Journey through the Decade from 11 for 19   作:さわたり

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平成二期のリマジですね。いわゆる合作。
ビルドの世界はわたしが担当です。


ビルドの世界
第1話 クローズ爆進、ビルド再生


鳴り響くサイレンの中、男は女の手を取って駆け抜けた。二人の息遣いは荒く、しかし追っ手はさらに追い立てる。

諦めが心に浮かんだ頃、追撃のようにガーディアンが現れた。

 

「やるしかないね…」

「ああ」

 

『ハザードオン!』

 

 

 

「うわああああああ!!!」

 

次の瞬間、女が見たのは薄暗い天井であった。狭い部屋の中で、今の悪夢を思案する。恐怖心が燃える中、彼女は縮こまり、ごめんなさいと、震えながら呟いた。

 

「もう、5年前なんだね…」

 

そして彼女、『霧海(きりみ)セント』はのっそりと起き上がり、いつものように立ち上がる。メガネをかけると、深い溜息と共に歩みを進めた。

 

 

 

 

第1話「クローズ爆進、ビルド再生」

 

 

 

 

「また、世界が融合すると言うのか?また…俺に壊せと…!!」

 

「…今回は話が違います。僕は役割故にあなたをああやって突き放さなければなりませんでした。しかし、今は違う。あなたは歴史を決定し、それは揺るがないものとなりました」

 

荒れ果てた地の中で、士は瓦礫に腰掛けて目の前の紅渡の声を聞いていた。言っていることは相変わらず訳の分からないことであるが、敵意はないであろうと言うのは見える。

 

「僕も、あなたの世界の紅渡ではなく…キバの紅渡に戻ることにしましょう。僕の役割は終わりです」

 

「それって…どう言うことだ?」

 

「ま、こう言うことさ」

 

オーロラに消える渡の背を見送る、その士の背に声がかかる。誰かと思って振り向いてみれば、見覚えのある二人組である。

 

「翔太郎に…フィリップか!」

 

「変な言い方だが…あんたを旅に送るのは俺たちの役割になったわけだ」

 

「要件から言うなら…9つの世界を救えと言うことさ」

 

二人の繋げた言葉を受け、士は納得できない様子ながら頷いた。そして仕方ないなとでも言わん姿勢で立ち上がり、ディケイドライバーを手に取った。

 

「破壊も救済も…俺の得意分野だ!」

 

「頼もしいねぇ。さて、こいつなら心配ないな」

 

「ああ、帰ろう翔太郎」

 

そうして微笑んだ二人が士の背中を押し、そして視界は一瞬で写真館へと移った。相変わらずの様子で、栄次郎とキバーラが話していて、それは相変わらずの旅の日常である。

 

「あっ、士くん。なんかぼーっとしてたけど」

 

「ああ、なんでもない」

 

そう言って、栄次郎が自分用にコーヒー入れた瞬間、それを奪って飲み干し、別の部屋へと向かった。

そこにかけられていたロール絵は、前までのものとは違う、新たな絵である。

赤いドライバーと地球が描かれており、どこか不穏な空気を見せるものだ。

 

「ビルド…」

 

無意識のうちに呟いた知らぬ名に驚くが、だがこう言うことは慣れたものである。薄く溜息をつくと、どんな世界なのか確かめるべく外へと出た。

 

「…研究者か何かか?」

 

見れば、その服装は白衣である。胸にかけられた名札には『ファウスト国立研究所研究員 門矢士』の文字が書かれていた。

 

「なるほど。だいたいわかった」

 

『門矢研究員!フィールドワーク中ですが、脱走者について居場所の情報です!今から送る場所へと向かってください!殺害は禁止!確認ののちエージェント佐渡(さど)に連絡を!』

 

「了解…っと。さて、とりあえず役に徹してみるか」

 

通信機からの声が消えたかと思えば、続けてポケットの中のデバイスに位置情報が届いた。近くの森の中の廃墟らしく、そう時間はかからない場所である。位置をしっかりと確認し、マシンディケイダーを目的地へと走らせた。

 

「ねぇセント!バイクが来てる!」

 

そしてその廃墟の中で、男が騒いでいた。『陸谷(りくや)リュウガ』がその名である。その声を聞いたセントは、焦った様子で一階へと降り、物陰へと隠れた。

 

「ごめん、また任せちゃうよ…」

 

「気にしないで」

 

優しく言葉をかけるリュウガであったが、目の前に現れた士へと向き直った視線は鋭いものだ。そしてどこからともなくクローズドラゴンを取り出し、さらにビルドドライバーを装備する。

 

「ここを嗅ぎ付けられるとはね…国の犬がっ!」

 

『wake up!』

 

「国の犬ねぇ…」

 

相手が戦闘態勢を取ったのに合わせ、士もまたディケイドライバーを装備した。かたやボトルをセットし、かたやカードを抜く。

 

『KAMEN-RIDE』

 

『cross-z dragon!』

 

そして同時にアイテムを装填し、リュウガはビルドドライバーのレバーを回し始めた。そして展開されたスナップビルダーがリュウガを囲み、ボディを成す。

 

『Are you ready!?』

 

「「変身!」」

 

『wake up burning!get cross-z dragon!yeah!』

 

『DECADE!』

 

「でやああああ!!」

 

真っ先に駆け出したのはクローズである。対しディケイドは軽くいなし、ライドブッカーを構えた。対しクローズもビートクローザーを構え、二人の剣が同時にぶつかる。

 

「だぁっ!」

 

「おっと、結構強いな…」

 

「余裕っぽい態度取りやがって。俺たちをあんまりナメないで欲しいよ」

 

クローズがまた構え直したのに対して、ディケイドは剣でのぶつかり合いでは分が悪いと銃モードへと変えた。しかしせいぜいいい勝負といったところだ。お互いさらに手を変えた。

 

『special tune!』

 

『ATTACK-RIDE』

 

クローズがロケットフルボトルを使ったのと同時にディケイドはカードを挿入。お互い技のシークエンスを終えた。

 

『ヒッパレー!ヒッパレー!ミリオンスラッシュ!』

 

『BLAST!』

 

ディケイドの連続銃撃が舞う中、クローズが剣を投擲し、爆炎と共にディケイドに向かった。それを跳ね返すように銃撃をぶつけると、今一度クローズがキャッチ。剣からの爆炎を推進力にディケイドに向かった。

 

「なかなか派手にやるなっ!」

 

「うるさい!」

 

『ヒッパレー!スマッシュスラッシュ!』

 

クローズ自身振り回されるような斬撃をギリギリで避けながら、近接銃撃を当てていく。だがクローズのダメージは大したものではなく、どう手を打とうかと士は思案した。

 

「炎か。…それならこいつだな!」

 

『FORM-RIDE DEN-O ROD!』

『ATTACK-RIDE BOKU NI TURARETE MIRU?』

 

「僕に釣られてみる?…ってな!」

 

「姿が…別物に…?ビルド以上に見た目が変わるんだね」

 

「ほーう、ビルドか、いいことを聞いたぜ!」

 

決め台詞を無視されつつデンガッシャーロッドモードをいつものように手で撫でると、クローズへと駆け出した。対しクローズも掃除機ボトルをセットし、スマッシュスラッシュを発動する。

 

「だああああ!!」

 

「引き寄せて…距離感が変わっただと!?」

 

「離れることはできないよ。俺が間合いを決める!」

 

そうして切り上げたのち、後ずさったディケイドをさらに引き寄せるそして突きを繰り出し、ディケイドを転ばせた。

 

「なるほど、それなら…!」

 

「来いっ!」

 

続けて引き寄せたその時、ディケイドは土に剣モードのライドブッカーを突き刺し、さらにデンガッシャーをクローズに向かって手放した。するとどうだ、掃除機ボトルの効果で向かっていくではないか。

 

「これは…っ!」

 

『FINAL-ATTACK-RIDE D-D-D-DEN-O!』

 

胸前に構えたビートクローザーで防ごうとするが、掃除機ボトルの効果がそこから発動している以上、それは胸に引き寄せると言う意味である。ソリッドアタックの効果で拘束された時にはすでに遅く、ディケイドは飛び上がっていた。

 

「だああああーーッ!!!!!」

 

そしてその蹴りをクローズへとぶつけ、青い炎と共に爆発が起きた。クローズ側が必殺を発動していた都合もあり、ディケイドも多少ダメージを負っているのも事実だ。しかし、変身が解けているリュウガを見れば勝敗は明らかである。続けて、士も変身を解いた。

 

「くそっ…俺たちをまた…連れ戻すのか…」

 

「…そうらしいな。だがその前に聞かせろ。ビルドは誰だ。お前は違う!」

 

「…お前には関係ないだろ。知ってるくせに」

 

「知ってたら苦労はないんだがなぁ」

 

そうしてため息をついたその時、木の陰からボサボサとした髪をポニーに束ねた女が現れた。その手には、ゼリー飲料のような何かが握られている。

 

「見つけたよ。アタシにも連絡くれよな門矢研究員!こいつらひっ捕らえて来いってんだろ?変身前でよかったな。生身じゃこいつらには勝てねぇ!」

 

『スクラッシュドライバー!』

 

「こいつら…?クローズ以外にもいるのか?」

 

「あぁ?そこにいんだろビルドがよぉ。霧海セントが!」

 

「そう言うことか…」

 

そして、エージェント佐渡こと『佐渡(さど)カズミ』はゼリーを構え、リュウガに対して挑発するようなモーションをとった。対し、リュウガは立ち上がって今一度変身しようとする。

 

「ダメだよリュウガくん!再変身は危ない!」

 

「…再変身だァ?じゃあ誰にやられたんだ」

 

「さぁ?誰だろうな…変身!」『KAMEN-RIDE』

 

そう言いながら、スクラッシュゼリーの蓋を回転させたカズミの前に、士が立ちはだかった。怪訝な表情の彼女の前で、士はカードをセットする。

 

『DECADE!』

 

「なんのつもりだ士研究員!それにそのアイテム…プロジェクトエボルトのどれでもないな。…いいね、燃えるぜ!」『ロボットゼリー!』

 

「変身!」

 

『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!ブラァ!』

 

ディケイドが変身を終えた直後にカズミも変身を終え、グリスとなる。そして二人の拳が同時にぶつかり、若干ではあるがディケイドが押された。

 

「なるほど、大したことはなさげだなぁピンク色ォ!!」

 

「マゼンタだ!」

 

「あっそう!」

 

お互いの怯みによりグリスとディケイドに距離が空いたその時、二人同時にアイテムを取り出した。グリスはユニコーンと冷蔵庫ボトルを、ディケイドはカメンライドカードである。

 

『シングル!』『ツイン!』

『ツインブレイク!』

 

「どりゃあああああああああ!!!!」

 

『KAMEN-RIDE BLADE!』

『ATTACK-RIDE BLAYROUSER!』

 

冷気をまとった突撃の、その目の前にオリハルコンエレメントが展開された。驚くカズミであるが今更避けようもない。吹っ飛ばされつつ着地し、通り抜けてブレイドの姿に変わるディケイドを迎え撃った。

 

「おらあああ!!!」

 

「…危ないな!」

『Thunder』『Metal』『Slash』

 

さらにブレイラウザーで斬りかかる。ツインブレイカーがそれを防ぎ、さらに押すが、ディケイドは左手でカードをラウズ。鋼鉄化によって攻撃を防御しつつ、電気をまとう斬撃で切り返した。

 

「ったく、こっちは連続戦で疲れてるんだがな」

 

『FINAL-ATTACK-RIDE B-B-B-BLADE!』

『ATTACK-RIDE SLASH!』

 

「知るかァ!!」

 

『スクラップフィニッシュ!』

 

「どりゃあああああああ!!!」

 

グリスが飛び上がる中、ディケイドはブレイラウザーを今一度構え、さらに先ほどの戦いで刺さりっぱなしだったライドブッカーを抜いた。そしてライドブッカーを投げつけ、その上に光の刃を重ねた。

 

「激情!情熱!熱風!アタシを止めるには足りねぇぞおおおおお!!!」

 

「だったら重ねるだけだ!」

『Slash』『Thunder』『Lightning slash』

 

同時にライトニングスラッシュも重ねがけをし、光の刃をX状へ。アタックライドの影響で光刃まで現れ、ディケイドの攻撃はさらに激しいものとなる。

 

「うああああああ!!!!」

 

「うぐっ…!」

 

そして同時に爆破が起き、二人共々地面に転がる。ディケイドの方は変身解除である。グリスは仮面の中で笑いながら、フェニクスボトルをセットした。

 

『チャージボトル!』『潰れな〜い!』『チャージブレイク!』

「一時撤退だ。…ったく!」

 

そして赤い不死鳥の炎をまとい、空へとその姿を消した。その様子を見て、セントとリュウガは顔を見合わせ、訝しげな様子である。

 

「あんた…なんで…」

 

「連れ去るっていうのがどうも怪しい。あんたらが世界を滅ぼすってわけでもなさそうだしな」

 

「…味方、なのか」

 

「そいつがビルドだってんならな」

 

そうしてセントに目を向けてみれば、彼女の表情は暗いものである。何かしらの事情を感じ、士は口をつぐんだ。

 

「私は…ビルドなんかじゃない…ましてハザードなんてっ!!」

 

「落ち着いてセント。大丈夫、君は優しい、誰も傷つけない。落ち着いて、息を吸って」

 

リュウガがなだめるように、優しく語りかける。セントはビルドに対し何かしらトラウマがあるらしいということが分かり、士はため息をついた。

 

「…あ、えっと、そのお兄さん。門矢研究員?」

 

「門矢士だ」

 

「…士さん、多分敵じゃないよ。ボトルの適合が見られないの。…つまりファウストの手がかかっていない」

 

「本当に?じゃあ士さんこのボトル振ってよ」

 

「…こうか?」

 

言われた通りロックボトルを振ってみれば…どうだ、適合を示す数式のビジョンが空中に現れるではないか。疑いの目を向けるリュウガであるが、続けて士がボトルを振ったことで、その視線は驚きに変わる。

 

「いやおい待てよ、なんで全部適合すんだよ。おかしいだろ、ギャグか?」

 

「俺に言われても困るな」

 

「…特殊体質?ではない。エボルトの事情から鑑みれば…そう、異世界の住人ってのが一番有力」

 

それを聞き、士は目を見開いてセントの方を見た。彼女も彼女で、自慢げにニヤッと笑いを浮かべた。当てられたことなどまずないので、新しい感覚だ。

 

「…あんた、まだ変身はできそうか?」

 

「ああ、問題ないが」

 

「…じゃあ行くぞ。嗅ぎつけられた以上君も来なきゃいけないけど」

 

「本当に行く気なの?まあ、君がそうしたいならそうするけど」

 

どこに行く気だと士が言いだす前に、リュウガは地図を渡した。それは国会議事堂を指し示しており、まさかここに突っ込むのかと顔をしかめた。

 

「嫌なら手伝ってくれなくても結構だよ」

 

「フン、誰がそう言った」

 

そうしてマシンディケイダーに乗り込む横で、ライオンボトルでビルドフォンをマシンビルダーへと変えた。セントはリュウガの後ろに乗る形で乗り込み、2台が発進した。

 

 

 

 

「あぁーくっそー…。強かったなあのマゼンタ色」

 

「何をしてるんだニンジン」

 

「うっせーぞロン毛。昼休憩だよ昼休憩」

 

コンビニ弁当をベンチで頬張るカズミの前に、スーツを着た長髪の男が立っていた。名は樋川(ひかわ)ゲントクである。

 

「お前はどうなんだよ樋川議員さんよ」

 

「出張を終えたところだ。国会議事堂に向かう」

 

「あっそ、頑張れよ」

 

そしてゲントクの背を見送った時、ベンチの隣にユウスケが座り込んだ。カズミ的にはなぜ自分の隣かという気分であったが、見れば周りはどこも埋まっていた。なるほどと頷いたその時、彼女のバッグからボトルがこぼれ落ちた。

 

「おっと、危ない」

 

「あー、ナイスキャッチ、サンキュー!」

 

ユウスケの向けたサムズアップに対して、カズミはどこか安心させられるものを感じ、ニヤッと笑みを浮かべた。

そんな時。

 

「うぅ…ぐぉ…」

 

『緊急通告!東京都千代田区公園内でスマッシュが出現!位置情報を…』

「いらねぇよ、目の前に現れやがった!」

 

『スクラッシュドライバー!』

『ロボットゼリー!』

 

「疲れてっけど…人命かかってりゃそれどころじゃあねぇなッ!」

 

目の前で暴れるマッシブな機械的な赤の怪物『ランニングスマッシュ』に対して、口をお手拭きでぬぐいながらカズミはポーズをとった。その横でユウスケもアークルを出現させ、クウガへとなるべくポーズを取っていた。

 

「「変身!」」

 

『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!ブラァ!』

 

クウガドラゴンフォームとグリスが同時に変身を終え、その目を見合わせた。ユウスケはなるほどという感じだが、カズミは驚き気味である。

 

「まあいいか、行くぜっ!」

 

「おう!」

 

適当に枝を拾い上げ、ドラゴンロッドへ。クウガとグリスの連続攻撃がランニングスマッシュへと繰り出される。しかし相当なスピードである。上手いこと攻撃をかわし、二人へと拳をぶつけた。

 

「けっこーかてぇな」

 

「なら…こっちだ!」

 

グリスがハチボトルを装填すると同時にクウガもペガサスフォームへ。二人同時に構え、スマッシュと距離を空けた。

 

「銃とか持ってない?」

 

『シングルブレイク!』

「銃だぁ!?ねぇよ!」

 

「えっ…持ってると思ってたな…」

 

落胆するクウガの方へ、ランニングスマッシュが直線走行を始め、突進を繰り出した。避けられないというそこへ、グリスが駆け出す。

 

「邪魔だァ!!」

 

正面から相手の勢いも利用しつつツインブレイカーをぶつけ、毒針による大ダメージを与えた。怯みながら逃げようとするスマッシュの背を見てクウガへと駆け寄った。

 

『ツイン!』『ビームモード!』

 

「ホラよ」

 

「サンキュー!」

 

そして、冷蔵庫ボトルをセットして変形させたツインブレイカーを渡す。瞬間、ツインブレイカーはペガサスボウガンへとモーフィングされた。逃げゆくランニングスマッシュの背に標準を合わせ、グリップを引く。

 

「たぁー!!」

 

「アタシも…もいっぱぁつ!」

『スクラップフィニッシュ!』

 

手放したその瞬間、ランニングスマッシュの背を弾丸が貫く。ボトルの成分そのままにモーフィングされたため、そこには冷蔵庫の属性とハチの貫通性能が付与されていた。続けて薄い氷に覆われたスマッシュへと、グリスはキックを繰り出し、スマッシュを粉々に砕いた。

 

「うわああああああ!!!」

 

「おーわりっと。…これは電車か?」

 

緑の爆風からボトルに成分を回収しつつ、カズミは満足げな様子である。ユウスケもスマッシュとなっていた人が無事であったのを確認し、大事をとって救急車を呼んだ。

 

「おっと、いつもはアタシの作業なんだがね。助かるぜ。…あんちゃん名前は?アタシ佐渡カズミっての」

 

「俺は小野寺ユウスケ。ま、事情あって旅をしてるってとこかな」

 

「…ふーん。…あぁーー!!!!」

 

戦闘が終わって安堵の空気が流れる中、突如カズミが絶叫をあげる。見れば、先ほどの戦いに巻き込まれてコンビニ弁当が地面に落ちていた。

 

「アタシの…アタシのゴマだれ牛しゃぶヘルシーサラダうどん598円がァー!!」

 

「…あー、えっと、あっちにラーメン屋があるよ。俺が奢る」

 

「…いいのか!?」

 

 

 

 

「止まりなさい君たち!見学なら…うおっ!」

 

必死で止める警備員たちを無視し、マシンビルダーとマシンディケイダーは国会議事堂へと突っ切っていく。最終的には正面玄関を突き抜けて中央広間へと突入した。

 

「貴様たちか。…侵入者たちは」

『スクラッシュドライバー!』

 

その士たちの前に、ゲントクが二階階段より飛び降りつつ現れた。そして伊藤博文の銅像を前に、クラックボトルを取り出す。

 

『デンジャー!』『クロコダイル!』

「この国の安全を脅かすなら…何人も俺の前で立たせない」

 

「覚えがないな。ま、世界なら破壊してるけどな。お前たちはこの先に用があるんだろ、行け!」

 

「助かるよ士さん」

 

変身の準備を終え、構えるゲントクの前で、士はカードを見せつけるように構えた。睨み合う中、2人が声を上げる。

 

「変身…」

「変身!」

 

『割れる!食われる!砕け散る!クロコダイルインローグ!オーラァ!』

『KAMEN-RIDE DECADE!』

 

ビーカーに紫の液体が満たされるその目の前で、10の影が士に重なる。そしてビーカーが砕け、ディケイドの体がマゼンタに染まったことで二人は変身を終えた。

 

「はっ!」

 

「フン!」

 

駆け出した二人の拳が同時にぶつかり、さらにキックも同時にヒット。少し距離を空けた二人であるが、それぞれトランスチームガンとライドブッカーによる射撃戦へと切り替え、中距離戦が始まった。

 

「行くよセント」

 

「うん…」

 

2人はライダーバトルを尻目に、奥の床をぶち抜いて地下へと向かっていった。ローグが止めようとするが、ディケイドがそれを邪魔し、2人は無事地下へと入ることができた。

 

「ファウストの地下秘密研究所は…こっちだ。あったよ」

 

そして慎重にリュウガは扉を開けた。その薄暗い不気味な光景に嫌悪感を覚えつつ、奥へと進んでいく。

そして厳重に閉じられた扉を破壊し、保管倉庫へと侵入した。

 

「…覚えていたとはな」

 

その2人の背に、声がかかる。振り返った先には、白衣の男が立っていた。胸の名札に書かれた『ファウスト国立研究所研究員 鹿島(かしま)ナリアキ』の字を見て、リュウガはビルドドライバーを装備した。

 

「お前の名前…覚えてるぞ。いや、薄暗くて見えづらいがその顔もだ。…セント、危ないから下がってて」

『wake up!』『cross-z dragon!』

 

「ビルドは戦わないのか?」

『bat…』

 

「黙れ。…今日だけでプロジェクトエボルトの姉妹機3つとも見るとは思ってなかったよ」

 

クローズドラゴンを構えながらため息をつき、リュウガはナリアキを睨みつけた。対しナリアキもトランスチームガンにバットロストボトルをセットして、変身すべく構える。

 

『Are you ready!?』

『ミストマッチ…』

 

「変身!」

「蒸血!」

 

『wake up burning!get cross-z dragon!yeah!』

『bat…ba bat…fire!』

 

煙の中から火花とバイザーを輝かせ、ナイトローグが姿を現わす。同時に変身を終えたクローズとその拳がぶつかる。

 

「やれやれ…」

 

『ビートクローザー!』

 

続けてクローズはビートクローザーを構え、ナイトローグへ斬りかかった。ナイトローグはうまくそれをかわすと、近距離射撃を浴びせる。

 

「くそっ…やっぱ疲労があるな」

『special tune!』

 

「リュウガくん…ごめんなさい…臆病な私で…凶暴な私で…」

 

「セント!俺は君がそんな顔をすることの方が嫌いだ!俺を心配するなら…笑顔で送ってよ!」

 

「お熱いな…!」

 

ライトボトルを装填しながら、クローズは後ろのセントへと言葉をかけた。それを受け取り、セントは今にも砕けそうな笑顔で、リュウガを応援し始める。

 

「頑張って…君なら…きっと勝てる!目的を果たせる!私が信じてる!」

 

『ヒッパレー!スマッシュスラッシュ!』

「…ああ、ありがとね!!」

 

無理やり作った笑顔に結果としてさらに心を痛めるが、だがそれでもやる気が出るというもの。一転して光まとう斬撃でナイトローグを押し返した。さらに電撃を飛ばし、ダメージを与え、転ばせる。

 

「…あった、ゲットだよリュウガくん!」

 

「ナイスだよセント!さて、お暇しますか!」

 

「逃すか!」

 

そうして逃げようとするクローズの背に、寝たままの姿勢で銃撃を浴びせる。さらに柱を掴み、大きく回る姿勢で寝技のキックを繰り出した。

 

「寝技はブラッドスタークのウリだろうが…」

 

クローズは怯みながらも、セントの手を握って出口を目指した。しかしナイトローグがスチームブレードを構え、クローズへと振り下ろす。ビートクローザーで防御には成功するが、動けない状況である。

 

『ELEK STEAM!』

 

「雷を使えるのは私もだ。大人しく捕まってもらう!」

 

「くそっ…」

 

じわじわと押されていき、肩に当たったあたりでダメージも入り始める。いつまで耐えられるかという、その時。

 

『special tune!ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!』

 

「リュウガ君なら…大丈夫!」

 

『メガスラッシュ!』

 

セントの手でセットされたのはラビットボトルである。セントの声が彼の背中を押し、赤い刃がスチームブレードを押し返し始めた。それはライダーシステムに潜む、感情に呼応するシステムの賜物である。

 

「ああ、大丈夫だよ!今なら俺は…負ける気がしない!」

 

「うわぁ!!」

 

最終的に、完全にナイトローグを追い返し、壁に叩きつけた。変身解除までとはいかないが、大ダメージを与えることに成功だ。その隙にクローズとセントはハシゴを登っていき、地上へと飛び出した。

 

『FINAL-ATTACK-RIDE D-D-D-DECADE!』

 

『クラックアップフィニッシュ!』

 

「ぐああああああ!!!」

 

「うぐっ!…はぁ、はぁ…!」

 

そうして中央広間に出た瞬間、ローグとディケイドのキックのぶつかり合いが目に飛び込んだ。両方ダメージを負っているが、疲労もあってか地に倒れ伏したのはディケイドである。

 

「…おい、大丈夫か樋川議員!」

 

「防衛大臣…!」

 

膝をつくローグの元へ、さらに男が現れる。石塚(いしづか)ソウイチ防衛大臣である。ローグの苦戦の様を見て、彼もボトルを取り出した。

 

「お前もこの国に仇なす者か…!」

『cobra…』

 

「蒸血…!」

 

『ミストマッチ…co cobra…cobra…fire!』

 

そしてブラッドスタークがディケイドの前に立ちはだかる。もう終わりかと思った、その時。青い光が広間へと放たれた。

 

『KAMEN-RIDE』

『O-JA!』『SAGA!』

 

仮面ライダー王蛇と仮面ライダーサガがブラッドスタークとローグの前に出現。そして突撃する二人の前に、飛び降りる形で海東が現れた。

 

「この間に君たちは逃げたまえ。士もだ」

『KAMEN-RIDE DIEND!』

 

「お前に感謝するとはな…!」

 

皮肉気味に吐きながら、ライドブッカーで威嚇射撃。できた隙にクローズもマシンビルダーを用意し、ディケイドもマシンディケイダーに乗り込んだ。「冷たいこと言うね」と呟く海東を背に、彼は国会議事堂を後にした。

 

「…どーしよ。俺たちの隠れ家見つかっちゃったね」

 

「うん、次にどこかないか探そっか」

 

「…住む場所がないならしばらく俺のところに来るか?」

 

士が何気なく言ったその言葉を聞き、2人は喜びの表情を向けた。そして同時に頷き、光写真館に厄介になることを決めた。

 

「いやそんなこと言われてもね、『俺の家』じゃないからね!私のお家!」

「そうです!だいたい士君自体居候でしょう!」

 

「いいだろ2人ぐらい」

 

「えぇー、でもなぁ」

 

「…セント、他にいい場所を探そう」

「だね…」

 

「あっ、おい」

 

出て行こうとするセントの寂しそうな背を見て、栄次郎は唸り始めた。しばらく経ち、ため息。仕方ないねと空き部屋へ案内した。

 

「君、えっと…」

 

「陸谷リュウガです。こっちは霧海セント」

 

「うん、私は光栄次郎。こっちは孫の夏美。リュウガ君は士くんと一緒に寝てね。セントちゃんはこっちの空き部屋にね」

 

栄次郎の案内の通りに荷物を置き、リュウガは戦いの疲れ故に倒れこむように腰を下ろした。

 

「…カメラだ」

 

セントもセントで、疲れ果てた様子である。部屋に置かれたカメラへと、何気なく目を向ける。夏美はその様子を見て、セントのそばへと寄った。

 

「このデジカメもう壊れちゃったんですけどね。この倉庫はそう言うの置いてるんです。あ、掃除はしてるんで清潔ですよ!」

 

「これ使ってもいい?この辺の壊れたカメラとかフィルムケースとか」

 

「ええ、いいですけど…」

 

「ありがとう。えっと、夏美さん」

 

セントのぺこりと言う丁寧なお礼を受け止め、それほどのことでもないと自慢げに言い、隣へと座った。

 

「…さて、この液晶にコネクトして…よいしょっと」

 

そしてバッグから取り出した工具で作業を始める。その様子を士とリュウガも見に来て、彼女の作成を見届けた。

 

「完成!名付けてエボルモニター!これを…」

 

5分ほどで完成した小さなモニターを置き、かばんを今一度漁る。そして地下研究所から盗み出したエボルドライバーを置き、そのスロットにエボルモニターを差し込んでレバーを回した。

 

「この赤いベルト…絵のベルトだ…」

 

『……ん?あれ!?外が見える…って、君は!タクミじゃないか!』

 

モニターに映ったのは、白い髪をしたリュウガの姿である。だがリュウガもセントもそれに動じる様子はない。淡々とした様子で会話を始めた。

 

「こんな姿だけど…私は空真(そらま)タクミではないよ。始めましてエボルト。私は霧海セント」

 

『セント、ねぇ…。いやどうもそっくりだが…。違うと言うからには違うんだろうね。なんか僕のそっくりさんも居るし』

 

画面の中で訝しげな様子であるが、動じているわけでもない。新たにカメラを分解して開発作業を進めつつ、セントは話を続けた。

 

「あなたの力を借りたいの。お願い…できる?」

 

『…その顔でされたお願い、断れるわけないだろ。いいよ、もちろん君に力を貸すさ』

 

エボルトの快い対応に、2人は安堵した。これで味方が増えると、胸をなでおろしたその時。

 

『現在、文京区にスマッシュの情報が…』

 

テレビから中継である。それを聞き、またかとため息をついた。リュウガと士が外に出る中、その背にセントもついた。

 

「君は別に大丈夫でしょ。もうエボルトも居るんだし」

 

「これの使用データを取りたいの。8割完成してたんだけどね、まさかカメラからあんなちょうどいいパーツが取れるなんてね」

 

その手にドリルクラッシャーを握りながら、マシンビルダーの後ろに乗り込む。そして2台同時に発進し、出現情報のある場所へ飛ばした。

 

「…居たぞ」

 

目的の場所では、大柄な銀のボディのウォールスマッシュが暴れていた。士とリュウガはお互いの顔を見合うと、同時にベルトを装備、変身シークエンスを始める。

 

『wake up!cross-z dragon!』

『Are you ready!?』

 

「「変身!」」

 

『wake up burning!get cross-z dragon!yeah!』

 

『KAMEN-RIDE DECADE!』

 

同時にクローズとディケイドが並び立ち、ウォールスマッシュへと向かった。鈍重ながら防御力と攻撃力は凄まじく、2人とも楽勝と言える様子では無い。

 

「お前がそう来るなら…!」

 

『FORM-RIDE KIVA DOGGA!』

 

対しディケイドはキバへとカメンライド。ドッガハンマーでの重い一撃を浴びせた。その様子を、鳴滝は物陰から見ていた。

 

「今までの世界で飽き足らず…新たな世界まで破壊する気か。おのれディケイドっ!」

 

そして彼が手を広げたのと同時にオーロラが現れ、そこからは多数のハードガーディアンが姿を現す。そして一気にディケイドへと襲いかかり、ウォールスマッシュの相手はクローズのみとなった。

 

「ぐああああ!」

 

消耗しきった彼がしっかり相手できるはずもなく、簡単に変身解除にもって行かれてしまった。さらに気も失っている。絶体絶命の彼を抱きかかえ、セントは安全な場所を求めて路地裏へ走り去った。

 

「だあああああ!!」

 

「とおりゃっ!」

 

そんなウォールスマッシュの元に現れたのはグリスである。さらにはクウガマイティも到着し、ハードガーディアンとウォールスマッシュの相手を始めた。

 

「助かったぞ。…何かあったら困るからな!」

 

そしてディケイドの方は戦力がいないセント達の後を追った。狭い道を抜けていく、そんな時。

 

「イヤーー!!!来ないで…!」

 

ストロングスマッシュが親子の元へ迫っていた。ディケイドが助けようとするが、ハードガーディアンの邪魔が入る。どうしようもないというその時、真っ先に駆け出したのはセントであった。ストロングスマッシュの腕を押さえ、親子に逃げるよう促す。

 

「うぅっ…」

 

だが、彼女もまた生身である。払いのけられただけで、全身傷だらけであった。しかし、依然生身で対抗しようとする。

 

「なぜ変身しない!ビルドになれるんじゃないのか!」

 

「私は…誰も傷つけたくない!あんな兵器になるのなんて…ごめんだよ!」

 

「兵器になるようなやつは…自分を投げうって人を助けようとしないだろ!お前は正義にために戦える本当の強さを…持っているはずだ!」

 

「…強さ」

 

今一度投げ出されたその目の前に、リュウガのビルドドライバーが転がっていた。一瞬の葛藤ののち、彼女はそれをしっかりと掴んだ。

 

「私は…私は…うぅっ!!」

 

「セントッ!!」

 

そして装備したその瞬間、ストロングスマッシュはセントを壁へと押さえつけた。うめき声をあげながらも、セントはボトルを取り出し、一振り。ビルドドライバーへ挿入した。

 

『ラビット!』『タンク!』

『ベストマッチ!』

 

「うおおおおおおお!!!!」

 

自分を無理矢理、そしてギリギリ奮い立たせながら、彼女はレバーを回す。前面に展開されたスナップビルダーがストロングスマッシュを押しのけ、ビルドの半身を成した。

 

『Are you ready!?』

 

その問いかけに、完全にYesとは言えない。だが、こうなってしまえば戦うほかないのも事実である。

 

「変身!!」

 

戦いの準備とばかりにファイティングポーズをとり、今一度その手を広げた。同時に彼女をアーマーが挟み込む。

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

 

そして、二色の戦士仮面ライダービルドが、そこに復活した。

 

「…行くよ」




次回、仮面ライダーディケイド

『エボルラビット!』

「作る、形成すると言う意味の、ビルドだ!」

「仮面ライダーブラッドと名付けよう!」

「潤動ッ!」

「紛れも無い人間だ!」

「第2話 ラブアンドピースの法則」

全てを破壊し、全てを繋げ!



なんか思ったより早くスタートですね。というわけでこんにちは。最近いつも眠いサードニクスです。
今回ビルドの世界ということで、女主人公やら全く変身しないやら本編味方ライダーみんな出すやらで結構思い切ってやりました。
ビルドは私の性とすごく合った作品で、いっぱいアイテム使わせたい病患者には効くものなのです。
ちなみにランニングスマッシュとウォールスマッシュはオリジナル怪人です。
そういうわけで第1話いかがだったでしょうか。感想くれると喜びますよ。
上でも述べたように本作はいわゆる合作なので、俺が書きたいという方は私の活動報告からどうぞです。
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