茨木童子と黒髭   作:仲人

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ばらきーと黒髭が絡んでる話が見たくて書きました。

反響があれば続くかもです。


第一話

とある日、レイシフト先で調達した酒を持ち帰ったティーチは食堂にてクー・フーリンら酒呑みサーヴァントと酒盛りを交わし、ほろ酔い気分で自室へと戻ると扉の前に金髪の少女が立っていた。

黄金色の着物を羽織り、額からは血の様に赤黒い角を生やし、真一文字に閉じた口からは小さな牙が覗いている。

正しく日本の昔話に出てくる鬼そのものといった姿をした少女の名は茨木童子、先日カルデアに召喚されたばかりの所謂新入りサーヴァントだった。

 

その姿を見てティーチは首を傾げつつ思考を巡らせる。

何せ自身は度重なる行き過ぎた愛情表現(セクハラ行為)により、女性サーヴァントへの接近禁止令がマスターである立香から施行されているのだ。

おまけに顔を合わせた事もない彼女が何故に自分の部屋の前に居るのか?

幾ら頭を捻ってみても納得のいく答えが見つからず、廊下で佇むティーチ。

 

「む、やっと帰って来おったか。何時まで吾を待たせるのだ、待ちくたびれて汝の部屋の扉を蹴破ろうかと思っておったわ」

 

気配に気づき此方へと振り向いた茨木童子は閉じ結んだ唇を歪めて不服気に呟くと、此方へと歩み寄り距離を詰めると視線をティーチの部屋の扉へと向けた。

 

「早速だが本題に入るとしよう。汝の本性は魔酒から聞き及んでおるのだ、人の身でありながら鬼にも劣らぬ残虐さと理不尽さを兼ね備えた悪党とな?そこで汝には吾と共に…」

 

「マスター、ここに迷子が居るでござるよー!なんかめっちゃ上から目線なんですけどー!」

 

「おい貴様!今吾を子供扱いしおったな!喰ろうてやるぞ!?」

 

威厳に満ちた茨木童子の物言いを無視して大声で叫び出すティーチ、そんなティーチの胸倉を少し背伸びして掴み負けじと声を荒げる茨木童子。その姿は精一杯威嚇してみせる小型犬を髣髴とさせる可愛らしさを感じ無意識に頬が緩む。

 

「デュフフ、冗談でござるよ。ほぼ初対面なんだから緊張を和らげるためのジョークってやつですぞ」

 

「じょーく?むむ、どうにも西洋の風習とやらは理解が追いつかぬ…と言うかだな!汝には吾の首魁としての迫力を増すための手助けをして欲しいのだ」

 

そう告げる茨木童子はふんすっ、と鼻を鳴らして胸を張る。それに対してティーチは心底面倒そうに眉尻を下げつつ答えた。

 

「童女からのお誘いとか非常に嬉しいですな!でもそれ嫌な予感がビンビンするんですけどー。拙者見たいアニメあるしー、MeTubeで戦乙女シンフォニア期間限定配信してるんですぞー?」

 

「ぐぬぬ、吾が人間に頼み事をするなど稀なのだぞ?何故素直に頷かんのだ!こうなれば力づくでも従わせてやろうか」

 

胸倉を掴んだまま顔を引き寄せる茨木童子は牙を剥きティーチを睨みつける、先程までの雰囲気とは一変し正しくおとぎ話に語られる恐ろしき鬼そのもの。

それに対しティーチも今までの下品なニヤケ面から獰猛な笑みへと変わり、ゆっくりと顔を寄せてゆく。

 

「面白れぇ事を抜かすじゃねーか、この俺とやり合おうってか?上等だ、鬼だろうが何だろうが関係ねぇ。従わせてみろよ、この黒髭様をな!」

 

一触即発の状態の二人は気付かなかった、廊下の向こうから歩み寄って来る水着の聖女(マルタ)の存在を…

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「あー、茨木殿…大丈夫でござるか?とりあえずこれでも飲んで落ち着いてくだちい」

 

未だにカタカタとベッドの上で震え続ける茨木童子に話し掛けるティーチは、備え付けの冷蔵庫から炭酸ジュースを取り出すと手渡した。

 

「おい、なんなのだ奴は。然しもの吾も肝が冷えたわ…素手で鉄の壁を叩き割る人間など見聞きしたことが無いぞ」

 

震えの所為で缶が開けられず間誤付いていれば、代わりに蓋を開けるティーチ。一口飲めば目を見開きほわぁ!等と感嘆の声をあげる茨木童子、お陰で震えは収まったようだ。

 

「マルタ殿の前では喧嘩はご法度でござるよ、鉄拳制裁(タラスク)されますからな。ところで先程の手助けの件でござるが…受けても良いですぞ」

 

「なにっ、本当か!?反故になどしたら許さぬからな!約束だぞ!」

 

「はいはい、海賊に二言はないと言いますからな。但し条件がひとーつ、三日以内に霊基を最終再臨させられたらですぞ」

 

「ふむ、ならば早速行くとしよう!汝は楽しみに待っておれよ?吾の晴れ姿を拝ませてやるのだからな!」

 

話がついた途端飲み干した缶を握り潰した茨木童子は、そのまま颯爽と部屋から走り去っていった。静かになった部屋に一人残されたティーチは残り香が残るベッドへと潜り込むのであった。

 

それから暫くして夜明け前に差し掛かった頃、扉を叩く音で目覚めたティーチはベッドから降りて立ち上がる。

 

「もー誰でござるかー、折角夢でジャックちゃん肩車してたのにー…」

 

ぶつぶつと不満を漏らして扉を開ければ、其処には先程出ていった茨木童子の姿があった。

 

「どうだ、この煌びやかな姿!襤褸も良いがこの装いも悪くはないであろう?」

 

自慢げに笑みを浮かべてくるりと回って見せた、髪は炎のように燃え上がり腰には赤と白の注連縄が巻かれている。

 

「…眩しい、戻して」

 

「にゃんとぉ!?もう少し何かないのか?恰好良いとか似合ってるとか!吾の努力を褒め称えても良かろう!」

 

「すごいですねー、と言うか再臨素材はどうしたんでつ?一人で集めたのでござるか?」

 

「吾を誰だと思うておるのだ、鬼なのだぞ?奪ったに決まっておるだろう!」

 

「わーお、DA・I・TA・N。種火も奪ったんでつか?」

 

「エイリークとフランが快く協力してくれたのだ、やはり角のある者は良い奴らばかりだな!」

 

嬉々として語る茨木童子を眺めてティーチは一人考えていた、鬼のやる気スイッチぱねぇと。

斯くしてエドワード・ティーチは茨木童子の指南役に抜擢されたのであった。

 

後日、再臨素材をくすねた事が発覚した茨木童子は、立香の酒呑童子の声真似で叱られる厳罰(ご褒美)が執り行なわれたとか。

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