個性:『アンケート』   作:毎日健康黒酢生活

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答1 オリジン

世界総人口の約8割が超常能力“個性”を持つに至った超人社会。

 

“個性”を悪用する犯罪者。

それを<ヴィラン>と人は呼ぶ。

 

逆にヴィランを“個性”を発揮して取り締まる者達。それを<ヒーロー>と人々は呼び、称えている。

 

 

 

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4月中旬、新学期になり新しくなったクラス分けにもようやく馴染みだし、様々なグループが出来上がりつつある季節。例にもれず、とある市立の中学校でも新しい活気に包まれながら部活動に精を出す学生たちが大きな声をあげて部活にいそしんでいる。

 

しかしながら、何事にも例外はいるものでその市立中学校の二階にある教室で、すっかり人気のない教室にポツンと残り陰鬱そうにため息をつく影が1つあった。

 

「……はぁ、進路か。分かんねぇよ、そんな先の事。」

 

中学校の制服を着たその男子生徒は背筋をだらしなく曲げ、重力に従い学習机にもたれかかる。黒髪に中庸なその容姿、()()()()()()()()()体格、いかにも2000年代のライトノベルの主人公のような気だるげな雰囲気を醸し出している。彼の名前は『神野(かみの)(しるべ)』。

 

(しるべ)はこの時代では比較的珍しい()()()であった。

4歳で個性は発現すると言われているが、彼は足の小指の関節が無いにもかかわらず特筆するような変わった力が扱えるようになるといったこともなく無個性と言っても変わりが無い状態である。

なので、同級生が抱く「ヒーローになりたい」という欲求もあまりなく、しかし、進んでグレていくような性根の持ち主でもなく如何にも平々凡々といった学生生活を送っている。

 

そんな(しるべ)だが、いかに平々凡々な人生でもその主人公たる彼にも人生の選択というのは一大事である。

ヒーローのような目立つ職でなくても生計は成り立つし、言ってしまえば無個性でも悪事を働けば簡単に大金をせしめることはできる。

 

つまり、(しるべ)がこれほどまでに鬱屈と1人で悩んでいるのは新学期早々に担任から進路希望のプリントを渡され、中学三年というある種の人生の分岐点において彼は悩んでいるのである。これほどまでに悩んでいるのは中庸な見た目とは裏腹に、幸いといったところか成績だけは良かったので様々なことが選択肢に入っていることもある。

 

平凡に生きるか、劇的に生きるか、夢に生きるか、快楽的に生きるか。

 

誰しもが通るなんてことの無い選択かも知れないが、経験の浅い10代の彼はこの選択に一生の全てがかかると思い込んで真剣に悩みぬいている。期日が月末までと決められたそのプリントとにらめっこをし、ため息をつく、この状態が放課後からいままで続いている。

 

「あぁーー、めんどい。」

 

背中を丸めていた(しるべ)がいきなり椅子から立ち上がり広げていたプリントをくしゃくしゃに鞄に詰めて教室を後にする。

そう、彼が悩みぬいて出した結論は先送りである。

 

しみったれた気持ちを洗い流す様に、(しるべ)はその足を少し離れた商店街へと向けて歩く……何かに導かれるように。

 

「田等院商店街のスイーツが美味しいってTVでやってたな、それ食べて忘れよう!」

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

商店街に着くと目当ての店先には少数だが学生が並んでおり、地方の一商店街の店とは思えない賑わいを見せていた。

 

「前岡青果ねぇ……。一見普通だけど、お目当てのスイーツはどんなもんかね。」

 

中庸な顔に薄い笑みを添えて列に並ぼうとしたその時、

 

 

BOOOOM!!

 

 

派手な爆発音と共に、爆風が一面を突き抜け周囲を熱波が包む。

道路のアスファルト、周囲の店先の資材、衝撃で割れたガラス、様々なものが爆発の中心から円を描くようにして吹き飛ぶ。

(しるべ)も衝撃で吹き飛ばされたガードレールにぶつかり、弾かれるようにして地面に倒れる。

 

ゴムボールのように軽く飛んで行ったその身体はしばらく身を動かさなかったが、ハッとした様子で起き上がり、周囲の状況を確認する。

 

周囲には荒れた商店街だった街並みと下手人であろう全身を泥に包まれた少年がまだ暴れていた。

ヒーローが何とかしようと右往左往しているが、個性の相性が悪いのか後手を踏んで周囲の救助を優先している。

 

辺りを冷静に見ていると、視界が一瞬赤く染まり続けて頭部からズキリとした痛みが襲ってくる。

思わず手を当ててみると、その掌にはびっしりと柘榴の果粒を潰したように鮮明な赤色がこびり付いていた。

傷は自覚すると共に痛みを増していき、傷口に近い瞼がピクピクと痙攣を始める。

 

「…――ッ痛!?誰か!助けて!」

 

反射的に大声を出して周囲のヒーローに助けを求める。

 

しかし、その声には下手人の爆破魔が反応し、(しるべ)へと顔をグリンと振り向く。

よく見ると下手人は、年と少年を覆うようにして広がる泥の二つに分かれていた。

怪我と恐怖から腰が抜けた(しるべ)はただその2人が近づいてくるのを眺めるしかできなかった。

 

ふと、泥の隙間から少年の顔が見え、視線が合った。

 

その視線は……助けを求めていた。

 

瞳を涙に染め、泥が気管に侵入し、自由が取れずに、それでも抵抗しようと藻掻き、苦しんでいた。

 

しかし、その瞳に(しるべ)は何もすることが出来ず、茫然と見つめ返すことしかできなかった。

スルリと脇の下から樹木が伸びてきて反対の脇に入ったかと思うと後方に勢いよく引き寄せられる。

 

「馬鹿野郎ーー!!!止まれーー!!!」

 

瞬間、すれ違うようにして安全圏にいた人込みから少年が飛び出してきて下手人の2人組に向かって飛び出すのが見えた。

(しるべ)は安全圏に引き寄せられる安心感から、ただ漫然とその後ろ姿を見送ることしかできなかった。

 

2人の少年を泥が覆うように広がったその瞬間

 

 

「プロはいつだって命懸け!!!」

 

 

SMAAAAAASH!!!

 

 

誰もが知る、TVでも見ない日が無いと言ってもいいぐらい有名なヒーローの、巨漢なアメコミ調な姿が現れ、地面に拳を突き刺すと共に爆風が流れ、2人の少年を救出し、事件を終幕させた。

 

 

 

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幸い、頭のけがは深くなく表面が少し切れただけで出血ほどの外傷は無いということだった。

しかし、吹き飛ばされたり、ガートレールにぶつかったりしたので自宅で安静にして様子を見ることになった。

 

(しるべ)は自室で一人、くしゃくしゃになった進路希望のプリントを睨み付ける。

 

「はぁ、将来何か分かんねぇよ。でも……。」

 

先の事件で、何かを掴んだのだろうか、スラスラとそのプリントに進路希望を書いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『彼』の未来を決めるのは神様(アナタ)です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




全てはアナタ次第です。

第一志望は?

  • 雄英高校ヒーロー科
  • 雄英高校普通科
  • 雄英高校サポート科
  • 雄英高校経営科
  • 圧倒的な暴力に憧れて、行く気のない高校名
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