一方、穂乃果のクラスメートであり、友人であるヒデコ、フミコ、ミカの三人は意気消沈している穂乃果を励まそうと彼女を誘って遊びに出かけた。
その中、ゲームセンターにあるダンスゲームをする事になった。
穂乃果の番が来るのだが、彼女の脳裏にμ'sの面々とダンスの練習をしている光景が浮かび上がり、立ち尽くしていた。
「穂乃果!始まってるよ!」
「あっ!」
指摘され、遅ればせながらもプレイを開始する穂乃果。
その記録はかなりの高得点で、序盤のミスがなければハイスコアを更新していたかもしれないものだった。
「穂乃果凄いじゃん!やっぱりダンスをずっとやってた人は違うね!」
それから4人は色んな所を回り
「それじゃあ、また明日!」
「うん!バイバーイ!」
解散した後、穂乃果は何となく神田明神へと向かった。
其処では花陽と凛が基礎練習を行ったいた。
「あっ、穂乃果ちゃん…」
穂乃果に気付いた凛は声を掛ける。
「二人共、練習してたんだ…」
「当たり前でしょ!続けてるんだから!」
そう返したのはにこであった。
「続けてる…?」
「そうよ、私達は続ける事にしたのよ」
μ'sは活動停止した中、にこは花陽と凛を誘ってアイドル活動を継続する道を選んだ。
「でも、どうして…」
「好きだからよ!にこはアイドルが大好きなの。みんなの前で歌って、ダンスして、みんなと一緒に盛り上がって…
また明日からがんばろうって、そういう気持ちにさせることができるアイドルが、私は大好きなの!
いい加減な気持ちで辞めた穂乃果と違う「いい加減なんかじゃない!」」
穂乃果の言葉に反論しようとするにこであったが花陽に宥められ、抑えた。
「あかりちゃんにも言ったんだけど、実は今度、私達3人でライブをする事になったの」
「穂乃果ちゃんが来ると盛り上がるにゃー!」
「って言うかアンタが始めたんだから、絶対に来なさいよね!」
穂乃果の自宅―つまり和菓子屋『穂むら屋』の前。
「雪穂、これはシュークリーム?」
「違うよ、これは饅頭だよ」
興味深そうに饅頭を見る亜里沙に雪穂はそう返し
「ハラショー…」
と亜里沙は呟いた。
「すみません、わざわざ送ってもらって…」
「良いのよ。それに私も来たいって思ってたから」
礼を言う雪穂に絵里はそう返した。
「そうだ!上がっていってください!お姉ちゃんも喜びます!」
「はい、どうぞ」
「ありがとう、穂乃果」
客間にて絵里は穂乃果が差し出した茶を飲んで一息つく。
「私ね、よくしっかりしているとか言われるけど…本当はそうじゃないの。
あの頃は何かに追われてる様で…とにかく廃校を阻止しなきゃって死に物狂いになってた。
でも、そんな時に私は穂乃果に大切なことを教えて貰ったの。
変わることを恐れないで、突き進む勇気…。
私はあの時…あなたの手に救われた」
絵里は穂乃果を抱き締め
「ありがとう…穂乃果…」
感謝の言葉を述べた。
「私の方こそ、絵里ちゃんには助けられてばかりだよ」
穂乃果も抱き締め返すのだった。
そして、穂乃果の中である決心がついたのだった。
翌日。あかりと海未は穂乃果に呼び出され、講堂にいた。
「ごめんね二人とも、急に呼び出したりして」
「いえ…」
「別に構わないよ」
「…ことりちゃんは?」
「今日、日本を発つそうです」
「そう、なんだ…」
暫くの沈黙の後、穂乃果は口を開いた。
「あのファーストライブの時にね、私もっと歌いたい、踊りたいって思ったんだ。辞めるって言ったけど、気持ちは変わらなかった。
学校の為とか、ラブライブの為とかじゃない…歌うのが大好きだから!だから、ごめんなさい!
夢中になり過ぎちゃってこれからも迷惑をかけるかもしれないけど、それでも私は追いかけていたい!」
穂乃果の思いを聞いたあかりと海未だったが…思わず笑ってしまった。
「ちょ、海未ちゃんあかりちゃん!?私、真剣なんだよ!」
「sorry,ちょっと、ねぇ海未」
「えぇ、あかりの思っている通りです」
二人の反応に頭を傾げる穂乃果。
「穂乃果、はっきりと言いますが穂乃果には昔からずっと迷惑かけられっぱなしですよ。
どんなに止めても夢中になったら何も聞こえてなくて…
だいたいスクールアイドルだって…私は本気で嫌だったんですよ?
どうにかしてやめようとしましたし、穂乃果を恨んだりもしました。
ですが、穂乃果は連れて行ってくれるんです。
私達じゃ行けない様なすごいところに。
穂乃果に振り回されるのはもう慣れっこなんです。
あの時、穂乃果に怒ったのは穂乃果が自分の気持ちに嘘を付いているのがわかったからです。
穂乃果、私達の知らない世界へ連れて行ってください!それが穂乃果のすごいところなんです!
私もことりもあかりも、μ’sのみんなもそう思っています!」
「さぁ、穂乃果!ことりが待ってるよ!迎えに行って!」
「えぇ!?でも…」
「ことりは穂乃果から我が儘思いっきり言ってもらいたいんだよ」
「我が儘ぁ!?」
「有名デザイナーに見込まれたのに“残れ”って我が儘を言えるのは穂乃果しかいない!」
そして、あかりは穂乃果にタクシー代を渡しこう続けた。
「だから、後悔しないように、ね」
一方、とある空港ではことりが搭乗する予定の旅客機への搭乗時間が刻一刻と近付いていた。
ことりがロビーにあった椅子から立ち上がり、移動しようとしたその時だった。
「ことりちゃん!」
「穂乃果ちゃん…!?」
穂乃果はことりの手を掴んでいたのだ。
ことりが振り向くと同時に穂乃果はことりを思いっ切り抱き締めた。
「ことりちゃんごめん!私スクールアイドルやりたいの!いつか違う夢に向かう時が来るとしても…!行かないで!」
穂乃果のありったけの思い。
「ううん、私の方こそごめんね…私…自分の気持ち、わかってたのに…!」
ことりは思いっ切り泣いた後、穂乃果と共にタクシーに乗って音ノ木坂学院へと向かった。
同じ頃、あかりはライブの準備を海未に任せて理事長の元を訪れていた。
「それは本当なの?」
「彼方には私から話をして高校卒業まで待って改めてどうするか答えを聞く、と期間を延長してもらいました」
あかりがそう言った時、彼女のスマホに穂乃果からのメールが入った。
『ことりちゃんと一緒に向かってる』
「ことりは決心したそうです。穂乃果達と一緒に歩んでいく道を」
あかりのその言葉に
「こうなる可能性も薄々考えてはいたけれど…全く、あなたには適わないわね。流石は“神童の鬼女”ね」
「買い被り過ぎですよ。私はただ後悔しないよう―あの子達が後悔しないよう動いただけに過ぎません」
「まぁ、そういう事にしておくわ。とりあえず、向こうには私の方からもう一度話をしておくわね」
「ありがとうございます」
そう言ってあかりは理事長室を後にして講堂へ向かうのだった。
「開演まであと10分…本当に間に合うわよね…!」
「心配しなくても大丈夫だよ」
にこに対しあかりがそう返した時だった。
「うっわぁぁぁ!」
廊下に繋がっている扉が開いて穂乃果が走りながら入ってきて
「いったぁぁぁぁい!」
尻餅をついたのだ。
「みんな!遅れてごめんね!」
「おかえりなさい、ことり。さて、全員が揃ったところで部長、一言」
絵里はにこを指名し
「えええっ!?な~んてね!今度はちゃんと考えてあるわよ」
にこは突然の指名に声を上げるがすぐにその表情は余裕の色を見せる。
以前―合宿の時はグダグダになってしまったが、流石に同じ手は二度も喰わないようである。
「良い!?今日皆を、一番の笑顔にするわよ!」
円陣を組み、それぞれのピースサインが合わさったそれは、大きな一つの星となり
「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
!5!」
「6!」
「7!」
「8!」
「9!」
『『μ's!ミュージックスタート!』』
点呼を行い、ステージへと移動する。
「皆さんこんにちは!μ'sです!」
ライブは穂乃果の挨拶から始まった。
「私達のファーストライブはこの講堂でした!」
(…μ'sはこの講堂で、3人のライブから始まった…
完敗からのスタートだったのが今や講堂は満席で立ち見する人がいる程…)
あかりはファーストライブの事を思い返していた。
「その時、私は思ったんです!いつか、ここを満員にしてみせるって!
一生懸命頑張って、今私達がここにいる…この思いをいつか皆に届けるって!その夢が今日…叶いました!」
だが、その夢はまだ終わらないという事をあかりは分かっていた。
「だから私達は、また駆け出します!新しい夢に向かって!!」
9人揃っての『START:DASH』。ここからが9人の新たな始まりだった。
舞台袖からライブを見ていたあかりは楽しそうに踊り、輝いている9人に手を伸ばす。
(あぁ…其れで良い…眩しいな…私怨で血塗られた私とは正反対の輝かしい存在…)
あかりも既に決断を下していた。後はその決断―いや既に決めていた事を告げるだけである。
ライブ終了後、あかりは希と絵里にある書類を提出した。
「あかり、これは何の冗談なの…?」
「冗談なんかじゃない。…私はそもそも廃校を阻止するまでという条件でμ'sのマネージャーとして協力していた。
その目的が達せられたから…それに皆は私がいなくてもやっていけるよ。
それに私は本来は“輝いている”みんなと一緒にいちゃいけないから…だから私は決断を下したんです」
あかりが提出した書類。それは『退部申請書』であった。
To be continue