ヒーローから生まれた|敵《ヴィラン》   作:shoon K

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何かめっちゃハショッた感凄いですが許して欲しいです。



黒の友達

「もういいのです、十分楽しんだのです。」

 

ヒミコの為に周囲を警戒して早三十分、ようやく彼女は女生徒の体を堪能し終えた。

楽しまれた後の女生徒の体が気になったので見てみると、真っ赤だった。服を脱がされ、色んな所が露になった彼女のからだの彼方此方に注射器で刺したような刺し痕やナイフで切られた痕が幾つもあった。

私が最後に見た時にはまだ赤みがあったが、血の気が引けたように肌は真っ青。見るに耐えないような無残な姿だったが、顔だけは最初の傷以外の傷はなく、他の部位と比べると綺麗に残されていた。

 

「...いいね、サイコーだ。」

 

最早芸術品と呼べるまでに鮮やかで美しいそれに私は思わず感嘆の声を漏らした。ああ、カメラを持っていればこの美しい姿を永久保存できたというのに。

 

―だが、美しいものはすぐに散る運命。この美しさが灰になっていくのなら、美しいうちに壊してしまうのがいい。

 

「...ナイフを。」

 

そう言うとヒミコは腰に携えていたナイフを私に手渡す。首を切るにはちょうどいい大きさだ。

 

私は何の躊躇もなく、女生徒の首にナイフで切れ込みを入れた―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情けない。自分が。

 

A組の子が殺されて、自分も殺されると思ったから逃げて来た自分が情けない。

 

ぼやける視界、よろよろになった足が私の心境を物語っていた。

 

罪悪感が、私の足を引き摺るんだ。何で逃げた、何で見捨てた、お前はそれでもヒーローか、と語り掛けてくる。

 

一つ一つの声が、鋭利な刃物の一撃のように私の心に深く刺さってくる。もう私は、語る資格が無いんだ。ヒーローと。

 

「おっ、人質用に良さそうなのいるじゃん。()()()()()。」

 

その言葉を最後に私の体は言うことを聞かなくなった。

四肢が動かない、視界もぼんやりしていてよくわからない。

 

「...おっ、あのカラス君もいいし、何より目当ての爆豪君までいるじゃあないか。さて、“未来”ちゃんに連絡するか。」

 

 

―ああ、また私は、皆に迷惑を掛けてしまう...

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

獣道を歩いていた私はコンプレスの報告を受け、指定の場所に向かう事にした。

分身にも連絡してみた所、そのすぐ近くにいるから合流しようとのことだ。

 

ただ、生徒の一人をバラバラにしたという事だけは聞きたくなかったが。

 

 

「うるっせえなぁ!!!糞デク!!!」

 

 

聞き覚えのある声がしたのでそこの草むらに身を潜めた。この声は爆豪だ、昔はよく緑谷くんをいじめていたな。彼にもいよいよその罰が下る時だ。

 

―まあ、ヒーローの卵なんだし当然か。

 

胸元にしまっている通信機の電源を入れる。

 

「今爆豪たちの真後ろにいるぞ、コンプレスは今どこにいる」

《おう、丁度対極側にいるぜ。》

「そう、なら今から分身と私で彼等を牽制する、お前は隙を見計らって爆豪を捕らえろ。気になる奴がいたら貰っていけ」

《オーケー、じゃあな。》

 

そこでコンプレスとの通信は切れた。

 

「...と言う事だ、私。」

《ああ、私にはちょうど()()()()がある。今から行くか?もちろんヒミコは隠れててもらうがな。》

「ああ。やるぞ。私だからやろうとしてる事、わかるな?」

《ああ。任せとけ。》

 

ここで全員との通信が途絶えた。行動開始の合図だ。

 

まず“個性”で親指に微量の絵の具を生成する。おおよそ大さじ一杯くらいの量だ。

これをデコピンの要領でカラス頭の生徒の隣にいる黒い奴に飛ばす。動体視力はいい方なんでね。当てるのは造作も無い事。

 

「うっ...う、ウガアア!!」

黒影(ダークシャドウ)!?どうした!?」

 

―へぇ、黒影(ダークシャドウ)君か。いいねぇ。操りやすそうだ

 

「グオ゛あ゛ア゛ア゛ア゛アアアア!!!!」

「くそ...黒影(ダークシャドウ)が」

 

みるみる巨大化していき、化け物サイズに成長させる。そして緑谷君を担いでいる生徒を緑谷君ごと鷲掴みにし、余った片腕で紅白イケメンを弾き飛ばす。

 

そうして、分身が彼等の前に姿を現した―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さすが原点(オリジン)、簡単に雄英生を拘束した。まあ、私でもそうしたが。

ターゲットの爆豪だけ自由にしてあるが、こいつに関しては私に対処しろと言う事だろう

 

私は草むらからスタスタと爆豪の元まで歩き、仁王立ちする

 

「...何だよテメェ。」

 

相変わらず生意気で舐めた態度をとる糞野郎だ。お前には一度絶望を味わってもらわなければ。

その意味も込めて、手土産として爆豪に向かって例のブツを放り投げる。キャッチした彼はそれを見て驚愕の言葉を漏らす

 

 

「...ん、だよ、これ...」

「......ヒーローになろうとした者の末路だ。首から下は探せ。まあ...」

 

爆豪がビー玉サイズの球体になる。

 

「探す時間なんて、無いんだけどな!」

 

空気を読まないコンプレスさんのご登場、か。まあいいや。任務を遂行できればそれでいいんだから。

 

「さてさて、品定めの時間だな。」

 

コンプレスが黒影(ダークシャドウ)の手の中の二人をみて品定めをする。......が、その目に適う人材はいなかったらしく、懐からビー玉を一つ取り出した。そしてそれを、彼等に向かって投げつけた。

 

「緑谷!!」

 

黒影(ダークシャドウ)の手の中で彼を背負っているマスク君が緑谷君をその多い手でどこか遠くに放り投げた。どうやら彼のことだけは助けるつもりのようだ。

 

「障子くん!!!」

「...俺はいい、行け!俺の分まで救ってやってくれ!」

 

「はは、泣かせるじゃんかよ、解除。」

 

コンプレスが右手を鳴らし、解除。

その中から私の個性である“黒”が大量に含まれていた

 

避ける事のできない彼にまるでシャワーを浴びるかのように付着。みるみる黒が彼の体を侵食して行き、しだいに全身を覆いつくした。

さようなら、名も知らぬ雄英生。最後の行動には感動したよ。今までの生徒の中で一番ヒーローだったよ。

 

「...終わったか、私。」

 

陰で黒影(ダークシャドウ)を操作していた原点(オリジン)が出てきた。

 

「ああ、まあ、この首はあんまり使えなかったが...ほら、お前にやるよ。」

 

黒影(ダークシャドウ)の本体、その黒い顔からでもわかるレベルで青ざめ、目尻に大粒の涙を溜め、完全に恐怖の表情の男の目の前に、顔がちゃんとカラス頭に向き合うように置いてやる。

 

「う、麗花......嘘だ...ああ、俺は、俺はぁ!!」

「泣くなら、俺達のアジトで泣け。」

 

横からコンプレスが個性で彼を圧縮する。

 

「「見込み有りだったのか?」」

「ははは、揃って同じ事言うんかい。」

 

「確かに、今のは強そうだった(小並感)」

「俺もあんなカッコいい個性がよかったなァ!!いらねェよ!んな気色悪い個性!!」

 

今の出来事をすべて見ていた体で話しながら荼毘とトゥワイスが草むらから出てきた。

 

「...あれ、他の奴等はどうした?」

「ああ、俺等と後マグ姉、スピナー以外は全員やられてるな。」

「私は負けてないのです。」

 

あ、ヒミコのこと忘れてた。

 

「ああ、だがヒミコは何もしてないよな。」

「いやいや、見てくださいよこの血の量を!あの子の変身なら一生出来そうな位採ったのです!!」

「いやいやそれは私の戦績だろ!?」

「わーたーしーでーすぅ!」

「あはは、まあ許してやれよ、私。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒミコと分身が揉み合いを始めたので静止しようと向かった時の事だ

 

 

「...さて、皆様、帰還しますよ。目的は果たしたのでね」

 

黒霧だ。彼が出てきたということはどうやら死柄木弔が“よし”と判断したという事だ。

黒い霧に包まれる直前、私の分身が「ちょっと待った。」と静止を掛けた。

 

「私の任務は終わったんだ。だからトゥワイス、私を壊してくれ。」

 

確かに分身は役目を終えた。だから彼女は終わろうとしているのだ。人としての生を。いや、私としての生をかな。

「本当にいいのか?」と聞くと、「ああ、私はヒーローの卵を駆除できた時点で満足だ」と返された。

その返答を聞いたトゥワイスが彼女に触れようとした時

 

「嫌です。」

 

ヒミコが声を上げた。

 

「...初めての友達なのです。」

「本物の私に構って貰えばいいじゃないか、大して変わらないぞ?あいつと私は。」

 

その一言でヒミコは目尻に涙を溜め、ギュッと分身に抱きついた。

 

「嫌です..嫌です!」

 

分身があわあわし出し、助けを求めるように私を見た。だが、助けるような真似はしない。

 

「女の子を泣かせるなんて最低な事、私がするわけないよな?」

「うっ...」

 

まあ、分身がいればもう敵連合に呼ばれる事が無くなり、私の自由時間(ヒーロー殺しの時間)が増える。

その為にも彼女にはいて貰わないといけない。メリットしかない。

 

私の言葉が存外に刺さった様子の彼女はハァッと大きい溜め息をついた後、ヒミコの頭に手を置いた。

 

「わかったわかった。私は消えないから。だから泣かないで、これからも一緒にいよう。」

 

小さい子供をあやすように優しい声色で彼女の頭をなでる。その行為で何かが決壊した彼女は分身の腕の中で声をあげて泣き出したのだ。

ヒミコは多分、私のように親からも、誰からも愛情を、心の篭った言葉を受けなかったのだろう。だからかな。年甲斐もなく声をあげて泣いているのは。

 

「...見せ付けてくれるじゃねェか。“黒き災厄”とは思えないな。」

「私がやったわけじゃない。分身がやったんだ。私の場合は相手がヒーローと名乗るなら女でも殺すつもりだよ。実際殺してるしね。何百人単位で。」

 

トゥワイスが生み出す別人格の私とは違う。ヒミコのように凍った()()()奴とも違う。私の心は―

 

「...もう、壊れたんだよ。」

「あ?なんか言ったか?」

 

もう何も言うつもりの無い私は黒霧に早くワープするように急かす。彼は「そうですね」と言って個性を発動し始めた。

私より先にワープゲートに飲まれていく分身とヒミコを見て、今日は後で絶対何人かヒーローを殺すと決意した。

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