始まりの黒
世界人口の九割以上がなんらかの特殊能力『個性』を持つこの世界。その個性を悪用する
父母両方とも名の馳せた『ヒーロー』であった。父方の個性は【
そんな私が天から授かった個性は【
そんな期待以上の
周りから見れば私のことがうらやましくて仕方ないのだろう。私のことを勝ち組だとでも言うのだろう。
しかし私はそんな生活が嫌いだ。考えても見ろ。今まで優しかった両親が突然鬼のように厳しくなり、周りの子達から嫉妬され、虐めを受けて、家に帰っても「世界最高のヒーローになるための躾」と称され虐待の様な訓練を受ける毎日。
私は必死に耐えてきた。親に文句の一つでも言えば個性を使って半殺しのような目に遭い、学校に行っても常に一人。そんな日々、そんな世界に対する「怒り」は私の中にダムのように溜まっていった。
そうして、あの日がやって来た。
中学三年。後一年後に雄英受験が迫っている日
いつものように虐待じみた訓練。やらなきゃ死ぬと思っていた私は死に物狂いで喰らい付き、ようやく父母の動きに追いついた。そしてついに二人を下す事が出来た。
その時の私の気持ちといったらもう、人生で一番と言えるほど嬉しかった。その時の私にとっては
その後、息も絶え絶えの父が放った言葉で、私の感情に亀裂が入った
「俺達は、トップヒーローだ...ヒーローランク6位と3位だ...!!!戦場を知らんお前なぞに負ける訳がないだろォ!!!戦うしか能のない脳筋めがァ!!!!」
―なんで、一度も褒めてくれないの...なんで、ここまでやったのに...友達も、欲も、何もかも捨ててここまでやったのに...
「お前、親相手にここまでするとはな...血縁を絶つ。破門だ。
ヒーローに危害を加えた。傷害罪でうったえてやる」
訴える...世間的に死ぬ...殺される...
「!...待て、
そいつじゃない...私は...私だ
「黒くなってるわ!」
「不味いな、逃げるぞ!」
逃がすものか、私が
―カエシテヤル
私の変化に動揺する父の首元を掴み、私の色を侵食させていく。
「ぐぇっ......」
「えっ...あなた!?」
この時点で父はもう、息を引き取っていた。黒に飲み込まれたのだ。
黒の効果は全てを飲み込む死の色。この色はこの時初めて出た色だったが私は困惑しなかった。
「......嘘...」
父の突然の死に崩れる母、私はその隙を逃さない。
「うぅ...」
母の首に黒く染まった左手で触れる
母は比較的優しい方だったがそれでも許せない存在だ。両親と言うだけで、ヒーローと言うだけで。許せない。万死に値する。
「...ごめんね...
「!!」
だんだんと黒に侵食されていく母が口を開く
「...今、初めてわかったわ...私達の罪の大きさが...」
「ダマレ!!クチダケノコトバヲ...!!!」
「...そう、確かに口だけ...私は、私達は親としては
今更、何が言いたい
「...自由に、生きなさい...私達が制限した分まで...どんな悪に染まってもいい...そうさせたのは私達だから...」
「ナラ...モウ、シネ」
絵の具の生成量を増やす。瞬く間に母の顔が黒く染まっていく
何か言いたげそうな顔だったが、これ以上同情されたくないので黒に染め上げた。もう母が動くことは二度とない。
永遠のお別れだ。
「......」
黒く染まった二人を見て、私からこみ上げてきた激情が静まっていく。
後悔なんて全く感じず、むしろ沸きあがってきたのは喜びだった。
「...自由だ...私は、やっと......」
やっとだ、やっと両親と言う呪縛から解放された。何にも縛られず、誰にも邪魔されない快適な生活が待っている
「...これからどうしようか...」
そう言いながら私は私は手から緑色の絵の具を生成し、両親だったモノが横たわる芝生に放つ。
すると芝生の形が変形し、両親だったモノを覆い被さっていった。
完全に姿が見えなくなったのを確認すると、無駄に大きい家の門の方へ、一歩一歩踏みしめながら進んだ。
とても、清清しい気分だった。
主人公
個性:【
体から様々な効果を持つ絵の具を生み出せる、また生み出した色と同じ色のものに付着するとそれを自由自在に操れる。
明るい未来を、と言う意味で付けられた名前。しかし名付け親に全てを奪われた15歳
好きな食べ物 菓子パン、おにぎり。