二日後、とりあえず渡された資料を丸暗記した私の元に黒霧が現れた。と言うよりかは迎えに来た。
何か持っていくものはないのですかと聞かれたので100円ショップで買った安いマスクだけだと答えた。顔バレはしたくない。いや、全員殺すのだから意味は無いか。
そうして黒霧の中に入る、このもやもやしたワープ方法には慣れないな。
「さあ、着きましたよ。」
黒霧から出てみると目先にはアマゾン級の森があった。この国にもこんな秘境があったのかとつい感心してしまう。
「...おでましか、災厄の。」
「......フフ、そうだな。私も気持ちを切り替えねばならない。こんなに美しい森を愚者どもの血で染め上げるのだから」
私は顔にマスクを着け、“個性”で全身を染め上げる
「ああ、待って、マスク着けるんだったらこっち着けて。」
メンバーの一人のマスタードと言う敵からガスマスクを渡された
「何故?」
「僕の個性が“ガス”だからさ。吸っちゃうと大変だからね」
「わかった、ありがとう。」
「虚に塗れた英雄たちが、地に堕ちる」
さて、駆除の開始だ
★★★★★★
黒という色は夜戦で非常に活躍できる。黒が夜の暗さと同調し、保護色的な役割を果たす。私的には保護色は嫌いだが戦場ではそんな甘ったるい事を言ってられない。
森の中を抜き足で駆け回り、気配を探す。卵は完全に浮かれてる筈だから気配を察知しやすい。
すると近くで叫び声が聞こえた。私は茂みに隠れ、そちらの様子を伺うとそこには茂みから顔を出す骨みたいな男と女子が二人いた
「あー…びっくりした……梅雨ちゃん大丈夫なの?」
「ケロ、私はそういうの平気よ。」
肝試し
雄英に入ってまですることか?違う。雄英はヒーロー名門校だ、そんな場所でこんな甘ったるい事をやっているのか?
無性に腹が立つ。私が目的の為に死ぬ気で殺っていた間、コイツ等はこんなお遊びが出来る余裕を持って生活していたのか?
―許せない
私は湧き出る怒りを何とか抑えつつ、抜き足で骨男に近寄る、熟練のヒーローならこの時点で違和感を感じて身構えるが、そこは卵。身構えもせずヘラヘラ笑っている
これほど殺りやすい仕事は無い
至近距離まで近づいた後、両腕で骨男の顔を抱きしめる
死ぬんだ、最期くらいはいい思いして終わりたいだろう?
「
骨男の顔から黒を広げていく。最初は抵抗するように動いていた体も一度ビクンと大きな痙攣を起こした後、動かなくなった
「骨抜!?」
真っ黒に染まりピクリと動かなくなった彼を見て隣にいたクラスメイトが叫ぶ
見えていなかった、もう一人いた。これはマズイな。
どんな個性かわからない以上、速度で勝負するしかないと判断した私は咄嗟に彼女の首に触れようと
「うぅ...」
「梅雨ちゃん!?」
「ケロ...拳藤さん、お茶子ちゃん、触れては駄目よ...」
この咄嗟の行動に対応できる卵がいたとは...素直に賞賛する
だが、それだけ。舌を伸ばせる個性と、触れたものを死に追い込む個性では優劣の差があり過ぎるのだ
「死ね」
触っている舌を握り締め、絵の具の生産量を倍にする、それだけで長い舌は真っ黒に染まり、徐々に彼女の肌へと浸透していった
色が侵食するにつれ、彼女の動きが鈍くなる。惜しかった。ヒーローさえ目指さなければこんな事にならなかったのに。
やがて彼女の全身は黒で包まれた。つまり死んだ
顔を青ざめさせて何も言わない女子二人に対して、告げる
「彼女等はもう二度と動かないよ、黒に染まったからにはどうあがいてもね。...ヒーローになると言う事は
告げられた言葉を彼女等は理解した途端、膝からガクリと崩れ落ちた。そう、私はこの絶望に染まりきった顔を見るのが好きなんだ。ああ、この表情を永久保存したい......ナイフを持ってくればよかった...。
「...さない」
茶髪の女子の方が何かを発した
「許さない!!」
彼女は地面に手を付けた後両手を合わせる、するとそこらに転がっていた石やら岩やらが浮かび上がる。なるほど、物を浮かせる個性か。なら話は早い。
物を浮かすと言う事は浮かせる間に多少の隙が出来ると言う事だ。触れば勝ちの即死系の私の個性ならその隙に触った時点で終わらせられる
...だが、それでは面白くもなんとも無い。だから少し遊ぼうか
個性を解除する。身に纏っていた黒は全て滴り落ち、私の服、髪本来の色が現れる。
「つぶて流星群!!」
浮かび上がった数多の石、岩が無差別に降り注ぐ。まるで豪雨だ。
だが、落ちてくるのは岩。何をどうやってもかわすことの出来ない雨とは違う。
「フッ!!ハッ!!!おりゃァ!!!」
落ちてくる岩を全て掌低で破壊する。砕け散る大岩が傘の役割を果たし、小粒の石から身を守ってくれるのだ
「嘘...いなされてる......」
「...君等は敵と戦ったことがあるのか?」
「...私たちB組は無いけど...A組はある。」
「もし私と戦っている連中にA組がいるとするならば、今まで何をしてきたんだと言いたい。」
ピクリと茶髪の女子が反応する、この反応からしてA組だな。
「たった今、クラスメイトを二人も私に殺されて!!それでもただ見ることしか出来ず!!!後から怒りの感情に身を任せ個性を乱雑に扱っているお前にだよ!!!」
手を合わせ個性を発動している女子目掛けて大振りのパンチを顔に打ち込む、すると女子は緊張の糸が解けたようにその場に倒れこみ、ピクピクと痙攣を起こし始めた。
まさかこれだけで死んだのか、と思いながら倒れた女子に近づき脈を図る。脈は正常だったので気絶しているらしい。
「.........あらら、堕ちちゃった。これでは何も聞けないな。」
期待はずれにもほどがあるが、たかが高校生だ。生ぬるい世界を生きてきた同年代はこんなものなのだろう。
「で、最後に残った君はどう処理してやろ...ん?」
いない。どこにもいない。逃げたか?いやヒーローの卵がそんな事をするはずが無い。
まあいいさ、生きる時間が延びただけ。何をしようと無駄。せいぜいあがけ。
......やる事がなくなったのでとりあえず気絶させた女子の体を弄る。何か鋭利なものを持ってはいないかと期待したが。何も持っていなかった。
仲間の誰かに貰うか?いや、スピナーのやつはでかすぎるから使えないし、マスタードは銃......あ、ヒミコなら持っているかもしれない。そうだ、あいつなら持ってるな!!
「...せっかく見つけたと思ったのにもう終わってましたか、つまんない。」
―何と言うタイミング、どうやら私は神に愛されているのかもしれない
「ヒミコ、私にナイフを一本くれないか?」
「どうしてです?」
「見ろ、この生きのいい少女を。」
ヒミコを誘導し、先程気絶させた茶髪女子を見せる。資料によるとヒミコは血まみれでボロボロの子が好みらしい。血まみれではないがボロボロだ。お気に召すのではないだろうか
「うわぁ/////美味しそう....ちうちうしたい...えへへへ......」
「そうか、なら今から首を切り落とすから一本ナイフをくれ。そしたらちうちう出来るぞ」
「いや、顔は欲しいのです」
懐にある六本のナイフのうち一つを取り出し、茶髪女子の額に切れ込みを入れる。
「血で真っ赤の顔を見ながらちうちうするのが最高なのです。」
うん、言ってる事がサイコパス。いや私もか。
「じゃあ好きなだけちうちうしていいから、し終わったら私に預けてくれ。ちうちうしている間だけは守ってやろう。」
「本当ですか!えへへへへ.../////」
フフフフ...ヒーロー共の絶望しきった顔を拝むのが楽しみだ