インフィニットオルフェンズ2   作:モンターク

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今回はペース早めに初投稿です。

オルシャルはいいね。オルシャルはさ……。


乙女の矜持(ザ・シークレット・ベース)(後編)

――――――――

 

「はあっ……」

 

その後、なんとか教室についたシャルロットは千冬からのオルガに対することへの問いかけも誤魔化してそのまま授業を受けていた。

そしてその授業も終えることができたのだが……。

 

「しかしオルガはどこに行ったんだ?」

 

「どうせどっかで行き倒れて死んじゃってるんじゃないの?」

 

「うむ……団長のことだ。最悪の場合、転んで死んでいる可能性もあるな…」

 

「いや、そこまでヤワじゃないでしょ……」

 

箒、鈴、ラウラがそう話す中…シャルロットは引き続きため息をついていた。

 

「はあっ………」

 

相変わらず自分のパンツは消えたままであり、相談しようにも恥ずかしいことこの上ない。

 

その後、先生より荷物持ちを頼まれた。

シャルロットはそういうことは断りにくいため、引き受けたのだが、両手でそのまま持つため、言うまでもなくスカートを抑えられない……。

つまり風が吹いたら物凄くマズイのである。

オルガ的に言えば「確実に殺されるぞ!」であった。

 

 

「なんでこういう時に限って頼まれちゃうんだろ……」

 

その時、突如どこからから爆発音が響き、突風が吹き荒れた。

 

「え?……うわっ!?」

 

「ぐおっ!?」

 

そしてその荷物を不意に落とし、階段であったため、そのまま落下し

下に居た一夏がまとも食らってしまった。

 

「い、イチカ!?」

 

「だからよ……止まるんじゃねえぞ……」

 

どうやらオルガのいつものアレが感染ったのか、同じように倒れてしまった一夏であった。

 

 

―――――――――――

 

「ごめんねイチカ、手伝ってもらっちゃって…」

 

「良いってことよ。ところでオルガは一緒じゃねえのか?こういう荷物とかはオルガに頼んだほうが…」

 

「あ、うん。たまには僕が持たないとね!ほら、体が鈍ったりしたらいけないし!」

 

「ふーん、なら良いけどよ」

 

そうすると一夏は倉庫から立ち去る。

どこか別のことで頭を抱えていたようで、少しため息を付いても居た。

だが今のシャルロットにはそこに構うような余裕はなかった。

 

(僕らしくもない……さっさとオルガを守りに行けばいいのに……)

 

「はあっ……でも一夏を守らないといけないし……IS」

 

シャルロットもため息を付きブツブツと言いつつも、倉庫から出ると……そこにはちょうど箒と鈴が居た。

 

「あ……」

 

「今、一夏のことを言ったか?」

 

「いや……僕は……その……」

 

「そういえば…一夏、いつもの腕輪つけてなかったけど、なんかあったの?」

 

「えっと……その……」

 

2人の幼馴染の熱いその視線、それを誤魔化し切るのはいまのシャルロットには到底無理なことであった。

 

―――――――――――

 

その後の1年1組教室では、案の定箒と鈴が一夏を問い詰めていた。

 

「なんでもっと早く言わなかったんだ!?」

 

「あんた狙われている自覚あんの!?」

 

「いや……こういうことに箒達を巻き込んじまうのは…その……」

 

幼馴染2人の追撃からタジタジとなってしまう一夏

そこへセシリアが助け舟を出そうとする。

 

「まあまあ…お二人とも落ち着いてください。イチカさんは2人のことを考えてそうしているわけで…」

 

「考えているのはいいが、甘すぎるんだ!」

 

「そうよ!私達のこと信用していないわけ!?」

 

だがセシリアのその抑えも幼馴染2人にとっては不発となった。

思いが強すぎるゆえに…か。

 

その後、ヒートアップして、どちらが一夏を守るか…になった。

 

「一夏を守るのは私だ!」

 

「いやアタシよ!ISにはあんたよりは乗り慣れてるのは実際アタシだし」

 

「期間など関係ない!第一私には今、赤椿がある!」

 

「あ、あの……」

 

バチバチしている中、今度はシャルロットが止めに入ろうとするが、そこに別の重々しい音が聞こえてきた。

 

「え?」

 

「ねえ……」

 

振り向くとそこにはガンダムバルバトス第6形態……つまり三日月がその場に居たのだ。

しかも鉄血太刀を構えつつである。

 

「喧嘩か?……俺は嫌だな……」

 

「あ……」

 

あまりにも殺気が強いので、箒と鈴はそれに押され、自分が出していたその血の気が失せてしまった。

 

「み、三日月さん?そんなに怒ってどうしたのですか?」

 

セシリアのその問いに三日月は不機嫌になりつつ、こう答える

 

「……別に……でも……次は潰す…」

 

「はひ?」

 

「いや、気にしないほうが良い……生徒会長が色々とな」

 

「は、はあ……」

 

なんとか三日月のお陰でこの場は収まった。

だがシャルロットはこの騒動で少し忘れていたことをすぐに思い出した。

 

「……あ!オルガ!」

 

そしてシャルロットは一目散に駆け出した。

 

(あ、み、見えちゃう!)

 

もちろん、スカートに滅茶苦茶気を配りながら――

 

―――――――――――

 

 

なおオルガはまるで走馬灯のごとく前世の出来事を思い出していた。

 

(……懐かしいな……)

 

『僕達で…鉄華団を……』

『連れてってくれるんだろう?』

『ギャラクシーキャノン!発射ァ!!』

『何やってんだよ!団長!』

 

一部は苦い思い出だが、今では懐かしさを感じる。

だがそう思っているとオルガは――

 

(そういや…俺……まだシャルに「前」のことを話してねえな……)

 

 

「オルガ!」

 

そう思っていた時に聞こえる声。

 

「……ぐっ……しゃ、シャル……?」

 

「ご、ごめん。さっき思いっきり殴っちゃって……そのまま置いてきて…」

 

「な、殴った?……そんなこと……いってえ、頭が……!」

 

どうやら先程の衝撃で記憶が一部欠落してしまったようだ。

つまりシャルの股間に埋まったことを含め、オルガは忘れてしまった。

 

「………」

 

(何やってるんだろう…僕……オルガを守らないといけないのに……今度は僕がオルガを傷つけちゃった……雲海の時も、前の襲撃の時も……僕は上手くできなかったのに……)

 

いつもオルガに色々と負担をかけて、自分は役に立っているとは言い難いとシャルロットは思っていた。

そして今度は自分の動揺のせいでオルガに迷惑をかけてしまった。傷つけてしまった。

その罪悪感がシャルロットを蝕む。

 

「………」

 

オルガが先程の出来事を忘れているなら、シャルロットとしては別にこのまま隠し通すのは構わないことである。

そうすれば自分の弱さを隠すことができるからだ。

だが、シャルロットはその選択肢を選ばず――

 

「…オルガ、ちょっと来て」

 

「ゑ?」

 

シャルロットはオルガを引っ張り、邪魔にならないようなところに行くことにした。

今日起こったことをすべて話すために……。

 

―――――――――――

 

オルガとシャルロットは人気もそうない寮の裏側に来た。

つまり誰にも気づかれないような場所である。

 

「……実は…」

 

そしてシャルロットはこれまで起こったことを正直に話す。

自分の下着が謎の現象で消えて、今は「はいていない」ということ

それで自身がテンパってしまい、結果オルガをISの腕でぶん殴ったこと

その後、そのまま暫くオルガを放置してしまったこと…とにかく全てであった。

 

「……ゑ?」

 

オルガはもちろんこんな声を出して驚くしかなかった。

間違いなく突拍子もないことであろう。

 

「な、ぱ…し、下着が消えちまった……?」

 

「うん……だから今はまだすーすーする」

 

「す、すー……ヴェ?」

 

「うん……突拍子もないし、こんなことは馬鹿げてるのはわかる……でも本当のことなんだ…」

 

「しゃ、シャルがそう言うならそうじゃねえか……イチカのやつが展開できなくなったから…それと同じ現象…ってやつじゃねえか……?」

 

オルガも滅茶苦茶テンパっている。

前世では絶対ありえないことであろう。

クーデリアやメリビットなどがそんなことになったら、洒落にならない。

それ故に、自身の脳内の処理も追いついていない。

 

「ごめんね……もっと早くにオルガに伝えればよかった…そうしたらオルガが数時間も気絶することもなかったのに…」

 

「い、いや…これを伝えられないのは仕方ねえぞ……言えるわけがねえ…」

 

「う、うん……でも……」

 

そうするとシャルロットはあることを思いついた。

 

「……もしかして、まだ疑ってる…よね?」

 

「…いや…ただわかんねえというか……いや、俺はわからなくても良いかもしれねえから…」

 

パンツが消失しているというのはつまり、シャルロットの今は……そういうことである。

オルガには当然想像なんかつくはずがなかった。

 

「そうだよね……やっぱり「見ない」とわからない…よね」

 

「……え?」

 

シャルロットは思いつめた表情であり、オルガはその言葉で急にあることがよぎった。

そして精一杯首を横に振り始めた。

 

「た、短気を起こすんじゃねえぞ!?」

 

「ううん…そもそも僕が悪いし……見せないとわからないし……」

 

「だ、だから…んなもん見せる必要なんかねえ…!」

 

(そういうことはいけねえぞ!?待てって!)

 

だがシャルロットはオルガの制止を避け、スカートの端を持った。

その表情は既に真っ赤であった

 

「僕が悪いから……僕が……」

 

シャルロットの表情は更に思いつめていた。

 

「待てよ……待てって…!待てって言ってるだろうg」

 

そして次の瞬間

 

 

そのスカートは()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

「ヴァアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

その次の瞬間はオルガは希望の花を咲かせ、その場に倒れ込んだ。

 

「………」

 

そしてシャルロットはそのままめくったが、シャルロットはある感覚が戻った。

そう、そのスカートの中にはオレンジ色のパンツが再び有ったからだ。

どうやらエラーが消えたらしい。

 

「よ、よか……ってオルガ!?」

 

「だからよ……見せるんじゃねえぞ………」

 

オルガがそれを見ないようにするために、自ら希望の花を咲かせたのだ。

その希望の花は今までより輝いて見えた。

 

「ま、また僕は……」

 

「大丈夫だぞぉ……俺は…鉄華団団長、オルガ・イツカだからよ……」

 

「ううっ……ごめんね……」

 

シャルロットはオルガを起こして、なんとか落ち着かせる。

 

「大丈夫?」

 

「あ…こんくれえなんてこたねえ…!」

 

とりあえずこの件は解決したようである。シャルロットにとっては……。

 

(シャルも話したってのに、俺も隠し事したままってのは筋が通らねえよな………)

 

ふとそう思った彼は、シャルを引き止める。

 

「ん?どうしたの、オルガ」

 

「いや……俺も話さねえといけねえことがある」

 

「話さないといけない…こと?」

 

シャルロットはオルガの真面目そうな雰囲気を読み取った。

そして――

 

「いいか、ここから言うことは突拍子のねえことかもしれねえ……だが事実だ」

 

「事実…?」

 

そう言うとすっと息を吸って、意を決してこう話した。

 

「俺は……この世界の人間じゃねえ……異世界人なんだ」

 

 

 

 

「あ…うん……」

 

だがシャルロットはあまり驚かなかった。

 

「…え?」

 

それにオルガは拍子抜けした。

かなり驚かれると思ったからだ。

 

「いやあの…実は……ラウラから……聞いちゃってて……」

 

「ゑ?」

 

『シャルロット』

 

『どうしたの?ラウラ』

 

『オルガ団長とミカ、異世界人だったそうだ』

 

『え?』

 

「こんな感じで不意に……」

 

「………」

 

(ミカお前……!)

 

どうやらミカはあっさり彼女に話してしまったようだ。

それに怒りともなんとも言えない感情をオルガは浮かべていた。

 

「いや、あの…ごめん!こういうのやっぱ驚いたほうがいいのかな…?いや、驚いてはいるんだけど……えっと…えっと…」

 

「しゃ、シャルのせいじゃねえぞ……」

 

「……でも、オルガが異世界人だろうとも、僕は……」

 

「僕は…?」

 

ハッとしたシャルロットは急に顔が赤くなり、咳払いする。

 

「え、あ……あ!オルガがいた世界ってどんな世界なのかな?」

 

「俺が居た世界?色々とあるが……あんま面白くねえぞ?」

 

「いいから聞かせて!」

 

「お、おう……」

 

なんとか本音を出す前にごまかすことに成功したシャルロットであった。

二人の距離が縮まるにはまだ時間が必要であった。

 

―――――――――――

 

一方その頃、マクギリスは職員寮の自分の部屋である方とテレビ電話をしていた。

 

「石動、旅館のほうはどうだ?」

 

『はっ、竜王戦の開催も終了し、通常営業へ戻ったところです。なお買収した支店のほうも営業を開始し、その他事業も問題ありません』

 

その相手は石動・カミーチェ。

前世におけるマクギリスの副官であり、転生したこの世界でも同じくマクギリスを補佐する役割をしている。

現在はIS学園へ赴任したマクギリスの代理として、旅館「場亜流」とモンターク商会の経営を担っている。

もちろん、それだけではない。

 

 

「そうか……それと、「亡霊」の件の調査についてはどうだ?」

 

石動は前世と同じく、諜報の役割も担っていた。

 

『様々なルートを使い、情報収集に当たりましたが、正体を追いきれませんでした。オータム、エム…そして「仮面の男」についても……』

 

「組織に所属する人間の素性を完全に闇に隠す。あの時のエリオン家ではないが、厄介なものだ」

 

亡国機業(ファントムタスク)はあとどれだけの手駒を隠し持っているのでしょうか…』

 

「わからん、だがまだ隠し玉はあると見た。では引き続き調査を頼む」

 

「はっ!」

 

そしてマクギリスがテレビ電話の通信を切ると、後ろからドタドタとベッド上で足踏みをするある少女。

何故かシャツと下着姿になっている生徒会長の楯無が居た。

 

「やっと終わったの?」

 

「ああ……だが、何故私の部屋にいる?」

 

「三日月君をちょっと怒らせちゃってね。だから避難ってわけ」

 

「全く……まだ亡霊の尻尾を掴みきれてないのだが…」

 

マクギリスは珍しく呆れている。

そんな様子をよそに楯無は引き続きこう述べる。

 

「でも当分の危機は去ったんでしょ?暫くは大丈夫よ」

 

「ああ…だが君という学園の危機はあるのだがな」

 

「え?」

 

そうするとマクギリスはどこからともなく書類の束を楯無の目の前に持ってきた。

それらにはすべて「校内備品修繕費用請求書」と書かれていた。

 

「愚かにも程がある……いくら生徒会長と言えど、ここまでの行為は許されるものではない」

 

「それはちょっと……ね?」

 

楯無は目を泳がせている。

楯無の発端による校内の備品や設備の破損はかなりの数になり、いくら生徒会長特権でも流石に許容しにくくなるものであった。

 

「楯無」

 

「うっ……あーそうだ!用事を思い出して」

 

「楯無」

 

マクギリスは更に楯無に圧をかける。

余程怒っているらしい。

 

「う、ううっ……」

 

そして楯無はそれに対し、暫く冷や汗をかくしかなかった。

今までの傍若無人な行動がすべて返ってきたようであった。

 

 




これで二人の話には一旦区切りがついたと思う。

なお現在並行連載中の鉄血のプリンセスコネクト! Re:Diveにはインフィニットオルフェンズキャラが一部ゲスト出演しています。
現在はラウラだけですが、もう少し後でシャルロットも……行けるといいな(遠い目)
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