ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第30話『亀裂』

あかりがジーオスと交戦していた頃、μ'sの面々は穂乃果のお見舞いに来ていた。

「みんな…心配をかけてごめんね…」

「謝ることじゃないわ。みんな気にしてないわよ」

絵里は笑みを浮かべてそう返す。

「あの…今回のお詫びにまたライブをしたいんだけど良いかな?ラブライブも近いし…」

穂乃果の言葉に絵里は言いづらそうな表情を浮かべるが、決心して言った。

「穂乃果、ラブライブには出場しない事になりました。

理事長に言われたの…無理をしてたんじゃないかって…

出場や順位に拘って無理をしたから今回の事態の間接的な原因になったんじゃないかって…

だから、9人で話し合って決めたの。

ラブライブへの出場は辞退するって。

ランキングに私達の名前はもう…」

それは穂乃果にとってとてもショックな事であった。

一人になった時、穂乃果は涙を流し泣いたのだった。

 

 

数日後、体調も回復した穂乃果はラブライブのポスターを見ると未練がましくそれを見ていた。

「あんたも諦め悪いわね」

「だって…」

にこに言い返そうとする穂乃果。

「はぁ…希」

にこの言葉に希は頷き、穂乃果の胸を揉むのだった。

「ちょっ、希ちゃんやめて~!」

「穂乃果ちゃんが元気にしてればウチらも気にせえへんよ」

「それとも気を使って欲しいの?」

「わ、わかったよ…」

希は穂乃果への拘束を解く。

生徒玄関に到着した穂乃果達の前に

「だ、ダレカタスケテー!」

花陽が慌てた様子で来たのだ。

「花陽ちゃん?」

「タ、タスケテじゃなくて大変です!」

花陽に言われ掲示板を見ると…

『来年度生徒募集のお知らせ』

と見出しにそう大きく書かれた紙が貼ってあったのだ。

「つまり廃校を取り消すって事だよね…!やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

穂乃果は喜びの声を上げるが、その思いは皆同じであった。

「あっ、あかりちゃぁぁぁん!」

「穂乃果…ごめん…私の判断ミスだよ…

私がもっと気をつけてればライブも台無しにならなかったのに…」

「ううん。悪いのは体調管理を怠った私だから、あかりちゃんのせいじゃないよ。

それよりこれは見た?」

穂乃果はあかりに件のポスターを見せる。

「学校…存続だと…!?本当だよね…!夢じゃないんだよね!?」

あかりの言葉に皆は頷き、あかりもまた大喜びすると共にこう思っていた。

(これで私もお役目御免だね…)

 

それからμ'sの面々はあかりも加えて部室でパーティーをする事となり、盛り上がっていたのだが…

海未とことりの様子は他の面々と異なり、深刻な表情を浮かべていたのだ。

「ことり…」

「でもみんな楽しんでる時に…」

ことりが言えないなら自分が、と考えた海未は

「皆さん、重大なお話があります」

と立ち上がり、皆に呼びかけたのだ。

「突然ですが、ことりが留学する事になりました」

その言葉に皆はショックを受ける。

「…前から服飾について勉強したいって思ってて…そしたら、海外にいる有名なデザイナーの元で勉強してみないかって話が来て…」

「いつ日本を…」

「来週には…」

と花陽の言葉にそう返すことり。

「どうして…どうして言ってくれなかったの…!ずっと、ずっと一緒だったのに…!」

穂乃果はことりに問う。

「何度も、言おうとしたよ…でも、穂乃果ちゃん、ライブやるのに夢中で…ラブライブに夢中で…

聞いてほしかったよ!穂乃果ちゃんには…!一番に相談したかった…!」

ことりは泣き出して走り出ていったのだった。

「…ずっと迷っていたみたいです。行くかどうか…

むしろ、行きたがっていなかったように見えました。

ずっと穂乃果の事を気にしてて、穂乃果に相談したら何て言うか…そればっかりで…

本当にライブが終わったらすぐに相談するつもりだったんです…

…ことりの気持ちも、分かってやってください」

「そんなの…そんなの…」

穂乃果は誰も寄せ付けないかの様にふらふらと教室を後にした。

「あかり、今まで言えなくてすいませんでした」

「いいや、どうするかなんて本人次第だからね、私からは何も言うことはできないよ」

そう言いつつあかりの頭の中にある考えが浮かぶのだった。

(私は……そもそも廃校を阻止する為に協力しているだけ…目的は達せられた…その後どうするかはみんな次第…だが…こんな結末、私は…)

 

 

 

 

翌日、ことりを除いた9人は屋上に集まっていた。

「ライブを…?」

穂乃果の言葉にあかりを除いた7人は頷く。

つまり、ことりが出発する前にもう一回ライブをしようという事であった。

「思いっきり賑やかなのにして、門出を祝うにゃー!」

穂乃果の返答は…

「私がもっと周りを見ていれば、こんなことにはならなかった。自分が何もしなければ、こんなことにはならなかった!」

それは穂乃果が今までしてきたこと―そしてμ'sを全否定するものであった。

「そうやって自分一人で全てを背負い込もうとするのは傲慢よ。

それに、言った所で何も始まらないし、誰も良い思いはしない」

「ラブライブだって、きっと次があるわ」

「そうよ。今度こそ出場するんだから、落ち込んでいる暇なんてないわよ!」

絵里や真姫、にこの言葉を穂乃果は拒否する。

「出場してどうするの?もう学校は存続できたんだから、出たって意味ないよ。

それに無理だよ…いくら練習してもA-RISEみたいになれっこない…」

「…あんたそれ、本気で言ってる?本気だったら許さないわよ?」

沈黙を貫く穂乃果。

その穂乃果ににこは我慢の限界を超えていた。

「許さないって言ってるでしょ!?」

「にこちゃん駄目!」

真姫はにこを押さえているが、解放されたらにこは真っ先に穂乃果に手を上げるだろう。

「にこはねぇ!あんたが本気だ思ったから!あんたが本気でアイドルやりたいんだって思ったからここに懸けようって!

そう思ったからにこは!

あんたはそれをこんなことくらいで諦めるの!?こんなことくらいでやる気を無くすの!?」

にこの言葉に黙秘を貫く穂乃果。

「じゃあ、穂乃果はどうしたいの?」

絵里の問いに穂乃果はこう返答した。

「辞めます…スクールアイドル、止めます」

穂乃果は発言を撤回しようとせず、それどころかこの場を立ち去ろうとした。

そんな穂乃果の手を掴んだ海未。

穂乃果が振り向くと海未は穂乃果の頬にビンかましてこう言った。

「貴方がそんな人だとは思いませんでした…

貴方は…貴方は最低です!

 

 

その日からμ'sは廃校阻止やラブライブ出場という目標がなくなった今、その存在についてもう一度見つめ直そうという事になり、活動停止となった。

ことりは留学の準備の為に長期休みに入り、穂乃果と海未は会話が少なくなった。

 

 

その海未はあかりと二人で話をしていた。

「海未ちゃんはこれからどうするの?」

「私がスクールアイドルを始めたのは、穂乃果とことりが誘ってくれたからです。

その二人がいなくなるのなら私は…

今回、穂乃果に辞めると言わせたのは私の責任です。あかりはどうするのですか…?」

「私は…まずは私の好きにする。まずはそれからだよ」

 

 

あかりは仕事を片付けた後、ことりの元を訪れていた。

「さっきまで海未ちゃんも来てたんだよ」

「そっか…」

「私はね…“私自身”としてはこんな展開、望んでないんだよ。

ことり、本当にこれで良いの?」

言葉を返そうにも言葉が出て来ないことりにあかりはこう言った。

「アメリカにいた時、知り合いがこう言ってたんだよ。

『何年も何十年もその先に後悔しない為にも“選択”を誤るな』

と。

ことり、後悔しない様に選択だけは誤らないように、ね…」

そう言うあかりはどこか悲しげでもあった事にことりは気付くのだった。

 

 

 

 

To be continue

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