ドラゴンクエストⅩ マイキャラ達のちょっとした日常   作:ひかみんとかカズトとか色んな名前

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今日もゲストもの!!
でも今回のは同性愛の色がだいぶ濃いので注意です。《GL注意報》

正直ここまで高まるとは思わなかったよね!!!


ぱふぱふパラダイスへようこそ!

「…へぇ、そんなところもあんのか。」

 

ジュレットの町、酒場。

情報が集まる良いところはないかと探していたオーガの女性、パルス。

そんな彼女に良い知らせが入る。

 

「そうだぜ!安いし美味いし!情報も集まる!何より…へへ…」

「……最後で一気に胡散臭くなってんぞ。」

「おおわりぃわりぃ。もし良けりゃ案内してやるぜ?」

 

パルスと話す人間の男冒険者がもたらした情報、それは…

ジュレット住宅村の一角に店を構えており、値段は安い、飯は美味い、情報は揃うとこれ以上ない場所らしい。

なんでもそのために男女問わず通う人が多いとかなんとか。

 

「…ま、嘘なら捻り潰せばいいもんな。頼んでおくぜ。」

「怖いこと言うなよ…とりあえず今からならちょうど良い時間帯だし行ってみるか?」

 

今の時間は大体夕方にさしかかる辺り。酒場としては賑わってくる確かに良い時間帯であった。

 

「そうだね…頼むぜ。」

「あいよっと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして案内された先…

その建物を見たパルスは非常に険しい顔をしていた。

外に野菜等を売る場所やバーベキューが出来る所、ドリンクが飲める所、屋台のような所とその辺りはまだいい。

 

左右端に羽ばたくエンゼルスライムのバルーン、入り口上に立つでかい電光の看板、そして何より建物。

どれをどう見てもアッチの、イケナイ方の建物そのものであった。

 

極めつけが名前。

ぱふぱふパラダイス。

 

「………」

「ここだぜ!いやぁ~あんたみたいな奴が入るならこの店も………」

 

どうやらこの男はパルスがこの店に働きに来たと勘違いしてたらしく、彼女にそう声をかけた瞬間に顔面に会心必中並みの拳がぶち込まれていた。

 

「ばっきゃろう、誰が不健全なとこ連れてこいっつたよ。」

「おごぉ…い、一度騙されたと、思って……ガクッ」

 

そういって男は力つきた。

呆れるパルスだったが、確かに外装だけで判断するわけにもいかない。そう割り切って中に入る事にした。

とはいえ町中で見かける掲示板もあるところを見る限り、情報が集まるというのは嘘ではないらしい。

 

 

 

「いらっしゃーい!」

 

中に入ると、聞こえてくるのは女性の店員の声。

パルスが見渡すとまだ賑わい始めらしく、空いてる席も多かった。とりあえずパルスはカウンター席を選び案内される。

その間も店を見渡していたが、どうやら働いてるのは女性だけらしい。

適当に注文を済ませ、店の観察を続ける。

 

酒場らしいと言えば酒場らしいが、中央にステージとポールがあるところを見るとやはりそういう場所と兼用してるのだろうとパルスは察した。

少し待っていると注文した物が運ばれてきた。軽い酒とつまみ程度ではあるが、今までのものと比べるとかなり良質な部類であった。

 

 

 

 

「あらぁ、貴女は初めての方~?」

 

この店の評価を確認しているとふと声をかけられ、そちらの方に視線を動かす。そこには白めの髪を短くまとめたオーガの女性店員がいた。

パッと見た感じ身長はパルスよりは低めではあるが、オーガの女性特有の豊満な体つきをしていた。

 

「そーだな、一応噂を聞いてきたって感じだ。」

「ふぅん…そうなんだ~。どうだったぁ?」

「見た目こそって感じだったけど、酒場としちゃ悪くないな。気に入ったぜ。」

「へぇ~、嬉しいなぁ~。」

 

大分軽いノリで話してくる女性に、パルスはちょっと苦手だな、とは思いつつも表には出さず、ただただ興味がなさそうに振る舞う。

ふと時間を見ると来店してから大分経っており、外も暗くなってきていた。

 

「そうそう、私はこういうものでぇ~す♪」

 

もうそんな時間か、と外を見ていたパルスにそういうと目の前の店員は胸の谷間に挟まれた名刺を取り出し、チュッと軽くそれにキスをしながら彼女に差し出した。

その動作はかなり手慣れており、一般的な冒険者等なら一発で墜とされていてもおかしくなかった。それか少なくとも、谷間や唇に視線を誘導させられるほどに魅惑的な動きであった。

 

「…サラ・ディーナ…店長か。アタシはパルスってんだ。」

「パルスね、よろしくぅ~♪」

 

サラと呼ばれた軽いノリな彼女に、パルスは渡された名刺を見るまでの“最初から今までの間”目から視線を離さずにそれを受け取っていた。

普通ならこういうノリから離れたいパルスは破り捨ててるところだが、彼女はサラに何かを見たのか敢えてとっておくことにした。

 

「うふふ、これからもご贔屓に♪じゃあね~!」

 

自己紹介を終えたサラは別の客の方へと走っていった。

パルスはそれを適当に見送ると、渡された名刺を見ながら酒をあおる。

 

「…何をしてんだかな…」

 

そして夕方の時間帯にはポールダンスなどのショーをやっているらしく、ステージで時折過激なダンスを踊っていることもあった。

 

 

その後夜の準備があるからと一度店を後にしたパルスだったが、一応見ておくかと夜にも訪れた。客も見るからに欲にまみれてそうな輩が増えてきていた。

そんな中、真ん中のステージでサラを始めとした店員による夕方以上に過激なストリップショー等が開幕していた。それを見て飛び交う欲望だらけの声援。

 

そんな様変わりしたこの場所を見たパルスは、自分にはこの時間帯は合わないと判断したのか来て早々ではあるが席を立って勘定に向かう。

 

「おや?まだショーの途中ですが…」

「いいんだよ、アタシはな。」

 

店員に不思議がられたが、どうしてもあの中にいる気になれないパルスは勘定を済ませ、店から出ていった。

 

 

 

 

「…情報は集まる、飯も良い…とはいえこの時間帯の雰囲気はアタシにゃ合わないな…」

 

外に出たパルスは振り返って店を見ながら呟き、そのまま静かに立ち去っていった。

 

 

 

 

 

 

数日後。

雰囲気が合わないとはいえそれは夜のみ。それより前の時間帯や優秀な部分ばかりの店を早々切り捨てることは出来ないパルスは、夕方の時間に訪れるようにしていた。

 

 

「いらっしゃーい!あら、パルスじゃーん!」

 

パルスが入店すると、対応に来たのはサラ。どうやら気に入られたのか名前や外見を覚えていたらしい。

 

「…飯を食いに来ただけだぜ?」

「ふっふーん、それでもお店側からしたら嬉しいんだよっと♪」

「そうかい…」

 

相変わらずどうも苦手な話し方をするサラに困りながらも素っ気なく返すパルス。そのままサラはパルスをカウンターへ案内する。

やはり今のこの酒場のような雰囲気の方が自分には合うな、とパルス思っていた。

そのまま料理や酒が運ばれ、それらを少し口に運んだ時。

 

 

ガシャーン!と何かが砕ける音が響く。

 

 

 

 

パルスや他の客が何事かと見るや、酔っ払った客…男というかおっさんが酔いすぎてジョッキを落としていた。

しかも騒いでる内容や様子を見るに理不尽に店員にキレてるらしい。

サラはすぐに立ち上がりそちらへ向かう。

 

「あーん…困りますよお客様~…!」

 

サラがそう言いつつじわりじわりと歩み寄りながら、途中にあったポールに手をかける。

するとポールは取り外され、サラの手に棍として収まっていた。

 

「騒ぎを起こすなら出て行っていただきますね~…!」

 

その様子を見た男は何か言っているが、舌が回っておらず何を言っているのかよくわからなかった。

サラがそのまま睨みつけていると、砕けたジョッキを持って殴りかかろうとした。

 

が、サラの持つ棍は的確に急所である男のお股を叩いていた。

当然そんな事をされれば男の方はよくて悶える、普段は気を失うほど。男は泡を吹いて気絶していたが。

 

男を追い出し、後かたづけを済ませ、すぐに雰囲気を戻してサラはパルスの元へ戻ってきた。

 

「ふぅ~、疲れたぁ~…ごめんね~。」

「……アンタ、ここの他に何かやってるのか?」

「へっ?」

 

突然のパルスからの質問に、サラは驚く。

自分にまるで興味を示さなかった相手が、唐突に質問を投げかけてきたのだ、驚くなという方が無理ではある。

言葉に詰まるサラを見たパルスが、どうしてそんな質問を?と問われてると思ったのか続ける。

 

「…棍の使い方。それにショーの時もそうだったけど…あの身のこなし…どうみても手慣れた冒険者のそれだ。」

「うーん、一応冒険者としても活動してるよ~?」

「…なるほど。」

 

それならば納得がいく、と頷くパルス。

ショーの最中の身のこなしも踊り子で見覚えある動きが混じっていたし、合間の大胆な動きも旅芸人のアクロバットスター等の応用だろうと彼女は見て判断していた。

 

「なになに?興味沸いちゃった~?」

「バカ言え。危なっかしくて放置出来ねぇだけだ。」

 

サラが目を細めてからかいに来たので、パルスは素っ気なく返す。なによーとわざとらしく拗ねているサラを無視し、パルスはマイペースに料理を口に運んでいた。

 

「そういえばこの前初めて来た時は夕方いたのに夜はさっさと出て行っちゃったけどぉ…?」

「……ここの夜はアタシの性に合わねぇ。だから早々に立ち去ったし今日も早めに来たってだけだ。」

「ふーーん…」

 

何か意味を含めているような視線を飛ばし、にやーっと笑みを浮かべるサラではあるが、まるで気にしていない…というよりも何かを見通してるかのようにパルスは冷静だった。

 

「…ところで、アタシにばかり構ってていいのか?」

「今はまだみんなでも回るくらいにはお客も少ないからね~、まだまだ慣れてない人に馴染んでもらうのも大事っしょ♪」

「そうかい。」

「むー…!」

「なんだよ…」

 

パルスが気になった質問を投げかけると、サラは店員たちを信用してるのか余裕余裕、と言うようにVサインしながら返答した。それも素っ気なく返されたサラはわざとらしいふくれっ面になり、パルスは困惑と呆れを混ぜたような表情で彼女を見る。

 

「素っ気なさすぎぃ~!もっとこうさぁ~、お話ししようよぉ~!」

「…それは、アンタ個人の希望かい?」

「えっ…?」

 

サラが拗ねた子供のようにわざとらしくばたばたとしてると、パルスが短く問いを投げかけた。サラがどういうことかと彼女の方を見ると、パルスはまっすぐに彼女の目を見て問いていた。

 

「店からしたら話を盛り上げてくれないとっていう店員としての希望なのか、ただ単にアンタが私と話したいだけっていうアンタ個人の希望なのか。アタシが聞いてるのはそれだけさ。」

「…。」

 

パルスの言葉にサラは驚いていた。

今までの客は対応する時、男性はいやらしい目で、体目的で。女性ですらサラのことを女として意識しすぎたり、“そういう女”として見ることは多かった。

だがパルスは前回訪れた時も彼女の視線誘導や対応に全く動じず、サラをあくまで一人の女性“サラ・ディーナ”として見ていた。

 

「…ふふっ、変なのぉ~。」

「うっせ。興味ねぇならどっか行け。」

「ざーんねん♪もっと興味出ちゃったぁ~♪」

「…そうかい。」

 

意味がわかったサラはより笑みを浮かべてパルスをからかう。パルスが短く返すも、サラからの答えとしては「店長としてではなく、サラがパルスと話したいから。」ということだと判断し、追い払うことが無理と確信したパルスはやれやれと呆れを含んだ苦笑いで酒をあおった。

その後も冷静なパルスと妙にテンションの高いサラの会話が暗くなる前まで続いていた。

 

そして、やはりパルスは夜の雰囲気が合わないと言い、夕方の時間が終わると同時に勘定して店から出て行った。

 

 

 

その後もパルスはちらほらと店を訪れた。

情報が欲しい時や金を節約したい時、ただ単にやることがなくて暇つぶしに訪れることもあった。

 

しかしどの時もショーなどのタイミングを除いてサラが必ずと言ってもいいほどに彼女に付きまとい、パルス自身も店長がそんなに一人にくっついてていいのかと呆れもしたがすっかり受け入れていた。

 

 

 

パルスがサラの店に通い始めてから早数週間程。

いつも通りに店を訪れたそんなある日、いつも通り夕方の終わりの時間になるとパルスは席を立った。

 

「あ…もうそんな時間なんだ…」

「…どうした?寂しいのかい?」

「うーん寂しいなぁ~パルスにも私達の深夜のショー見てほしいなぁ~♪」

「その減らず口が叩けんなら平気だな。」

「あぁんいけずぅ~…」

 

サラのおねだりをしれっと回避し、いつも通り勘定を済ませるために出口の方へ向かう。サラがそれに見送るためと称して毎度ついてくるので、店員達にもすっかり覚えられてしまっていた。そのせいかパルスはすれ違う時にいろんな角度から向けられる視線に呆れていたりもした。

だが…

 

「…」

 

ふとパルスが周囲を見ると、何かを企んでるようにヒソヒソとしている男共が見えた。その中にはパルスがいた時に追い出されていた男もいた。

だが彼女は下手に刺激すると面倒だろうと思いあえて何もすることなく勘定を済ませ、店から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその晩────

深夜営業を終えたサラは店を閉め、店員達を先に上がらせてから自分は最後に戸締り等の確認を終える。全て大丈夫と判断し、店を後にしようとすると…

 

「…!」

「へへ、よう嬢ちゃん…一人かぁ?」

 

先ほどパルスが気づいた男共が、5,6人ほどでサラを囲うようにぬっと現れていた。サラはまたか…といった表情で呆れるが、分は悪かった。

自分には念のためにと常に装備してあるダガーのみ。確かに武術もそれなりにあるがこの人数差には向いていなかった。

 

「あんたが悪いんだぜ?こっちが気分良く飲んでたのによぉ、恥かかせやがって!」

「…言いたいことはそれだけ?」

 

だが抵抗を止める気もないサラは腰のダガーを抜く。他の男共も───とサラが周りを確認しようとした瞬間。

頭をくるくると魔力が支配しはじめ、思考を乱される。

 

「…ッ!(メダパニ…!?)」

 

不意を突かれ動きが鈍ったサラは後ろからの男に拘束され、ダガーを手放させられた上に両手を上に固定される。

 

「うっ…!」

「どうしたぁ?さっきまでの威勢はぁ?」

 

顎を指で上げられ、リーダー格であろう男の顔が近くに見える。思考が乱れたサラでもわかるほどに、それは不愉快に感じるものだった。

 

「…離して…気持ち悪い…!」

「ハン!まだそんな口を利けんだな!おお!?」

 

絞り出すようなサラの言葉に、目の前の男は拳を振り上げ彼女を殴ろうとした。サラもまた思考が定まらずにその拳をよける素振りもしなかった。

 

 

 

だが次に響いた音は、鈍器による鈍い音。

 

「お…おぉ…??」

 

サラが耳にしたのは目の前の男に何かが当たる音と、後ろの拘束している男が何かに殴られて吹き飛ぶ音。

そして拘束が解けたサラはふらりと後ろに倒れ…る前に誰かに受け止められる。

 

「しっかりしな。」

「あいたっ…え…?」

 

顔を叩かれ、思考がはっきりとしたサラが見たのは…夕方に帰ったはずのパルスがハンマーを持って自分を受け止めているところだった。

周りを見れば前の男は何やらもう一つのハンマーを投げられたのか頭にめり込み、もう一人は別のところに吹き飛んでいた。

 

「な、なんだお前は!?」

「うっせぇ、野郎共が女によってたかって恥ずかしくもねぇのか。」

 

思考がはっきりしたサラを立たせ、投擲したハンマーを回収し二刀流としたパルスは彼女を庇うように前に立ち、残った男共を睨み付ける。

先ほどメダパニを仕掛けた男共の後衛が再び彼女達を狙うが、それを見て感知したパルスがすぐにハンマーを投擲し吹っ飛ばす事で妨害した。

瞬く間に目の前で起こった出来事により三人蹴散らされ、女一人を襲うつもりだった集団の残りは唖然としていた。

 

「これ以上やるなら脳みそぶちまけるだけじゃ済まさねぇぞ。わかってんだろうな…?」

 

パルスがハンマーを強く握りしめてもう一度睨み付けると、すっかり腰が引けた男達は殴られて気絶してる仲間を連れてすたこらさっさと逃げていった。

 

 

 

 

 

 

「…ったく。」

 

パルスは男共が見えなくなるまで睨み続け、去った後に自分のハンマーを回収、サラの手放されたダガーも彼女へ返す。

 

「ありがとう…でもどうしてここに…?」

「ただの気まぐれだっただけよ。」

 

サラの問いにいつも通り素っ気なく返すパルス。しかしどう考えても深夜の時間帯を終えた後の店を閉めるほどの夜中に気まぐれだけでここにいるはずがないとサラにも容易に想像できた。

 

「…ほんとぉ~?」

「うっせ。油断してメダパニ食らってたやつがからかおうとすんな。」

「う…」

 

いつも通りにからかおうとして、パルスの返答にぐうの音もでないサラ。冒険中などならそれ用の装備で無効化していたが、今日はほぼ店用の恰好。パルスがいなければ今頃酷いことになっていただろう。

 

「…後は平気だな?アタシは帰るぞ。」

「…ッ待って!!」

 

背を向けて帰ろうとしたパルスに、サラは抱き着く。予想していなかった大胆な行動にパルスは内心驚くが、表には出さなかった。

サラはそのまま続ける。

 

「明日来てよ…そしたらめいっぱいサービスするからさぁ…」

「…どんなサービスだよ…ま、あんま期待しないで行ってやるよ。」

 

いつも通りな、と振り向いてサラの頭をペチペチと撫でるパルス。そんな彼女の不意をつくように…

 

 

「…♪」

「なっ…!?」

 

 

サラはパルスの顔を寄せると、軽く啄むようにキスをした。

 

「ふふふ…パルスの驚く顔、いただきぃ~♪」

「…全く。そのぐらい元気なら問題ねぇな。」

 

相変わらずペースを崩さないサラにパルスは呆れながら苦笑いを浮かべつつそう言い残し、彼女は自分の家へと戻っていった。

 

 

「……ば、バレてない…?」

 

パルスもいなくなった後、一人残ったサラは自分の胸に手を置き、心臓の音を確認する。

顔はすっかり真っ赤な上に心臓も手を当てなくてもわかるほどにバクバクとなっていた。いつもの軽いノリではなく、それはまるで…恋に落ちた乙女のようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

パルスは言われた通りに、いつも通りにサラの店へとやってきた。

 

「いらっしゃい!あら、パルスじゃないか!店長が待ってるわよ!!」

「ハシュラ…あいつ、いつも通りだったか?」

「うん?そうだねぇ…特に変なとこはない、かな?」

「そうかい…。」

 

すっかり馴染み深くなった店員の一人、オーガの女性であるハシュラに声をかけられたパルスはサラの事を尋ねた。

昨日の別れ際の事が頭から離れなかったからである。とはいえ店員から見たサラはいつも通りだったようだが。

そのままハシュラと別れ、店の中へ。

 

 

 

「あぁーんパルスー!!待ってたよぉ~!!」

 

パルスが入店するやいなやすぐにサラが駆け寄り、勢いそのままに彼女に抱き着いてきた。

今更拒否する気もないパルスはそのままサラを抱き止めた。

 

「奥の個室、完全貸し切りにしたからさぁ…いっぱいサービスするね~…?」

「…ほどほどに頼むよ?」

 

囁くように言われたサラの言葉に苦笑いしつつ、パルスは案内しろと促すようにサラを離す。サラはまだ足りないようだが、切り替えてパルスを連れて個室へと案内した。

 

 

 

 

 

パルスを個室へ案内したのち、サラはすぐに厨房へと駆けていった。

そして少し待たせた後、料理を専用のカートに乗せて持ってきたのである。

 

「…まさかとは思うが、アンタこれ…」

「言ったじゃ~ん?めいっぱいサービスするってさ!」

「…大盤振る舞いもいいとこだな。」

 

普段注文する軽めの量とは真逆の一人で食べるには少し多い量の料理が運ばれてきた。

 

「全部私が作った物だから、美味しいって言ってくれると嬉しいなぁ~!」

 

そう宣言するように言いながら、座っているパルスの右隣にすすっと寄り添うように座るサラ。そんな彼女を見てパルスはまさか、と疑問をぶつける。

 

「アンタまさか一緒に食う気?」

「もっちろーん♪そういうサービスもしてるんだよ~?」

「…やれやれ、しょうがねぇなぁ…。」

 

今日はサラが大盤振る舞いしてくれると言った上に大人しく来た以上、断ることは出来ないパルスは彼女のサービスを受けることにした。

 

料理を食べながら話も弾み、時折サラからパルスにあーんが飛んだりしたが、パルスはそのたびに苦笑いを浮かべて渋々それを受け入れていた。

 

 

 

 

 

 

そして大半の料理を平らげ、すっかり日も落ちた頃。一息ついてのんびりとしていたパルスとサラ。

すると唐突にサラが口を開いた。

 

「パルス、改めて昨日はありがとね~。」

「気にすんな、気まぐれっつったろ。」

「ふふ、そうだね~…」

 

こつん、と頭をパルスの右肩に乗せるサラ。パルスもまた何も言わず好きなようにさせている。

一瞬の沈黙の後、サラから話し始める。

 

「でもねパルス。私ね、正直ねぇ、すごい嬉しかったんだ~…。」

 

口調こそ今まで通りのサラだがその態度はまるで違い、ふつふつと静かに話し始めていた。

 

「パルスはさぁ、初めて会った時から私の目を見て話してくれたじゃん?初めてお店に来た時からずっ~とさ、私の事や店の事まで気にかけてくれたじゃん?」

「…。」

「そこまでしてくれた人って今までいなくってさぁ…あ、でも多少は気を配る人はいたかな~?でもパルスほどじゃないかな~って。」

 

話し続けるサラに右手を後ろから回し、そっと彼女の髪を撫でるパルス。

 

「勿論客としてもてなしてたけどぉ、初めて対応するタイプな客だったからもしかして何か企んでるんじゃないかって思ってさ~…ちょっと警戒してずっと付きまとってたんだ。でも…」

 

そこまで言うとサラは顔の向きをすっと上げ、パルスの目を見ながら話を続ける。

 

「昨日さ、パルスはあの連中が何か企んでるって気づいたからってあんな夜中まで待機してくれてたんでしょ?」

「…まぁ…そんなとこだね。」

「ふふっ、やーっと認めたね~♪」

 

パルスも誤魔化しきれないなと判断したのか視線を合わせるように顔を動かし、自分がサラの事を心配して見守っていたのを認めた。サラもまたパルスがそう認めたとわかると、より嬉しそうな表情を浮かべた。

 

「あの時、私を庇ってあいつらを蹴散らしてくれた時さ~…この人は単純に私を、私達を心配してくれてただけだったんだな~ってわかったんだよね~。」

「…どの店でも、理不尽に逆恨みする奴は沸いて出てくるからな…。」

 

サラの言葉の後に、パルスもまた視線を合わせたままゆっくりと答える。そして彼女の髪を撫でていた指をそっと顔の近くに添える。

 

「怪我もなさそうでよかったよ。アンタはここの店長であって、一人の女なんだからさ、もっと体を大事にしな。」

 

そう言って左手に持った酒を少しあおるパルス。その後にサラを見ると、彼女は胸元を手できゅっと押さえるように組み、熱を持った視線をパルスに送っているのに気付いた。

 

「…ずるいよ、パルス~…」

 

そう呟くとサラは自分の服の白いブラウスのボタンを下からいくつか外し始める。突然の行動にパルスは言葉を失い、サラはそのまま続ける。

 

「…そんなこと言われたらさぁ~…我慢出来ないよぉ…。もっと凄いサービス…しようか~…?」

 

いつの間にかパルスの太ももの上に陣取っていたサラは、下を開けたブラウスを広げ、両手でスカートをたくし上げていた。下から見える胸やスカートから見える健康的な脚、下着が見えるサラなりの感謝を込めた誘惑だろう。

 

「……言ったろ、体を大切にしろって。」

 

言葉を失っていたパルスだが、近寄っていたサラを軽く押し、彼女のブラウスを整える。

 

「アタシの事、そこまで気に入ってくれたのは嬉しいし、アンタのサービスを断る気はないよ。でもね…」

 

スカートも下ろさせ、パルスは未だに太ももの上に陣取るサラを撫でる。

 

「アタシはそういうのに興味が“あんまり”沸かないって言ったろ?その時のアタシに合ったサービスをしてもらえると嬉しいんだけどな。」

「…空気を読んでくれないなぁパルスはぁ…」

 

パルスの言葉に、ヤる気だったサラはすっかりその気を失い苦笑いを浮かべて呆れているようだった。

 

「悪いね、昔から自分の意志を押し通す事もあって空気なんざ読めた事がねぇんだな。」

「ふふっ、でもその方がパルスらしいかも~♪」

「ったくそんな事言ってるならさっさと降りろ。」

「やーだよ~っ♪」

 

サラの相変わらずからかいを含んだ言葉にパルスが呆れて自分の上から彼女を追い払おうとした。だがサラは降りる気はないと証明するようにパルスに抱きついていた。

 

「…酒が飲みづらいじゃないか。」

「私なりの今のサービスだもーん♪」

「やれやれ…。」

 

抱きついたまま離れようとしないサラに対し、パルスは酒をテーブルに置き彼女を優しく抱き返す。そうすると、サラのオーガ特有の尻尾が嬉しそうにブンブンと揺れていた。

試しに頭を軽く撫でてやると、動きが少し早くなってたりしていた。

 

 

 

 

 

 

「…で、いつまでこうしてるんだい?」

「ん……パルスがぁ…満足するまでぇ…」

 

サラがパルスに抱きつく体制になってから十数分程。いい加減離れさせようとしたパルスはサラに呼びかけるが、彼女はすっかり睡魔に襲われていた。

しかし今の体制で寝られると色々とマズいと焦るパルス。

 

その二人の個室の扉が唐突に開かれる。

 

「失礼するよ…やっぱり寝ちゃったか、店長。」

 

店員の一人、ハシュラであった。何やらサラに関して何か知っているようだった。

パルスの視線に気づいたハシュラが真意を話す。

 

「店長、昨晩よっぽどの事があったのか中々寝付けなかったみたいなのさ。」

「…特に何もなかったんじゃないのかい?」

「アンタが心配するからって、店長から言わないでって言われてたのさ。勘弁してやってくれないかい?」

 

ハシュラはそう答えつつ料理が盛られていた食器を片づけるために、サラが持ってきたカートに積んでいく。

そのまま積み終わると、持ってきていたかけ布団を“二人に”かける。

 

「待てや、アタシもか。」

「店長、もう貴女の事を気に入ったってレベルじゃないみたいだからさ。」

「…はぁ、泊まり込みになるとはね…」

 

すっかり静かな寝息を立てているサラに呆れつつ、パルスもまた彼女を抱きしめたまま眠る事にした。

ハシュラも彼女達の空間に入らないように、色々手回しをしに部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん…」

 

ふと、目が覚める。暖かい何かにくるまってるようにも感じられる。

そして何より、とても抱き心地のいいものが…

 

「……!?」

 

そう思って思考が覚醒したサラがみたのは、誰かの胸元。恐る恐る視線を上げると…

スヤスヤと眠る、パルスの寝顔があった。

思わず距離を取ろうとすると、サラの腰にパルスの腕が回されており既に抜けられない状況に。それどころか、サラが変に動いたせいでパルスが無意識に逃がさないと両手で彼女を拘束したのである。

そしてよく見ると二人が寝ているのは個室にあるベット。

 

「ぱっ…パルス!パルスったらぁ!」

「…んぉ…?」

 

しっかりと拘束されて逃げられなくなったサラはパルスを起こすことにし、彼女の胸倉をゆさゆさを揺らす。するとパルスは至極あっさりと目を覚ました。

 

「………あぁ、そうか…わりぃなサラ。」

「う、うぅん。大丈夫だよ~…」

 

見慣れない部屋に寝ぼけた頭を働かせてパルスは状況を整理し、すっかり拘束していたサラを解放して体を起こす。サラはちょっと名残惜しそうにしていたが。

 

「…どうしたんだ?」

「あ、いや~…何でもないよぉ~…」

 

そんなサラを見たパルスが彼女に問う。サラは慌てて何でもないように振る舞うが、寝ぼけていようともパルスにはお見通しであった。

 

「サラ、ちょっと来い。」

「え?何~…キャッ!?」

 

パルスはサラを近寄せると、今度は逃がさないと言わんばかりに両手でしっかりと抱き寄せていた。

サラを後ろから抱きしめる形になってるため、彼女からはパルスの表情はほぼ見えない。

 

「ちょ、パルス!?」

「うるせー…抱き心地良かったんだからもう少しこうさせろ。」

 

困惑しながら慌てるサラを余所にパルスは彼女を抱きしめたまま動かない。サラとしては満更でもないようだが…。

とサラがふと見える範囲でのパルスの表情を伺うと、彼女も彼女で恥ずかしいのかサラの肩に顔を埋めていた。

 

「も~…しょうがないなぁ~…♪」

 

パルスは自分の隠そうとした要望のためにわざわざしてくれてるとわかると、サラは嬉しそうに彼女の好きなようにさせていた。

 

 

 

「ところでさぁ…私達ってベットで寝てたっけ~…?」

 

しばらく密着したまま、唐突にサラがパルスに疑問をぶつける。抱きしめたままだったパルスも顔を上げてその問いに答える。

 

「一応座って寝ようとはしたんだがな。やっぱ体制が悪いって思って、あんたをベットまで運んで一緒に寝たんだよ。」

「…あの状態からぁ?」

「おうよ。アタシもいい感じに眠かったし、そのまま寝かせてもらったぜ。」

 

そのままサラだけをベットに寝かせて帰ることも出来ただろうに、わざわざ一緒に寝る辺りパルスもよほど面倒見がいいというか、お節介焼きな面があるのだろうな。とサラは思った。

 

「…さて、サラ。時間は平気なのか?」

 

抱きしめる腕の力を緩めながらパルスがサラに聞く。サラが時間を見ると、ざっと八時頃。

 

「あっ…!」

「まぁそうだよな…ほら急げ急げ。」

 

サラを解放し、パルスはベットから立ち上がり体を解すように伸びたり軽くストレッチしていた。サラもまた店の準備に行くために身支度を整えようとした。

そんな彼女をパルスは呼び止めた。

 

「あぁ、そうだサラ。」

「え、なに───」

 

振り向いたサラの顎に指を添えて───

 

 

 

 

 

 

「……この間のお返し、な。」

 

そう言ってパルスは顔を離すと、またな~と部屋を出て行った。

サラは今のパルスの行動に自分の唇に指を添えたまま固まっていたが、混乱していた思考が結論に達すると、頭から湯煙が出るほど真っ赤にしていた。

 

「(パルスの方からキスされた(・・・・・・・・・・・・)…!?)」

 

 

その後、店員が呼びに来るまでサラは真っ赤になって固まっていたとかなんとか…。

 

 

 

 

 

 

「…アタシもどうしちゃったんだろうな…」

 

サラの店を後にし、自宅へと帰る最中のパルスはこれまでの彼女への態度の変化に自分でも困惑していた。

初めこそただ店の評判の確認のためだったのに、気づけば一人の店員を気遣って気に入られ、そしてお互いにキスする仲にまで発展している。

同性愛に目覚めた覚えは全くないのにな…とパルスもまた困惑と混乱を繰り返していた。

 

「…ま、これからまた長い付き合いになりそうだし気にしててもしょうがないか…。」

 

自分もまた彼女のことを気に入ってるのもあるし、変に考えても仕方がないと切り替えて家へと歩みを進めた。

 

 

彼女も帰宅すると同時に自分のコンシェルジュ達に問い詰められたのは言うまでもない。

 

 

 




というわけでドラゴンクエストⅩのフレンド、サラディーナさんとのコラボでした!!

オガ娘同士って尊み強くね?っていう会話から始まり、いつの間にか妄想がコラボし、サラ×パルいいんじゃね!?っていう妄想が固まったものから出来上がりました。

もしかしたらこの設定をずっと持っていくかもしれません。今後しだいですが…

サラ氏大変ありがとうございました。めっちゃ捗りました。
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