自然の音しかない静かな海、海水浴の時期なのに人がやってこない海岸。夜にはひとつひとつがはっきりと視認できるような星の空。
深海棲艦に攻撃され、人がいなくなった場所。そんな誰かからも見捨てられたと思うような世界の果てと思えるところに俺と熊野が来て一か月。
涼しかったここにも暑い夏がやってきた。
先週までは海からの風や最高気温が控えめな日々が続いて涼しくあったが、もう太陽の光は体に痛みを与えるだけのものとしか感じられない。
動くのも面倒になってきた暑い日々を、誰からの監視の目もないため気楽に生活をしている。
提督である俺はきちんとした制服を着ることはなくなり、熊野は―――熊野だけは服装が乱れないように気を付けて制服を着てはいるが。
汗を肌に浮かべる熊野に、上着を脱いでワイシャツ姿になればいいと言ったがそれは断られた。
理由は艦娘として立派でいたいからと言っていたが、なおも追及すると汗で透けたワイシャツの下にある下着姿を見せたくないことも理由のひとつだそうだ。
見ても欲情して襲ったりはしないと言おうとしたが少し考えると、薄着になったら俺の精神が落ち着かないことに気づいて何も言わないことにした。
目が見えない熊野は自分で服の身だしなみを確認できないから、常日頃から意識して手で確認していないとすぐに乱れてしまいそうだと気づいた。
日頃から手で確認するのはずいぶんと真面目だと感心する。だらけていたって注意するのは誰もいないというのに。
仕事上で人と会う事なんて補給の時に来る人ぐらいだ。普段はすぐに書き終わってしまう業務日報と見回り、それと非常時に電話をかけるという3つの仕事しかないのに。
楽なのはいいことだが、あまりにも仕事がないと精神がダメになってしまいそうだ。
軍の仕事が少ない代わりとして、ここで生きていくための仕事はある。
それは今の生活環境を良くするということだ。
軍からの給料や補給物資は常に遅れてくるし、きても俺たちに与えられる予算はとても少ない。自腹で買っているのも多々あるが、だとしても限度がある。
色々なものを大事にして自分たちでできることは全部やっていかないといけない。そうでないと深海棲艦に殺されるまえに死んでしまいそうだ。
だから俺は晴れていても涼しい朝の5時から草取りのために家兼監視所の裏にある畑へと来ている。服はジャージで、手袋を身に着けて草刈り鎌を持って作業をしていく。
畑の手入れはサボっているとすぐに雑草がもこもこと出てきて、あっという間に伸びてしまう。だから毎日のように雑草を抜くのは面倒で、耕さず雑草も取らず肥料もやらないという自然農法をやろうとした時期があった。そのやり方だと野菜の形は悪く、量も採れないが育成は楽だというのが魅力的だ。
だが、それは熊野が『野菜はたくさん食べたいのですけど?』の怒りがこもった一言に屈してあきらめた。
だから地道にないも同然の予算で畑をやっていかないといけない。畑一面を防草シートで覆いたくなるぐらいの雑草取りは面倒だがやっていかないといけない。
畑の雑草取りの他に、その周辺の草刈りも手でやる必要がある。刈り払い機があれば草刈りは楽になるのだが。
こんなふうに以前はなかった農業知識は必要に迫られて増えていったが、読書好きの熊野はさらに詳しくなった。
段々と食事に関しての主導権を取られていくことを悲しく思いながらも、熊野が生き生きとして料理をしていくのが嬉しいという気持ちを持ちながら、草を取っていく。
涼しい今のうちにできるだけ多く終わらせないといけない。急ぎながらも、雑草は表面だけでなく根っこまできちんと取って。
そうして涼しくなるために肘部分まで腕まくりをしてから、息をついて集中しようとしたときに監視所から扉が開く音が聞こえる。
その音に意識を集中していると歩いていく音が近づいてきて、振り向くと熊野の姿があった
いつもならまだ寝ている時間なのに制服をしっかりと着ていて、でもポニーテールの髪は俺が結っていないためにぼさぼさになっている。
「こんな朝早くからどうしたんだ」
位置を知らせるために声を出すと、熊野は俺がいる方向へと前方確認のため、右手に持っている白い杖を地面へと向けて横へと振りながらやってくる。
「まだ寝ていてよかったんだぞ」
「なんとなく目が覚めましたの」
その言葉に俺は作業する手を止め、立ち上がって熊野の顔を見るも体調が悪いようには見えない。
単に暑かったからとか、気まぐれで起きてきたようだ。
そんな熊野の様子を見ると俺の視線から逃れるように顔をそらし、1歩後ろへと下がる。
「なにか手伝えることはありませんか?」
雑草取りなら手の感触で探して取ることはできるが、そういうことはやらせたくない。土で汚れ、肌を日で焼き、しゃがみすぎて腰や色々なところが痛くなるということを味合わせたくない。
だから俺は考えるふりをして、ちょっと間を取ったあとに冷たく言う。
「ない。戻って休んでいろ」
「では、あなたのそばにいさせてくださいな?」
甘える声を出しながら、俺へと顔を向けて首を傾げながらかわいい笑顔を浮かべる熊野。いつもなら、そういうふうにされれば大体のことは言うことを聞いてしまうが今日は違う。
熊野にあまり日焼けをせずに綺麗でいてほしいという、俺のわがままを叶えるためにその申し出は理性を思い切り動員して熊野の提案を受け入れない。
かといって、単に断っただけでは熊野はここから離れる様子ではない。
「少し待っていてくれ」
ふとひらめいた俺はすぐに監視所へ行き、麦わら帽子とタオルに背もたれ付きの椅子を持って戻ってくる。
持ってきた椅子は大きな木の木陰に置いてから熊野の左隣へと小走りで走って行く。
「隣にいるから腕を掴んでくれ。移動する」
「あら、どこへ連れていってくれるのかしら」
楽しそうに微笑んだ熊野は、まっすぐに下ろしている俺の指先にふれる。
汗ばんだ手に熊野の柔らかく、くすぐったい手の感触を感じる。そんな熊野の手は俺の肌をさわりながらヒジの部分まで上がっていく。
そうしてジャージのヒジ部分を掴んでくると、俺は「歩くぞ」と言って椅子に向かってゆっくり歩いていく。
椅子の前までくると、俺のヒジを掴んでいる熊野の手を取って椅子の背もたれを触らせた途端に熊野は不満そうな表情を浮かべる。
持っていた杖で俺の足をコツコツと軽く2回叩いてから椅子へと深く腰掛けてくれた。
そうして座った熊野に持っていた麦わら帽子をかぶせ、タオルを膝の上へと置く。
「静かな夏の朝を楽しんでくれ」
「……思い切り働いてくるといいですわ」
静かに言うと、不機嫌に低い声で返事を返された。
その反応をかわいく思った俺は麦わら帽子の上から頭をぐりぐり撫でると、その手をぺしぺしと何度も軽く叩いてくる熊野の姿がさらにかわいくて笑みを浮かべてしまう。
熊野は撫でられてずれた麦わら帽子の位置を細かく直すと、俺を追い払うような手の仕草をしてくる。どんな仕草もかわいいなぁと思ったあとに俺は疲れる雑草取りを再開する。
―――そうして雑草をひたすら取っていて思うことがある。
自分が食べるために畑の世話をすること。人間関係を気にすることなく好きなことができること。
そして熊野とふたりっきりで静かだけど楽しい時間を過ごすことは、もしかしたら贅沢なことなんじゃないかと。
ここに来てから給料は下がり、最新の軍事情報はわからなくなり、買い物に行くことが面倒になった。でも、その不便さがいいかもしれない。
出世の道は閉ざされたから上司や他の軍人を気にせず気楽に生きられるし、戦果に焦ることもない。特に大きいのが艦娘の怪我や死ぬかもしれないと考えるストレスも減った。
考え事をしながら黙々とやっていると汗がだらだらと流れていることに気付き、日陰の下にいる涼しそうな熊野のところへ行って隣に座り込む。
「暑いな……」
「お疲れさまです」
熊野が俺の体を探り当てると、タオルを顔へと押し付けて汗を拭ってくれる。顔や首、その丁寧で優しい拭き方は疲れた心を癒してくれる。
体を拭かれながら、わずかずつ体から汗が収まりながら畑をぼぅっと眺めるとタオルで拭くのを止めた熊野はその匂いを嗅ぎながら嬉しそうな声を出す。
「働いた男の人の汗というのはいいものですね」
「変態か、お前は」
「失礼ですわ。何も見えないからこそ、こうして匂いで状況を判断しなくてはいけませんの。こうしないとあなたがどれくらい汗をかいたか分からなくて」
言われてみれば、料理をするときも熊野はよく匂いに注意していた。見えないから、他の感覚を使うのは当然だということに考えがいたらなかった。
すぐに変態扱いしてしまった自分に反省をする。発言をするときはもう少しだけ考えようかと思うぐらいに。
「で、俺の汗はどうだった」
「とても良いものです。特に私のために流したというのが」
「おい、匂いじゃなかったのか」
小さく声をあげて楽しそうに笑う熊野に釣られ、俺も声を出して笑ってしまう。
「それに提督だからこそいいんですわ」
そんな意味深なことを言い、熊野は椅子から立ち上がると監視所へと向かって歩いていく。
言葉の意味がよくわからないまま、俺は椅子を持つと後をついていく。
その後は井戸から汲んだ冷たい水で体を洗い、熊野が作ってくれた朝食を一緒に食べた。
◇
熊野の手料理を味わって食べたあとは風がよく通る家の中で1歩も外を出ず、点字や視覚障害に関する本を机にたくさん積んではバイオリンの音を聞きながら読書をして静かな時間を過ごす。
その優雅なバイオリンの音は熊野が奏でている。
目が見える頃から趣味としていた楽器演奏。以前から使っていた愛用のバイオリンをここへと持ち込んでおり、自由に楽しんでいる。
鎮守府にいる頃は人に気を遣って弾ける時間が少なく、屋内と屋外のどちらでも好きなようには弾けなかったらしい。だから、好きに弾けるのはここにやってきて嬉しいことの一つだと言った。
俺たち2人はバイオリン、読書、昼飯を食べるというどれかをやって過ごしていく。
バイオリン演奏のあと、昼食後は共に4、5時間ほど会話もほとんどなく読書をしていた熊野は本棚へ本を置くと、そこに置いてあった文字盤がさわれる時計で時間を確認している。
以前時計を付けたら便利なのに、と言ったら縛られる感触が嫌いだと言っていた。だからいつも本棚に置いたままにされている。
時間を見るといつも夕食を作り始める時間だ。
「熊野、俺は肉が食いたい。いつもの健康的な野菜中心ではなく、肉と米だけでいい」
「それはダメですわ。今までは軍の食堂で栄養が考えられた食事でしたけれど、ここではきちんと考えて作らないといけません」
「肉だって必要な栄養だろう?」
「計算して野菜を取れば肉なしでもやっていけます。それにお肉は時々入れていたと思っていましたけど」
確かに肉は入っている。でもそれは栄養価が高いと言われる鳥の胸肉ばかり。もう鳥の胸肉のぼそぼそとした触感には飽きた。
油や香辛料をどばどば使った、体に悪そうな食事がしたい。肉がダメならカップ麺でもいい。でも、それすら熊野に止められているののが悲しい。
これが尻に敷かれる……とは違うが台所を任せきりにしてしまった結果、俺はここに来てから健康的な食事と睡眠、低ストレスな生活を送ってとても健康的になってしまっている。
食べないなら自分で作れればいいが料理はできないし、作ろうとすれば熊野に止められる。町でこっそり食べて来た時には匂いチェックをされ、その日の食事はとても質素だったのをよく覚えている。
「わかった。熊野に任せる。今まで栄養不足にはなっていないからな」
にっこりと笑みを浮かべ、台所へ向かう熊野に対して大きなため息をつく。
いつか客人がここへやってきたときには食事に招いて豪華な肉料理を作らせてやる。
そんな密かな野望を抱いたあとの夕食後、俺が食器洗いを終えると窓のそばにある椅子に座っていた熊野のところへ何をしようかと聞きに行く。
陽が落ちて暗くなっていく外へと顔を向けて夜の音を聞いていた熊野は俺が近づくと、俺が何か言うより先に体ごと顔を向けてきた。
「今日は月がみたい気分ですの」
「月か? ……わずかしか雲はないから見えるだろうが、もう少し暗くなってからだな」
物が何も見えない目であっても、熊野は明るさだけはなんとかわかる視力だ。だとしても月が見えないのにどうするんだ、なんてつまらないことは考えない。
考えるのはなんで見たいのかだ。こういう時は時々あり、だいたいは気分転換をしたいという意味だ。
俺が怒らせた、料理で大失敗をした時には毎度一緒に景色を見に行ったりする。
2階に行き、ジャージからチノパンと長袖のシャツに着替えてきたあとは外が暗くなるまでのあいだ、俺は窓枠の背中を預けて熊野と今日の音楽や本の内容について話す。
そうして暗くなり、三日月の形をした月が輝く午後7時過ぎ。
杖を持った熊野は監視所を出て、砂浜へと向かって歩いていく。その熊野の後ろを、ふたつの毛布を持ってついていく俺。
熊野は月明かりしかない夜でも日中と同じように歩いているが、視覚頼りな俺は薄暗い夜だと普段はつまずかない場所に足を引っかけてしまう。
砂浜に着くと、熊野はあたりをぐるぐると歩き回っては気に入る場所を探している。
その熊野の風になびき、月明かりが当たると栗色のポニーテールは淡く輝いていて見惚れてしまう。
ぼぅっと髪を眺めていると、熊野は立ち止まる。
少し待っても動く様子はなく、決まったのだと分かった俺は左隣へと歩いていく。
「決まったか?」
「はい、ここに座りましょう」
「ああ、毛布を渡すぞ」
杖を置き、先に座った熊野へと毛布を渡した俺は人ひとり分の距離を取って座る。
お互い毛布に包まり、夜の冷える海の風を感じながら見るのは月だ。
昼間よりも波や風の音がよく聞こえる気がし、自然しか感じないからか心が落ち着いてくる。
そんな時に熊野が座りながら近づいてくる、砂が動く音が聞こえた。
毛布をまとったままの熊野は、俺と肩をふれあうほどに密着してくる。
「なんだ、寒いのか?」
「提督、こういう時は何も言わずに優しくするのが男のたしなみというものですわよ?」
小さなため息をつき、残念そうに言ってくる。だが、俺としては言い訳がしたい。俺と熊野は恋人ではない関係だから、優しくしすぎるのは嫌われると思って遠慮していたというのに。
そもそも、この場合の"優しくする"というのはどうすればいいのだろうか。
暗い、どこまでも暗い海を見つめながら考えても何も思いつかないでいると、ふと熊野が静かになったのが気になって隣を見る。
熊野は顔をうつむかせ、寒さに震えていた。
そんな寒いのに、帰ろうと言わないことに疑問を覚えるが、その瞬間に優しい行動というのが思いつく。
「熊野、俺の前に来い。足の間に入れば毛布でくるんでやる」
足を広げて静かにそう言うと熊野は体に毛布を巻き付けたまま、俺の足をさわって場所を確認しながら足の間へと入ってくる。
でもそこから動くことはなくて、じれったく思う。そこから動かないでいると、どんどん寒くなるだけだ。
「寄り掛かっていいぞ」
それを聞いて熊野は、俺の足に手を当てながら恐る恐る背中を預けてくる。
俺は自分を包んでいた毛布を外し、熊野ごと俺自身を毛布で包む。
はじめは強張っていた熊野の体だが、次第に緊張が解けてきて熊野の重みを感じる。
くっついた俺は毛布の中で熊野の腰に手を回して抱きしめる形になり、段々と体が暖まり始めた俺たちは静かに海や空を眺めていく。
近づいたために、ほんのりと熊野の髪からいい匂いを感じてきたときに気づいたことがある。
今の熊野はずいぶんと甘えてくるということに。
今日はそうなるぐらいのことがあったかと考え事をしていると、か細い声で熊野が声をかけてくる。
「怖くなりましたの」
「ここは敵も来ないし、静かなところなのに?」
「だからこそ怖いのです。以前のように敵と殺し合いをしなくていいことに安心しますが、このままここに居れるのかと。目が見えない私は、艦娘としては邪魔な存在かと思っていまして。戦況が圧迫してなければ、処分されていたかもしれません」
熊野を抱きしめる形になっている今、その表情はどんなふうになっているかを見ることはできない。
でも落ち込んで、寂しがっているのはわかる。そんな熊野に言葉をかけたいがどう言えばいいのだろう。
ドラマなら良くありそうな言葉で『いらないと言われたら俺が養ってやる』とか『俺がお前をもらってやる』とも言えない。
それらの言葉に責任が持てないから。
「今日の月は気分転換にならないか?」
「少しなりますけど、こうして提督とくっついているともっと良い気分転換になりますわ」
堂々と恥ずかし気もなく言われると女の子と密着していることを意識し、逆にこっちが恥ずかしくなってしまう。
今まではそんな女性というより、守るべき対象として見ていたから反応に困る。
何も言えなくなっていると、熊野は俺へと顔を向けてくる。それは月明かりでわかるぐらい、恥ずかしさで赤くなっている。
熊野は俺にとって守るべき存在であり大事にしてきたい子だ。今では艦娘の前に1人の女の子として見ていて、ここに来てからの俺は対等の関係を望んでいる。
熊野は今の生活がなくなっていることを怖がっているが、それは俺も同じだ。
1度強く甘えられてしまうと、精神があまり強くない俺はもう戻れなくなりそうだ。受けいれてしまったら、この関係が崩れてしまいそうで怖い。
俺はこの友人のような、あまり遠慮せず話し合える今が気に入っている。それゆえに、近づきすぎること嫌われることはとても嫌だ。
一緒に暮らして1カ月。お互いに大事な存在となりつつあると思っている。相手を頼り、自分が生きている意味を相手に見出す。
「俺は熊野と仲良くしたいと思っている。でもそれは対等な関係だ。甘えすぎて依存しないでくれよ」
「提督のほうこそ、私に依存しそうじゃありませんこと? たとえ見えなくとも、よく視線が私の髪や顔を見ていることがわかりますの」
思い当たることがたくさんあるだけに、熊野のからかう口調で言われたことに何も言い返すことができない。
「……もう見ないと落ち着かなくなっているな」
「私もあなたがいない生活はきっと息苦しくてつまらなく、あまりの退屈さに死にたくなるでしょうね」
「仲のいい友達の関係でありたいよ、俺は」
今は軍という組織で、上司と部下な関係だ。でも友達になってしまえば話は簡単になる。
たとえ転属でお互いが離れることになっても友達なら会いにいけるし、堂々と触れあうこともできる。
もしかしたら艦娘を辞めたとしても、俺がわがままを言って引き取ることができるかもしれない。
それに艦娘と友達になるとはっきり言えば、物珍しさに協力してくれる人が出てくるだろう。
大部分は楽観的希望。嘘に近い。だけれど熊野は俺の言葉を信じてくれる。
俺の胸に感じる熊野の柔らかな体と顔を撫でるくすぐったい髪の感触に暖かい体温。さらには熊野の腰に回した手を、大事な物を扱うかのように撫でてくれる。
それらが、すぐそばにあるというのが俺の言葉に対する熊野の答えなのだろう。