こっちあっち…いや逆だ?!×名探偵コナン~新マリオネット行進曲~ 作:Dr.クロ
少し時間が進み10:25
つみきと咲は蘭と一葉と共に珊瑚の夢の水槽前で小五郎を探していた。
蘭「お父さん、どこかしら…」
つみき「依頼人の小沢さんを放ってる状態ね…」
咲「見当たらないわね…確か警視庁の人がこっちの方に歩いていたって聞いたけど…水槽の上かしら?」
困った感じに言う蘭を見ながら呟くつみきの後に咲が水槽を見て言う。
蘭「水槽の上にあがってみようかな。確か今、小沢さんも佐藤刑事達から事情を聞かれてるはずだけど…」
和葉「そうやね、おっちゃん、その場におるかもしれへんし…もしいなくても、小沢さんに『ちょっと待っとって』って言えるし」
蘭「うん!行こ行こ!!」
頷いた後に4人は上部へと移動するとそこで丁度佐藤が小沢と小太りな男性に事情聴取をする所であった。
どうやら小太りな男性は矢口隆と言う森山コーポレーションの技術部長を務めてるそうだ。
蘭「あ、もう始まってるね」
つみき「…そうね。でもなんか小沢さんの様子おかしくない?」
そう言われて3人は小沢を見ると確かに小沢は顔を青ざめてソワソワしていた。
咲「顔真っ青ね」
和葉「……こういうの、出ていきづらいなァ、蘭ちゃん」
困った感じに言う和葉に蘭もうんと同意する。
つみき「どうやら始まるみたいね」
そう言われて2人はせめて情報だけは聞いておこうと耳を傾けるのであった。
佐藤「…では、この岩場の向こうまでご一緒いただけますか?」
矢口「私は遠慮させてもらうかな。10年前に交通事故に遭ってから、右の足が不自由になってね」
そうお願いする佐藤に矢口はそう答える。
確かにつみき達から見た時から彼は杖をついていた。
矢口「杖をついて歩く分には、ほぼ支障はないがこんなところは跳べないよ」
小沢「それを言うなら僕だってそうです!!僕は高所恐怖症なんだ…こんな場所、跳べるはずがありません…!」
佐藤「………本当なの?高所恐怖症なんて、いくらでも詐称できると思うだけど」
続けて言った小沢のに佐藤は怪しむが矢口が小沢のを肯定する。
矢口「小沢さんが筋金入りの高所恐怖症なのは本当だよ…クローバーヒルズの真ん中にある電波塔―――セントラルタワーに上っても窓を絶対に見ないからね…このタワーのプロジェクトを進めていた社長の秘書としては、出世に響くほどなんだ…」
高木「なるほど…」
咲「(それで納得しちゃうの;)」
説明に納得する高木に思わず咲は内心ツッコミを入れ、佐藤自身も同じなのかええな反応で見ている。
もしもその行動が殺害の為の演技だったなら人を欺きやすいと思うからだ。
その後に佐藤は擬岩を見てから触って確認してみる。
佐藤「(ちょっと、このあたりの擬岩……滑りにくそうな材質よね。で、高木君が小沢さんの向こう側…水際にいる…と)」
丁度良いかなと本当に小沢が高所恐怖症かどうか確かめる為に佐藤は小沢に近づく。
佐藤「小沢さん…」
小沢「なんですか…岩場の間を渡れという話ならお断りで―――」
佐藤「ちょっと失礼…!」
そう言って佐藤は小沢を岩場の縁に落ちない様にドン!と押す。
小沢「う、うわあああ!!や、やめろ、やめろおおおおっ…!!!!」
佐藤「えっ、ちょっと…落ち着いて、小沢さん…!」
咲「(ちょ、あれパニックになってない!?)」
つみき「…まずいわね」
慌てぶりに佐藤は宥めようと駆け寄り、つみきと咲達はその様子に恐怖症は嘘じゃないと分かった後にちゃんと事情聴取に協力してくれるか不安になる。
小沢「ひ、ひやあああっ…!」
ドスッ
すると宥めようとした佐藤はパニックを落としていた小沢に突き飛ばされて岩場から落ちかけてしまいそうになる。
佐藤「きゃあああっ…!!!」
高木「危ない、佐藤さん!」
ガシッ
あわや、落ちかけた佐藤を高木が抱き抱えて事なきを得て、それに誰もがホッとする。
小沢「ひゃぁあああああ………助かった…」
その間に小沢は縁から後ずさって尻もちをついてホッと安堵の息を吐く。
小沢「な、なんて事をするんですか…!!こんなの、やりすぎですよ…!」
高木「すみません、小沢さん…おっしゃるとおりです。真実を明らかにしたい…その一心で、ちょっとやり方を間違えてしまったみたいです………」
怒鳴る小沢に佐藤を抱き抱えたまま高木は謝罪する。
佐藤「た、高木君、私は―――」
高木「佐藤さん、今は黙って反省してください…!!いくら僕が小沢さんの前に居たからって…今みたいに掴めるとは、限らないんですよ!」
それに弁解しようとした佐藤は怒った高木にピシャリと言われて軽率だったと反省する。
佐藤「………そうね、高木君の言う通りね…ごめんなさい…」
高木に謝った後に佐藤は小沢に顔を向ける。
佐藤「小沢さん…私が、軽率でした………」
小沢「………まあ、いいですけどね…結果的には大丈夫だったわけですから…」
高木「ありがとうございます…感謝します…」
謝罪する佐藤に小沢は高木が先に怒っていたのもあって許し、高木は礼を述べてから佐藤へと顔を向ける。
高木「………佐藤さん、大丈夫ですか?立てますか…?」
佐藤「え、ええ…………だから、その…そろそろ、放してもらえるかしら?」
確認する高木へとそう答えてから頬を少し赤らめてお願いする佐藤に言われた本人は自分と佐藤の体勢にハッとなる。
高木「………!!す、すみませんっ………!!」
慌てて安全を確認してから離れる高木に佐藤は頬を叩いてしっかりした後に小沢にまた顔を向ける。
佐藤「申し訳ありませんでした…」
小沢「ハァ……何だがどっと疲れましたよ。体中、汗でびっしょりだ…」
矢口「ハハハハ…そうだろうね………!でもこれで、君の高所恐怖症が嘘でない事がわかってもらえたんじゃないか?」
改めて頭を下げて謝罪する佐藤に小沢はそう言いいながら取り出したハンカチで汗を拭う中で矢口がそうフォローする。
高木「そうですね…さっきのは、演技で出来る事ではありませんでした…」
つみき「(確かにあの怯えようは演技には見えないわね)」
頷く高木につみきは同意でもしもあれで演技ならば普通に演劇やドラマに出れる程だと思った。
小沢「………分かっていただけたなら有り難いですが、寿命が縮みましたよ…」
蘭「小沢さん、高所恐怖症だったみたいだね…」
和葉「そうやな…岩場と岩場の間を渡れないんなら、小沢さんは犯人とはちゃうんやないか…?」
咲「それは分からないけど…真実カードにしておいた方がいいかもね」
安堵する小沢を見て呟く蘭と和葉に咲は提案する。
蘭「そうだね!」
つみき「それじゃあ真実カードにしときましょう」
それに3人は同意して真実カードを作り出してアップした。
その際に小五郎が物置のでいわくつきの物置と言う名前で、可南子が容疑者達の出勤状況を真実カードにしているのが分かった。
☆
場所変わり、コナンと伊御、正邪に榊は後藤にどう説明しようかと考えている所であった。
だが後藤は真剣だった顔を緩ませて笑い…
後藤「……なーんてね!!うふふ、答えなくても良いわ…私も名探偵を目指す以上、真実は自分で明らかにしないとね!」
コナン「(た、助かった…)」
正邪「ふうん、あんたは探偵を目指してるんだな」
そうだよと正邪のに答えた後に後藤は困った顔をする。
後藤「ただ、まだまだなんだけどね」
伊御「まだまだ…ですか?」
そうだよと伊御のに答えてから後藤は困った顔をする。
後藤「そうそう、それに今事件を知ったからそれに関係ありそうな手掛かりは持ってないからね……昨日は玲香さんと一緒にウェストリーフに行く前に撮った写真をブログにアップロードしようと思ってたんだけど……えーっとどのフォルダに入れたっけ?」
そう言ってパソコンを操作してこれよ、これ!と目的のを見つけて伊御達に見せる。
後藤「見て見て、けっこう綺麗に撮れてるでしょ?」
コナン「ふむふむ…………?(あれ?どこか……オレがさっき見た光景と違うような気がするんだが…気のせいか?)」
伊御「あれ?この岩、さっきはなかったような?」
見せられた写真にコナンはふと違和感を持ったが伊御の指摘にそうだ!と気づく。
小五郎により止められた岩場の所に大きめの岩が写っているが実際の現場にはそんな岩はなかった。
コナン「後藤さん、この画像、僕の携帯に転送してもらってもいい…?」
榊「なんでこの写真を?…ああ、真実カードにする為か」
後藤「なんだか分からないけど……今からこの画像の含まれたページをインターネットにアップロードするから君のに転送するより、URLにアクセスした方がきっと早いわよ」
するとそうお願いするコナンに榊は疑問を感じたがすぐに理解する中で戸惑っていた後藤は落ち着いてからそう提案する。
コナン「そっか…じゃあ、それで大丈夫。URLを教えて…!」
伊御「そう言えばここのを見てなかったし丁度良いね」
後藤「オッケー、オッケー………」
お願いされて後藤はアップロードに取り掛かる。
だが意気揚々としていた後藤の顔はすぐさま困惑した顔になる。
後藤「……あれ、どういう事…?」
正邪「どうかしたのか?」
榊「何かトラブルか?」
誰もが後藤へと近づくと後藤は困った顔で振り返る。
後藤「ホームページにアクセスできなくなってるの…こんな事、今までなかったのに…」
伊御「通信障害かな?」
コナン「どこかで異常が発生してるのかな?」
困った顔をする後藤の隣でそれぞれが呟いた後にそうかも…と頷いてから後藤は言う。
後藤「調べてみた方がいいかもね…あ、そうだ…」
手をパンとさせてコナンへと後藤は顔を向ける。
後藤「『珊瑚の夢』の写真は、名探偵君のスマホに直接入れてあげるわね!」
コナン「ありがとう、後藤さん…助かるよ!!」
伊御「ありがとうございます」
そう言う後藤に2人はお礼を言った後にどういたしましてと後藤は笑う。
榊「(……それにしても電波障害か)」
その間、榊は今起こっている事を考える。
もしも紫から聞いたテロリストの仕業だとするとより警戒を強めないといけない。
榊「(……まさかこの事件もテロリストたちの?)」
その後にテロリストがテロの為の準備の為の布石かとも榊は可能性を考える。
もしもその考えも当たっているなら状況は酷く厳しくなる。
榊「(嫌な予感がするな…)」
まだ事件の全貌が見えてないのに来るであろうテロリストのに頭を悩ませながら榊は後藤の作業を見守る。
新たな手掛かりを得たコナン達。
だが、少しずつだが悪意の手は忍び寄っていた…
バディア「次回は『関西の探偵の情報収集』だ」
真宵「私らの番じゃよ~」
京谷「まぁ、合流するけどな」