異論は認めん。byラウラ
「よーし!今日はとことんまでいくぞぉー!」
どうやら飲み物もあったらしい。
いつのまにかオルガがジョッキいっぱいのジュースを持っていた。
そして、それを一気飲みした、その時だ。
「ヴヴッ!!」
顔を真っ青にして、希望の華を咲かせた。
「だからよ…止まるんじゃねえぞ…!」
「こ、これ、セシリアの作ったジュースだ…!山田先生!照明落としてー!次ー!」
「あ、は~い」
異物混入によりオルガが倒れ、部屋は暗転。
俺は床の動かない部分に移動し、『次の階』を待つ。
横目で見た時飲んでたエナジードリンクが効いたのか、キラの体力も回復し、エレベーターは早めに到着した。
「…今度はまた、すっごいな…」
部屋1つ1つでもこう何回も移り変わると旅してる気分になるな。
今度は風船がいっぱい飾り付けられてて、部屋の右側にはダーツの台が3つ並んでいる。今までと違ってかなり派手な装いって感じだ。
「フフン!黒ウサギ隊の本領発揮というやつだ!」
待っていたのはラウラと三日月。どちらも黒いウサギの耳を頭につけていて、
ラウラはバニーガール。三日月はタキシードでバニーボーイってとこか?結構似合ってる。
(ラウラのバニー…可愛いな…。すごい興奮する…!)
…三日月のラウラを見る目が血走っている気がしたが、きっと見間違いだろう。
「てか、なんだこのセット…」
右側にダーツ3台、左側には明らかに不自然な空きスペース…。
見た感じ、ゲームをやるみたいなのは確定のようだが…。
「フッ…どうやら大仕掛けが気になるようだな、一夏!ならば今こそ見せよう!あるべき姿を!」
「ラウラと頑張って作ったんだ。楽しかった」
やっぱなんか出るんだな!面白そうだ!
「試作2回を経て完成した、私と嫁の愛の結晶に驚くがいい!
―――出でよ!サンダルフォン!!」
ラウラが叫ぶと同時に地面を思い切り蹴ると、それまで空いていた部屋の左側の床が開き、
中から勢いよく巨大なガチャガチャが現れた。上部はぎっしりとカプセルが詰まっているケースとなっているのは勿論だが、ついでに大きな赤い文字で『夢』と書かれている。関連性はよくわからない。
さっき言った名前は、多分この機械のものだろう。…名前つけるほど気に入っているのか?
でもデカいもんが下から現れる構図、ってのは俺の好む演出だ!
「おぉ~!でっけぇ!」
「というわけで一夏!ダーツで勝負だ!」
(かわいい)
「ああ!ダーツはやったことあるぞ!」
(俺は…よくわかんないけど。ラウラの真似しとこう)
俺が経験者だと分かると、「なら話は早いな」とラウラは早速ダーツの矢を俺と三日月に手渡してきた。
三日月は初めてなのか、物珍しそうに弄っているが…何とかなるだろ。
(これ使いづらそうだな…)
「なんと豪華景品付きだ!空くじ無しだぞ」
「へぇ…あれ、クジってやつなんだ」
どうもこの矢を的に当てるとあのガチャガチャが動く仕組みらしい。ハズレ無しってのはいいな!
一応、未経験っぽい三日月もいるので、最初はラウラが手本を披露するようだ。
整った指先で矢を構え、狙いすまし、最小限の動作での投擲。
軍にいた頃、ナイフ投げでもやってたのだろうか。ダーツの矢はきれいにまっすぐ的の中心に刺さっていった。
すると、横のガチャガチャがにぎやかな音と光を出し、ちょっとしたゴムボールくらいの大きさのカプセルを排出した。
ラウラがそれを手に取り開けると…何だ?折りたたまれた…長い紙?
「おお!食堂の日替わり食券!一週間分だ!」
「いいねぇ…それ」
「おぉ~~~!すっげぇ~豪華!」
一週間分飯タダだって!?いいなあ!ああいうのが出るのか!
何の催しか知らないが、これはありがたい!よし、次は俺が…。
「じゃあ、俺も」
後ろで声がする。三日月がやりたがっているらしい。ここは譲っておこう。初めてみたいだしな。
「ん、あ、あぁ。いいぞ…へ?え?」
返事ついでに振り向くと、三日月はとんでもないもんを手に持っていた。
…あれ、いつも使ってるメイスだよな。何で?
「…こっちの方が使いやすい。…行くぞ!」
いやいやいや!色々ぶっ壊れるって!やめとけ!!
「待て待て!!!そんなもの投げたら―――」
しかし、三日月は止まらず。的に向けて思い切りメイスをぶん投げた。
びゅおん!とか言ったぞ。投げた瞬間に衝撃波出たぞ。どんな速度出してんだ…。
直後、大口径の砲が直撃したかのような轟音が響き、実際、辺りが爆発した。が、
ガチャガチャは正常に作動。
「…えっ!?」
「どうした?もちろん、嫁の一撃も受け止められるよう作っているぞ?」
「いや…そっか…」
想定済み…流石は二人、通じ合ってるんだな…。
っと、カプセルを取りに行った三日月が固まっている。どうしたんだ?
[光る!喋る!バエル像交換券]
「………消えろよ…!」
「あ、あははは…」
うん、ドンマイ。「空」はないって話だからな…。
「よ、よし!それじゃあ俺も!」
いよいよ俺の番だ。二人はそつなくこなしていたが、俺はやったことあるといってもあるってだけだ。うまくやれるかな…。狙いを、慎重に、つけ…て…っと!
…よし!うまいこと真ん中にいった!別に多少ずれても出そうなもんだが、こういうのは気分だ。
真ん中のほうがいいもの出そうな気、するもんな!
どれどれ、カプセルの中身は…っと!
…黒くてなめらかな…布?
「―――――ッ!」
「………なんだ、これ?」
「んなっ!?そ、それは!私の水着!…どっ…ど、どういうことだ!」
急に取り乱して山田先生に問いかけている辺り、どうやらカプセルの中身はラウラ達も把握しているわけではないらしい。
「ファリド先生のグッズ製作に予算の殆どを持ってかれちゃったので、一部は私物を使用させていただいてます」
「―――――!」
山田先生の言葉を聞いた途端、三日月は俺の目の前に音を出さず、けれども異様な速さで歩み寄ってきた。
「え?」
「………………」
大きく、鋭い目が俺を見る。睨みつけている。
放たれる凄まじい圧。物凄い念。さすがの鈍い俺でも、彼が求めているのが何かはすぐ分かった。
というか、断ったら俺が危ない。あの目は裏切れない。
「えー…っと…ええっと…ラウラ…」
「……お、お前が欲しいというのなら…」
ありがとうラウラ。おかげでもう少しで俺を貫く勢いだった殺気が消えた。今度お礼にうまい店紹介するよ。
何とか命拾いした後、冷や汗をかきながら三日月に水着を渡した、次の瞬間。
照明が落とされる。だが、何か様子が変だ。
「な、何?!まだ時間はある筈だ!」
「ぁ……あ…?」
暗闇の中でラウラが狼狽える。
どうやら予定と違う事が起きたらしい。
こういう時は慌てず騒がず落ち着いて…あと暗くて分からないのでじっとして…。
「い・ち・か・君…!こっちこっち~!」
「おぉ?!えぇっ?えっ…ちょっと!」
どこかで聞いたような、聞きたくないような声がして、俺はいきなり何者かに手を引かれた。
やはりというかなんというか、女性の手だが妙に強い力のため、抵抗する余裕もない。
「ぐあっ!」
歩いた道筋からして、恐らくはステージの舞台裏。変な色のライトが薄く照らす物置に連れていかれ、ついに何者かによって押し倒された。
…こういう事してくるのは…まあ、あの人しかいないよな…。
「――――、」
やっぱりそうだ。楯無会長。しかも…何だあの格好!?
白い猫耳猫尻尾。さらに白い…ビキニ?サイズが合っていないのか、上下ともにパッツンパッツンで、只でさえ殆ど露出しきっているような状態なのに、今にも服装が弾け飛びそうになっている。
だがそんなことこの人にとってはどうでもいいのか、獲物を捕らえた獣の如く舌なめずりをしつつ、顔を俺の間近へと近づけて……。
何度目かの唐突な点灯。暗かったり明るかったりの繰り返しで目がちかちかしてきた。
「あぁ~ん!もう!残念」
この人は何を悔しがっているのだろうか。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああぁぁぁぁっ!!!!」
また聞き覚えのある声が近づいてきた。
でもこの、突進時の雄叫びのような感じ、そしてかすかに混じる風切り音。
叫びは聞こえ始めて秒も経たずにこちらへと近づき、
最初に目に映ったのは、足。次に布と…内側がちらりと見え、最後に鈴の顔が確認できた。
って、こっちに向かって猛スピードで飛び蹴りかよ!?
「どわぁああ!?鈴?!」
俺の危機察知よりも早く、会長は素早く俺の真上から飛び退き、
さっきまでまさに会長のいた辺りの空間を、弾丸のように飛ぶ鈴が通り過ぎて行った。
あっぶな!…身軽なのは知ってたが、どうやったんだあれ?凄い身体能力だなあ。
「アタシの衣装!返しなさいっ、よぉっ!!」
奇襲を外したと確認した鈴は、なおも鬼気迫る表情で会長に襲い掛かる。
衣装を返せ、と言うように両手で身を覆う布をつかんでいる為、蹴りを主体に猛突進。
まるで刀か槍でも振っているかのような、鋭く速く幾度も繰り出されるキックを、
会長はほぼ自然な動作と変わらない最小の動きで避けていく。
「ごめんねぇ、鈴ちゃん。楽しそうだったから~仲間に入れてもらいたいな~って思って。
でもやっぱり、胸元がか~なり苦しいわねぇ~。この衣装~」
ならどうして鈴の服を選んだんだろうか。
「こっ、このおっ!」
「と、とにかく落ち着け!鈴!」
「うるさいっ!!元はといえば、アンタが胸ばっか見てるから、油断しちゃったのよ!!」
「何のことだよ…?」
見せてきたのは向こうなのではないだろうか、と疑問に思った隙を突かれ、
いきなり会長が俺の腕にくっついてきた。
「あら一夏くん?見てたじゃない?…―――!」
会長の表情が変わる。視線の先には、騒ぎを聞いて駆けつけてきた重武装のバルバトス。
形勢不利と判断したのか、すぐさま会長は上へと跳躍。ほぼ同時に俺の目の前で三日月が急停止した。
「――ッチ!」
「それじゃあ一夏く~ん!今の続きはまた後日~!」
「マジでやめて」
上にあったゴンドラに乗り『撤退』の文字が書かれた扇子を見せ、
会長はいつも通り楽しそうに去っていった。…何だったんだ…あの人は……?
「ぁぁ…」
どぉお~ん
「……?」
「………?」
騒ぎを起こした人が去り、残った三人で揃って唖然としていると、ドラの音が聞こえてきた。
≪皆さ~ん!ステージに戻ってください。ラストイベントが残っています!≫
「ふぇ?」
…まだあるの?
_
鈴と三日月に連れられ、何とかステージに戻ってきてみると、他のみんなも集合していた。
裏方のセシリアとキラを除き、皆やけに過激な衣装はそのままだが、
表情はやや不安げに見える。…みんなも知らないのか?
全体を知ってるのは山田先生だけなのだろうか。それはそれでどうなんだ。
「それでは一夏君。ステージに上がってください!ただいまよりラストイベントです!」
「一体何が…」
「いいですから!ほらほら」
「うわわっ」
完全にこちらの意見を無視する山田先生に引っ張られ、壇上に上がる。すると、
パンパンパン!
と、どこにあったのかクラッカーが鳴り、ステージはまばゆい光を放ち始めた。
「…何だぁ?」
さらに舞台の床が開き、中から大量のライトがついた巨大な輪のような大道具が上がってきて…。
その中心には、片手にフルーツパフェを持ち、メイド服を着た千冬姉が立っていた。
「「「ええぇーーーーっ!?!」」」
どうしていきなり千冬姉?!それにその恰好……。
「無理すんなよ」
「あ”?」
「すみませんでした」
「…口を開けろ」
「ほ?」
もう開いてます。むしろこの謎の現象を目の当たりにしてるので塞がらない。
向こうも伝わったのか、無言で持っていたパフェにスプーンを使い、そして、
わずかに開いている俺の口に突っ込んできた。
「あむぁ…ん」
千冬姉が俺にパフェを食べさせた直後、
天井近くのスクリーンの文字が、それまでずっと表示されていた
『織斑一夏にサービス対決』から、
『織斑一夏バースデーパーティー』へと切り替わり、壮大な音楽が流れた。
「…そういえば、今日って……」
色々あってそれどころじゃなかったけれど、確かに、俺の誕生日だ…ったな…。
再びクラッカーの音がする。今度のはどこぞに仕掛けられていたのではなく、
みんなが手に持って使った物の音だ。ついでに、服装もみんないつもの制服に戻っている。
「「「「「ハッピーバースデー!一夏!!」」」」」
そっか…!なんか今日はみんな急にどうしたんだろう、って思っていたけど、いわゆるサプライズパーティーだったんだな。全く気付かなかった。
…そうだよな。ここんとこ俺、落ち込んでたし。みんながこうして元気づけようとしてくれてたのか。…普通でいいのに。でも、凄く嬉しい。
こうして大人数に祝ってもらえるのもなんだか初めてのような気もするし、本当に…
「…みんな!サンキュ!」
ありがとう。それしか言葉が浮かばない。
…でもやっぱ、回りくどいやり方だったよなぁ…。
「誕生日、僕も加わってよかったのかな……?」
みんなの影から、ひょっこりとキラが顔を出して言う。
雰囲気から見るに、元々手伝いか何かで呼ばれたんだろうけど……確かに、普段束さんといる人だし、こういう場にいていいかは不安になるよな。
「そういやなんか色々やってたな…ありがと!音楽のチョイスとか、良かった!
全然気にしてねえよ。今日は一緒に楽しもう!」
「なら、良かった……あっ、そうだ!これくらいしかあげれそうなもの、なかったんだけど、プレゼント。良かったら……」
キラはそう言って小走りで近くから何かを取ってきた。
きちんと梱包された……なんか、結構大き目の箱だな。
「みんなみたいに変わった渡し方じゃないけど、これ、どうぞ」
「いや、普通が一番いいよ…。すげえデカくて…重いな。聞いて良いか?中身」
「メタルビルドの、エールストライクガンダム。大したものじゃなくてごめんね」
「…へ?」
……確か、万円くらいかするやつじゃなかったか?それ。
少なくても俺の財布じゃ届かないレベルの代物のシリーズだぞ…?それをポン、と…!
「えっ……ええ!?」
「日頃のお詫びも兼ねてるけど…大丈夫だったかな?」
「いや……す~~~~っげぇ嬉しい!!ありがとな!!滅茶苦茶大切にする!!!」
「なら…良かった」
「…素敵だったよ、レディ」
「…む…貴様、そういえばあれは何だ?生徒を洗脳とはいい度胸だな」
「アグニカに目覚めれば、彼も悩みや苦しみから解放され、ただひたすら力を求める…!
と、思っていたが、私の筋違いのようだ…」
「それにしても、よく千冬姉まであんな格好を…」
「……っ…」
あ、やっぱ恥ずかしがってる。そうだよなあ。千冬姉、ああいうのは絶対に着ないもんな。
つまりすっげえ貴重な瞬間が見れた…写真に収めればきっと…いや、やめておこう……。
「ホラホラ!主役が何やってんだ!今日はとことんまで行くぞぉーっ!」
「っと、そうだな!かんぱーい!」
_
その後出、されたケーキやら何やらを食い終わり、パーティーも落ち着いてきた。
…まあ、こんくれぇが丁度いいかもな。
「わり、一夏、ちょっとトイレ行ってくるわ」
「私も同行しよう」
「俺も。キラもくるでしょ」
「え、え?」
「なんだ?みんなツレションか?俺も…」
「いや、アンタは主役だろ、みんながまだ構って欲しそうにしてんぞ。行ってやれ」
「ん、あ、あぁ…」
これでよし。
準備のごたごたで呼んだはいいが中々切り出せなかったが、今ぐらいがいいだろう。
俺らはキラを少し離れた場所へと連れて行った。
―――先日の件について、聞くためにな。
「……さて、と…。なぁ、キラ。文化祭の日、俺らがよく分かんねぇ奴等に襲撃された事、
もちろん知っているよな?」
「…うん。でもあれには、束さんはまったく関係してない」
「信用できねえな……いや、まあ、そっちじゃねえんだ。今回はな」
「え…?」
「その件については事前に千冬が確認を取っている。本題は、襲撃グループの中に、
我々の知らない『ガンダム・フレーム』が存在していた事だ」
「ガン…ダムが……!?」
キラの表情が驚きに染まり、手に持っていた白い缶のエナジードリンクを落とす。
『俺らが知らないガンダム・フレーム』 その単語の意味はこいつが一番よくわかる筈。
まさにそのものを、夏休みの終わりに束の指示でけしかけてきたんだからな。
「ああ。そいつにマクギリスがやられた。ISの……いや、モビルスーツの腕ならミカ並の、こいつがだ。形も俺らのってより、アンタの知っている形だろうよ。ミカ、写真出せるか?」
「ん」
ミカがIS待機形態の腕輪をつつくと、襲撃時のバエルから抜き取った画像が空間に表示される。
シリンダーの露出していない腹部、小さくまとまった頭部のアンテナ、武器化している左腕。
一際際立つ、背中の大型装置。
「!!?……こ、れは………あの人が…!?あの人が……来てる…?」
キラの顔が真っ青になる。やっぱ知っているみてぇだな。
この反応からしても、確実にとんでもねぇヤベぇ奴だってのは伺える。
だが手がかりはこいつだけだ。聞かねえことには始まらない。
「試しに君の名前を出した所、反応があった。…あまり良いものではなさそうだが、
単刀直入に尋ねよう。『彼』は君の知り合いか?」
「…分かりました。全部、お話します。僕のいた所。この世界に来るまで。
貴方たちも、そうなんですよね」
「こっちも言っとこう、オルガ。その方がいいでしょ」
「…だな」
そしてキラは、尋常じゃない程に眉間にしわを寄せながら、自分自身の…『転生前』について話しはじめた。
「…コズミック・イラ。僕のところの紀元はそう言われてます。
色んな化学がここより発達してて…。特に、コーディネイターっていって、遺伝子操作技術が施された人間と、そうじゃない、ナチュラルと言われてる普通の人達と、二種類のヒトがいるんです。
…ここでいうラウラさんみたいな。…僕も、その一人」
「へえ…。ラウラと、アンタ…ふぅん」
「我々の世界は、ポスト・ディザスターという。
300年前に起こった、モビルアーマーとの戦い…厄祭戦によって文明が一度崩壊し、
宇宙の秩序を守る組織ギャラルホルンにより統治されている、平和な世界だよ」
おいマクギリス、どの口が言うんだ。どの口が。
「えっ。300年も前に大きな戦争が終わっている、平和な世界なんですか?
モビルアーマーって…飛行機とか、そういうのの大きい物とかじゃなくって?」
「全く違う。人を自動で殺戮し続ける、無人兵器だ。
これによって当時の人口の4分の1が失われた」
「へえ…。でも、復興したんですよね?」
「しかし文明が」
「大量の核がコロニーに撃たれたり、その核を止める装置で地球が酷い事になったり、
大規模破壊兵器とかが短い間に幾つも作られたりは。全部人同士です」
「…………~~~っ!」
「もうよせマクギリス!歴史オタクのアンタが違う世界と張り合いてぇのは予想できたが、
多分勝ち目ねぇぞ!キラ、お前も……その…悪かった!もういい、言わなくて…」
「…あの機体の名前は、プロヴィデンス。乗っているのはラウ・ル・クルーゼという人です。
………僕は、あの人と相打ちになりました。束さんに会ったのは、その後です」
「そうか。…ありがとな」
「気を付けて。あの人は…僕のいた世界での…色々な、良くない部分を、一番見てきた人です。
だから強い。もしあの憎悪が、この世界にも向けられるなら、それは止めないといけない。
だって…この世界は……なんというか、『似ている』んだ。コズミック・イラと。
今の僕には、力がない…だから、頼めるのは、オルガさん、三日月さん。貴方たちだけだ。
どうしたら、なんて僕にも分からない。ただ、気を付けて……」
「…分かった。んじゃ…」
「みなさーん!まだチキンが残ってましたー!食べましょー!」
遠くで山田先生の声がする。
多分、俺らも呼んでんだろうな。
「………もちっと食うか!」
ここはとにかく食って、気持ちを一旦切りかえておくに限る。
さっきの話のせいでキラの顔も暗くなった。…食い物詰め込んどきゃ、誤魔化せるよな…?