さて、今回のラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神はある日の生徒会室から物語を始めるとしよう。
「…希、何を言ったの?」
現在、ノートパソコンに流されている『これからのSomeday』を見た絵里は希に問う。
「ウチは思ったことを素直に言っただけや。
どこかの誰かさんとは違って。
もう、認めるしかないんやない?エリチが力を貸してあげれば、あの子らはもっと―「なら希が力を貸してあげれば良いじゃない!」」
「―いえ。あなたの力も必要なんですよ、絵里先輩」
そう言ったのは同席していたあかりだった。
「曲のバリエーションも真姫、花陽、凛が入ったおかげで広がりました。
スクールアイドルとしての意識もにこ先輩が入ったおかげでより良くなりました。
ですが、それだけじゃ駄目なんです」
「頼尽さん、何が足りないと言うの?」
「ダンスです。ダンスを次の段階へと上げないと…このままではμ'sは不完全なままで、埋もれた存在と化してしまいます。絵里先輩、話は訊きましたよ」
「何故あなたが知ってるの…!」
「ある日―あなたの妹さんに会った時にファーストライブの動画を撮影したのがあなただと知って、一つ疑問に思ったんですよ。
『ファーストライブの動画を撮影したあなたが何故そこまでμ's、スクールアイドルを否定するのか』と。
それから心当たりがないかと希から話を訊いたんです。あなたが嘗てバレエをしていた事を」
絵里は幼い頃にバレエをしていた。
希から見せられた動画に映る幼き日の絵里はその時点でμ'sを凌駕していた。
だからこそμ'sに絢瀬絵里という存在が欲しい、とあかりは考えたいるのだ。
「…わかっているようだけど、ハッキリ言わせてもらうわ。
私にとって、スクールアイドル全体が素人にしか見えない。
実力があるというA-RISEでさえ…素人にしか見えない」
「…それは彼女達に対する侮辱だと思いますが、今は置いておきましょう。
あなたはそれだけの事を言える程の“もの”を持っているし、あなたの眼から見れば素人呼ばわりも当然だと思います。
だからこそμ'sには絵里先輩が必要なんですよ。
では、私はやるべき事があるのでこれで失礼します」
その後、部室へと向かったあかりであるが…その部室は何やら騒がしかった。
「あっ、あかりちゃん」
「穂乃果、何の騒ぎ?」
「“ラブライブ”です!」
それに答えたのはパソコンに向かってあるサイトを開いている花陽だった。
「ラブライブとは言わばスクールアイドルの甲子園!
出場出来るのはスクールアイドルランキング上位20組!現在第1位のA-RISEは出場確実として…
あぁ~チケット発売はいつなんでしょうかぁ~」
「花陽ちゃん、観に行くつもりなの?」
「当たり前です!アイドル史に残る一大イベントなんですよ!見逃せません!」
ことりにそう返答する花陽。
「花陽の言うとおりよ!これは見逃す訳には行かないわ!」
そんな花陽に同意するにこ。
「花陽…やっぱりキャラ変わり過ぎよ。にこ先輩は…何時も通りね」
「凛はこっちのかよちんも好きだにゃ」
平常運転な真姫と凛。
「なぁーんだ。てっきり『ラブライブ出場に向けて頑張ろう!』っていうことかと思っちゃったよ」
「そ、そそそんな、おおお恐れ多いこと、でで出来ません!」
「だからキャラ変わり過ぎよ…」
「凛はこっちのかよちんも好きにゃー」
結局どんな花陽も好きなんだな、あかりは微笑ましくも思っていた。
「でも、私達もスクールアイドルなんだし目指してみても良いんじゃないかなぁ?」
「ていうか目指さなきゃダメだよ!」
穂乃果の言葉に同意することり。
「でも、現実はそう甘くないですよ。前に見た時はとても狙える様な順位では―」
海未の言うとおり、以前確認した時のμ'sの順位は3桁台だった。
穂乃果はスマホでμ'sの現在の順位を確認する。
「これ見て!」
現在のμ'sの順位は2桁台となっていた。
『いつも楽しく見ています!7人になったんですね!』など多くのコメントが寄せられていた。
「コメントもいっぱい来てる!これなら出場も夢じゃないよね!」
穂乃果の言うとおり、出場できるの可能性は高くなった。
「それじゃあ早速申し込むにゃ!」
「ちょっと待って!申し込むには学校側の許可がいるの」
「つまり、理事長に許可を貰わないといけないってことね。
でも大丈夫でしょ?此処に親族がいるわけだし」
真姫はことりの方をチラッと向く。
「甘いわよ。その前に厄介なのがいるわ」
「生徒会、ですね」
海未の言葉に頷くにこ。
「私達を嫌ってるあの生徒会長が許可すると思う?」
「だったら生徒会じゃなくて直接理事長に許可を貰いに行けば良いんじゃないかな?」
穂乃果はにこの言葉にそう返した。
「確かに校則に直接理事長に許可を貰ってはいけないとはありませんね…」
「とりあえず、話をしてみるだけしてみようか」
あかりの言葉にμ'sの面々は頷き、理事長室へと向かうのだった。
一方、絵里は希を連れて理事長の元へ訪れていた。
「どうしましたか?」
「今日こそ、我が生徒会が廃校阻止の為に活動許可を頂きに来ました」
「…何度来ても、答えは変わりませんよ」
「何故ですか!生徒会の活動は許されないのですか!?
アイドル研究部の活動は許しているのに」
「分からない?」
理事長の言葉に言い返せない絵里は悔しげな表情を浮かべ、背を向け理事長室を出ようとした時だった。
[あれ?みんなお揃いでどうしたん?」
扉の向こうにいたのはμ'sの面々とあかりだった。
「何の用ですか?」
「理事長にお話があって来ました」
絵里の問いにそう返す海未。
「各部の理事長への申請は生徒会を通す決まりよ」
「申請とは言ってないわ。ただ、話があるの」
「真姫、相手は上級生だから此処で止めとかないと厄介な事になるよ」
あかりの言葉を理解している真姫は悔しげな表情を浮かべつつ引き下がった。
「私達はただ理事長と話がしたいだけです。
校則には理事長と直接話をしていけないとはありませんからね」
あかりはそう言った後、ラブライブの事を話した。
「ラブライブねぇ…?」
「はい、本選はネットで全国に中継されます」
「もし出場出来れば、学校の名前をみんなに知ってもらうことが出来るって思うの!」
「私は反対です。理事長は、学校の為に学校生活を犠牲にする様なことはすべきでは無いと仰いました」
穂乃果達と絵里の言葉に対する理事長の答えはこうだった。
「良いんじゃないかしら?」
「ありがとうございます理事長!」
礼を言う穂乃果に対し
「何故彼女達の肩を持つんですか!」
絵里は理事長に抗議する。
「別にそんなつもりはないけれど」
「では、生徒会にも学校を存続させる為に活動をさせて下さい!」
「それはダメよ」
真剣な表情で返す理事長。
「意味がわかりません…!」
「そうですか?簡単なことだと思いますよ」
「…失礼します…!」
理事長の言葉に絵里は苛立ちを隠せず、そのまま理事長室を後にした。
絵里の退室を見届けた理事長は改めて穂乃果達に向いてこう告げた。
「―ただし、条件があります」
いくら娘やその友人の頼みとはいえ簡単に出場を許可するわけにいかない。
「勉強が疎かになってはいけません。
今度の期末試験で一人でも赤点を取るようなことがあったら、ラブライブへのエントリーは認めません。良いですね?」
その条件ににこと凛は崩れ落ち、穂乃果は床に手をついてorzというポーズを取り、絶望感を醸し出していた。
部室に戻った一行だったが…
「大変申し訳ありません!」
「ません!」
穂乃果と凛が机に手をつき、土下座をした。
「…小学校の頃から知ってはいましたが、穂乃果…」
「数学だけだよ!小学校の頃から算数苦手だったでしょ!?」
「あ~そう言えばそうだったね…」
「凛ちゃんは?」
「英語!英語だけはどうしても肌に合わなくて…大体何で日本人の凛達が外国の言葉を勉強しなくちゃならないの!?」
ことりにそう返す凛の言葉に対し真姫が立ち上がる。
「屁理屈言わない!これでラブライブにエントリーできなかったら恥ずかしすぎるわよ!」
「ま、真姫ちゃん怖いにゃ~」
「全く、やっと生徒会長を突破出来たって言うのに…!」
「そ、そうよ!あ、赤点なんか絶対と、取るんじゃないわよ…!」
そう言うにこだったが…明らかに声が震えており、教科書の向きも上下逆である。
「問題なのは穂乃果、凛、にこ先輩だね」
「そ、そういうあかりはどうなのよ!?随分と余裕そうなんだけど!?」
その言葉ににことあかり以外の面々は信じられないという表情を浮かべた。
「に、にこ先輩、それ本気で言ってるんですか…!?」
花陽の言葉に頭を傾げるにこ。
「あかりに関しては問題ないわよ…多分、この中で一番頭が良いのは…」
「あかりちゃんだにゃ~」
「あかりはこの音ノ木坂学院に全教科満点で首席入学してきた程の学力を持っています」
「ご両親の仕事の都合といってもアメリカに何年も留学してた程だし…」
真姫、凛、海未、ことりの言葉に
「首席…入学ぅ!?」
にこが驚くのも無理はない。
にこはあかりに関して『アメリカからの帰国子女』とは知っていたが、首席入学に関しては知らなかった。
「それにあかりちゃんって小学生の頃は神童って呼ばれてた程だから私達とはそもそも次元が…」
穂乃果の言う通り、小学生の頃のあかりは神童と呼ばれていた…そしてそれは今でも変わらないのだ。
「私の事は良いから、それよりも問題は穂乃果、凛、にこ先輩だよね」
にこに付きっきりで教えるのも一つの手だが、何時“仕事”が入るのか分からないし、穂乃果や凛の方も見ておきたいと言うのがあかりの考えだ。
「にこっちはウチが担当するわ」
そんな時、希が救いの手をさしのべるのであった。
To be continue