尚、此処で掲載するのはヴァルキリーロンドへと繋がるルートのみとなります。
第1話『機械仕掛けの戦女神』
スクールアイドル…それは学校生活を送りながら、アマチュアで活動するアイドル達。
全国各地に存在し、若者を中心に人気を集め、今やスクールアイドル専門のグッズショップが存在する程で、彼女達の中には本格的なプロのアイドルになる者もいる。
そんなスクールアイドルの歴史を語る上でA-RISEと共に欠かす事の出来ないグループが『μ's』という9人組のユニットである。
伝説と化した彼女達だが、人々には知らていない事もある…
彼女達…μ'sには幻の10人目と呼ぶべきマネージャーが存在していることだ。
これは、そんな“彼女”物語である…。
―side:???―
私が始めてこの地に来たのは今から何年も前、小学校へ入学する前だ。
仕事でよく転勤をしていた私達だったが…今回は結構長期に及ぶらしい。
母親によると其処には母方の従姉妹―同い年と二つ下の従姉妹が住んでいると聞いた。
引っ越してきて荷物を運び終えた後、訪れたのはその従姉妹が住んでいる家で、とある和菓子屋だった。
両親がその家の人に挨拶をする中、二人の少女―私の従姉妹がじっと私を見ていた。
そして、その内の一人が笑みを浮かべて自己紹介をした。
「始めまして!私、高坂穂乃果!宜しくね!」
高坂穂乃果、それが同い年の従姉妹の名前だった。
「俺―じゃなくて私は頼尽あかり!此方こそ宜しくお願いしましゅ!」
始めて会った時、ガチガチに緊張して噛んだ。
というか“素”が出てしまった。
「宜しくね!あかりちゃん!」
とそんな私に彼女は笑顔で手を差し伸べた。
二つ下の従姉妹―穂乃果の妹である雪穂も自己紹介を終わらせた後
「そうだあかりちゃん!この街を案内するよ!」
穂乃果ちゃんはそう言って私の手を取った。
「お母さん!おばさん!あかりちゃんと出掛けて来るね!」
穂乃果は私にこの街の事を色々と教えてくれた。
「―じゃあ、次は私の友達を紹介するね!」
「友達…?」
「うん!こっちだよ!」
穂乃果が連れていってくれたとある公園。其処には既に二人の少女の姿があった。
「ことりちゃーん!海未ちゃーん!」
「あっ、穂乃果ちゃん!」
「お待たせ~」
「穂乃果、その子が昨日言ってた…」
「うん、そうだよ!」
「は、始めまして!頼尽あかりです!宜しくお願いします!」
「南ことりだよ!宜しくね、あかりちゃん!」
「園田海未です!宜しくお願いします!」
こうして私は南ことりと園田海未と知り合った。
それから私達は音ノ木坂小学校へ入学して6年間同じクラスだった。
私達はずっと一緒、ってその時は何時になるかわからないけど将来転勤がある事を忘れてそう思ってた。
だけど、小学6年生の冬休みが明けたある日、両親の仕事の都合でアメリカで暮らす事が決まった。
「えっ、本当なの…」
「うん、小学校を卒業したら…」
「そんな…」
「寂しいものです…」
「だ、大丈夫だよ!何年後になるかわからないけど、私はみんなの元へ帰って来るよ!」
そして、小学校を卒業して数日後―私が日本を旅立つ日が来た。
見送りに穂乃果、海未、ことり、そして雪穂が来た。
「本当に、行っちゃうんだね…」
「あかり姉…」
「名残惜しいものです」
「帰ってくるよね…」
幼なじみである4人に
「約束は出来ないけど…私自身としてはきっと帰ってくるつもりだよ」
と私はそう返す。
「じゃあ、飛行機の時間があるからそろそろ行くね…っと、その前に記念撮影しよ?」
私はデジカメを父親に渡し、撮影を頼む。
私達は寄せ合いカメラに向かってピースするのだった。
その時はまだ…その先に待ち受けている運命など知る余地もなかった。
アメリカ、特殊災害対策機関《ネスト》の訓練施設。
そのシミュレーションルームにあるシミューレーターにてぶつかり合う二つの機影があった。
白銀のボディにオレンジの差し色が入った10メートル近くある巨大なロボットが二機、剣を交えていた。
『流石、ヴェル。此処まで剣の腕が上達するとは思わなかったよ』
と告げるは脚部にタイヤが配置されたロボットだ。
『あかりが日々成長するように私も成長するんだよ』
と返すは両肩に恐竜―その形状からジュラ期の肉食恐竜たるアロサウルスと推測される恐竜の頭部が付いたロボットだ。
両者は互いに良き親友にして好敵手である。
時にこうして競い合い、時に手を取り合い、時にたわいもない話をしたりする―これが“彼女達”の日常だ。
両者の剣がそれぞれ胴体に向かって振りかざされた時だった。
『そこまでだ!』
響き渡る第3者の声。その声に両者は腕を止める―振りかざされようとしていた剣はそれぞれ胴体に接触する寸前であった。
先程、剣を交えていた二人はシミュレーションを終了、シミューレーターから出る。
「お疲れ様、ヴェル」
「あかりの方こそ」
脚部にタイヤが配置されたロボットを“操って”いた茶髪をツインテールにした少女と両肩にアロサウルスの頭部が配置されたロボットを“操って”いた長い銀髪を持つ少女はハイタッチを交わす。
16歳の茶髪の日本人の少女―頼尽あかりと14歳のロシア人とアメリカ人と日本人の血を引く少女―風見ヴェールヌイ(ヴェル)は本来なら“戦士”にならず平凡な人生を送っていただろう。
だが、彼女達は訳あって平凡からかけ離れた人生を送り、自らの意志によって“戦士”となる道を選んだ。
「二人とも、お疲れ様」
と二人にコーラを渡すのは二人の上司であるレノックス少佐である。
「ありがとう、レノックス」
「いただきます」
と二人はレノックスから受け取ったコーラを飲み始める。
「後で話があるから俺の所に来てくれ」
と告げてレノックスは去っていった。
「話…?話って何だろう?」
と頭を傾げるあかりにヴェルも同じ様に考えていた。
レノックスのオフィス。
「話と言うのは…実はある島にある施設へ視察に行く事になった」
「ある島…?」
あかりの言葉にレノックスは頷き、こう続けた。
「その島はコスタリカにあるイスラ・ヌブラル島」
「という事は視察するのはジュラシック・ワールド」
ヴェルの言葉にレノックスはそうだ、と返した。
嘗てジョン・ハモンドという名の男がいた。
インジェン社を仕切る男であった彼はあるテーマパークをコスタリカのイスラ・ヌブラル島に作り出した。
“生きた恐竜”達が闊歩するテーマパーク―『ジュラシック・パーク』。
だが、ジュラシック・パークはプレオープン時のシステムトラブルと恐竜の脱走による“事故”によってその計画は白紙に戻され、島は10年近くも放置される事になった。
そんなパーク崩壊から12年後、インジェン社を買収したマスラニ・グローバル社の社長にしてハモンドの友人であったサイモン・マスラニの手により新たなテーマパークが建造された。
それが『ジュラシック・ワールド』である。
To be continue