真姫、凛、花陽がμ'sに入って数日後、時期的には梅雨入りを果たした頃である。
三人がμ'sに入ってからあかりにもあるちょっとした変化が訪れた。
今まで昼食は穂乃果達と一緒に食べるか希と一緒に食べるかで基本的には自分の教室で食べたりはしなかったあかりであったが、最近では教室で真姫、凛、花陽と一緒に食べる事が多くなったのだ。
その事もあってか他のクラスメートからも少しずつだが話しかけられる様になった。
年上だからか相変わらず“さん付け(まきりんぱなは除く)”なのだが。
また、時には穂乃果達も加えて7人で食べる事もあったりする。
さて、前置きが長くなったが、今回のラブライブ!9人の女神と鋼鉄の騎士はある日の放課後のμ'sとあかりから物語を始めるとしよう。
「それでは!新生スクールアイドルμ'sの練習を今から始めます!1!」
「2」
「…3」
「…4」
「5!」
「6!」
穂乃果、ことり、海未、真姫、凛、花陽の順での点呼。
海未と真姫に関しては少々呆れ気味だが…
「いいね!いいね!なんかアイドルっぽいよね!」
「…それはもう二週間前のことですよ?」
海未は穂乃果にツッコミを入れる。
「だってだって嬉しいんだもん!」
最初の覚束なかった頃と比べたら流石に(毎日やってる分)慣れたものであった。
勿論、この後に穂乃果がどう言うのかあかりには予測できていた。
「―それはそうと…何であかりちゃん、やってくれないのー!やってよー!」
「だが断る。何回も言った通り、私はあくまでもアイドル部(仮)の部員にしてμ'sのマネージャー。μ'sのメンバーじゃないんだよ」
「私達、そんな事気にしてないよ?」
ことりの言うとおり、気にしているのはあかりのみ。
(…μ'sの“9人”の中に私が入る余地は微塵もないんだよね…)
確かにμ'sは9人揃って漸く完成するユニットだが、あかりはその中に入る気など微塵もなかった。
「いや、私が気にするから。まぁ、私は戦隊でいう番外戦士ポジっていう事で置いといて、これで6人!6人だぜヒヤッハー!」
「そうだね!このメンバーが後には神シックスだとか、仏シックスだとか言われるかもだよ!」
「毎日同じことで感動できるなんて羨ましいにゃー」
穂乃果に対しさり気なく毒舌を吐く凛。
「仏シックスって…死んでるみたい…」
同じく穂乃果に対しツッコミを入れる花陽。
「それにメンバーが増えれば踊りや歌を間違えても誤魔化すことも―「穂乃果」じょ、冗談!
冗談だよ、海未ちゃん!」
「そうだよ。ちゃんとやらないと、また今朝みたいに怒られちゃうよ」
ことりの言うとおり、実は今朝、穂乃果とことりは神田明神で練習していたら黒髪ツインテールにサングラスをした中学生くらいの少女に「解散しなさい!」と言われたのだ。
あかりには希から得た情報もあってかその人物が誰なのかわかっていた。
「でも、それだけ有名になったってことだよね!」
ことりの言うとおり、μ'sの知名度は少しずつ上がってきていた。
「そんなことより練習。どんどん時間無くなるわよ!」
「真姫ちゃんやる気まんまんだにゃー!」
「べ、別にそんなじゃなくて…」
「またまたぁ~凛知ってるよ~!真姫ちゃんがお昼休みに1人でこっそり練習してたの」
「あ、あれは…あれはただ、あのステップがかっこ悪かったから、変えようとしてたのよ!
あまりにも酷かったから!」
「そうですか…」
そんな真姫の言葉に負のオーラを纏わせている者がいた。
「あのステップ、私が考えたのですが…」
その人物―海未は髪を弄りつつ視線を宙に彷徨わせてイジケていた。
「真姫ちゃんは恥ずかしがっているだけにゃ!さぁ、練習いっくにゃー!…あっ」
窓から外を見ると雨が降っていた。
「まぁ、今は梅雨入りまっしぐらだからね」
と呟くあかり。
μ'sの面々は凛を先頭に屋上入り口の扉まで上がっていったが、あかりは付いて行かなかった。
「さ~て、“7人目”はどの様にして引き入れようかなぁ~ねぇ、希」
「そうやねぇ…って、何でウチがいるってわかったん?」
物陰から出て来たのは希だった。
「鍛えられた私の“感”を舐めてもらっちゃ困るよ~」
鍛えられた、と言うのが少々気になるが気にしない事にした。
そんなやり取りをしていた中
「…どうやらあの子達は止めるつもりはないみたいやで、にこっち」
希は歩いてきたにこに言った。
「希…まさかあかりと知り合いだったなんてね…」
「中学校最後の夏休みにアメリカで知り合いになったんよ」
希の言葉にふぅん、と返しにこは去っていった。
「さて、彼女をどうやって陥落させ―いや、引き入れますかな」
去っていくにこの背中を見ながらあかりは呟くのだった。
翌朝。
あかりは穂乃果からの召集を受け、彼女と海未、ことりと共に部設立の申請書を提出すべく生徒会室を訪れていた。
因みに穂乃果は昨日、バーガーショップでハンバーガーを食べてる時に部員が5人以上である事に漸く気付いたとの事である。
穂乃果は申請書を絵里に差し出す。
「…部員は揃えてきたみたいね。でもこの学校には既にアイドル研究部と言うものが存在します」
絵里の返答にあかりはやはりか、と呟く。
「アイドル研究部…?」
「アイドルに関する部で、内容がアイドル部(仮)と被っちゃっているんだよね」
やけに詳しいあかりに海未は疑念を浮かべていた。
「まあ、今は一人だけの部やけどね」
「でも、この前部活には五人以上って…」
「…確かに設立は五人以上必要。しかし一回設立してしまえば、後は何人になろうが問題はない」
「頼尽さんの言うとおりよ。
とにかく、生徒の数が限られている中、いたずらに部を増やすことはしたくないんです。
アイドル研究部がある以上、貴方達の申請を受け付ける訳にはいきません。
これでこの話は終わり―「―になりたくなければ、アイドル研究部とちゃんと話を付けてくることやな」っ希…!?」
希の視線に“何が言いたいのかその意図を理解した”あかりは不適な笑みを浮かべるのだった。
「つまりは二つの部が一つとなればそもそも設立申請書を出す必要がなくなり、この問題はなくなる。
更に部室と“新たな部員”を得る事が出来る」
放課後。
μ'sの面々とあかりはアイドル研究部の部室へと向かっていた。
「あかり、貴方は知っていたいたんですか?」
「アイドル研究部の事かい?」
「えぇ。やけに詳しい様でしたので」
「まぁ、その質問に対する回答はYesだね。
ファーストライブのちょっと後に希から聞いたんだよ。
尤もそのアイドル研究部の“部長”と知り合ったのはグループ名が決まる前日だけどね」
「じゃあ、何で今までその事を黙ってたのよ?」
真姫の問いに
「タイミングを計ってたんだよ。アイドル部(仮)として何れは“彼女”と会うことになるから、その接触するタイミングを、ね」
あかりはそう返答する。
「おっ、噂をすれば何とやら、丁度良いタイミングだね」
あかりはその視界に“アイドル研究部部長”の姿を捉えた。
「にこ先輩、ちょっと良いですか?」
「あぁ、あかりじゃ…っ!?」
アイドル研究部部長―にこはμ'sとあかりが一緒にいて、一緒に来た事に驚いていた。
「あーっ!!じゃ、じゃあ、もしかして貴方が、アイドル研究部の部長!?」
前に出て来た穂乃果も驚いていた。
「あかり、どういう事よ…!何故そいつ等と一緒にいるのよ!」
「何故って、彼女達はμ'sのメンバーであると同時に方の従姉妹と幼なじみと私のクラスメートでもあるんですが、何か?」
にこはとりあえず逃げよう、と考え行動に移そうとするが
「この私から逃げられると思います?」
あかりに先回りされ
「な、アンタ何すんのよ!?というか何て馬鹿力なのよ!」
「私の力を舐めてもらっちゃ困りますよ~みんな、こっちだよ~!」
あかりは片腕でダンボール箱を抱える要領でにこを抱え、先程から面食らって突っ立ってる穂乃果達をアイドル研究部部室へと誘導するのだった。
To be continue