ドラゴンクエストⅩ マイキャラ達のちょっとした日常   作:ひかみんとかカズトとか色んな名前

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今回はパルスが雇うプライベートコンシェルジュ、キマーナとチドリと出会う時のお話。希望があったので書き上げてみました。

ちなみにパルスはサブクエストである風呂掃除をやってる設定です。漢らしく目隠しせずに堂々と掃除していきました。
なのでアズランの町の人…特に宿の方々には知られてる設定となってます。


コンシェルジュとの出会い

「ふう……」

 

アズラン住宅村の一角、パルスの自宅にて。

ため息をつく一人のウェディの女性、キマーナ。

 

「キマーナ?どうかしたの?」

 

コンシェルジュとして庭を掃除している最中、同じように掃除していたチドリが不思議そうにキマーナの方をみた。

 

「…ん、ほら。私達がパルス様に拾ってもらってから随分経つじゃない?」

「……そう、かな…?」

「そうよっ、もうチドリったら…」

 

キマーナの言葉に首を傾げるチドリ。記憶力は少しないと言っていたチドリに呆れるようにキマーナは少々怒った口調で説教しようとする。

とそこに一人、家に訪れる。

 

「チドリ、キマーナ。如何ですか?」

「あら、ヨヒラ様。ご心配ありません。」

「ヨヒラ様!大丈夫です!!」

 

訪れたのはこの付近の管理人ヨヒラ。まだ二人はコンシェルジュ見習いの域を出ていないとしてこうして時折様子を見にきているのであった。

キマーナは大人のように、チドリは子供のようにヨヒラを迎え、彼女もまた微笑みを浮かべた。

 

「あなた方もすっかり慣れたようで安心しました。」

「いえいえ、私たちの今があるのはパルス様にヨヒラ様、コンシェルジュとしての働きを教えてくださった旅のコンシェルジュの方々のおかげですから…」

「うんうん!!…ってああロビン畑は毟るなーーー!!!!」

 

キマーナの言葉にうんうんと同意するチドリであったが、専用に改造されたキラーマシンのロビンが庭の手入れとして雑草毟りしてたところ、畑を間違えて荒らしそうになっていたのを止めに行った。

 

「…出会った時、か…」

 

キマーナはそうして思いに耽るように空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キマーナさん…お腹減ったよぉ…。」

「アズランの町までもう少しだから我慢して、チドリ…。」

 

何週間も前のアズラン地方の森の中。

表情は疲れ切り死んだような目つきでボロボロの布切れを身にまとい、足は素足で汚れ、髪もボサボサで体も洗ってないとわかるほどに汚れまみれな二人がいた。

キマーナがチドリの手を引き、魔物に気づかれないようにと気配を押し殺しつつ静かに歩いていた。

 

「町で何か食べれるかな…?」

「…大丈夫よ。私が何とかするから…ね?」

「…うん、ありがとう。」

 

キマーナが微笑むと、チドリもにこっと笑う。まるで姉妹のような二人は森の中を歩いて進んだ。

何故冒険者でもない彼女達が、旅の商人や冒険者と共に移動するなどの手を打たないのか。否、打てなかったのである。

彼女二人はそれぞれ別に捨てられ、キマーナはまだ少しだけ旅と称してさまよい歩いてはいたが、チドリは最低限の事だけで何も教えられずに育った少女であった。

その捨て子を、どうなるかわからない旅に連れていく物好きがいるだろうか。そもそも彼女達は捨てられた身、他者を信用する方が難しいことだった。

 

キマーナは最悪の事を考え、腰のナイフをいつでも抜けるように警戒しつつアズランの町へ進んでいく。

しかしこのままなら大丈夫と思われた時、無慈悲な現実は訪れた。

 

バサバサと羽ばたく音と何かが歩く音がこちらに向いてることに気づいたキマーナは周囲を見渡す。

すると後ろに、この辺りに生息するふゆうじゅとどんぐりベビーが二匹の合計三匹が二人を狙っていた。

 

「チドリ!走って!!」

「うん…!!」

 

アズランの町は比較的近い。それなら逃げ込めると考えたキマーナはチドリと共に走る。

しかし前からも魔物…スライムベスが3匹出現し、キマーナは逃げる方向を変える…がそっちは壁。合計六匹に囲まれる形になってしまう最悪の状況に。

キマーナはチドリを背にした状態でナイフを抜くが、どう見ても切り抜けられることは出来ず、警戒もほんの僅かな時間稼ぎにしかならない。魔物達は無情にも一斉に飛びかかる。

キマーナがナイフを構えた瞬間だった。

 

 

「伏せてろ!!」

 

唐突に響いた女性の声。

キマーナはこの状態では従うしかないと判断し、困惑するチドリを庇うように伏せる。

 

「うらぁぁぁぁぁぁ!!」

「オオォォオォォォォ!!!」

 

激しいハンマーの殴打音と、鉱物が動く音に斬撃が走る音。ふとキマーナが見ると…

恰好からしてクイック一式にハンマーと盾を持ったオーガの女性と、その横に相棒として立つ魔物、ゴーレムの姿があった。

魔物達は一蹴されると恐れをなしたのか逃げていった。それを確認した女性はゴーレムに周囲を任せ、伏せる二人の元へ歩み寄る。

 

「おい、無事か?」

「え…?」

「ケガはねぇのかって聞いてんだ。」

「は、はい…」

 

まさか自分達に気を遣うとは思ってなかったのか、キマーナは困惑する。質問した女性は似たような質問を繰り返し、キマーナがなんとか答えると、彼女はそうかと微笑んだ。

そのまま彼女は食料と水を渡すと、二人はがっつくように腹へとおさめていた。

 

「……しかしほぼ丸腰とはね、随分無茶があるんじゃないか?」

「…他人は信用出来ませんから。私たちは血は繋がってなくても同じ捨て子なので。」

 

流石におかしいと見たのか、彼女はキマーナに問う。キマーナは失望した表情で女性にそう返すと、彼女は納得した後に何か考え込むように悩む素振りをしていた。

 

「…何か?」

「んや、乗りかかった船だしなーとね。ゴレムス!」

 

キマーナが信用してない目で女性を睨むと、彼女は決心したようにゴレムスを呼ぶ。

いっそ殺すつもりなのかとチドリは怯え、キマーナは彼女を庇うように警戒する。

 

「こいつら肩に乗せてけ。アズランの町につれてく。」

「…へっ…?」

「わかった 乗せる」

 

女性が言い出したのは、町まで連れていくという案。まさかそこまでしてもらえると思わなかった二人は耳がおかしくなったのかと思考が止まる。

そんなことは知らんとゴレムスはひょいっとキマーナを優しく摘まむように持つと、そのまま肩に乗せる。

いきなり乗せられて困惑する二人を余所にゴレムスは同じようにチドリも乗せる。

 

「わっわわ…!」

「しっかり捕まってろよー。」

 

そのまま女性は先導するように先に歩き、ゴレムスは二人を気遣うようにゆっくりと歩いていく。

二人は最初こそ人攫いかと警戒したが、行く先が町だとわかると暴れもせず大人しくしていた。

そうして特に何事も起こることなく町に着き、二人は門の前で下ろされそのまま女性についていくように町に入る。

 

「ちょっと付き合ってくれるか?ゴレムスをモンスター酒場に連れてかにゃならねぇからよ。」

「…いえ…ここで待たせてください…酒場は苦手です…。」

 

女性は二人を乗せていたゴレムスを一旦預けるために酒場へ向かうと告げると、二人は門の前で待つと聞かなかった。

しょうがないと女性はため息をつくと、門の近くにいた討伐隊に見守るように頼みゴレムスを預けに走っていった。

 

 

「…キマーナさん…大丈夫かな…」

「…わからない、けど…」

 

困惑する二人を余所に、女性は走って戻ってきた。

 

「よ、待たせたな。とりあえず風呂に行くぞ。」

「「…へ?」」

 

 

 

そのまま女性に連れてかれるように宿へ向かう二人。

周りの視線が二人には痛かったが、女性は全く気にすることなく無視して歩き進む。

 

 

「いらっしゃい、ここは旅人の宿よ。」

「わりぃ、三人分用意してもらえるか?」

「かしこまりました。30ゴールドになります。」

「ほい。服はとりあえず用意してもらったの着るから…こっちだな。」

 

女性がさくさくと手続きを済ませ、その横にあった地下への階段を下りる。キマーナとチドリはどうすることも出来ずに困惑したまま、女性の後を追っていく。

 

 

「あんれまーパルス!今日も入りにきたのかい?」

「今日はちょっと事情が違うけどな。ほら。」

 

下は風呂が沸いているらしく、男と女で別れていた。パルスと呼ばれた女性は風呂のおかみにしれっと答えると二人を親指で指す。

 

「あらあら…!こんなになって可哀想に…今日は特別にタダにしてあげるから早く綺麗にしてあげな!服も用意しといてあげるから!」

「お、ありがてぇな。ほら行くぞ。」

「は、はい…」

「う、うん…」

 

パルスはそのまま二人を連れて更衣室に入る。そのままパルスが服を脱いでいると、おかみがわざわざ三人分の服…というより浴衣を持ってきてくれた。

布切れ同然だった二人の服はそのままおかみが処分していた。

 

 

 

 

「オラしっかり洗うぞ。逃げんなよ。」

「に、逃げないよー!!」

「……」

 

浴場ではパルスがチドリの体を洗い、キマーナは遠慮して自分で洗っていた。が…

 

「オイ、あー…」

「…キマーナ。その子はチドリ。」

「そうか、アタシはパルスだ。んでキマーナ、アンタも洗ってやるからこっちにおいで。」

「え、私は…」

「そんな適当で落ちるわけないだろこっち来い!」

「は、はい…ひゃあ!?」

「ほら全然落ちてねぇじゃねぇか…チドリも…ったく。」

 

パルスの容赦のない洗い方に二人は困惑するが、彼女はそんな二人を見て表情を曇らせお互い泡だらけの体のまま二人を抱きしめる。

 

「…辛かったな。」

「…っうう…」

「…うわぁぁん…!」

 

理解して貰えなかった、手を貸してもらえなかった、辛くないはずがなかった。

それらを察したかのようなパルスが優しく二人に声をかけると、二人は今まで耐えていたものが溢れるように涙を流していた。

 

 

 

 

 

 

「…さて、出すもんだしたしとっとと体温めて上に戻んぞ。」

 

二人が十分に泣いた後、パルスは丁寧に彼女達の髪も洗って解し、キマーナの髪は綺麗に団子にまとめられていた。そのままパルスに連れられるように湯舟に浸かった後のぼせる前に出て、パルスは着てた服を畳み、二人もおかみが用意した浴衣を着て宿へと向かった。

宿もちゃんとしており、風呂のおかみが何か付け足してくれたのか食事が少し豪勢になってたりもした。二人はたくさん食えることに涙して感謝し、懸命に食べていた。

風呂にも入り、飯も食えた上にふかふかのベットで寝れること、周囲の警戒もいらないという今までにない安心感に包まれた二人はそのまま泥のように眠った。

 

 

 

 

 

翌朝。

 

「……ん…あっ…!!」

 

キマーナが目覚めると、すでにパルスの姿はなかった。寝過ごしておいてかれたのかと一瞬慌てるが、自分の枕元に手紙が置かれてることに気づく。しかも恐らく最低限生きていくためのゴールドも置かれていた。

恐る恐る手紙を開くキマーナ。

 

 

 

二人へ

 

おはよう、よく眠れただろ?

アンタ達二人の事はここの宿と旅のコンシェルジュの人に話を通してある。宿かコンシェルジュのどちらかで住み込みで働けるようにも頼んである。

好きな方を希望するもよし、ここの二つが合わなければここに住んで、町のどこかに働きに出てもいい。そこの判断は二人に任せる。ゴールドも好きに使うといい。

少なくともそこの宿の中にいる人は味方だから安心しな、じゃあまたな。

                           パルスより

 

 

読み終えたキマーナはまた涙を流していた。

ただの捨て子である自分たちにここまでしてくれた事に感謝以外の言葉が見つからなかったし、何より別れの言葉も何も言えなかった自分への悔しさが溢れてきていた。

その後起きたチドリにも内容を伝えると彼女も感激のあまり泣いていた。

 

そうして二人はパルスに会える可能性が少しでも高くなるようにと、住宅村で雇われることのあるプライベートコンシェルジュの修行をするために、世界宿屋協会提供の旅のコンシェルジュとして働くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数週間後。

 

アズランの町でコンシェルジュとしての働きが馴染んできた二人に一つの情報がおかみからもたらされた。

 

「ねーねー聞いた!?パルスって子いたじゃない?あの子ったら最近こっち来ないと思ったら、住宅村で土地買ったらしいわよー!?」

 

もうこっちに来ないのかしら~と愚痴るおかみをそっちのけに、それを聞いたキマーナとチドリは顔を見合わせる。

 

「ふふ、話なら通してあるわよ。」

 

アズランの宿にいるコンシェルジュのアサギがそう教えると、二人はすぐに荷物をまとめて住宅村へと飛び出ていった。

宿の従業員も、町の皆も止めなかった。何故なら皆知ってる上で表面には出さなかったのである。

二人がパルスと会いたがってる事に。

 

 

 

 

 

 

「…それでは、家もこんな形で大丈夫ですかな?」

「そうだねぇ…桜の家で緑いっぱいならアズランらしいんじゃないか?」

 

アズラン住宅村、のどかな農村地区。その一角に買いたてほやほやの土地にパルスが大工や管理人と話をつけていた。

家や庭、家具の組み合わせなどを話し合っていたのである。

 

「さて…後はコンシェルジュか…」

「プライベートコンシェルジュでしょうか?」

「ん、そうだな…ってなんで笑ってんだ?」

「ふふ、どうしてでしょうね。」

 

残りは…と考えるパルスに、管理人であるヨヒラは笑みは隠さずに内容を隠していた。

パルスは首を傾げたが、その内容はすぐに現れた。

 

「パルス様ーーーー!!!」

 

 

 

 

「………はっ?」

 

唐突に響く叫び声。

パルスがその声の方を向くと、水色の髪のウェディの少女にアクアマリン色の髪のエルフの少女がメイド服で何やら荷物を持って走ってきたのである。

 

「はぁっ…はぁっ…!よ、ヨヒラ様、お待たせしました…」

「いえいえ、大丈夫ですよ。」

「いや大丈夫じゃなくてさ。アンタ達どうして…」

 

ヨヒラは相変わらず笑みを隠さずニコニコとしており、パルスは困惑しつつ走ってきた二人─キマーナとチドリ─に問おうとした。

 

「どうしても何もありません…私達はどうであれ貴女に救われたのです!」

「だからこうしてパルス様に恩返しが出来るようにコンシェルジュのお仕事を習ったんです!!」

「あー…いやまぁわかるけどよ…」

 

しかし被せ気味にキマーナがそう告げ、チドリが続く。それでもパルスは大丈夫なのかとチラリとヨヒラをみる。

 

「大丈夫ですよ。まだ確かに完全ではこざいませんが、彼女達の熱意はすごい物があります。それを受け止めてあげてもよろしいのでは?」

 

ヨヒラの言葉にパルスは改めて二人を見る。

どちらも出会った時とは違う、生きた目でパルスの事を見ていた。

 

「…はー…ったくしょうがねぇな…。雇う…っていうかもう同棲の形でいいよな?」

「どうせい?」

 

二人の熱意に折れたパルスが二人を雇うことに…だが二人は住み込みで働くつもり満々なのはひしひしと伝わってきたので、パルスは共に暮らす事を提案した。

チドリは同棲を知らなかったようだが。

 

「一緒に暮らす、ということよチドリ。」

「ほんと!?いいんですか!?」

「アンタ達の熱意を突っぱねる訳にも行かないだろ。」

 

ヨヒラが教えると、チドリは嬉しそうに目を輝かせてパルスに問う。パルスもまた苦笑いを浮かべて受け入れる旨を示した。

キマーナとチドリはそれを聞き、嬉しさのあまり抱き合っていた。

 

 

 

その後アズランの町の宿屋に二人に連れてかれたパルスは、キマーナとチドリが目標を達成した祝いの宴会に巻き込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…懐かしいなぁ。」

 

自分たちを捨てた者たちに、世界に絶望した放浪生活から一転した、あの人についていくと心に決めたあの日。あれからもう数週間経ち、その間も色々あった。

パルスが庭の生活に役立てろとキラーマシン…ロビンを改造して持ってくるわ、仲間にした魔物を紹介として連れてきたり、パルスがジュレット住まいのオーガの女性と付き合い始める等々。

 

「ロビン~~お願いだから覚えて~~…」

「ギギ、モウシワケアリマセン。」

 

と回想を終えたキマーナの元に、ロビンと疲れた表情のチドリが戻ってきた。元々戦闘用の魔物を無理に平和的に改造を施したせいもあるのかもしれない…と考え、苦笑いを浮かべるキマーナ。

 

今日もまたアズラン住宅村に平和な風が吹く。

 

 

 

 




過去のチドリのキマーナの呼び方が違うのは、心に余裕がなく同じ立場としか考えられなかったから。救われた後、姉としてさん付けで呼ぶようになったというお話があります。

パルスもまたどうぐつかいでゴレムスをなつかせる途中に二人と遭遇したことになってます。戦士をあっさり捨てたわけではないです。

NPCを喋らせるの結構難しいな…
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