若干腐敗した合金布を構えたイレイザーと私は見合っている中、私はこの戦闘を無傷で終わらせる一つの解が浮かび上がっていた
そもそもの話、私はイレイザーと戦う必要なんて無い。対象を“視る”ことで個性を消せる相手なら、
あんな事を言って置いて逃げるのかと言われそうだが、どうせ死ねば関係なくなる。合理的だよ。
「...隠密ヒーロー“クノ一”は知ってるかい、イレイザーヘッド。」
「.........」
完全に戦闘態勢に入った彼は何も答えない。だが私は喋り続ける
「彼女の個性は“保護色”、身の回りの景色に同化出来る個性。」
私は捕縛布を構えるイレイザーに話す
「ただ周りの景色と同化出来る
後から聞くと言わんばかりに少し腐敗した捕縛布を私に向かって放ってきた。
驚くほど正確に私の腕を捕らえようとした、が私の方が速かった。
「うぐっ、おおお...!!!」
後ろに回った私は彼の頭を両腕で捕らえ、動けないように固定する。逃げるつもりだったがやはり私の英雄としてのプライドが許さなかった
“色村流
「答えは彼女自身の誰かを守りたいと言う強い思いから生まれたこの技だよ。“抜き足”は本来、音を立てず移動する歩行術、彼女はそれをアレンジして“気配を消した高速の移動術”に変えてしまった」
「..何故...お前がそれを...」
わかりきった質問をしてきたので素直に答えてやる事にした
「私が彼女の実の子供だからだ。その技を引き継いでも不思議じゃない。そして」
拘束した箇所から顔を覆いつくすほどの絵の具を放出する
「私は“最高傑作”。親の戦闘スタイルは全て扱えるまで鍛えられた。」
絵の具はイレイザーの顔をあっという間に覆いつくした。本人の生命力が高いのか覆われて数秒はもがいていたが、たちまち動かなくなり私にかかる体重も大きくなった。
「...どうやら私の見込み違いだったようだね、イレイザーヘッド。」
もう数えていないほど殺してきたプロヒーローの名前にイレイザーヘッドが刻まれた瞬間だった。
さて、私の分身に連絡するか...
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「おいおい、やられちまったぞ荼毘!勝ったぞ!」
「...今回はお前
木の影でこっそり見ていたが俺の分身はあっという間に殺されてしまった。ただアイツは俺の分身を殺したイレイザーヘッドを圧倒的な個性で倒したし、見たこともねェ体術で対応して殺した。ゾクッとしたね。
...それはそれとして、だ。
「俺を増やせ、トゥワイス。」
「ああ!?雑魚を増やした所で意味ねェだろ!任せろ!!!」
気持ち悪い液体から再び俺が生まれる。何度見ても気持ち悪い。
「...宿舎の裏に逃げ出した生徒がいる筈だ。燃やしてこい」
「......ああ」
今回生まれた俺は素直なタイプだった。さっき“黒き災厄”と共闘してた俺は結構捻くれた奴だったからな。
分身がとことこ歩いていくのを見送った俺はそいつと反対側の道に向かって歩き出した。
「おい!どこ行くんだよ!!」
「俺たちは俺たちで殺すんだよ、特にこのビラに載った奴をさがすぞ。」
「おいおい、私も混ぜろよ!」
その声の主に肩に手をポンッと置かれた。振り向かなくてもわかる。
「...お疲れ、“黒き災厄”」
「それはこっちのセリフだよ荼毘。君がいたからイレイザーを楽に倒せたんだ。」
「そりゃどーも」
「おいおい!俺も忘れるなよ!忘れろ!!」
「はは、そうだなトゥワイス。お前の手柄だよ。...で、そのビラを見せてくれよ。」
無言で紙切れを渡す。それを快く受け取った災厄は中身を見て少し驚いていた
「...何かあったか。」
「いや、私の元クラスメイトがいるんだよ。しかも小中で三人。」
「Ohhhhh!!そいつはやり辛いな、殺しちまえ!!」
「...この子等は君たちに敵連合に任せるよ。その他は消してあげるから。」
いくら“黒き災厄”でも元クラスメイトを殺すのは心にくるらしい。ヒーローを腐るほど殺しても心の芯にはまだ淡い光を持ち続けているようだ。
...俺はそんな物、とっくの昔に消えたな。
「...じゃあ、やっぱり私は単独で行動するよ、じゃあね君たち。」
「えー、一緒に行動しようぜ?さっさと消えろッ!!!」
「...じゃあな、来いトゥワイス。」
俺はトゥワイスを引っ張って林の奥へと進んでいった。
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想定内と言えば想定内だ、彼等がヒーロー科に入っていた事は。
緑谷くんは悲しむだろうな。以前会った時は未だに私を尊敬のまなざしで見ていたからなあ。
爆豪とはそもそも話したことがない。だから彼を殺すのには戸惑いなど無い
...
「......殺り辛いなぁ。」
これほど殺す事を躊躇する日は、今日が最初で最後だろうと私は思った。