ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第24話『9人の女神』

生徒会の今回の議題は無論『二週間後のオープンキャンバスのイベントについて』である。

「…これより生徒会は独自に動きます。

何とかして廃校を喰い止めましょう」

絵里の言葉の後、書記の子と会計の子が顔を見合わせる。

その顔は何か言いたげな様子であった。

「どうしたん?もしかして何か考えがあるん?」

「い、いや…そういう訳じゃ…」

「言いたいことあるんだったら、言った方が良いよ」

希の後押しを受け、書記の子が口を開いた。

「あの、これってこの学校の入学希望者を増やすためにはどうしたらいいかっていう話ですよね?」

「ええ、その通りよ」

「だったら楽しいことを沢山紹介しませんか!?

歴史とかも大事だと思いますが、今までの生徒会は何と言うか…堅い感じがしてましたし…」

「例えばこの学校の制服ってかわいいともっぱらの評判なんですよね!」

「それに、スクールアイドルとかも今流行っているよね!」

「そうだよね!あ、そう言えば東條先輩はμ'sのマネージャーの頼尽さんと仲良いですよね!頼尽さんを通して皆にライブを―」

「待ちなさい!まだ決まっていないでしょう!?…他には?」

絵里のその言葉に盛り上がっていた役員達は黙ってしまった。

 

 

その日の放課後、とあるハンバーガーショップにアイドル研究部の8人は集まっていた。

「生徒会長に!?」

「えぇ、生徒会長にダンスを教えてもらえないか頼もうかと」

凛の言葉に海未はそう返した。

「私は反対よ!あの生徒会長は私達を目の敵にしているのよ!

何をされるかわからないわ!」

「生徒会長、ちょっと怖い…」

にこや花陽の言い分もわからなくはない。

「穂乃果はどうする?」

「私は受けようと思う」

「即答、だね」

「だって、上手い人から教わろうって事でしょ?」

あかりにそう返す穂乃果。

「まぁ、私も海未と同じ様に頼もうかと思ってたんだよね。正直に言って今のμ'sは不完全な状態で、このままじゃきっと中学生を感動させるのはちょっと難しいかなぁと思う」

あかりが言う事も最もである。

翌日、二年生組とあかりは生徒会室を訪れ

「貴方達…」

「おはようございます!生徒会長に、お願いしたいことがありまして!」

ダンスのコーチを頼みに行った。

「私達に、ダンスを教えてくれませんか!?」

「…私がダンスを?貴方達に?」

「お願いします!私達、上手くなりたいんです!」

絵里は一瞬だけ海未との視線がぶつかり合った後

「…分かったわ。貴方達の活動は理解できないけど、人気があるのは間違いようだし、引き受けましょう。

ただし、やるからには私が許せる水準まで頑張ってもらいます」

 

 

あかりは練習風景を眺めつつオープンキャンバスでのライブの計画を練っていた。

一方の絵里はまず基礎練習を行わせていた。

「痛いにゃあああああ!」

絵里に背中を押され悲鳴を上げる凛。

「身体硬過ぎ!少なくとも、足を開いた状態で床にお腹が付くぐらいにはならないと!

柔軟性を上げることは全てに繋がるからまずは全員がコレを出来る様に。でないと本番は一か八かの勝負になるわよ!」

絵里の言うとおりであった。

そんな中、ことりは見事足を開いた状態で腹部を床に付け、他のメンバーは感心していた。

「感心してる場合!?ダンスで人を魅了したいんでしょ!?このくらい出来て当然よ!」

その後も基礎練習は続く。

平行感覚を鍛える為の片足立ちをやっている時、花陽がバランスを崩して倒れた。

あかりはすぐさま花陽の元へ駆け寄り、花陽の身体に異常がないか確認する。

異常なし、とあかりが判断した後、絵里はこれ以上は無理だと判断し

「もういいわ…今日はここまで」

と告げた。

「何よそれ!?」

「ちょっと、そんな言い方ないんじゃないの!?」

真姫とにこの言葉に

「私は冷静に判断しただけよ」

絵里はそう返す。

絵里を非難するμ'sの面々の気持ちもわからなくはないが、自分も同じ判断を下していただろうというのがあかりの考えであり、だからこそ口出ししなかった。

「今度のオープンキャンパスには学校の存続が掛かっているの。

もし出来ないのなら時間がもったいないから早めに言って」

絵里が立ち去ろうとした時

「あの!」

穂乃果は絵里に声を掛け

「ありがとうございました!また明日もよろしくお願いします!」

礼を言ったのだ。

『『お願いします!』』

他のメンバーも礼を言う。

絵里は驚かずにはいられなかった。

こんなにも冷たくしているのに何故礼を言うのか…そんなにも強い目を持っているのか、と。

その“目”から逃げるかの様に絵里はその場を後にした。

 

 

 

その日の夜。絵里はリビングから自室に戻る途中で亜里沙の鼻歌が聴こえてきて、亜里沙の部屋へ入った。

『これからのSomeday』のPVを見ている亜里沙は夢中になって見て聴いていた。

「お姉ちゃん?」

「貸して、亜里沙」

絵里は亜里沙が右耳に着けていたイヤホンを借りて自分の右耳に着ける。

「亜里沙ね…μ'sの歌を聴くと元気をもらえるんだ」

「元気をもらえる…?」

「うん!」

「こんな素人レベルのパフォーマンス…」

「お姉ちゃんから見たらダメダメかもしれない。

でも、μ'sのみんなが楽しく歌って踊っているところを見ると元気を貰えて、亜里沙も頑張ろうって、そう思えるの!」

 

翌日の早朝。

絵里は屋上への入り口のドアの前まで来たが…楽しそうに、だけど真剣に練習に取り組む穂乃果達の声が聞こえてきてドアを開ける気になれなかった。

「…生徒会長?」

階段を上がってきた真姫。

真姫に押される形で屋上に出る絵里。

「あ、生徒会長!今日もよろしくお願いします!」

『『よろしくお願いします!』』

穂乃果が挨拶をし、他のメンバーもそれに続く。

「貴女達、辛くないの…?これからオープンキャンバスまでずっと同じことが繰り返し続いていくのよ。

貴女達を嫌ってる私にやらされて、上手くなるかも分からないのにこんな事を続けて、とても意味が有るとは―「やりたいからです!」…え…?」

穂乃果は続ける。

「確かに練習はキツイです…身体中痛いです!でも、学校を救いたいっていう気持ちがあるから乗り越えられるんです!

それに…私はスクールアイドルが、μ'sが大好きなんです!

μ'sの…アイドル研究部のみんなと廃校を阻止することが、私のやりたいことだからです!」

(やりたい事をやっている彼女達に対し自分はどうなの?)

自分の事が惨めに思えてきた絵里はその場にいるのに耐えきれなくなって逃げ出した。

 

 

急な“仕事”が入ってきて来るのがちょっと遅れたあかりは屋上へ向かう途中、絵里と希の姿を見て思わず物影に隠れた。

「ウチな、エリチと友達になって、一緒に生徒会をしてきて、ずっと思っていたことがあるんよ。

エリチの本当にやりたいことは何なんやろうって…。

一緒にいるとわかるんよ。エリチが頑張るのは何時も誰かの為ばっかり…だから何時も何かを我慢している様で…」

「そんなこと―「学校を存続させようとするのも、生徒会長としての義務感なんやろ!?

だから理事長もエリチの事を認めなかったと違うん!?」っ…!?

何よ…何とかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃない!

私だって、好きな事をやるだけで良いならそうしたいわよ!

私は彼女達に嫉妬してた…そして何時の間にか魅了されてて…私も同じ場所に立ちたい…μ'sに入りたいと思う様になっていた!

だけど…今更アイドルを始めたいってあの子達に、今まで散々酷い事を言って否定してきたのに言えると思う…?

こんな私なんかに彼女達と同じ舞台に立つ資格なんて…!」

絵里は希に背を向け逃げる様に走り出した。

だが希は、そしてあかりは絵里が涙を流していた事を見逃してなかった。

「―盗み聞きをする気はなかったんだけどね」

あかりは希の前に顔を出す。

「あかりちゃん、ウチが今どうしたいかわかる?」

「当然」

あかりは希と共に屋上へ向かった。

 

 

今は誰もいない教室。

(これからどうすれば良いのかしら…)

空を見上げ呆然とする絵里へ差し伸べられた穂乃果の救いの手。

μ'sのメンバー、更にあかりと希の姿があった。

「生徒会長…いえ、絵里先輩!μ'sに入って下さい!スクールアイドルとして、一緒に歌って欲しいんです!」

続いて海未はこう言った。

「絵里先輩の力が私達には必要なんです」

「私の力…本当に…?」

絵里の言葉に皆が頷く。

「前に私が言ったじゃないですか。貴方の力が必要だって」

そして、あかりの言葉に涙を流す絵里。

「今までごめんなさい…そして、ありがとう…」

絵里は涙を拭い、差し伸べられた穂乃果の手を握るのだった。

「これで“9人”揃い、遂にμ'sというユニットが完成した」

あかりの言葉に問わずにはいられない穂乃果。

「それってどういう事なのあかりちゃん!?」

だが、それに答えたのは希だった。

「あかりちゃんの言うとおりの意味や。ウチを入れてμ'sは9人となり完成した。占いで出てたんよ。このグループは9人になった時に完成し、未来が開ける。

だから付けたんよ…9人の歌の女神『μ's』って」

「えぇっ!?あの名前を付けてくれたのって希先輩だったんですか!?」

驚きのあまりそう言わずにはいられない穂乃果。。

「あかり、貴方は気付いてたのですか…!?」

「筆跡とその手の知識を持っているという点でとっくの昔に気付いてたよ」

「希…“あかり”…全く、貴方達に呆れたわ」

絵里はそう言った後、ドアの方へ歩いていき笑顔で皆に呼びかけた。

「さぁ、練習始めるわよ!」

『『はい!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰宅後、あかりはベットの上に寝転がってこう呟いた。

「ヴェル…後は廃校を阻止するたけだよ…ヴェル、一緒に学園生活を送りたいな…ヴェル…」

あかりのスマホにはヴェルの写真が表示されていた。

 

 

 

「あかり…何時になったら会えるのか…」

一方のヴェルもネストの基地の宿舎でそう呟いた。

「あかり…1日でも早くまた会いたい…」

 

 

 

 

 

To be continue 3rd stage…

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