ACE COMBAT Skies of Memory 作:翔田美琴
「あいつか。知っている。話せば長い。そう。古い話さ。知っているか?エースは3つに分けられる。強さを求める奴、プライドに生きる奴。戦況を読める奴。この3つだ。奴は確かにエースだった」
彼は「片羽の妖精」と呼ばれた傭兵。。私が追う『ある人物』の元同僚で相棒だった男。
10年前。世界を巻き込んだ戦争があった。
ベルカ戦争…。
その空に軌跡を描き歴史から消えた戦闘機乗りがいた。畏怖と敬意の狭間で生きた一人の傭兵。
私は彼を追っている。そして、「片羽」の言葉で物語の幕が上がる。
「あれは雪の降る寒い日のことだった…」
「諸君、早速だが緊急出撃命令だ。国境を越えたベルカの大規模爆撃機編隊がここ、ヴァレー空軍基地に接近してきている。敵は我々の基地を強襲し、更にウスティオ共和国全土の覇権を手にするつもりだ」
「ヴァレー空軍基地は我が国最後の砦であり本作戦の失敗はベルカによる、ウスティオ政権完全制圧に直結する。敵爆撃機編隊を撃破し基地を守り抜け。断固としてここでベルカの侵攻を食い止めるのだ」
作戦のブリーフィングが終わると、この物語の主人公・エリオット・レムは機体選択に入る。ここでは彼は”エリオット・イーグル”の偽名を使っている。
彼は”そとあお”と呼ばれるカラーリングの蒼いイーグル、F-15Cに乗り、ヴァレー空軍基地から飛び立った。
「降ってきたな」
「こちら基地司令部。全機、上がったようだな、ガルム1、ガルム2、現在の方位を維持せよ」
「こちらガルム2、了解した」
「方位315。ベルカ軍の爆撃機が接近!」
「雪山でのベイルアウトは悲惨だ。頼むぜ、1番機」
「ガルム1、ガルム2、応答せよ」
「こちら、ガルム1。順調に方位315に向けて飛行中」
「こちら、ガルム2。こちらも順調だ」
「各機、迎撃態勢を取れ」
「報酬はきっちり用意しとけ」
「互いが無事であればだ」
「お財布、握りしめて待っていろよ!」
と、片羽の妖精・ラリーの言葉で物語は始まった。
雪山上空の戦闘は、エリオット・イーグルにとっては初陣だ。雪が降る極寒の戦場だ。
「ガルム隊へ。ベルカ軍の爆撃機が接近中、全部叩き落とせ。ガルム2へ、お前はガルム1の指揮下へ入れ。勝手な行動は許さんぞ」
「了解。指示は頼むぜ。サイファー。あんたが「ガルム1」だ」
「了解だ」
「サイファー。噂は聞いている。随分と器用な奴らしいな」
「まあ、器用といえば器用かな」
「さっさと終わらせて、ホットウィスキーとしゃれこむぞ」
『サイファー』とは彼のベルカ戦争時のTACネームであった。ヒンズー語で「ゼロ」という意味をもつ。
敵爆撃機編隊は随分と時代ものの爆撃機だ。でも戦闘機の性能確認には丁度いい。
彼もまた手慣れた感じで戦闘機を操り、目の前の爆撃機を撃墜していく。
そうして、作戦が始まり10分も満たない時間で、ベルカ軍の爆撃機を全機叩き落とした。
片羽の妖精・ピクシーことラリー・フォルクは、そこで彼に告げた。
「サイファー。あんたとなら上手くやれそうだ。これから宜しく頼む。…相棒」
「”相棒”か。…ああ。こちらも宜しく頼む。”相棒”」
そうして、彼、エリオット・イーグルの長い戦闘機乗りとしての物語も始まった。