ACE COMBAT Skies of Memory   作:翔田美琴

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Mission3 The Round Table  〜円卓〜

「今回の任務の場所はあの円卓か。俺達に相応しい場所だな」

「円卓?」

「ベルカ絶対防衛戦略空域『B7R』通称『円卓』。俺達戦闘機乗りの実力が試される空域さ」

 

 B7R…ベルカ絶対防衛戦略空域でパイロット達からは通称『円卓』と呼ばれるこの場所は、いにしえの時代から多くの血が流されてきた。眼下に広がるのは何処までも続く荒野のみ。

 この『円卓』は地下資源が豊富に眠る場所で実際ここにある地下資源を巡って数多くの戦が繰り広げられそして何度も国境線が引き直されて来た曰く付きの場所。

 運良くベイルアウト出来たとしても豊富な地下資源が出す電磁波の乱れで無線も救難信号も限り無く届く可能性は低い。

 救助隊が来るまでかなり待つ覚悟が無いといけない。それが嫌なら諦めで撃墜されて死んだ方が運がいいかも知れないだろう。

 独特の電磁波の乱れと眼下に広がる荒野の上の空の戦場。そこは上座も下座も無く各国のエース達がしのぎを削る場所。

 そして『片羽』の言葉でその任務が始まる…。

 

「ベルカ絶対防衛戦略空域…『B7R』。通称『円卓』。俺達戦闘機乗りに与えられた戦いの舞台。そこは上座も下座も関係なく各国のエース達がしのぎを削る場所。条件は皆同じ。『生き残れ』。それが唯一無比の交戦規定だった」

 

「ガルム隊へ。空域『B7R』付近の状況を探れ!」

 

 今回の任務は空域『B7R』の強行偵察任務である。

 この空域では電磁波の干渉が激しく、IFFの乱れもある。

 一人のベルカ軍兵士がその不調に気付く。

 

「IFFが故障しているのか?識別信号が乱れている」

「知らないのか?ここは『円卓』だぞ?」

「ガルム隊。周辺の状況を探れ」

「こちらガルム1、了解した」

「ガルム2、了解」

「ここが『円卓』。眼下には本当に何も無い荒野だな」

「ここでのベイルアウトは悲惨だ。頼むぜ、相棒」

「ああ」

「敵性航空機の接近を確認。ガルム隊、交戦を開始せよ」

「こいつらはウスティオから飛んで来たのか?」

「この空域に足を踏み込むことを後悔させてやる」

 

 だが先発隊は彼らの相手には全くならず、いともあっさりとベルカ軍の航空機を叩き落としたガルム隊。そこでイーグルアイから空域『B7R』への侵入を指示された。

 

「ガルム隊、空域『B7R』へと侵入を開始せよ」

「了解」

「空域『B7R』に高速で接近する機影がある。ガルム隊、警戒せよ!」

「ガルム2から1ヘ。恐らくは敵の本隊だ」

 

 そこに現れた敵の本隊はベルカ軍の「グリューン隊」である。

 彼らはガルム隊を確認すると、まるでその戦を楽しむかのような言葉を発して交戦を開始した。

 

「こちらグリューン5、奴らを確認した」

「さあ、楽しませてもらおうか!?」

「おい!相棒!奴らホーネットを出して来たぞ!スズメバチのケツの一刺しに気を付けろ!」

「これはまた…。これは俺達の報酬を上乗せして貰わないと」

「ああ!これは報酬上乗せだ!」

 

 このグリューン隊の隊長は臨機応変な戦い方でエースパイロットにまで成り上がった強者である。

隊長はこう呼ばれる男だ。『フクロウの目を持つ男』と。彼は敵の機体から現在流れる気流、天気、敵機の残弾数まで分析するところからこう呼ばれる。

 グリューン隊はかなり頭脳派の戦闘機隊だ。チャフやフレアと呼ばれるミサイルに対する囮を使い自機に迫るミサイルを回避しつつ、長距離ミサイルで狙い撃つ戦術を取る。緑色の迷彩柄のホーネット隊だ。

 

「こいつらやるぞ。例の作戦を取るぞ!」

「楽しませてもらおうか!ウスティオの傭兵!」

「ピクシー!特殊兵装を解除だ!全力で片付けるぞ!」

「ああ!ガルム1、生き残るぞ!」

「絶対に生き残る。こんな所で死んでたまるか!」

 

 エリオットの戦闘機動は独特の機動である。敢えて例えるならセオリーが通じない相手である。

 グリューン隊の隊員はその彼の戦闘機動を見てこう感想を漏らす。

 

「何だ?こいつの機動?ウスティオの奴らとは飛び方がまるで違う!セオリーが通じない相手だ!」

「その方が余程空戦を楽しめるがな!」

「こいつの飛び方はウスティオともオーシアの奴らとも違う」

 

 初めて『円卓』での戦闘だが相棒であるピクシーは彼の戦闘機動を間近で見て舌を巻く。

 たった数回のコンタクトで彼はこのグリューン隊を相手に対等以上の戦いを繰り広げでいるのだ。

 だがエリオット自身はミサイルの欺瞞工作で少し手こずる。チャフやフレアで通常のミサイルは敵機には当たらず、その囮に当たってしまう。そこで特殊兵装の空対空ミサイルで彼らを狙い撃つことにした。すると…だんだん彼らグリューン隊の数が減って行く。

 ピクシーとエリオットの絶妙なコンビネーションでグリューン隊が次々と撃墜されていく。

 たった2機のガルム隊なのにグリューン隊からすれば、何機もの戦闘機を相手にしている気分だった。また1機、エリオットが落とす。AWACSであるイーグルアイは彼らの戦いを空の高みから見守りつつ現在の状況を的確に伝える。

 

「敵機の数が減って来ている!その調子だ!ガルム隊!」

「何!?俺達2機だけか!?残っているのは!?」

「本当に2機だけか!?何機もの戦闘機を相手にしている気分だな!」

「楽しませてもらっているぞ。ウスティオの傭兵!」

「長距離ミサイルだ!ブレイク!」

「相棒、レーダー照射を受けているぞ!」

「こいつら、しぶとい!」

「もう一踏ん張りだ!ガルム隊」

 

 するとエリオットが放った長距離ミサイルがグリューン隊の隊長機に見事に命中した!

 そしてエリオットの『円卓』での初めての戦闘は無事、ガルム隊の勝利で終わった…。

 

 イーグルアイからの通信でその戦いが終わったことを聞くガルム隊の面々。

 

「敵機撃墜を確認。任務完了だ。ガルム隊。オーシア海軍から通信が来ている。「オーシア軍第3艦隊は無事、運河の通過を果たした。貴隊の活躍に感謝する」以上」

「……どうやら俺達は囮だったらしい」

「らしいな……。傭兵の仕事は損な役回りをすることが多いさ」

 

 彼らはため息混じりでヴァレー空軍基地へ帰投して行った…。

 

 その帰りの空、とても綺麗な夕焼けを見たエリオット。

 彼にはそれがとても綺麗な空に見えたのを忘れなかったという。

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