第5章はあと1話から2.3話で終わりの予定です。
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第5章
ー戦姫絶唱シンフォギアー
第4話
ー大食い響チャンー
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○原作 響side○
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未来との久々の再会に浸る暇もなく、ノイズの襲撃を乗り切った私は、とある施設に連れてこられていた。
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○第2課○
対ノイズ組織である第2課。未来も所属している組織らしいけれども………。
「食べないでください」
第2課の地下基地の中で、私はガクガクと震えながら、未来の陰に隠れる。
「いや、そんなことしないぞ?」
筋肉むきむきのおじさんが焦った表情を浮かべてる。シルクハットにマジック用の杖があまりにもアンバランスだ。
というか、こんな歓迎パーティーのような場所に連れてこられて自分はどうなるんだろう?ソウに一度注意されたことがある。
ーーー相手を厚遇する場合2つが考えられる。
ーーー1つは自分の味方にしたい時。
ーーーもう1つは、油断させたい時。
ーーー厚遇には注意しろ。警戒しろ。
うん、これのことだよね‼︎
「ごほん………一先ず、歓迎するぞ‼︎ 立花 響君‼︎」
「ピッ⁉︎」
私は未来の後ろに完全に隠れる。
「ひ、響?司令なら大丈夫だから」
「み、未来」
み、未来の所属場所とはいえ、私にとっては未知の場所だ。正直さっさとロシアに帰りたい。
「(けど、未来に恥をかかせる訳には………)………立花、響、です」
「あ、ああ、ここの司令官をしている風鳴 弦十郎だ」
私と司令さんは握手を交わした。
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○原作 響side END○
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○風鳴 弦十郎side○
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目の前の少女………立花 響は俺達第2課所属の未来君の親友にして探し人であり、また我々の被害者である。
あのノイズが襲撃したライブ事件で、生存者達は死んだ人間を犠牲にして生き残ったとバッシングを受けた。そのせいで多数の人間が自殺や失踪し、中には殺される人間もいた。響君は失踪した人間だ。
俺達も介入したが………全ては遅かった。バッシングが収まる頃には響君は家出し、失踪していた。
我々も失踪者を探した。多くの人間は見つかったが、見つからない人間もいた。響君もその1人だ。
「(ロシア、か)」
当時中学生だった響君には遠すぎる場所だ。色々あったのだろう。
「(手の皮が厚い。かなりの鉄火場を潜り抜けた人間の手だ)」
おまけに、ここに来る際の身体検査で、拳銃を隠し持っていた。銃刀法違反だが、彼女としたらこの地は敵地だったのだろう。銃ぐらいは携帯したいと思ったのかも知れない。
いや、今回のために用意したならそれはそれでいいのだが、問題は"日常的に携帯しているのか"どうかだ。
「(日常的に必要なら、多分それは裏社会に身を置いているということだ。できるなら保護したい)」
それに先ほどのガングニールの一件もある。
「(多少強引にでも保護しよう。しかし、先ずは話してみよう)」
俺は響君を椅子に案内して座らせる。
「ノイズのせいで食事が取れてないのは聞いている。是非食べてくれ」
「ご飯‼︎………あっ‼︎」
響君が何かを思い出す。
「どうかしたか?」
「あ、仲間をフラワーってお店に待たせてて………」
「ならこちらの者を向かわせよう」
「なら、ホテルに戻るように言ってたって伝えてもらっていいですか?」
「連れてこなくていいのか?」
「ええ、巻き込めないですし」
響君が苦笑する。
「分かった。こちらで手配するから先に食べててくれ」
俺は電話で手の空いている人員に連絡する。
「さて、それでは飯に………」
ーーーガツガツガツガツガツガツ‼︎
机を見ると、ものすごい勢いで響君が飯を食べている。すでに机の上には空き皿が何皿も乗っている。
「ひ、響っ⁉︎」
未来君が驚きの声を上げている。
「………美味しい。久しぶりの日本の味だ」
響君は涙を流しながら、勢いよく米をかきこむ。
「そうか、響はずっとロシアにいたんだもんね」
「いや、その前にこの食べっぷりは………」
「? 響はいつもこんな感じですよ?響は本気になると十数人分は食べますし」
「「「「っ⁉︎」」」」
俺達は思わず戦慄した。このままでは食いきられる、と。
「追加で出前を頼めーーー‼︎」
「追加急げーーー‼︎」
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○数十分後○
「けぷっ」
「もう、響ってば」
響君が満足そうな表情を浮かべている。しかし、まさか本当に十数人分どころか二十数人分の食事を平らげるとは………。
「………ありがとうございます。久しぶりに日本のご飯を食べれました」
響君が頭を下げる。
「いや、構わないさ」
経費で落とすからなっ‼︎
「ごほん………そろそろ本題に入っても構わないか?」
「シンフォギアの件ですか?」
「っ⁉︎ 何故それを⁉︎」
シンフォギアは情報規制で秘密にされている技術だ。一般人が知れる情報ではない。
「リツに聞きました。私の胸にはガングニールというシンフォギアのかけらがあって、私の身体と徐々に融合してるって」
「融合、だと?」
「はい、奏さんのシンフォギアの破片が私に刺さり、そのかけらが私の体内に残っていたんです。その破片を活発化させれば私はシンフォギアをまとえるとも聞いています」
「か、奏のガングニールが」
翼が部屋を出て行く。
「(ショックが大きかったか………)そこまで詳しい人間がいたのか。そのリツとはどんな人なんだ?」
「異端技術学者と言っていました。私の身体の検査や治療は彼女を中心に行われています」
「ふむ」
リツ、か。了子君がいれば何か分かったかもしれないが………あいにく今は出張している。帰ってくるのは明日の夕方だ。
「その人はロシアに?」
「いえ、リツはちょっと事情がありまして人前に出れないというか………」
「ふむ、事情があるようだな」
できればリツという研究家にも我々に協力して欲しいところだ。
「一先ず今日は帰っても構いませんか?また明日来ますので」
「そうだな、今日はもうだいぶ遅い。車の手配をしよう」
「あ、いえ多分もう迎えが来ているかと………」
「迎え?」
その時、突如として響君の背後にローブを着た男が現れる。
「響様。お迎えにあがりました」
「あ、もうそんな時間?」
響君は腕時計を見る。どうやら知り合いのようだ。
「っと、初めまして皆様。わたくしジプス構成員の【チェーコフ・チェコフスキー】と申します。しがない錬金術師でございます」
男が礼をとる。
「君、どうやってここに………」
「そこは企業秘密ということで」
響君が立ち上がる。
「それじゃあまた。未来もまたね♪」
「え、あ」
チェーコフ君が何かを床に叩きつけると、2人が消える。
「………明日詳しく聞く必要があるな」
俺は思わずため息を吐き出した。
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○風鳴 弦十郎sideEND○
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エンド
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