ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第32話『咎人』

さて、今回のラブライブ!9人の女神と鋼鉄の騎士は前回のラストから物語を始めるとしよう。

ライブ終了後、あかりは希と絵里にある書類を提出した。

「あかり、これは何の冗談なの…?」

「冗談なんかじゃない。…私はそもそも廃校を阻止するまでという条件でμ'sのマネージャーとして協力していた。

その目的が達せられたから…それに皆は私がいなくてもやっていけるよ。

それに私は本来は“輝いている”みんなと一緒にいちゃいけないから…だから私は決断を下したんです」

あかりは『退部申請書』を出して、絵里や希の制止を聞かずに講堂を後にした。

 

 

そして、翌日放課後のアイドル研究部部室。

「皆に集まってもらったのは他でもない…あかりの事よ」

絵里は話を切り出した。

今回の議題は“昨日の頼尽あかりの退部”についてである。

「あかりにこの事を訊こうとしても逃げられたりはぐらかされたりして…」

と現状を言う真姫。

「私達…あかりちゃんの事を殆ど知らないよね…」

「…そうですね…私達はあかりの事を…」

穂乃果の言葉を肯定する海未。

「ただ、わかるのはアメリカから帰ってきてからずっと何かを隠している様な気がする事、だよね…」

ことりの言うとおりであった。

「…実はな、あの合宿の時…あかりちゃんが寝言を英語で言ってたんやけど…」

「寝言…ですか?」

「えぇ、海未は知らないかもしれないけど、枕投げをした後、あかりが悪夢にうなされているかの様に苦しんでたのよ」

と返す絵里。

「その時に言ってた事を翻訳するとこうなるんや…『憎い、殺してやる、地に墜ちろ』」

その言葉に皆は驚愕した。

「あかりの御両親は事故で亡くなったって聞いたけど…

あかりは“嘘”をついているか…或いは本当だとしても何かを“隠している”…そんな気がするのよ」

絵里の言葉の後、穂乃果はこう口にした。

「私、あかりちゃんの家に行ってくる」

「穂乃果、あかりの家が何処なのか知っているのですか!?」

海未の言葉に穂乃果は首を横に振る。

「けど、行かなきゃならない!」

「ならば、私達も行くわ!それに先ずはあかりの家の場所を聞き出すのが先よ」

「ウチらは知らなければならない…頼尽あかりの抱えている“もの”を」

にこと希の言葉に皆は頷くのだった。

 

 

理事長。

「失礼します」

絵里の言葉に続いてμ'sのメンバーだっが、理事長室には先客がいたのだ。

「どうしたの?絢瀬さん」

「頼尽さんに“今日中に渡したいもの”があるんですが頼尽さんの家の場所が分からなくて…」

「待ってて。今、地図を印刷するわ」

理事長がパソコンを操作していた間、先客がμ'sのメンバーに話し掛けてきた。

「君達がμ'sだね。噂はかねがね聞いているよ」

「えっと…あなたは…」

穂乃果の言葉にその先客はこう答えた。

「私は国連特殊災害対策機関《ネスト》の日本支部総司令官の立木つばめだ」

「ネストって怪獣などの特殊災害の…ても、なんでそんなお偉いさんがどうして…」

希の言葉につばめはこう答えた。

「私の部下が世話になっているからね」

「部下…」

頭を傾げる穂乃果につばめはこう口にする。

「君達もよく知る人物だよ。最近まで君達μ'sのマネージャーをしていたからね」

亜里火の言葉にμ'sの面々は驚くしかなかった。

「まさか…あかりちゃんか…」

「でも、あかりがネスト隊員ってどういう事なのですか…?」

ことりと海未の言葉につばめはこう続けた。

「君達はアデプトテレイターという存在は知っているか?」

殆どの者が首を傾げる中、真姫だけは違っていた。

「何かしらの事情によって身体の殆ど…例えば脳や脊髄など以外の身体の部位を機械の義体にした者達或いは"ある生命体の細胞"…金属細胞と一体化した者達の事…

ただ、義体や金属細胞との適合率の問題からその数は少なく、また誰がアデプトテレイターなのか…そもそも実在するかわからない存在…」

「だいたいそれで合っているよ。流石はあの西木野先生の娘だよ」

「でも、どうしてあかりがそのアデプトテレイターになったのよ…」

にこの言葉につばめはμ'sの面々に問う。

「彼女の身に何が起きたのか知りたいか?」

その言葉にμ'sの面々は静かに頷く。

「…良いだろう、君達を信じて話そう。但し、これだけは約束してほしい。彼女を“拒絶”する事だけはしないでほしい…もししたのなら私は君達を許さない」

つばめはμ'sの面々にあかりの過去について語る。

「―これが、頼尽あかりの過去だ。さて、君達はこれからどうする?」

つばめの言葉に穂乃果は皆を代表して答えた。

「あかりちゃんに会いに行きます。もう一度、友達になる為に」

その答えに満足したのかつばめは笑みを浮かべるのだった。

 

時を同じくして、あかりは自室のベッドの上で寝転がっていた。

「これで良かったんだよね」

と呟くあかりはベッドの近くにある写真を見詰める。

アメリカを立つ前に穂乃果達と撮った写真やアメリカで希と撮った写真、そしてオープンキャンバスでのライブの後に撮った写真…。

それらを眺めていたあかりの元に連絡が入る。

「―了解、すぐに現場へ向かいます」

今回も近くにジーオスが出現したという連絡だった。

あかりは地下格納庫へ行き、トランステクターに乗って出発するのだった。

 

 

「ここがあかりちゃんの家…?」

「えぇ、地図によると間違いなく此処よ」

穂乃果に対し絵里は地図をもう一度確認して言った。

「こんな広い所に一人で住んでるなんて…」

「でも、何だか寂しいにゃ」

花陽と凛がそう言った後、警報と共に門が開く。

「何が起きてるのよ!?」

にこが言うのと同時に

『発車します、門から離れてください』

という警報が鳴る。

数秒後、車庫から銀色のトラックが発車した。

その時、穂乃果は運転席に座っている人影を見逃さなかった。

「今の…あかりちゃんだった…みんな!あのトラックを追い掛けよう!」

穂乃果はそう言ってあかりを乗せたトランステクターを追うのだった。

 

「やっぱり、走って車に追い付くのは無理があるわね…」

真姫の言うとおりであった。

結局、μ'sの面々はあかりを見失ってしまった。

「どこに行ったのかな」

花陽の言葉の後、爆発音とジーオスの鳴き声が響き渡った。

「みんな、行くわよ。…あかりは恐らく彼処にいる」

絵里の言葉に皆は頷くのだった。

 

 

 

 

一方、その爆発現場ではバトルマグナスとなったあかりとジェネラル級ジーオス達との戦いが繰り広げられていた。

「はぁぁぁぁぁ!」

バトルマグナスが振りかざした刀によってジーオスは真っ二つにされ、機能を停止させた。

「ジーオスの殲滅を確認」

『了解。此方でも反応の消失を確認』

オペレーターとの通信を切り、ビークルモードに変形しようとしたバトルマグナスだったが…

「待って!」

声がした方を向くとそこには穂乃果が、μ'sの面々の姿があった。

「あかりちゃん…だよね?」

穂乃果はバトルマグナスにそう問うのだった。

 

 

「この辺りの筈ですが…」

海未の言葉通り、μ'sの面々は爆発現場―バトルマグナスとジーオスが交戦している場所の近くにいた。

「みんな!あれ!」

花陽は皆を呼び、皆は花陽が指差す方向を見る。

「あれがつばめさんが言ってた…」

ことりがそう言った後、バトルマグナスはジーオスを真っ二つにし、戦闘は終了した。

少しして、その場を去ろうとするバトルマグナスを

「待って!」

穂乃果は飛び出して引き止める。

その後に続いてμ'sの面々もバトルマグナスの前に姿を現す。

「あかりちゃん…だよね」

穂乃果の問いに

「仮にそうだとして何故そうだと思う?」

とバトルマグナスは問い返す。

「トラックに乗って家を出るあかりちゃんを見たから」

「それに、その姿からあのトラックへ変形する姿を私と花陽は見てる。亜里火さんから話を聞いたわ。あなたがアデプトテレイターだって事を」

絵里の言葉の後、暫く黙っていたバトルマグナスだったが、ボイスチェンジャーを解除してこういった。

「今さら隠し通せないか…」

バトルマグナスはしゃがみ込んだ後、胸部を展開させる。

そして、あかりはバトルマグナスというトランステクターから分離して9人の目の前に降りる。

「あかり、どういう事なの…?あの退部申請書は何なの…?何故あれを出したの…?」

絵里の問いにあかりは一泊置いて答えた。

「…私のせいなんだよ…

あの時…私がもっと考えて行動していれば学園祭のライブは失敗せずに済んだ…μ'sが解散の危機に陥る事もなかった…

…3年前のあの時だってそうだ…

…“俺”がよく考えてれば…俺があの時期に我が儘なんて言わなければパパやママは死なずに済んだ!」

あかりは今の顔を誰にも見られたくないから後ろを向いて言葉を続けた。

「司令官から話を聞いたのなら分かるだろ…俺から見たらな、みんなは輝かしくて眩しい存在なんだよ…

…こんな血塗られた咎人である俺とは正反対の存在…

…俺にとってみんなは触れていいような、一緒にいて良い存在じゃないんだよ…

そもそも俺は廃校を阻止するという目的の為にマネージャーという形で協力していたに過ぎない」

あかりの声は震えていた。

「だから、役目が終わったから、あの書類を出したの…?」

絵里の問いにあかりは首を縦に振る。

「前々から言ってた様に元々廃校を阻止するまでという条件だったからね…」

一拍置いてからあかりはこう口を開いた。

 

 

 

 

「…あれは3年前の春だった」

あかりは自ら語り始める。

 

 

 

自身の血塗られた過去―あまりにも残酷で理不尽で悲しい過去を…

 

 

 

 

To be continue

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