僕と怪異と怨念と…   作:重装歩兵

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めっちゃ長くなった…(呆然)

こんなに長く書いたのは初めてだぜ…(汗)



くねくね編最終話!ゆっくりしていってね!


くねくね:決着

〜美琴side〜

 

私達はおじいさんの居る筈の神社へと辿り着いた。けど、そこにおじいさんは居なかった。私はそれを知り頭が真っ白になる。このままでは私も明久君も…!

 

明久「美琴ちゃん、こっちだ!」

 

美琴「えっ…きゃっ!?」

 

明久君は私を抱き上げると、境内の中へと飛び込んだ。…何回も明久君に抱き上げられると流石に恥ずかしい///

白い何かは私達を探して彷徨って居たけど、直ぐに消えてしまった。安全を確認し、境内から出る。

 

美琴「電話の途中、だったよね…」

 

明久「…うん。でもきっと助けに来てくれるよ。それより、公園の方まで白いのが居ないか確認しようと思うんだけど…大丈夫?」

 

美琴「…うん、大丈夫。早速確認しに行こう!」

 

私が弱音を吐いたら明久君の負担になっちゃう…。だから、私は無理やり笑顔を作った。

公園に行くと、おばさんが遊具の一つに腰掛けて居た。おじいさんから注意されていたけど、この人は何か知っている…私にはそう思えてならなかった。

 

?「また会ったね、アンタら…」

 

私が声を掛けようとすると、私達に気づいたおばさんから声を掛けられた。

 

明久「…おばさん」

 

?「良いのかい?そんなにウロチョロしてて…。あの化け物に見つかっちまうよ?」

 

美琴「………」

 

?「どうしたんだい、そんな顔して。あたしの顔に何かついてんのかい?」

 

おばさんの一言一言に、私は違和感を感じた。まるで、何かを隠してるかのように…。

 

美琴「おばさん…何か隠してませんか?」

 

?「……いきなりどうしたの?」

 

美琴「いえ、少し気になる事があって…」

 

?「……気になる?気になるってなんだい!!」

 

私はいきなり大声を上げたおばさんに驚いていた。おばさんは、鬼の様な形相で私を睨みつけている。

 

?「さっきからなんだい、アンタらは……?あたしの前にチョロチョロ現れてさ!それで、あたしの何が気になるって言うの!?」

 

明久「ちょ、おばさん落ち着いてください!」

 

明久君が宥めようとするが、おばさんはますます声を荒げてしまう。

 

?「何者なんだい!?アンタらは!何でアンタらだけこの町に残ってんの!?どうしてあたしの前に何度も現れんの!?」

 

おばさんはそう叫ぶと、ハッとしたような顔で申し訳なさそうにする。

 

?「……怒鳴って悪かったね。あたしの勘違いだったみたいだ。すまないね」

 

明久「……いえ、気にしてません」

 

?「……とは言っても、もうダメよね?おばさんの事……頭のおかしい人にしか見えないわよねぇ?」

 

おばさんはニヤニヤとした笑みを浮かべて、私達に問いかける。私はとても怖いと、そう思った。

 

?「クククッ…良いわ、教えてあげる。あたしね……あの化け物の正体、知ってるんだよ」

 

明久「えっ?」

 

すると、おばさんは白い何かの動きを真似しながら続ける。

 

?「こーんな動きして…一部では都市伝説みたいに言われてるけど、そんなんじゃないのよ。少なくとも、おばさんには解ってるわ。……あの化け物の正体」

 

美琴「な、何なんですか?一体…」

 

?「頭の悪い子ねぇ…ほんっと、出来が悪いんだから……。本当に馬鹿なんだから……ヒヒッ……ブツブツ」

 

おばさんはうわ言のように呟きながら、何処かへと行ってしまった。残された私達は顔を見合わせるしか無かった。

 

 

〜美琴side out〜

 

 

〜明久side〜

 

おばさんが去った後公園を出たんだけど、中々氷室さんが来る気配が無い。明らかにおかしいと感じ、もう一度電話する為に電話のある家に向かう事にした。え、携帯電話?何故か電源が入らないんだよね……。

家の中に入り、氷室さんの番号に電話を掛ける。するとワンコールで電話が繋がった。

 

氷室『明久君か!?』

 

明久「氷室さん!さっきは電話の途中だったのにすいませんでした。また白いのに追いかけられまして…」

 

氷室『そうだったのか。こっちこそすまない。そちらに向かうと言ったのにこのザマだ…。どんなに車を走らせても元の場所に戻ってしまう。やはり、明久君が言った通り怪異の力だろう。』

 

明久「…やっぱり」

 

氷室『実は今、俺の知り合いのその筋に詳しい奴が警察署に来ているんだ。昨晩の怪異を調べにね…。少々予定が狂ってしまったがタイミングが良い。今からそいつと話してもらいたいんだ。大体の話はそいつに話してあるから、聞かれた事にだけ答えてくれれば良い。今から代わるぞ?」

 

少しの間が空き、氷室さんとは違う声が聞こえてきた。

 

?「君が吉井明久君だね?」

 

明久「はい…」

 

霧崎『俺は霧崎翔太(きりさきしょうた)。民族学を中心に研究を行ったりしている。さて、自己紹介も程々にしておこう。今、君達が置かれている状況は非常にまずいものだ。だからと言って、何もしない訳にはいかない。幾つか聞きたい事があるが後回しだ。単刀直入に聞こう。『くねくね』を知っているか?』

 

明久「……『くねくね』、ですか?」

 

霧崎『一種の妖怪みたいなものだ。話を聞く限り、そいつが怪異の元凶で間違いない。名前はさっきも言ったが『くねくね』。世間に広まったのは2003年初期。しかし、俺や怪異専門の氷室などは、その前から知っている。最初は自然現象による幻覚症状だと推測された。…だが、そうでは無かった。1978年、とある村で20人近い集団失踪が起きた。いや、集団発狂の方が正しいかもしれない。結局、村人は一人残らず元に戻らなかった。目撃者の証言、発狂者の発言から、どうやら白い形の”人型”を視た事が発狂の原因だと特定された。……これが、『くねくね』に関する情報だ。君の言っていた情報と非常に酷似している事からほぼ間違いないだろう。対処法は一つしか無い。……近づかず、何があってもそいつを認識しない事だ。それが何かを理解してしまったら、もう手遅れだと思ってくれ』

 

明久「そんな…。ずっと逃げ続けなきゃいけないって事ですか!?ここから出られないのに!」

 

思わず声を荒げてしまう。美琴ちゃんの肩がビクッと震えるのを見て、我に返った。

 

霧崎『そこなんだが…君達は今、複数の怪異に巻き込まれている。……いや、怪異が『くねくね』を呼んだのかも。……む?…ああ。吉井君、氷室に代わるぞ』

 

氷室『そういう訳だ。君達が不安なのは分かる。……だがな、明久君。俺達も今まで散々な目に合い、何度も死に掛けた。怖い思いをしてきたのは君達だけじゃない。だから、何も心配する事は無いさ。…今から俺や霧崎、ついでに加賀の3人で君達を助けに行く。怪異を掻い潜る方法を幾つか試してね。それまで……絶対生き延びろ!必ず助ける!』

 

明久「…はいっ!」

 

僕が返事をすると、電話はそこで切れてしまう。僕は受話器を置き、美琴ちゃんの方を向く。美琴ちゃんは不安そうな表情を浮かべて僕の方を見つめていたので、安心させるように笑ってみせた。まだ、助かる…。氷室さんが来るまで、美琴ちゃんは僕が守るんだ!

僕は美琴ちゃんと外に出ようとすると、テレビからピーっという音が流れるのを聞いた。

 

何事かとテレビの前に立つといきなりテレビが付き、映像が流れ始めた。映像で流れたのは人の名前と、恐らく年齢。その幅は広く、年寄りからまだ1歳になってもいない赤ん坊まで。その中に僕達の名前も含まれており、最後の方には『ご冥福をお祈りします』という言葉で映像は終わってしまう。

まるで挑発しているかのような映像だった。…良いさ、そっちがその気なら何がなんでも生き延びてやる!

 

明久「…美琴ちゃん、あのおじいさんの所に行こう」

 

美琴「……そうだね。きっと、何かヒントを教えてくれるかも!」

 

手を繋ぎ、外に出ると辺りは薄暗くなり茜色に染まっていた。僕達は神社へと急いだ。

 

 

〜〜キングクリムゾンッ!〜〜

 

 

あの後、コンビニの前で待ち伏せていた『くねくね』に追いかけられたけどまた遊具に隠れてやり過ごしたよ。そして、目的地である神社に辿り着きおじいさんの前に立つ。

 

明久「……おじいさん、教えてください。僕達がこれからすべき事を!」

 

「……じき日が暮れる。そうなれば、奴らは人の目を欺きあちら側へと引きずり込むであろう」

 

美琴「……そんな」

 

「あの女…あの女を止めねばならぬ」

 

明久「それって……もしかして、赤い服の?」

 

「人の思い込みというのは恐ろしいものだ。そして、それが奴らの原動力でもある。…あの女の狂気は普通のそれとは違う。何故なら、過去に人を殺めておるのだからな」

 

僕達は言葉を失う。まさか、おばさんが人を…?だが、それなら説明がつく。人を殺した事を必死に隠そうとしていたから、違和感をかんじたんだ!

 

「廃工場の奥…お主達はまだ行っておらんな?」

 

明久「は、はい…」

 

「やはり巧くあしらわれたか。……行ってみると良い。今なら道は開いている」

 

明久・美琴「「分かりました!」」

 

僕達は踵を返し、神社を出ようとするとおじいさんに声をかけられた。

 

「気をつけろ。あの女…最早何をするか分からぬ。もしもの時は、この神社まで引き返して来い」

 

おじいさんの言葉を最後まで聞き、今度こそ廃工場へと向けて走り出した。

 

 

 

ー廃工場ー

 

廃工場に辿り着いた僕達は、おばさんにあしらわれた奥へと進んだ。すると、フェンスの一部が無くなっていて通れるようになっていた。僕達は意を決して、さらに奥へと歩き始めた。一本道を真っ直ぐ抜けると、開けた場所に出る。よくよく見れば、数は少ないが墓地のようだ。

 

美琴「まさか、こんな所に墓地があるなんて…」

 

明久「これがおばさんが隠したがっていた事、なのかな…?」

 

辺りを探索していると古い枯れ井戸を見つけた。落ちないように中を覗き込もうとすると、おばさんの笑い声が響き渡る。声のした方に進むと、おばさんは池の方を眺めていた。

 

?「………またアンタらかい。こんな陰気な場所まで入ってきて、そんなにおばさんと遊びたいの?」

 

美琴「……もうすぐ日が暮れます。こんな所に居たら、視界が悪くなってとても危険ですよ?」

 

?「どこに行こうが同じさ…。あたしはこの場所が一番落ち着くんだ。……ああ、あの化け物の正体、まだアンタらに言ってなかったね。知りたいかい?」

 

明久「それって、『くねくね』の事ですか?」

 

?「それは都市伝説だろうがっ!!!!」

 

おばさんの怒鳴り声が大きく木霊する。この人、段々ヤバくなってるな…。

 

?「ヒヒッ…やっぱりアンタらも出来が悪い子達だ。アンタら、あそこの井戸を見たんだろ?」

 

明久「……はい」

 

?「何が見えた?」

 

美琴「…何も見えませんでした。だって、あそこは枯れ井戸ですよね?」

 

?「…確かにそうさ。でもね、枯れてないのが残ってんのよ。あの中にはね。……人間の骨が」

 

明久「なっ…!?」

 

?「この際だから特別に教えちゃうわ。おばさん、実は十数年前に人を殺しちゃったのよ。それも、血の繋がった我が子をね。」

 

おばさんの言葉に思わず二人で後ずさる。おばさんは気にせず話を続けた。

 

?「あの頃は過労とストレスでどうにかしててね、気付いたら物言わなくなった子供が横たわってたよ。…病院に連れて行こうとも思わなかった。何を思ったか、子供の死体を抱えてこの場所まで来てね、あそこの井戸に投げちまったよ。どうせ警察に捕まると思ってたけど、最初から誘拐だって決めつけてたんで、あたしに疑いの目が向く事は無かった。まあ、旦那は気づいてたみたいで直ぐに別れる事になったけどね」

 

心臓の鼓動が早くなるのが不思議と分かる。この人の前から立ち去りたいのに、何故か身体が動かない。その間にもおばさんの話は続く。

 

?「偶にね、あの枯れ井戸を覗きに行くのよ。呼ばれてる気がして…。で、中を覗くと必ずあいつが見てくるんだ。白いあいつがね。あれは…怨霊だよ。今までは見てくるだけだったが、今日になって枯れ井戸から出てきやがった」

 

言葉を区切り、僕達の方を振り向く。その表情は、能面のように無感情だった。

 

?「お前たちが出したの?…お前たちがあいつを井戸から出したの?だとしたら筋が通る。お前たちだけがこの町に残ってるのも、あたしがあの化け物に襲われるのも!!」

 

明久「美琴ちゃん!逃げるよ!」

 

美琴「う、うん!」

 

僕達は一目散に走り出す。

 

?「待ちな!全部吐いてもらうよ!」

 

おばさんに追われ、無我夢中で走り続ける。しかし勢いあまって入って来た所を通り過ぎてしまい、行き止まりの所に追い込まれてしまった。

 

?「観念するんだね!」

 

おばさんが僕達に襲いかかろうとした時、奇声が響き渡った。そして、おばさんの後ろに『くねくね』が現れた。振り返ったおばさんは叫び声を上げると、その場に崩れ落ちる。僕は美琴ちゃんを抱き上げ、神社へと走った。

道路に出ると、遠くでサイレンの音が響いているのが微かに聞こえたが、立ち止まる事はしない。

 

そして…神社に飛び込んだ。慌てて後ろを振り返るが、『くねくね』はどこにも居なかった。神社の奥に進むと、おじいさんが数珠を持って念仏を唱えていた。

 

明久「おじいさん…」

 

「……昔は”子殺し”と言ってな。親の為に、子を犠牲にする風習が日本全国に根付いていた。生まれてきた子が正常であっても、異常であっても例外は無かった。…昔の農村では、異常のある者を畑の案山子代わりにぶら下げて動物除けに使う事も珍しく無かったんじゃ。案山子にぶら下がったままもがいている姿から取って、『くねくね』と呼ばれてるのじゃ。あの怨霊の正体。それは、心無い迫害を受けた者達の残留思念。それが妖怪化したものじゃ。……ふむ、どうやら待ち人が来たようじゃの」

 

加賀「おーい、美琴ちゃーん!明久くーん!どこに居るんだ!?」

 

明久・美琴「「加賀さん!?」」

 

二人で振り返ると、道路に氷室さん達が立っていた。

 

氷室「明久君!美琴ちゃん!やっと見つけたぞ!」

 

霧崎「二人共無事みたいだな」

 

明久「おかげさまで助かりました。ありがとうございます!」

 

氷室「気にするな。神社の入り口に車を停めてある。署まで戻ろう」

 

明久・美琴「「分かりました」」

 

氷室さん達に続いて神社を出る時、ふと境内の方を振り返るが、そこには誰も居なかった。

 

明久・美琴「「おじいさん、ありがとうございました」」

 

僕達の言葉が重なり、二人で笑い合う。どこからか、おじいさんの笑い声が聞こえた気がした。

 

 

〜明久side out〜

 

 

 

 

 

 

 






誤字脱字あったらすいません!

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