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第3章
ーBlack Lagoonー
第4話
ー選択の自由ー
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さて、一晩明けた総司………いや、ソウだ。
一先ずは無事に夜を過ごした俺は、明るくなった今現在、ロアナプラの道を歩いていた。
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○ロアナプラ○
○大通り○
「へぇ、思ったより色々あるんだ」
ロックと香港三合会とホテル・モスクワの構成員がそれぞれ1名づつというメンバーと共に、俺は道を進む。
「ソウ君は外国自体初めてかな?」
「ええ、日本から出たことありませんから」
「海外未経験なのにいきなり一人旅とは………おまけによりによってロアナプラ」
ロックが頭を抱えている。
「(それにしても、この街には不釣り合いな男だな。腕が立つようには見えないし、特にスーツなんてこの街じゃ目立つ)」
なお、俺の服は弾丸で蜂の巣にされたので、アロハシャツ(現地購入………趣味は微妙)を着ている。
『[似合ってるぜガキンチョ]』
レヴィとかいう女が、俺の頭をわっしわっしと撫でる………髪が乱れるわ‼︎
「えっと、レヴィが似合ってるってさ」
「ロックさんどう思いますか?」
「………」
その無言が痛い‼︎
「そういえば、張さんがソウ君の戦闘能力が高いって言ってたけど………」
「あのクリソツの2人くらいなら手を抜いても十二分に処理できますよ? あの時は負傷者もいましたし、たまたまの遭遇だったので追い返す程度で終わらせましたけど。 証拠というか、男の方には顔面右ストレート決めましたし」
「君何やってんの⁉︎」
つか、あいつふらついてたけど無事に隠れ家とかに戻れたのだろうか? 俺が心配することでもないがな。
「こんな子が日本にいたのか………」
「(すまんロックさん。本当の日本は魔窟だ)」
考えてみると、悪魔使いや陰陽術師に元殺し屋やら結構ヤバい奴らが集まったJP'sのある日本は、間違っても平和ボケ日本とは言えないだろう。
あ、ついでに日本が戦争になった場合はJP'sにも参戦義務が発生するらしい。第二次世界大戦時はもっと民間寄りだったから参戦しなかったらしいが、今では政府の一組織なので仕方ないそうだ。これも時代の流れというやつである………by説明してくれた中年JP's隊員。
「(悪魔は現代兵器があまり効果ないから、弱い悪魔でも戦車並みの価値があるし、上級悪魔に至っては戦略級の価値があるだろう)」
悪魔による蹂躙は可能である。それに近々ミャンマーと中華人民共和国との小競り合いに、JP's隊員を義勇兵として数名派遣する予定があるという話も小耳に挟んでいる。
「(中国の南下政策への対抗。 ミャンマーは落とさせないという日本の思惑。あーあ、政治の世界ってやつか)」
実際、もう小競り合い自体はあるそうだ。
「(各国が雇った傭兵達が防衛線を構築しているらしいが………さて、どこまでやれるのかな?)」
ーーーというか、今気付いたが。
「(あれ?ここもミャンマーに近いタイだよな? ほぼ政府の管理下にないけども)」
んんんん?(白目) 峰津院の野郎‼︎ 非常用戦力として俺をロアナプラに送り込みやがったな‼︎
「(覚悟だけはしておくか)」
*********
○ホテル・モスクワ事務所○
『[昨日ぶりね坊や。いえ、ソウだったかしら?]』
ロックが目の前のバラライカの言葉を翻訳してくれる。
「ええ」
『[昨日の詳しい話を聞いてもいいかしら?]』
「では…………」
ソファーに腰掛けた俺は、細かく現場で起きたことを説明する。
「(それにしても冷静だな)」
説明しながらバラライカの様子を観察する。
「(ーーーいや、違うな)」
俺は最初の判断を覆す。
「(これは、激流のごとき怒りを"殺している")」
あの世界で同僚が戦死したとある自衛隊員も、同じような様子だった。
ーーー結局、その自衛隊員も民間人をかばって悪魔に殺されたが。
「って訳です」
『[なるほど]』
バラライカが頷いている。
「さて、話は終わりましたし、帰っても大丈夫ですか?」
『[ああ、ありがとうねソウ]』
俺は立ち上がる。
「それじゃ、俺はこれで」
『[あ、そうそうソウ。 言い忘れたけど、この街で平和に生きたいなら頭を低くして生きなさい。それがこの街で上手く生きていく秘訣よ]』
俺はその言葉をロックに訳して伝えられると同時に、椅子に座るバラライカの前に立つ。
ーーーああ、その言葉だけは容認できないわ。
「俺が最もこの世で嫌うことは選択権もない家畜のような存在に成り下がることだ。選択とは人の可能性だ。頭を低くするということは選択を消す行動だ。
ーーーゆえに、俺は己が道を生きるのさ」
俺はニヤリと笑みを浮かべる。
「たとえその先に俺の死が待っていたとしても、それは俺の選んだ選択だ。俺の選んだものだ」
ーーー故に。
「俺は頭を上げて生きる」
『[………そう、まあソウには部下を助けてもらった恩があるわ。 何かあれば連絡を頂戴]』
「………ありがとうございます」
俺は今度こそ事務所を出た。
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○十数時間後○
○魚雷艇○
「(なぜ俺はこんなところに………)」
俺は魚雷艇の中で頭を抱える。おまけに目の前で、ロックとこの前バーを襲ってた襲撃犯の少女が話している。
「(え、ぇえ………どうするよこれ)」
事情を聞いたところによると、この娘っ子を海外に逃すのがロック達の仕事らしい。
「はぁ、一先ず武器の手入れでもするかね」
俺は己の拳銃の手入れを始める。一応拳銃はJP'sでも使うから、手入れの方法は一式仕込まれているから手入れに問題はない。
『[あら、そういえばあなたお兄様殴り飛ばしたお兄さんじゃない。 お久しぶりね?]』
ロックが翻訳してくれる。
「お久しぶり。元気してたみたいというよりもやんちゃしてたみたいだな」
『[まあね]』
クスクスと少女は笑う。
「(こう見てれば天使のような少女なんだがな)」
俺は拳銃を分解して手入れしてゆく。
「ソウ君は銃を使うのかい?」
「まあ、基本レベルは」
今度は拳銃を再度組み上げてゆく。
「(ああ、そうだ。一応小細工しておくか)」
俺はケータイを手に取った。
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エンド
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新章に悩んでいます。よければ参考までに意見をお聞かせください。
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知識がなくとも、とらは
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異世界へ、GATE
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魔法足りてないよ、りりなの
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もっと魔境へ、??ルート
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いやいやもっと別の、その他