平成の転生者(仮)   作:初任者

5 / 30
ここでデビサバ以外からクロスです。そっちの話主体の章も作る予定です。
多分分かる人には分かるキャラの筈。


第1章第5話

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

第1章

ーデビルサバイバー2ー

第5話

ー決意ー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

突然だが、俺はこの運命の7日間に突入してから今日である5日目までマトモに破壊された街の様子を見たことは無かった。

 

見たとしても、それは上空からであったり、車に乗ったままだったりである。

 

そんな俺は現在、東京の街にいた。

 

 

*********

○東京○

○とある通り○

 

 

「ここまで、やられてるのか………」

 

 

俺は周囲を見渡しながら呟く。

 

いつもなら日本人だけでなく観光客でも賑わう街が、暗い影を落とし、沈黙に包まれていた。

 

街の建物もあちらこちらが壊されており、とてもじゃないが東京とは思えない。

 

人々の顔には活力はなく、中には死体のように横になっている人もいる………いや、今の治安の悪い世の中であるならば、死体である可能性は充分に高い。

 

 

「これが、崩壊した世界ということ、か」

 

 

その時、目の前で爆発が起きる。

 

 

「ーーー‼︎」「ーーー⁉︎」

 

 

中国語らしき言葉を叫ぶスーツ姿の男達が、同じスーツ姿の男達と銃の撃ち合いをしていた。

 

 

「マジ世紀末だな」

 

 

しかし、と俺は呟く。

 

 

「放置するのも目覚めが悪い。ここはひとつ治安改善といこうか?」

 

 

俺はケータイを抜き、構える。そしてすぐさま悪魔の召喚を開始する。

 

 

「風で切り裂け、パズス」

『グルルル』

 

 

パズスが笑みらしき表情を浮かべる。

 

 

「そこの銃を撃ち合ってる中国人ども‼︎ 今すぐやめないとこの場で両方共に皆殺しにする‼︎ これは警告である‼︎ パズス前へ‼︎」

 

 

パズスが俺の前に立つ。

 

 

「ーーー‼︎」

 

 

中国人が、中国語で叫びながら銃を乱射してくる。

 

 

「愚かな。悪魔には現代兵器は効かない」

 

 

銃弾を文字通りその身で弾くパズスの両腕が前に向けられる。それはターゲットをロックしたことに他ならない。

 

 

「≪メギド≫」

 

 

神の炎が放たれ、瞬く間にその場にいる中国人達を包み込む。そして炎は、黒い炎にして神聖なる神の炎が、人間の体を跡形もなく燃やし尽くす。そこには文字通り灰すらも残らないだろう。それほどまでにこの神の炎は強力である。

 

ーーーえ?風はって?ブラフだよブラフ。

 

 

「………何気に、初めて人間と戦ったな」

 

 

その時、生き残った何人かの中国人がケータイを構えて、悪魔の召喚を行う。

 

 

「悪魔使いか。だがしかし」

 

 

彼らが召喚したのは【魔獣:ネコマタ】や【闘鬼:ゴズキ】など………正直、パズスだけで十二分に処理できる相手だった。

 

 

「焼き払え、パズス」

 

 

メギドの炎が、悪魔と人間を焼く。

 

俺のパズスは普通のパズスと比べて、ゲーム時代に強化した強力な悪魔である。例え元が召喚時のレベルと同レベルであろうとも瞬殺できる。

 

だというのにだ。相手は元の召喚時のレベルでも瞬殺できる相手である。

 

 

ーーー負けるほうがどうかしている。

 

 

「ん?」

 

 

中国人を焼き払った後、爆発の起きていた建物の中からスーツ姿の男達が両手を上げて出てくる。

 

 

「て、敵対意識ナイ‼︎ 攻撃スルナ‼︎」

 

 

外人特有の発音で、投降らしき宣言が聞こえる。

 

 

「………了解した。一応話を聞きたい。代表は誰だ?」

 

 

わざと高圧的な態度で問いかける。

 

 

「ーーー」

 

 

2丁の拳銃を持ったボロボロの姿の男が、俺の前に現れる。その男は両肩を部下らしきスーツの男2名に支えられている。

 

 

「私、通訳スル。"助カッタ、感謝スル"」

「何があった?………とは言ったものの、その姿と武器を考えると中国マフィアというところだろ?残った物資の奪い合いか?」

 

 

通訳が、代表の男と話し合う。

 

 

「ーーー"ソノ通りダ。我々ハ【香港三合会】ダ。俺の名前ハ【チャン】ダ"」

「現在JP'sで民間協力者をしている八神だ。一応治安維持のためにやらねばならなくてな」

「"………理解デキル。我々も現在ノこノ状況ハ好マシクナイ"」

 

 

どうやらマフィアも困る状況らしい。

 

 

「俺は元の世界に戻るために戦っている」

「"ソウカ、我々ニモ出来ル事がアレばイイガ………正直何モ出来ナイ"」

「ま、そうだろうな。ただの人は逃げ惑うしかなく、ただの強者は真っ先に死に、ただの悪魔使いでは抵抗しかできない………真に運命を変えられるのは、真に選ばれし運命の悪魔使い達だけだ」

 

 

俺は歩を進める。

 

 

「生き残ったその先でまた会えたら会おうぜ? その時は飯でも奢ってくれよ、チャンさん」

 

 

俺はその場を立ち去った。

 

 

「(それにしても、マフィアですら混乱する状態か………いやはや、確かに人類史上最も大事件ではあるがな)」

 

 

しばらく歩いていると、死体らしきものがいくつか転がっているのが見える。

 

 

「死体の収容が間に合ってないのか………」

 

 

JP'sは勿論のこと自衛隊、警察、消防………ほぼ全ての組織が十二分に働いているが、手が回りきらないこの現状こそが現実である。

 

 

「(やはり、元の世界に戻すしかない)」

 

 

峰津院 大和の掲げる実力主義世界は、明言されてこそいないものの明らかに"元の世界ではなく、この災害を乗り切った世界だ。そのため、家族の復活もない"。

 

 

「(例え、この命が潰えようとも、最悪でもその道くらいは残そう)」

 

 

俺は現在ただの小学生であり、特典持ちとはいえ元は戦闘経験ゼロの素人であった。おまけに寝坊のせいで更に他のメンバーよりも戦闘経験が低い。

 

そんな俺が最後まで生き残れるかといえば、確率が高いとは言えないだろう。

 

 

「久世さん。あんたどの道を選ぶんだい?」

 

 

もしも、もしも実力主義世界を目指すなら。

 

 

「俺はどうすればいいんだろうな」

 

 

大切なものを守るか、新たな未来を夢見るか………。

 

 

「………ふ、あはははは‼︎」

 

 

思わず笑う。

 

 

「ひぃはははははははは‼︎ ふぁはははははは‼︎ ひぃ、ひぃ、ひゃははははは‼︎ くっくっくっくっくっくっ‼︎ ぶぅはははははは‼︎」

 

 

笑いが溢れ出すように漏れ出す。 それは自分を嘲笑う。

 

 

「ーーーなんだ。俺自身がそもそも俺自身がなんの決意も出来てないじゃないか」

 

 

そう、久世 響が………いや峰津院 大和が、栗木 ロナウドが、志島 大地が選ぶどの未来も彼らは選び覚悟してその道を突き進んだ。

 

 

ーーー対して俺はどうだ?

 

 

主人公という存在に縋り、自分はなんの決意もそのための行動もしていない。流れに従って戦っているだけだ。

 

元の世界?家族?父?母?妹?親友?友人?地元?日本?ーーー否、否否否否否否否否否‼︎ 結局のところは‼︎ 己が自身で決意しなければならない‼︎

 

そうでなく、何かに縋り決意をすればそれは容易く崩れ去る。まるで砂の城に波がぶつかるだけで崩れるように。

 

 

「成る程、道理であるか」

 

 

俺は笑うのをやめて、再び歩き出す。

 

 

「とはいえ、覚悟といってもなぁ」

 

 

俺は思わずため息を吐き出す。

 

 

「ん?お前は………」

「ん?」

 

 

声のした方を見ると、峰津院がいた。

 

 

「JP'sの長官殿がなぜこんなところに?」

「少し風にあたりに来ただけだ。すぐに戻る」

 

 

そう言って、峰津院は黒い真っ黒な空を見上げる。

 

 

「………今朝、久世から問い詰められてな。ポラリスの事を伝えたのはお前だろ?」

「な、何のことやら?」

 

 

俺は思わずとぼける。

 

 

「ふっ、まあいい」

 

 

峰津院が歩き始める。

 

 

「先ずはセプテントリオンだ」

「………ええ、そうですね」

 

 

峰津院はそのまま立ち去る。

 

 

「………セプテントリオンか」

 

 

残りのセプテントリオンを思い出す。

 

 

「ーーーどちらにせよ。笑っても泣いてもあと少しだ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

エンド

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

新章に悩んでいます。よければ参考までに意見をお聞かせください。

  • 知識がなくとも、とらは
  • 異世界へ、GATE
  • 魔法足りてないよ、りりなの
  • もっと魔境へ、??ルート
  • いやいやもっと別の、その他

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。