ドラゴンクエストⅩ マイキャラ達のちょっとした日常   作:ひかみんとかカズトとか色んな名前

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久々のこっち投稿。
でもこっちはキマーナ主体のお話が連続してる件。

今回はキマーナの過去をちょろっとと新しい子が登場します。
久々すぎて文おかしいかも()


キマーナとのおでかけ

「パルス様。」

「ん…どうしたキマーナ。」

「今度お暇な時、お付き合いして欲しい事があるのですが…」

 

ある日のアズラン住宅村、のどかな農村地区にて。

チドリとシトラが二人で作業する中、キマーナがパルスに付きあって欲しい事があると切り出した。

ふむ?と不思議そうな表情をするパルスにキマーナは続ける。

 

「…私の過去を…しっかりと話しておきたいのです。それも、場を移した上で。」

「過去、ねぇ…場所を移すならウェナ…いや、アンタ達と出会った所を考えるならエルトナのどっかで話すか?」

「流石、ですね…エルトナ大陸のカミハルムイのある場所でお話しがしたいのですが…」

 

頼みを聞いただけで、場所を見抜いたパルスを流石と感心するキマーナ。流石に急すぎて怪しまれてしまうだろうかと少し焦るキマーナに対し、顎に指を添えて考えるパルス。

 

「うん、構わねぇよ。チドリを連れてくかはアンタが選びな。どちらにせよシトラもここに呼んで留守を任せる。」

「へっ?」

「…馴染み始めの輩だったらともかく、大分長い付き合いのアンタまで疑う気はねぇよ。ちゃんと決めておきな。」

「…!はい!」

 

考えが纏まったのか、パルスは頷きながらキマーナに判断することはきっちりしておくよう告げる。それを聞いたキマーナはぽかんとした表情でパルスを見ていた。

そんな彼女に苦笑いを浮かべつつパルスは簡潔に理由を言い、キマーナも自分を信じて貰えてることを改めて実感し嬉しそうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。

チドリが知り合いと出掛けたためにシトラに留守を任せ、パルスとキマーナはアズランの町の駅からカミハルムイ行きの鉄道に乗って移動していた。

 

「…キマーナ。」

「はい?」

 

それまで静かに喋らなかったパルスが唐突にキマーナを呼び、手元の本を読みながらまったりとしていた彼女も不思議そうに視線を移す。

 

「過去の話をするってんなら、キッチリ全部話せよ。」

「…はい。」

 

顔は窓の外へ向けたままのパルスだったが、キマーナに向けた視線はまるで彼女の内心を見通すかのように鋭かった。

曖昧な言い方は出来ないな…とキマーナも真剣に返事していた。

 

 

 

 

 

そして揺られること数十分ほど。

カミハルムイに着いた二人は南に向かい宿を確保しておき、邪魔にならないように置いていける荷物を置いておく。

 

「んで、どこで話したいんだ?」

「南から出てすぐ、ですね…」

 

 

 

 

 

 

キマーナの案内にパルスが素直についていくと、カミハルムイ南から出たカミハルムイ領南…に出て左へ向かった壁沿い。

そこに土が盛り上がり、墓標のように木の十字架が刺さった場所があった。

 

「誰か亡くなったのか。」

「はい。…ここに眠るのは、私の母です。」

「…どういうことだ?アタシは前にアンタから"両親に裏切られた"と聞いたが。」

「はい、説明します。」

 

語ると決意した表情のキマーナから語られたのは…

事の発端は父親。そして母親は味方であり、キマーナには姉がいた。

父親は母親と家族で穏便に静かに暮らすと約束したが、自分の娘達をヴェリナード城の兵士にさせて稼がせ、大金を手に入れようと躍起になり厳しい訓練を母親に隠れてキマーナ達にさせていたこと。

姉はそこそこだったがキマーナは出来が悪く、日々酷い仕打ちを受けたこと。

そしてそれが母親に気づかれ問い詰められたが、父親は聞きもしなかったこと。そのために母親はキマーナ達を連れて夜逃げを敢行したこと。

しかし間もなく気づかれ、父親が雇った追手に追われながらジュレットの町へ逃げている最中魔物に襲われ姉とはぐれてしまい、捜索する間もなく見捨てるしかなかったこと。

ジュレットからカミハルムイまで鉄道で逃走したのはいいものの母親もキマーナもボロボロであり、そして魔物や追手に負わされた傷が原因で母親はカミハルムイで倒れ、そのまま亡くなったこと。

失意と絶望の中、母親を埋葬しようとしたときにチドリと出会ったこと。

そのままなし崩しにチドリと行動を共にし、フラフラとエルトナ大陸をさまよい歩くまで、周囲の視線は酷く冷たく、信用という言葉を失うには十分すぎたこと。

 

「…そしてアズランの町前のあの森で、貴女に救われました。」

「…なるほどな。」

 

話を聞いたパルスは顎に指を当て話を脳内で吟味するように思考し始める。

キマーナの父親に関してはフレンドからも前に「キマーナの事を拉致しかけやがったクソ野郎だったけど処理した」と聞いた時から大体の予測はしていた。

しかし彼女を追い詰めたのは彼だけではなく、その時の回りの人間達。運が悪いと言えばそれ以上でも以下でもないかもしれないが、余りにも酷すぎる。

 

「よく話してくれたな、辛かったろ。」

「ん…いえ、大丈夫です。」

 

パルスは優しくキマーナの頭を撫でる。彼女もまた嬉しそうに顔を赤くして俯き―――

 

 

突然パルスの腕の中に引き込まれた。その直後に響き渡るいくつかの金属がぶつかり合う音。

 

「…こそこそ隠れてると思えば唐突に仕掛けてきやがって。なんだアンタらは。」

 

自分達に投げつけられた数本の短剣が足元に散らばり、パルスは腰に備えてあった片手剣の一本を投げた相手へと構えていた。

キマーナは剣の向いている方へ視線を向けると、小汚い服装をした三人の盗賊らしき人物が目に入った。

 

一人は低身長に加え緑の肌が見えるドワーフ。

一人は高身長にかなりガタイのいいオーガの男。

そしてもう一人は…顔を隠してはいるがヒレが見える辺りウェディだろう。

 

「…ああ、アンタら鉄道から追跡してた奴等か。随分と執念深い集団なこった。」

 

キマーナを腕の中から解放したパルスは彼らを見て勘付く。キマーナもまた武器として携えていた扇を構えつつ驚いた表情をしていた。

パルスはうっすらと気づいていた、鉄道内で向けられる獲物を狙うかのような視線に。

しかしそのことを言われても表情を変えることなく彼らは小声で話し合い、何か作戦を練っているようだった。

 

ふとパルスは気づく。相手のウェディがキマーナに対し妙な視線を送っていることに。

 

「…キマーナ、あのウェディの相手を出来るか?」

「ウェディ?あの覆面の、ですか?」

「ああ。どうやらアンタをご希望のようだ。」

 

パルスがそう言ったことに気づいたのか、ウェディは一人だけ東の川の方へと走っていく。それを見たキマーナがパルスに視線を送ると彼女は行って来いと頷いていた。それを確認したキマーナは他の二人に目もくれずウェディを追いかけていった。

 

「さて…こっちはこっちで楽しむとしようか…。」

 

片手剣を二刀流に構え、相手二人もまた各々の得物を手に戦闘の体制に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…!貴女は誰なんですか…?私を狙う理由は何ですか?」

 

顔を隠したウェディを追いかけていたキマーナ。パルス達からかなり離れた位置に立ち止まっていたウェディを見つけると少し距離を置いて警戒したまま問いかける。

 

「…お前、キマーナだな?」

 

今まで黙っていたウェディ…それも女性から発せられた言葉はどこか確信めいた問いだった。

 

「…!?その声…まさか、ホルーエ姉さん…!?」

 

キマーナはその声に聞き覚えがあった。それも、会えると思わなかった人物の物であった。

ホルーエと呼ばれたウェディもまた顔を隠していた布を剥ぎ取ると、スカイブルーの長い髪が露わになる。しかしその髪の先は何らかのショックで色が抜け落ち白くなっていた。キマーナの垂れ目とは対照的な鋭いブラウンの眼差しは何かを恨むような視線を彼女に送っていた。

 

「…生きてたんですね…」

「ああ生きてたさ。泥水啜るように意地汚くな。」

 

キマーナの言葉に対し、ホルーエは冷たく突き放すような言動で自分の得物―棍―を構える。

しかしキマーナは扇は手に持っているものの、構えをとろうとはしなかった。

 

「どうした?オレに殺してほしいのか?」

「…いいえ、貴女に武器を向ける理由がないからです。」

「そうかい…なら容赦しねぇぞ!!」

 

そう叫びながらホルーエは棍を回転させジャンプの降下の勢いと共に叩き付ける技―奥義・棍閃殺―をキマーナに向けて振り下ろす。

キマーナもまた武器を向けることはないが黙って攻撃を受けるわけもなく、その一撃を念のためにと扇と一緒に持ってきた盾で受け止める。

 

「ぐぅ…!」

「おせぇしあめぇ!」

「ウグッ!」

 

ホルーエは止められた棍を滑らせるように、体は舞うように振るいキマーナの脇腹へと直撃させる。棍閃殺を受け止めた隙をつかれたキマーナはそれをまともに喰らい、体制が崩れる。

 

「断空、なぎ払い!!」

「がはっ…!」

 

ホルーエは立て続けに勢いを強くつけたなぎ払い―断空なぎはらい―を放ち、キマーナを大きく吹き飛ばす。まともに技を受けたキマーナも吹き飛ばされた拍子に扇と盾も手放してしまう。

 

「げほっ…」

「…相変わらずだなキマーナ。数年前のあのクソ親父の修行からずっと…お前に接近戦のセンスはないな。」

 

倒れて血を吐くキマーナを見下したまま、ホルーエは呟く。

 

「ま、この際ガキの頃の話はいいか。お前はいいよなぁ、オレを見捨てた後、あの女に買われたんだろ?」

「…ぐぅっ…!」

「あの場所を見るにお袋は逃げた時の傷が原因で死んだってとこか。…オレはあの後さっきの二人に拾われて文字通り飼われたのさ。」

 

ホルーエはぶつぶつと語りながらキマーナに近寄り、うつ伏せから起き上がろうとしていた彼女の背中を思い切り踏みつけ、そのまま続ける。

 

「武器の扱いを叩き込まれた上に性奴隷のような扱い、そしてそのまま悪事に加担させられてこのザマだ。それと比べてお前はなんだ?…オレを見捨ててぬくぬくと幸せそうにしやがって!!!」

「ぐあっ、ガハッ!」

 

地獄のような扱いを受けた自分(ホルーエ)と幸せそうに生きる彼女(キマーナ)の差を苛立ちながら喋り、何度もキマーナの背中を踏みつけるホルーエ。そしてふと思いついた。

 

「…ああ、そうだなぁ。あの女を殺せばいいのか。」

 

そう考えた瞬間棍を構えたまま、先ほどの位置を目指して歩こうとするホルーエ。

 

 

 

 

「鳴動封魔。」

「ッ!?」

 

しかし唐突に向けられた殺意に驚きながらも、地面からの攻撃を軽やかなバック宙で避けるホルーエ。

体制を整えたホルーエが見たのは、さっきまでとは違う明確な敵意を宿して起き上がったキマーナの姿だった。

 

「…先ほどの武器を、敵意を向ける理由がないという言葉、撤回します。あの人に害をもたらそうとするのなら…容赦はしません。」

「…お前、まさか天地雷鳴士か…?」

「知ってるとは驚きですね。…ここ(カミハルムイ)のあの子達が、接近戦にセンスのない私に戦う術をくれたんです。」

 

戦う気になったキマーナの周囲は、彼女の怒りを表すように自然がざわざわを荒れ始めていた。それを見たホルーエは反射的に距離を取ってしまったことを悔いた。

自分の使う武器の棍は近接特化。距離を置かれればまず間違いなく不利。更に相手は自然の力を借りる天地雷鳴士。さらに――

 

「力を貸して…バルバルー!」

 

天地雷鳴士の最大の特徴…幻魔召喚。これにより実質数的にも不利になる。

 

「…ハッ、いいぜ…その調子でオレを止めてみろよ!!」

 

だがその逆境すら楽しむかのように、ホルーエは吠えながらキマーナめがけて駆けだした。

 

「…マグマ。」

 

それを阻むようにキマーナが発生させた溶岩が進行先を塞ぐ。そのままバルバルーもホルーエを迎え撃たんと動き出す。

しかしホルーエは流れるような身のこなしでマグマとバルバルーをかわすと、勢いを衰えさせることなくキマーナの元へ駆ける。

 

「しんくう竜巻!」

 

しかしそれを読んでいたキマーナは風の竜巻を巻き起こす。連続攻撃にホルーエもかわしきれずに被弾する。

 

「うぉぉっ…もらったぁぁ!」

 

風の竜巻に巻き込まれながらもホルーエはキマーナがいた方向めがけて突っ込み、再び奥義・棍閃殺を放つ。

視界も聴覚も竜巻によってほぼ機能しない中、気配だけで判断し行動出来るだけでもホルーエの才能は高いだろう。

 

「ええ、そう来るでしょうと読んでましたよ。」

 

しかし、ホルーエが振り下ろした先にいたのはキマーナではなく…幻魔であるカカロンであった。

 

「なっ…!?」

 

しんくう竜巻によって視界を封じた僅かな間に幻魔を変え、囮として待機させていたのである。

更にキマーナはその隙に畳み掛ける。

 

「水神の竜巻!カカロン、マヒャド!」

 

カカロンの後ろへ後退していたキマーナは水の竜巻を巻き起こしホルーエに直撃させると、カカロンがマヒャドを放ち水分を凍らせる。

 

「しまっ…!」

 

水神の竜巻による水分に加え、マヒャドの冷気によって水が凍り足を取られるホルーエ。

そしてキマーナはトドメに更なる構えを取った。

 

「…冷華静動!」

 

キマーナが独自に編み出した冷気を操る特技、冷華静動(れいかせいどう)

舞うように、踊るように冷気がホルーエを囲むと下半身と腕を拘束するように、みるみるうちに凍結させてしまったのである。

 

「な、んだよ、これ…!?」

「…もう貴女は動くことは出来ません。」

 

身動きが取れなくなったホルーエにゆっくりと歩み寄るキマーナ。

なんとかして拘束から逃れようとホルーエはもがくが、拘束具と化した氷は全く微動だにしなかった。

 

「…オレを殺すのか?」

「…そうですね、貴女がまだおかしな事を考えているならそうせざるを得ないでしょう。」

 

ホルーエの言葉にそう返しながら、キマーナは彼女の首に扇を向ける。しかしその手は迷いか恐怖か…僅かに震えていた。

 

「まだまだだな、オレを殺すのに抵抗があんのか?」

「…そうですね。唯一の肉親を、どうして意気揚々と殺さなくてはならないのですか?」

「ハッ、何甘いことを言ってんだ?そんな発言が許されるとこで買われてんなら、あの女も所詮その程度ってこと…」

 

キマーナが唯一の肉親である自分を殺す事に抵抗があるとわかると、ホルーエは挑発し始める。

だがキマーナは、その後ろにいる人物に気付くと扇を引っ込めた。

 

「ご心配はありがたいがいらん手間と言っておく。後キマーナを痛め付けた分な。」

「いってぇ!?」

 

挑発していたホルーエを後ろからハリセンでひっぱたいたのは、残りの二人を相手にしていたパルスであった。

ハリセンとはいえ不意打ち気味に、しかも容赦なくひっぱたかれたホルーエは思わず悲鳴をあげていた。

 

「てめっいつの間に…あいつらは!?」

「あんな雑魚二人に手間取らねぇよ。キマーナ、そいつをどうするかはアンタが決めな。」

 

氷で身動きが取れないホルーエが何とか視界を後ろ側が見えるように顔を向けると、点々とした返り血を浴びた程度のパルスがハリセンを持ってそこに立っていた。

しかもホルーエを飼っていた二人を雑魚と称し、苦労もなく片付けたと見るや彼女は驚きで止まっていた。

 

「えっ?」

「この場で殺しても構わないけど、アンタの事だし殺せないだろ。このまま罪人として突き出すか、アタシらが受け入れるかは好きにしな。」

「さっきまで殺す気でいた奴を受け入れていいのか?」

「キマーナに勝てなきゃアタシには勝てねぇよ。」

「ぐっ…」

 

キマーナは急に判断を任されて困惑し、ホルーエもまたパルスの指示に混乱しつつも問う。しかしパルスの手痛い指摘にホルーエは言葉を詰まらせていたが。

 

「それに、この子(キマーナ)の家族を本人の意思だの何だのを無視して一方的なこと出来るわけないだろ。二人で話し合うなりなんなりして決めるんだな。」

 

そう言うとパルスは煙管に火をつけ、一服しながらカミハルムイの門へと歩いていった。

ホルーエは訳がわからずといった表情のまま。キマーナも相変わらずな態度だと苦笑いを浮かべると、ホルーエの拘束を解除した。

 

「…いいのか?」

「いいんですよ。あの人の強さがわかった上で抵抗するほどホルーエ姉さんも馬鹿ではないでしょう?」

「んぐ…あーもう、すっかり変わりやがって…オレの負けだ。あんたに扱いは任せるさ。」

 

キマーナの言葉に罰が悪そうな表情でホルーエは頭を掻く。過去の自分や母親の後ろに隠れてばかりだった頃とは違い、大きく成長した妹に真っ向から負かされてしまったことを改めて実感した。

 

「それじゃ…あ、姉さん。」

「あん?なんだ?」

「一つだけ、いいですか?」

「んん?まぁいいけどよ。」

 

パルスの後を追うために二人で歩こうとした直前、キマーナが何かをしたいとホルーエに頼みだした。ホルーエもまた断る理由もないためあっさりと承諾する。

その次の瞬間、キマーナはホルーエに抱きついていた。

 

「キマッ、キマーナ?」

「……無事でよかった、本当に…ごめんなさい…ごめんなさい…!」

「…ッ!」

 

キマーナが今まで隠していた感情が溢れるように、ホルーエの肩に顔を埋めながら涙を流し、生きていた安堵と見捨ててしまった事への謝罪を口にした。

それをすぐに理解したホルーエも、自分が完全に見捨てられていた訳じゃなかったとわかり、すぐに涙が溢れだす。

 

「ばかやろっ、今、言い出すんじゃねぇよぉ…!」

「でもっ、でも…!」

「オレだって…お前だけでも、生きてて、それにずっと気にかけてたとか、嬉しいに決まってるだろ…一方的に恨んでたのがバカみたいだろ…!」

 

ホルーエもまたキマーナを抱き返しつつ、溜まった感情を爆発させるように吐き出していた。

それを聞いたキマーナもまた声を上げて泣き出し、二人はお互いが落ち着くまで泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん、話はついたか?」

 

カミハルムイ前の門の壁に寄りかかり煙管を吹かせて待っていたパルスが、歩み寄る二人を見つけて声をかける。

二人揃って目が赤くなっていたが、パルスは触れない事にした。

 

「まぁな。…とりあえず他に行く宛もねぇし、あんたのとこで世話になるつもりだ。」

「そうかい、また賑やかになるな。」

 

ホルーエの言葉を微笑みながら受け入れるパルス。あっさりと受け入れられると思わなかったのか、ホルーエは困惑しながら問い始める。

 

「なぁ、あんた…パルスっつったか?オレはさっきまで敵で殺そうとしてたんだぞ?そんなあっさり…」

アンタの肉親(キマーナ)が受け入れてるのに、アタシが受け入れない理由はない、それだけだ。わかったんならさっさと宿行くぞ。」

 

パルスはさも当たり前のようにそう告げると、煙管を吹かせながらカミハルムイへと入っていった。

ホルーエはまだ困惑していたがキマーナが“ああいう人だから”と言うように苦笑いを浮かべると、彼女もまた苦笑いしつつ二人でパルスの後を追った。

 

普段から劣悪な扱いを受けていたのか、宿でまともな食事や風呂などにありつくとホルーエは感動やら何やらが涙として溢れていたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜中。

二人を寝かしつけたパルスは宿の外でまた一服していた。

 

「…どうした?」

 

と、寝かしつけたはずのホルーエに気づいたパルスは彼女を呼ぶ。

遭遇した時のオンボロ衣装ではなく、浴衣に着替えたホルーエもまた気づかれたとは思わず驚きながらもパルスの側に寄る。

 

「いや…どうしても夢見が悪くてさ。」

「そうか、アンタも大分辛かったんだな。」

「…も、っていうとやっぱキマーナも…」

 

ホルーエがどことなく疲れた表情で素っ気なく笑うと、彼女の事を察したパルスがそっと頭を撫でる。

不思議と拒む気にならず、ホルーエはそのままパルスの話を聞く。

 

「アタシが拾った時はもう大分やつれていたからな。」

「だろうなぁ…お袋も目の前で死んじまったんならそうもなるな…」

 

パルスに撫でられたまま、当時のキマーナに同情するホルーエ。

そのまま会話が途切れ、静かな夜の空気が二人を包む。

 

「…なぁ。」

「あん?」

「オレもあんたのとこで変われるかな…。」

 

唐突に不安げな雰囲気でパルスに問うホルーエ。

 

「さぁな。どう変わろうがアタシの知ったこっちゃない…けど、一度拾った以上そう簡単には捨てねぇし雑に扱わねぇよ。そこだけは安心しとけ。」

「…!…へへっ、やっぱ敵わねぇなぁ…。」

 

パルスはホルーエにそう言いながら彼女を片手で抱き寄せ、頭を撫でる。ホルーエは自分の不安をあっさり見抜かれ、しかも受け入れてくれるパルスの器の大きさにまた涙が溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、数日後…

 

「オイ。」

「どうした?」

 

アズラン住宅村のパルスの家にて。キマーナとチドリと共に並ぶホルーエの姿があった。ただし…

 

「どうした?じゃねぇ!オレの服どうにかならねぇのかよ!?」

「どうにもならねぇよ。その服はプライベートコンシェルジュの制服みたいなもんだし諦めな。」

 

そう、あくまでホルーエをプライベートコンシェルジュとして雇う形で受け入れていたのであった。

当然そんな格好をしたことがない、する気もなかったホルーエからすれば変えろというのはある意味当たり前である。

 

帰ってきた当日、パルスはすぐに管理人であるヨヒラを呼び出し交渉、ホルーエをプライベートコンシェルジュとして登録した。

数日は服が届くまでウェディの服で生活していたが、制服が届くや否や有無を言わさず着せられていた。

 

「まぁ嫌なら別の服は考えておいてやるけど、アンタがここのプライベートコンシェルジュって証明にもなるししばらくはそのまま活動しな。」

「ぐぅ…仕方ねぇな…」

 

いやいや言いながらも、不慣れながらテキパキと仕事する辺り根は真面目なのだろうとパルスは苦笑いを浮かべていた。

チドリがからかいすぎてガチの喧嘩になったり、血の気の多いシトラと勝負し始めたりするが、それはまた後のお話。

 

 

 

 

 

 

 




キマーナの姉、ホルーエが仲間に加わるお話でした。
いっぱい涙を我慢してたんだと思います。

そのうちチドリの過去話とかも書きたいなー。
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