多分分かる人には分かるキャラの筈。
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第1章
ーデビルサバイバー2ー
第5話
ー決意ー
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突然だが、俺はこの運命の7日間に突入してから今日である5日目までマトモに破壊された街の様子を見たことは無かった。
見たとしても、それは上空からであったり、車に乗ったままだったりである。
そんな俺は現在、東京の街にいた。
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○東京○
○とある通り○
「ここまで、やられてるのか………」
俺は周囲を見渡しながら呟く。
いつもなら日本人だけでなく観光客でも賑わう街が、暗い影を落とし、沈黙に包まれていた。
街の建物もあちらこちらが壊されており、とてもじゃないが東京とは思えない。
人々の顔には活力はなく、中には死体のように横になっている人もいる………いや、今の治安の悪い世の中であるならば、死体である可能性は充分に高い。
「これが、崩壊した世界ということ、か」
その時、目の前で爆発が起きる。
「ーーー‼︎」「ーーー⁉︎」
中国語らしき言葉を叫ぶスーツ姿の男達が、同じスーツ姿の男達と銃の撃ち合いをしていた。
「マジ世紀末だな」
しかし、と俺は呟く。
「放置するのも目覚めが悪い。ここはひとつ治安改善といこうか?」
俺はケータイを抜き、構える。そしてすぐさま悪魔の召喚を開始する。
「風で切り裂け、パズス」
『グルルル』
パズスが笑みらしき表情を浮かべる。
「そこの銃を撃ち合ってる中国人ども‼︎ 今すぐやめないとこの場で両方共に皆殺しにする‼︎ これは警告である‼︎ パズス前へ‼︎」
パズスが俺の前に立つ。
「ーーー‼︎」
中国人が、中国語で叫びながら銃を乱射してくる。
「愚かな。悪魔には現代兵器は効かない」
銃弾を文字通りその身で弾くパズスの両腕が前に向けられる。それはターゲットをロックしたことに他ならない。
「≪メギド≫」
神の炎が放たれ、瞬く間にその場にいる中国人達を包み込む。そして炎は、黒い炎にして神聖なる神の炎が、人間の体を跡形もなく燃やし尽くす。そこには文字通り灰すらも残らないだろう。それほどまでにこの神の炎は強力である。
ーーーえ?風はって?ブラフだよブラフ。
「………何気に、初めて人間と戦ったな」
その時、生き残った何人かの中国人がケータイを構えて、悪魔の召喚を行う。
「悪魔使いか。だがしかし」
彼らが召喚したのは【魔獣:ネコマタ】や【闘鬼:ゴズキ】など………正直、パズスだけで十二分に処理できる相手だった。
「焼き払え、パズス」
メギドの炎が、悪魔と人間を焼く。
俺のパズスは普通のパズスと比べて、ゲーム時代に強化した強力な悪魔である。例え元が召喚時のレベルと同レベルであろうとも瞬殺できる。
だというのにだ。相手は元の召喚時のレベルでも瞬殺できる相手である。
ーーー負けるほうがどうかしている。
「ん?」
中国人を焼き払った後、爆発の起きていた建物の中からスーツ姿の男達が両手を上げて出てくる。
「て、敵対意識ナイ‼︎ 攻撃スルナ‼︎」
外人特有の発音で、投降らしき宣言が聞こえる。
「………了解した。一応話を聞きたい。代表は誰だ?」
わざと高圧的な態度で問いかける。
「ーーー」
2丁の拳銃を持ったボロボロの姿の男が、俺の前に現れる。その男は両肩を部下らしきスーツの男2名に支えられている。
「私、通訳スル。"助カッタ、感謝スル"」
「何があった?………とは言ったものの、その姿と武器を考えると中国マフィアというところだろ?残った物資の奪い合いか?」
通訳が、代表の男と話し合う。
「ーーー"ソノ通りダ。我々ハ【香港三合会】ダ。俺の名前ハ【チャン】ダ"」
「現在JP'sで民間協力者をしている八神だ。一応治安維持のためにやらねばならなくてな」
「"………理解デキル。我々も現在ノこノ状況ハ好マシクナイ"」
どうやらマフィアも困る状況らしい。
「俺は元の世界に戻るために戦っている」
「"ソウカ、我々ニモ出来ル事がアレばイイガ………正直何モ出来ナイ"」
「ま、そうだろうな。ただの人は逃げ惑うしかなく、ただの強者は真っ先に死に、ただの悪魔使いでは抵抗しかできない………真に運命を変えられるのは、真に選ばれし運命の悪魔使い達だけだ」
俺は歩を進める。
「生き残ったその先でまた会えたら会おうぜ? その時は飯でも奢ってくれよ、チャンさん」
俺はその場を立ち去った。
「(それにしても、マフィアですら混乱する状態か………いやはや、確かに人類史上最も大事件ではあるがな)」
しばらく歩いていると、死体らしきものがいくつか転がっているのが見える。
「死体の収容が間に合ってないのか………」
JP'sは勿論のこと自衛隊、警察、消防………ほぼ全ての組織が十二分に働いているが、手が回りきらないこの現状こそが現実である。
「(やはり、元の世界に戻すしかない)」
峰津院 大和の掲げる実力主義世界は、明言されてこそいないものの明らかに"元の世界ではなく、この災害を乗り切った世界だ。そのため、家族の復活もない"。
「(例え、この命が潰えようとも、最悪でもその道くらいは残そう)」
俺は現在ただの小学生であり、特典持ちとはいえ元は戦闘経験ゼロの素人であった。おまけに寝坊のせいで更に他のメンバーよりも戦闘経験が低い。
そんな俺が最後まで生き残れるかといえば、確率が高いとは言えないだろう。
「久世さん。あんたどの道を選ぶんだい?」
もしも、もしも実力主義世界を目指すなら。
「俺はどうすればいいんだろうな」
大切なものを守るか、新たな未来を夢見るか………。
「………ふ、あはははは‼︎」
思わず笑う。
「ひぃはははははははは‼︎ ふぁはははははは‼︎ ひぃ、ひぃ、ひゃははははは‼︎ くっくっくっくっくっくっ‼︎ ぶぅはははははは‼︎」
笑いが溢れ出すように漏れ出す。 それは自分を嘲笑う。
「ーーーなんだ。俺自身がそもそも俺自身がなんの決意も出来てないじゃないか」
そう、久世 響が………いや峰津院 大和が、栗木 ロナウドが、志島 大地が選ぶどの未来も彼らは選び覚悟してその道を突き進んだ。
ーーー対して俺はどうだ?
主人公という存在に縋り、自分はなんの決意もそのための行動もしていない。流れに従って戦っているだけだ。
元の世界?家族?父?母?妹?親友?友人?地元?日本?ーーー否、否否否否否否否否否‼︎ 結局のところは‼︎ 己が自身で決意しなければならない‼︎
そうでなく、何かに縋り決意をすればそれは容易く崩れ去る。まるで砂の城に波がぶつかるだけで崩れるように。
「成る程、道理であるか」
俺は笑うのをやめて、再び歩き出す。
「とはいえ、覚悟といってもなぁ」
俺は思わずため息を吐き出す。
「ん?お前は………」
「ん?」
声のした方を見ると、峰津院がいた。
「JP'sの長官殿がなぜこんなところに?」
「少し風にあたりに来ただけだ。すぐに戻る」
そう言って、峰津院は黒い真っ黒な空を見上げる。
「………今朝、久世から問い詰められてな。ポラリスの事を伝えたのはお前だろ?」
「な、何のことやら?」
俺は思わずとぼける。
「ふっ、まあいい」
峰津院が歩き始める。
「先ずはセプテントリオンだ」
「………ええ、そうですね」
峰津院はそのまま立ち去る。
「………セプテントリオンか」
残りのセプテントリオンを思い出す。
「ーーーどちらにせよ。笑っても泣いてもあと少しだ」
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エンド
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新章に悩んでいます。よければ参考までに意見をお聞かせください。
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知識がなくとも、とらは
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異世界へ、GATE
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魔法足りてないよ、りりなの
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もっと魔境へ、??ルート
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いやいやもっと別の、その他