意見をお聞かせください。
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知識がなくとも、とらは
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異世界へ、GATE
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魔法足りてないよ、りりなの
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もっと魔境へ、??ルート
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いやいやもっと別の、その他