皆下がれ!はやく!オルガ団長が爆発する!!
オータムと名乗る女性が自らのIS『アラクネ』からコアを抜き取り、『サイレント・ゼフィルス』を駆る仲間に連れられ撤退した後──
コアを抜き取られたまま自立稼働するアラクネの多脚武装ユニットに積まれた時限式の爆弾が動き出し、その爆発から鉄華団の皆を護るため、オルガはその蜘蛛の如き多脚武装ユニットを抑え込んだ。
一夏「オルガよせ!逃げろぉっ!」
三日月「ッ!?オルガ?!オルガ!!」
オルガ「なんて声、出してやがる……!俺は…鉄華団団長…オルガ・イツカだぞ……!こんくれぇなんてこたぁ―――――」
その台詞を最後まで言い終えるより先に、その蜘蛛に積まれた爆弾が起動し──
シャルロット「嘘…ねえ…」
────爆発。
「オルガ……オルガァァァァァァ――――――ッ!!!」」
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それから数分後、遅れてようやく出撃した教師達の捜索も虚しく、襲撃犯はその後見つかる事は無かった。
今回の
中国代表候補生『
イギリス代表候補生『セシリア・オルコット』
彼女ら両名は敷地内で墜落したと思しき所を救助、軽傷。
IS学園教師『マクギリス・ファリド』
彼は重傷を負い、専用IS『ガンダム・バエル』も大破。
その他アリーナを始めとする学園施設に多少の破損。
……被害はけして微々たるものではなかった。
そんな事件の後でも学園祭は一部を除き、通常通りに行われたのは、この学園の異常さ故か……。
そして、この襲撃で重傷を負った被害者がもう一人。
────彼の名は鉄華団団長『オルガ・イツカ』
オルガは夜になっても目覚めなかった。
織斑先生や楯無会長曰く──
『あまりにも強いダメージを受けたことにより回復に時間がかかる』らしい。
『中途半端に生き残ったせいで治りづらい』……だったかな?よく覚えてない。
一応、あのシンデレラの劇の約束は本当だったみたいで、いま僕とオルガは念願の同室になっている。
かなり酷い怪我をしたという事で、学園に一台だけあった
『IS技術応用のナノマシン治療器(試作品)』
に担ぎ込まれたファリド先生と違い、外傷そのものは
とはいえ、やはりこうして意識が戻らない様子を眺めるのはちょっと辛いものがある。
でも、私達を護ってくれる為にここまで頑張ってくれたのは、素直に嬉しい。
でも……悔しくもある。
「……まったく、オルガってば…」
ふと、今までのことを思い出す。
性別を偽っていたことがオルガに知られたあの時……あの夜に……
オルガが僕に──
『約束』
してくれたんだよね。
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「此処にいたい……!僕は…此処にいたいよ…!鉄華団として、皆と一緒に…っ!オルガと一緒にいたいよぉ…っ!」
「──あぁ、解ったよ!そいつが本心の言葉だってことは!よぉく解ったよ!なら──護ってやるよ!」
「え──っ?」
「そいつがお前の本心だってんなら、俺が護ってやるよ!──これからの人生、例え途中に、どんな地獄が待っていようと……!お前を──俺が!!護ってやるよおッ!!!」
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あの時、初めて自分が誰かに必要とされた気がした。
僕はいまだ意識を取り戻さず、目を瞑って静かに寝ているオルガにこう囁きかける。
「あの時から…オルガを意識し始めたんだよ……
大浴場でも言ったよね。
オルガが護るって言ってくれた時、すごく嬉しかった。
オルガが僕を…僕達鉄華団を見たことのない場所に連れていってくれる。そう信じてるから、僕は此処にいたいと思えた。
オルガが僕の居場所だから……
だから僕も護られるだけじゃ嫌なんだよ。
僕もオルガを護りたい。
『護り護られる』
そういう関係になりたいって…そう思ってるんだよ」
そう……
でも、現実はそう上手くいかない。
前のキラさんが操ってた無人ISとの戦いの時にも……
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「ヴヴッ!(♪希望の)シャルッ、俺に構わヴッ!(♪はな)止まるんじゃ(♪繋いだ)ねえっ(♪絆を)ぞヴヴッ!(♪力にして)だからよ…止まるんじゃねえぞ…」
「くっ!……待ってて、オルガ!何とかする!必ずオルガは僕が護るから!!
って……
………えっ?嘘…。おる……が………」
「シャル?……シャルゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
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あの時も…今回も…僕がオルガに護られた。僕はオルガを護りきれなかった。
別に護らなくても……オルガにはあの
あの
僕がオルガを護りたい……。
でも、やっぱりこういうのはどうしても、いざって時はうまくいかないものだよね。
想いだけでも、力だけでも。
だから────僕は誓う。
今度こそ、また何かあった時、次こそは僕がオルガを護る!
『護りたい』って思うだけじゃダメなんだ!
僕がオルガを護らないと!
当然のように身を投げ出すその姿を、見ないで済むように。
僕も頑張って強くなろう。力も、心も。
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にしてもまったく起きない。
……寝ている今なら、いいかな?
白雪姫の物語がふと浮かぶ。
眠った姫は、王子のキスで目を覚ましたという。
……ひょっとしたら、起きたりして……な、なんてね……ふふっ。
念のため試してみようと、僕はベッドで眠るオルガに顔を近づける。
「ウッ……ウゥ…ッ!」
「へ?」
「…ハッ?!」
あ、オルガが起きた。
目を開いて最初に見えるのは、間近に迫る僕の顔。
「ヴヴヴヴヴァアアアアアアアア!!!!」
「うわぁああっああっ!」
当然びっくりするよね……
驚いた拍子に暴れ出し、ついでに僕もベッドから飛び退いてしまうのでした。…残念…?ま、またの機会…?
と、とにかく目覚めてよかったよ!……うん!
オルガが目醒める少し前。
IS学園。学園長室
その扉の前に立っていたのはIS学園の生徒会長である更識楯無。
彼女はフゥ…と息を整えた後、学園長室の扉をノックした。
楯無「失礼します」
「待っていたよ。楯無くん」
学園長室の重厚な扉を開けると、そこには長い髭を生やした総白髪の好好爺が待っていた。
表向きは彼の妻がIS学園の学園長を務めているが、実務を仕切っているのはこの老爺──
十蔵は先ほどまで読んでいたA4レポート用紙の束を机に置き、黒い老眼鏡を外しながら、学園長室に入ってきた楯無へこう言った。
十蔵「もらった報告書は読ませてもらった。それでも…やはり直接聞きたい話が多くてのう」
楯無「私もこれは直接お話するべきだと判断致しました」
十蔵は立派な机の上に置いてある、お茶を一度啜った後、楯無に言葉を促す。
「それでは、早速報告に入ってもらえるかの?」
「はい。まずは織斑一夏君とオルガ・イツカ君ですが、彼らの訓練については順調です。一夏君は
「雲海の一件も大分彼らに影響を与えておるようじゃのう」
「篠ノ之博士の気まぐれも大概にしてもらいたいとは思いますけどね」
一夏達が楯無のこの言葉を聞いたら、即座にツッコミを入れていたであろうが、ここには彼女と十蔵しかいない。
十蔵は湯呑みの中に立つ茶柱を見つめながら、楯無の報告に耳を傾けるのみであった。
「次に『
しかし、『
「そうじゃのう。福音のコアを何に使うのかわからんが、警戒しておくに越したことはない。……それと『5人目』か……」
「はい。『
楯無のその報告を受け、十蔵は彼女にも聞こえないような小さな声でこう呟く。
「『5人目』というのはそちらの意味ではないのじゃがな……」
その後も楯無の報告は続いていった。
「それと最後になりましたが、鉄華団…いえ、専用機持ち各員とも『
「すまんのう。楯無くんには苦労をかける」
「いえ。今回は出られませんでしたが、私の『ミステリアス・レイディ』にも実戦経験を積ませられますし」
「あぁ、ロシアの。完成したようでよかったのう」
「仕様については開発室の方々からご指摘を受けましたが、当面は現状のまま使おうと思います」
「それについては君に任せる。それで専用機持ちの力量についてはどう高めていくのかの?」
「それについては考えがあります」
そう言って、楯無は一枚のレポート用紙を十蔵に差し出した。
そのレポート用紙は『行事開催報告書』
そこに書かれていたのは
『全学年専用機持ちタッグマッチ』
という文字であった。
数日後
マクギリス「会えて嬉しいよ、オルガ団長」
オルガ「お前いつもそれだな…。ずいぶんと無様な姿じゃねぇか。アンタともあろう奴がよ」
マクギリス「もう二、三日安静にしていれば、また今まで通りさ」
三日月「……クモの形のチョコいる?」
マクギリス「いただこう。三日月・オーガス」
俺らが呼び出されたのは医務室。
くたばってたマクギリスが目覚めて早々、俺らをご指名だ。
普段の飄々としたすまし顔はいつも通りだが、体には包帯が巻かれ、今の所はベッドから動けねぇ様子だった。
傷自体はもう残ってないらしいが、逆を言えば傷が塞がっただけのような状態らしい。
寝床の横についた机には、やはりというかなんというか、バエルの人形が何個か飾られている。
奴は見舞いの品としてミカが持ってきた菓子を嬉しそうに受け取った。
にしても蜘蛛の形だなんてよく見つけたな。通販で買ったみてぇだけどよ。
……この間戦った敵の姿ってのは、まあ…ミカのセンスか…?
「……さて、俺らを呼び出した用件を聞こうか」
「はむ…ん、そうだな。君たちには伝えねばならない事がある。ん…もぐ…」
即座に菓子を開封し、頬張りながらマクギリスは語り始めた。
重要そうな話をチョコ食いながらする気かよ。
「あむ…く…先日の襲撃犯についてだ」
「ああ、何なんだ?あんな連中がいたのかよ」
「敵でしょ?ならまた来たら叩き潰せばいい」
「敵を知り、己を知るといったような言葉もある。話しておいた方が円滑に事が進むだろう。
──奴等の名前は『
この世界に古くから存在していたとされている、端的に言えば……悪の組織、といった所だ。
君達で言う所の…そうだな、ノブリスのような者達による組織と考えるのが妥当か」
コイツにしては珍しくわかりやすい例えが来た。なるほど。
それだけであの連中がどんだけ薄汚ねえ連中なのかがよくわかった。
「そん中の一人に、アンタはやられたって訳か」
俺がそう言うと、マクギリスはチョコを口に運ぶ手をピタリと止め、表情が一気に神妙そうな、険しいものに変わる。
「恐らくは構成員の一人だろう。……私の知らない『ガンダム』がいた」
「―――ッ!あいつか…!」
「…ミカ、お前も見たのか。……だが、そうか。イチカ達抜きで、俺とミカだけ呼んだ理由はそこだな」
「ああ…」
俺が出くわしたやつも相当な強さだったが、さらにガンダムがいて、しかもそいつがマクギリスを倒した…?
こいつもこんなだがかなりの腕の筈だ。
それを墜とすっつーのは…とんでもなくやべぇ相手だってのは容易に想像がつく。
が、同時に一つ脳裏に浮かんだ。
マクギリスが知らねえっつーガンダム。
俺らも夏休みの終わりに、キラの奴が操作してた『知らねえガンダム』に出くわした。
……もしやと思い、聞いてみる。
「……どんな奴だった?フレームの露出してねぇ、背負い物してる奴か?」
「やはり君たちが以前戦ったものと特徴が一致していたか」
「てこたぁ…キラか?んな連中に手ェ貸すようには見えねぇが……」
「彼ではないよ。…だが……」
つまんだままにしていたチョコを食べ、マクギリスの奴がうつむく。
「だが…何だよ?」
「…………彼の名を出した時、反応があった。少なくとも同じ我々とは別世界──そこからの転生者。そしてキラ・ヤマトの知り合いだと見ていいだろう」
「…成程、な…。ミカ、お前はどう見た?」
「あいつ、ヤバい。……俺も下手したらチョコみたいになってたと思う。ずっと見るしかできなかった」
「そんなにか。……こりゃいっぺん、あいつに話を聞く必要があるみてぇだな…」
突然現れた強敵。どうすりゃあいいのか、鍵を握んのはキラ・ヤマト。
そして多分、あいつら……ファントムペイン…?ちげぇな…ファントムタスクだ……。
十中八九あいつらはまたやってくる。俺は、今度もあいつらを、シャルを護れんのか…?
今はただ、まだ残る戦いの疲れを癒すことに集中するしかなかった。
ようやくたどり着いた本当の居場所を、失くさねぇように。
「…ところで、私の部屋から取ってきて欲しい物があるのだが、頼めるかな?
見ての通り、今は動けなくてね」
「あぁ?何だよ」
「夏の、ある祭りで手に入れた本さ。それには沢山の天使達が描かれていてね……」
「………ッ!誰が持ってくっかよ?!自分で取ってこい!!!」
真面目タイムは一時中断。
次回は混沌の中からお送りします。
なんで原作はあんな5話作ったんですかね……。