なお序盤部分を除き、これより私の単独執筆となります。
「うっ……ゲホッゲホッ……ハァーッ……っぐぅぅ…」
「オルガ、大丈夫?」
長めのトイレから帰ってくるなり、オルガはとにかく暴飲暴食をし始めた。
ついでに、口にありったけの肉を詰め込まれてダウンするキラの姿は惨憺たるものだったが、オルガ達はあっちで何をしていたのだろうか。
まあ、今現在の油と炭酸でゲホゲホいってるオルガには聞きようもないし、また今度にしよう。
「あはは…でも、楽しかったなあ」
「だね」
盛り上がったパーティーも終わり、俺達は今日という長い一日を終えるべく帰路についている。
なんか色々と訳の分からない部分はあったけど、本当に楽しかった。
大勢の人に祝ってもらえる、っていうのはすごく良いもんだ。…来年は、普通にしてほしいけど。
―――ふと、背後から草木の揺れる音がした。
「……!」
「んお?」
気になって振り向いてみると、薄暗い中に人影が2つ、佇んでいた。
視界に入れるなり三日月は素早く懐の拳銃に手をかける。
「誰だっ!」
ご丁寧に俺の呼びかけに応えてくれているのか、2人はゆっくりとこちらに歩み寄り、
近くにあったライトの光が姿を照らしてゆく。
「アイツ……あの時の……」
一人は、白い服を着た仮面の男。そして、もう一人は…。
「ち…千冬姉?」
「どういう事だ?」
黒い外套を身に纏った、千冬姉…但し、身長は低く、まるで少女のような…。
小さい、千冬姉?…少なくとも、顔は全く同じ。
だが、
「………いや。私の名前は、織斑マドカだ」
そう俺の言葉を否定して、少女はニヤリと微笑んだ。
「…えっ?」
織、斑…?その苗字、俺と、千冬姉と同じ…!
しかし脳が疑問を浮かべるより早く、少女は動いた。
「私が私たるために、お前の命を貰う!」
外套の下から拳銃を取り出し、俺に向けて火を放つ。
瞬間、
「クソッ!!」
「うわあっ!」
オルガが俺を庇い、希望の華を咲かせる。
「ヴヴッ!止まるんじゃねえぞ…!」
次いで三日月がバルバトスを起動。直後に少女に向け思い切りメイスを投げつけた。
―――が、届く寸前でどこからか飛来した幾つもの緑のビームに撃ちぬかれ溶解。
迎撃されたメイスは空中で爆ぜる事となる。
「何っ?!」
「今の……あの時の、やばい奴だ…!」
上を見上げると、射出したであろう子機を背部に戻す、『ガンダム』の姿。
バルバトスの攻撃を瞬時にいなせるのなんて、そうそういる筈がない。つまり、あれは…!
「……マクギリスをやった奴か!!」
≪熱くなり過ぎだぞ、エム。ここは退きたまえ!≫
「……分かった」
恐らく仮面の男があの『ガンダム』だろう。その指示に応じ、織斑マドカと名乗った少女は、
IS…同じくあの時、文化祭を襲った『サイレント・ゼフィルス』を身に纏い、飛び去ってゆく。
残った『ガンダム』は、俺の方を見て、
≪…一夏くん、君の兄妹には、随分と世話になっているよ…≫
「な、何?!」
「どういう事だ…?」
≪フッフッフッフッフ……!≫
そう言い残し、ゼフィルスを追うようにして、夜闇の中へと消えていった。
「はぁっ……ふぅっ…」
敵は去り、緊張が解けた三日月は、あのガンダムに対してものすごいプレッシャーでもあったのか、まるで深い水底から上がってきたかのようにどっと疲れた様子を見せ、
残された俺達は、突然の出来事にただ、立ち尽くすしかなかった。
――――――――――
一夏は先程起こったファントムタスクに襲われたことを駆けつけた千冬に報告していた。
なおミカとオルガは他にファントムタスクの追手が居ないかを他の生徒や教師陣とともに学園内を警戒中であるためにすでにこの場には居ない。
そして頷いていた千冬の口が開く。
「全く、お前は危機管理が甘すぎる。オルガと三日月が居なければ今頃お前はこの場には居なかっただろうな」
「ま、まあそうだけど……」
一夏は肩を落とす。
当然ながらあの場でオルガが一夏を庇い、三日月がバルバトスを展開して迎撃しなければ
一夏は最低でも重傷、最悪死に至っていた可能性があった。
自分の無力さが改めて身にしみていた。
「お前自身もきちんと身を守れるようにな。三日月やオルガ任せでは駄目だぞ」
「は、はい……気をつけます……」
「……で、以上か?」
「えーっと……あ、そうだ千冬姉」
「織斑先生だ。……と言いたいが幸い今は本来はオフの時間帯だ。続けても構わん」
「お、おう……」
(敬語で喋らなくていいのか……はぁ……ちょっとは慣れたけどあんまり千冬姉にこう喋るのはやっぱキツイな……)
やれやれと一夏は少し思った後、再び口を開く。
「その襲ってきたやつは千冬姉に似ていたんだ」
「ほう…私に?」
「ああ、背は小さかったんだけど……なんか千冬姉そっくり…みたいな。あと「オリムラマドカ」って名乗ってたんだ」
「「オリムラマドカ」……」
「…一体なんだったんだ……?」
一夏が首をかしげている。
親は一夏が幼い時に千冬と一夏を捨てて失踪
そして親は親戚づきあいもなかったらしく、めぼしい親戚なども存在しない…つまり天涯孤独だったと一夏は千冬から聞かされていた。
そんな中、自分と同じ名字を名乗り、千冬によく似ていた「敵」が現れたことにより、一夏は混乱していたのだ。
「大方、敵の狂言と策略だろう。それより一夏、お前はそろそろ寮に戻れ
あとは我々が後始末をする。明日は早いぞ?」
「あ、そうだった!じゃあまたな千冬姉」
千冬姉に促され、一夏は寮の方に帰っていった。
そして一夏が去った後、千冬は一言だけ呟いた
「……あいつ…か」
―――――――――――
その数日後、シャルロットと一夏はある護衛任務に動員されることとなり、任務自体は特に問題はなかったものの、終盤での敵の悪あがきにより一夏のISはかなりの損害を被った。
そして現在は一夏とそのISを解析しているところである。
教員の千冬、山田そしてマクギリスが同席しており、任務に同伴していたシャルロットも当然ながらこの場にいる。
一夏の解析が終わると山田先生はデータを確認しながら、こう話し始めた。
「織斑君の体には一切問題はありません。ですが白式の量子変換に異常が認められます」
「そうか、量子変換の異常……か」
「原因は?」
マクギリスは頷く中、千冬は山田先生に原因を尋ねる。
「いえ、まだわかっていません。詳しく検査してみないことには……」
「精密検査ということか」
「はい、なので織斑君には……」
「織斑、白式を検査に回す。暫く外してもらおう」
「え?……は、はい」
一夏は少し躊躇うが、白い腕輪を腕から取り外し、千冬にそれを託す。
(………こんな感じの腕だったっけ…)
一夏は腕を軽く回わしている。
今までつけ慣れていたものを外したというのはやはり違和感があるようだ。
「それで良い……お前は着替えて教室に戻ってろ」
「は、はい」
一夏はISスーツから着替えるために部屋を出て、更衣室のほうに向かっていった。
そして千冬はガントレットを見ながらも、再び口を開く。
「……さて、問題はこれを小娘共が知ったら…か」
「大騒ぎになりますよね……色々な意味で……」
千冬と山田先生はそれに頭を抱えている。
一夏、オルガ、三日月そして教員を含めるとマクギリスとIS操縦者で在籍する男が4人となっているIS学園だが
依然として一夏の人気は高く、このことを知ったら我先へと一夏の護衛を買って出る生徒が多く出るだろう。
そんなことになったら間違いなく争奪戦となり。最悪の場合、授業や一夏自身への妨害が多発することは間違いなかった。
「しかし、彼には危害が及ばないようにしなければならない」
「ああ……頭が痛いな……」
「ここはイツカ君とオーガス君にだけ教えてなるべく気を張ってもらえるようにしたほうが良いかもしれません」
「ああ、そのほうが良い。オルガ団長と三日月・オーガスなら間違いはないからな」
「うむ……私もなるべく織斑へ気を向けるようにするが……私も委員会への一連の騒動の書類提出や授業で手が回りきらない以上、やはりオルガと三日月に頼むのが良かろう」
「そうですね。ではそのように……」
「待ってください!」
山田先生の言葉を遮るように、シャルロットはその判断に待ったをかけた。
「ん?どうかしたのかね?」
「皆には知らせないでください。イチカは僕が守ります!」
「ほう…君が……」
「待ってください!いくらデュノアさんでも…」
山田先生はそのシャルロットの決意に反対するが、マクギリスはその言葉を遮り、山田先生に言葉をかける
「私は構わないと思うがね、シャルロット・デュノアの決意は固いと見る。そして彼女なら任務を遂行できるほどの腕はある」
「ですが……!」
「最悪は私も援護に回る。オリムラ先生やヤマダ先生よりは暇がある……私のバエルもやっと治ったのでね」
「ふっ…」
千冬は少し微笑むとシャルロットに改めて声をかけた。
「デュノア、織斑の護衛任務を頼む」
「わ、わかりました!」
ピシッと背筋を伸ばし、シャルロットはしっかりと答える。
その様子を見た千冬は表情を緩め、「先生」ではなく「姉」として話し始めた
「……弟を頼む」
「は、はい!」
(……オルガみたいに僕も……誰かを守れるようにならないと……!)
シャルロットはそう決意するのであった。
昼休み
IS学園 1年1組教室にて
「お怪我はありませんの?イチカさん」
「全くトロいんだから……」
「油断大敵だぞ、一夏」
「バカ野郎が、聞いた話によるとイチカのほうは結構なお出迎えを食らっちまったみたいじゃねえか。ハラハラさせやがって……」
「まあな、こんくらいなんでもねえぜ。ちょっと擦り傷出来たくらいだし」
「全く…今度から気ぃつけろよ?」
「わかってるって」
昼休みの時間、一夏とシャルロットの任務について聞いた箒、鈴、セシリア、ラウラ、オルガ、三日月といった面々が二人の元に集まってきた。
心配そうに声を掛けてきたが、一夏は何時も通りに返している。
そしてシャルのほうにもオルガが話しかけてきた。
「シャルのほうはどうだ?どこか怪我しちまってねえよな?」
「あ、うん…僕は……大丈夫だよ」
「お、そうか……ならいいんだけどよ……」
だがシャルはどこかぎこちなく返す。
一夏がISを展開できないということを隠すためにそんな反応を取っているが
嘘をつきれていないのかオルガからは少し目をそらしている。だがオルガ自身はそれに気づいていないようだ。
――――――――――――――――――――――――――――――
昼休み
「ミカ!」
「ん?どうしたの、ラウラ」
「これを見てくれないか?」
ラウラが三日月に見せたのはなんと女性誌の下着の特集コーナーであった。
「な!?ラウラ!」
「こんなところでなに見せてるのよ!?」
「どうしたのですの!?」
「なにしてんだよ!?」
「勘弁してくれよ……」
その場に居合わせた箒、鈴、セシリア、一夏、オルガの5人はもちろん驚いている。
一方の三日月はそのラウラが見せに来たのに興味を持ったのか、マジマジと見ている。
「私は嫁の趣味を聞いているだけだが?」
「「「嫁の趣味?」」」
一同は首をかしげる
そしてラウラは手を広げ、その女性の下着について力説し始めた。
「クラリッサは言っていた……!この縞パンこそが男の好感度を上げる至高の下着だそうだ!」
「は、はあ……」
その一同はもちろん呆れているが、ラウラ的には本気のようだ。
そして当人は――
「黒とかいいと思うよ?」
とくに気にせずに普通に選んでしまっており、ラウラもそれをメモしているようだ。
「ふむふむ……ならばこれとこれなら……」
三日月とラウラがズレているがゆえにこんなやり取りをしている中、鈴と箒はもはやツッコむことを止めてこう思い始める。
(なにこの超次元なやり取り……ある意味二人らしいけど……)
(親しき仲にも礼儀ありなのでは……?)
そしてラウラは意見を求めて席に座っていたシャルロットにもその雑誌を見せる。
「そうだ、シャルロットならどんな下着が良い?」
「え……」
ラウラに突然振られて少し困惑するシャルロット。
「ら、ラウラ……そういうのはこういうところで開いちゃいけないと……ん?」
もっともなことを言おうとしたシャルロットであるが、何かに気づいた…いや驚いたのか急に会話を切り上げた。
「!?」
「どうしたシャルロット?」
「ご、ごめん……ちょっと!」
そう言うとシャルロットは勢いよく走り出して、教室を後にした。
ラウラはもちろんはてなを浮かべている。
「急にどうしたのだ?シャルロットは」
「どうしたんだ……?」
オルガももちろんはてなを浮かべていた。
――――――――――――――――
学園の玄関に出たシャルロットは誰もいないことを確認して、柱に隠れる。
そして自分の「違和感」について改めて確認をすると――
「う、うそ!?」
(な、なんでいきなり下着が!?)
そうシャルロットが着ていた下着――パンツがいつの間にか消えてしまったのだ。
物凄く突拍子もないことに普段は冷静なシャルロットが珍しく戸惑っていた。
(も、もしかして僕の下着にも白式と同じことが……!?……で、でもISの装備じゃないのになんで……)
いろいろな可能性をなんとか考えてみるも当然ながら断定することはできない。
(と、とりあえず……なんとかしないと……!)
全速力で(スカートがめくれないようにしながらも)部屋へ戻り、今度は別のパンツを履いてみるも――
「!?」
(また!?)
それもまた消失してしまった。
なんどやっても結果は同じであった。
(ど、どうしよう!)
そんな時にコンコンとドアを叩く音
「ひゃっ!?ど、どうしたの?」
「何言ってやがる。授業始まっちまうぞ?」
その声はオルガであった。
どうやらもうそろそろで休み時間が終わり、授業が始まることから、シャルを呼びに来たらしい。
「あ、ごめん!」
その声を聞き、シャルはそのまま部屋の外へ出て……なんとオルガと手が繋がった。
「え!?」
「とっとと行くぞ!少しでも遅れたらオリムラ先生に確実に殺される…!」
どうやらオルガは千冬に怒られるのを恐れて急がせるためにシャルロットを引っ張っているようで、怒られるのを恐れているからか、その「事」には気づいていなかった。
オルガにとっては「前」の時の半身付随となったミカを引っ張るような感覚だからであろう。
「あ…ああ……!」
そして急いでいる上に、シャルロットもその状況やらで足取りがおぼつかなくなり、最終的には――
「うわああ!?」
「おわあっ!?」
二人共寮の廊下で転んでしまった。
そしてオルガが気がつくと
「……え?」
(なんか……あたたかいの……が…!?)
奇妙な現象であった。
オルガが手を引っ張ってシャルが後ろに居たはずが、何故かラッキースケベのごとくシャルの股のところにオルガが埋まっていたのである。
そして今のシャルロットは
「あ……いやああああああああああああああああああ!?」
「ぐふおっ!?」
感情に身を任せ、シャルロットはISの腕を部分展開してオルガをそのままぶん殴ってしまった。
言うまでもなくオルガはその場に倒れた。
彼は生身の際でも発動するワンオフアビリティ「希望の花」で言うまでもなく死なないが、オルガは脳内での処理が追いついていないのか、ブルースクリーンのコンピューターのように固まったままだ。
「あ………ああ…」
なおシャルロットも脳内での処理が追いつかず、完全にテンパっており
逃げるようにしてこの場から立ち去った。
優等生たる彼女であるが、あくまでも少女である。
下着消失やこのラッキースケベが重なってしまえば、こうなってしまうのはしょうがないことであった。
面を食らったのも無理はない(cv政宗一成)